■Net 役立つサイネージ
デジタルサイネージは、広告やエンタテイメントのメディアというだけでなく、「役立つ」メディアとしての機能がクローズアップされるようになりました。金融機関での経済情報、駅での運行情報、行政機関による催し案内、学校での授業や就職情報、企業オフィス内での業務スケジュール。むしろこちらのほうがメディアとしては本来の役目になっていくでしょう。
特に震災後、節電でブラックアウトしたサイネージ以外のディスプレイはみな地震速報、交通情報、電力使用状況など、街行く人々に安心と安全を届けるべく奮闘しました。改めてサイネージの公益性が認識されたわけです。
いくつか紹介しましょう。
東京・湯島天満宮。菅原道真公を祀る合格祈願のメッカ。2月の梅まつりの時分ともなれば、境内に絵馬があふれます。そこに登場したのがビジョン「杜の囁き」。産経新聞社が運営。周辺の案内図と46インチのディスプレイが屋根付きの東屋風たたずまいでコンテンツを発信しています。
平時には神社のPRや四季の祭事などを表示していましたが、震災後は別バージョン。一時は節電対策でストップしていたのですが、「役立とう」ということで間を置かず再開、大震災ニュース、計画停電スケジュール、それに伴うJRや私鉄、地下鉄の運行情報、電話やネットを使った安否確認方法の紹介などを流しています。新聞社サイネージの面目躍如ですね。
東京大神宮にも「杜の囁き」があります。こちらは大判52インチのモニター一面。ぼくが春まだ自粛ムード一色だったころに訪れたときには義援金のお知らせ、伝言ダイヤル、震災ニュースが流されていて、参拝客がじっと読み込んでいました。役立ってます。
産経新聞社は鶴岡八幡宮、神田明神への設置を進め、さらに全国の神社へと広げていく計画だそうです。
大手町・丸ノ内・有楽町をネットワークする「Marunouchi Vision」。32インチから166インチのモニター80か所でこの地域23万人のビジネスピープルに情報を届けています。ここではNHKや共同通信社など各メディアとあらかじめ取り決めておき、緊急時には即時、緊急情報を提供できるシステムとなっています。今回の震災でも、10分後にはNHKに切り換えたといいます。そして、帰宅困難となった数多くの人たちのため、いつもより時間を延長し、朝までNHKを上映したそうです。消すのではなく、あえて灯をともすのがサイネージの役割。安心・安全のメディアなのです。
冒頭示したとおり、平時から「役立っている」サイネージはたくさんあります。あと一つ、病院でのサイネージを紹介しておきます。
平均すると40分以上の待ち時間が発生するという病院。メディアコンテンツファクトリーは、全国750の病院待合室にコンテンツを配信。休診・診療時間や薬の飲み方などの医療・健康情報を流しています。
商品案内もありますが、補聴器に関連する耳の知識だったり、特定保健用食品に関連するコレステロールの啓発だったり、オーラルケア商品に関連する歯周病の予防策だったりと、コンテンツには工夫がなされています。
平時にも、有事にも、「役立てる」メディアとなるよう、進化を促していきたい。
デジタルサイネージは、きっとそうなってくれると信じます。
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