マスゴミが流す内閣支持率が示すように、菅内閣は扱いに困る内閣である。
 普天間問題で鳩山内閣が総辞職したならば、外務の岡田、防衛の北澤、沖縄担当の前原など主要閣僚がそのまま居座ったのに20%をさまよい危険水域だったのが60%以上にまで支持率が跳ね上がることなどどう考えても不自然だからである。ということは、支持率の急上昇の原因は普天間問題ではないということになり鳩山&小沢のダブル辞任でご祝儀相場になっただけにすぎないということになる。

 野党側も鳩山&小沢のダブル辞任には頭を抱えたはずだ。
 潔く2人が身を引いてしまっただけに怒りの矛先(という名の旧体制の誘導先)がなくなってしまった。「小沢は汚い!」の一辺倒でネガキャンを打ってしまったために小沢に去られた途端、攻撃材料に事欠くようになってしまった。普天間が問題なら閣僚が軒並み留任した菅内閣の支持率が上がってはおかしいからだ。
 それにしても、こんなにあっさりひっくり返るとは。小沢の影響力が未だ衰えていない証左でもある。ゴミ売りはそのあたりも警戒しているようだが・・・。世論調査がいかに当てにならないかということでもあるんだが、作られた数字のわりには案外いいところを突いているんじゃないかとも思うのだ。

 あくまでオイラの感想だが、菅政権は認めたくないが民主党政権は続けて欲しい。
 菅内閣には勝って欲しくないが民主党中心の政権が瓦解するのは避けたい。菅政権を勝たせることと民主党政権によって少しでも生活が良くなることが両立しないところに迷いや苛立ちがある。そして貴重な一票を誰に入れて良いやら・・・と悩んでしまうのだ。

 菅内閣は強い経済、強い財政を目指すらしい。
 ぶっちゃけ、消費税増税・法人税減税の公約破りとも言える露骨な方向転換だ。

 こうもあからさまに増税しますと言われると腹が立つのを通り越してある種の清々しさすら覚える。所信表明演説も聴いたが、どうにも原稿の朗読で守りに終始した演説だった。だから菅直人の演説は心に響かない。もし自民党から生まれた総理大臣だと言われてもそう違和感は感じないだろう。それくらい旧態依然とした未来を感じさせないものだった。

 そのくせ、東アジア共同体なんて鳩さんが用いたフレーズはちゃっかり利用して鳩山内閣を継承していくイメージは演出しているから質が悪い。鳩山内閣は“一票一揆”によってできた政権だからだ。郵政法案は強行採決を回避して棚上げ。連立解消かと思われたが亀井氏が大臣を辞任することで決着。国民新党の幹部に官房機密費が流れたとか流れていないとか・・・。いやあ、官房機密費ってのは政治の暗部だねえ。仙石がオープン化をすっとぼけるはずだよ。

 自民党が融解してもう二度と復権することはない。だから民主党を変質させたほうが簡単だ。旧体制側がそう考えても不思議はない。だってダメ垣のあの代表質問はひどいというより笑うしかないよ。貧すれば鈍すというのがぴったりくる。

 繰り返すが、菅政権は認める気はない。
 会社が儲かれば個人も潤うってのが嘘っぱちなのはコイズミで実証済みだ。
 いくら会社が儲けても株主に大きいお金を持って行かれたら労働者には雀の涙しか残らない。おまけに減損会計が導入されてしまったために土地などの資産価値が下がった分を費用計上しなければならなくなり、さらにバランスシートが悪化して利益が少なくなる。

 政治がやるのは富の分配だ。グローバル化で海外投資家も増えている現状で消費税増税・法人税減税ってのは折角稼いだ儲けが海外に流れるだけでやることがあべこべ。やたら国家を強調するネトウヨじゃあるまいし、会社があることを優先して働く人間のことを無視したら会社が立派でも中身がボロボロになるだけだ。法人税減税を訴えるなら、健康保険や年金などの社会保障は全額会社負担にするくらいのことをしなければ駄目だ。

 菅政権はつくづく扱いに困る政権である。