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時代遅れの原発政策に、いつまでしがみつくのか。

日記
01 /18 2019
日立製作所は昨日(17日)、進めていた英国の原発建設計画を凍結する、と発表した。東電福島第一原発事故の処理も終わっていないのに安倍政権は、原発輸出を「アベノミクス」の成長戦略の目玉政策として、他にもベトナム、トルコなどへの首相みずからのトップセールスで進めてきた。しかし、建設費用の高騰などから、建設見直し・中止が相次ぎ、結局、すべての原発建設プロジェクトが頓挫してしまったことになる。

これに先立ち、経団連の中西会長(日立製作所会長)は15日、会見で「原発の再稼働はどんどんやるべき」、「再稼働が出来ないのは自治体が同意しないから。政治家がそれを言えば選挙に落ちる」などと述べた。まさに妄言というべき発言だ。これに対する社民党からの抗議文は以下に掲載されているので、是非ご一読願いたい。

中西経団連会長の「再稼働をどんどんやるべきだ」との妄言に強く抗議する(談話)

この会見を報じた記事の中で中西会長は、「再生可能エネルギーだけで人類が必要とするエネルギーが賄えるとは思えない」とも発言している。筆者はこの発言に心底、驚かされた。日本の経済界ではこんな考え方がいまだにまかり通っているのか?あまりにも世界のエネルギーに関する潮流が分かっていないと言わざるを得ない。これでは、日本の未来は真っ暗だろう。

福島原発事故が起きた2011年、世界の再生可能エネルギー(太陽光と風力)は原発の数分の一だったが、2017年の太陽光発電と風力発電を合わせた設備容量は1000ギガワット近くまで増加。これは原発の一千基分にあたり、全世界の原発総設備容量の2.5倍。一昨年すでに、世界の再生可能エネルギーはここまできているのだ。

このような状況を反映して、従来の巨大原発・巨大火力発電を中心とするシステムではなく、再生可能エネルギーを中心とし、自然変動する再生可能エネルギーを如何に安定的に利用していくかという方向に、世界のエネルギー政策は進んでいる。そのような管理システムが「分散協調型エネルギー管理システム(EMS)」と呼ばれるものだ。

何故、世界でそれだけ再生可能エネルギーが増えているのか。答えは簡単で、近年、再生可能エネルギーのコストが劇的に下がり、原発などよりもずっと経済合理性に優れているからだ。最も安いと言われる石炭火力よりも太陽光の方が発電コストが安い、という事例もある。一方、その逆の意味で(つまり経済合理性がないから)原発事業に未来がないことは、もはや世界の常識だ。まともな経営者なら、どちらを選ぶべきかは一目瞭然だろう。

では何故、日本ではその「より合理的な」ビジネスを選べないのか。これも一言でいえば、いわゆる「原子力ムラ」の利権があるからだろう。そんな利権を守るためだけに、再生可能エネルギーなど、日本の未来を作る新しい事業分野の発展を妨げ、時代遅れのエネルギー政策を続けている安倍政権には、いいかげんNO!を突きつけた方が良い。こんな時代遅れの技術にしがみついていたら、ますます世界の潮流から遅れをとり、日本はエネルギー政策の最後進国になってしまうだろう。

(2019-1-18)