ときめき過ぎにご注意を 「ココロコネクト キズランダム」
1巻が物凄く面白かった作品というのは、2巻で失速することが多いものです。続編を前提として書かれた作品でもない限り、面白いアイデアは1巻に詰め込まれるでしょうし、1巻で綺麗に完結したように見える作品を引き継いで新たな物語を紡ぐというのは、読者にとっては嬉しい半面、不安にもなるものです。その作品の世界はより広がるかもしれないけれど、綺麗な思い出を綺麗なままで取っておきたいと思う気持ちもまたあって。
好きな作品を、ずっと好きなままでいたいと思うからこそ、特にラノベにおいては「続刊出るの?」という不安な声を聞くことが多いように思います。
前置きはこれくらいにして。
自分が1巻を大絶賛した「ココロコネクト」シリーズの2巻に当たる「ココロコネクト キズランダム」が、あの『入れ替わり』設定を引き継がず、それでいて失速することなくちゃんと面白かったのです!
いやあこれは実に嬉しい。1巻を読んだ時点で「もうこれは超えられないだろうな」なんて思いながら2巻を読んだらコレですよ。1巻に勝るとも劣らない面白さ。もうすっかりこのシリーズの虜になってしまいました。
2巻で登場するギミックは『欲望解放』――人が持っている欲望を、理性やしがらみに縛られることなく解放してしまうというもの。本能のままに、自分がしたいように行動してしまう『欲望解放』がアトランダムに起こるというのが今回のギミックです。
どんなタイミングで起こっても、基本的に5人の外には被害が及ばなかった『入れ替わり』とは違い、今回の『欲望解放』では、本人がそれを強く望んでいれば、5人の外にも被害を及ぼしてしまう。それはとても辛く、そして危険なこと。
前回をも上回る危機的状況に、それでも5人は立ち向かい、『欲望解放』を通じて本音をぶつけ合っていきます。本音をぶつけて、傷つけ合って、それでも一緒にいたい仲間という関係。5人のココロの繋がりを通して「人間」に迫っていくこの作品は、最高傑作級と呼んでいいでしょう。いやあ、ホント素晴らしい青春モノでした。
そして今回もまたクライマックスが凄い。
前回フィーチャーされたのは伊織でしたが、今回は稲葉んです。稲葉んの本領発揮っぷりにときめき過ぎて死ぬかと思った。
でも俺は変わらず伊織派です。前回もそうだけど、今回も改めて思いました。「ああいう台詞」を言えるこの伊織というキャラが俺は大好きなんだなと。え、ああいう台詞って何かって? そりゃもちろん112ページの……冗談です。
しかし今回の稲葉んは、今後の動向次第ではこの完全に伊織に傾いている天秤を揺らがしかねない破壊力を秘めていたと思います。マジでこれはもう、読んで確かめてもらうしかないな!
1巻からの流れを引き継いで、新しいギミックを導入しつつもちゃんと青春モノに仕立て上げた上に、更に魅力的にキャラクターを描き出しているこの作者の潜在的な実力は半端じゃないと思うなぁ。いやまあ、1巻に引き続きややくどい感じはありましたが、それでも一度読み始めたら夢中で最後に読みきってしまうだけの魅力がこの作品にはあると思います。3巻も楽しみです!
そして白身魚さんのイラストも素晴らしい。この作品のキャラクターをここまで好きになれたのは、白身魚さんのイラストがあってこそ。魅力的なキャラクターと魅力的なイラストの化学反応がこの「ココロコネクト」という作品をここまで魅力的にしているのです。3巻のイラストも期待大ですね!
最新巻となる3巻「カコランダム」は9月30日発売。今から読み始めれば3巻に間に合うよ!
□ガチで素晴らしい青春ライトノベル「ココロコネクト ヒトランダム」
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