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ケアって何だろう? 説明できないものを体験できる本「ひらく」シリーズ 医学書院の編集者、白石正明さんに聞く

シリーズ「ケアをひらく」の担当編集者、白石正明さん=東京都文京区の医学書院で2024年3月7日午後4時7分、小国綾子撮影
シリーズ「ケアをひらく」の担当編集者、白石正明さん=東京都文京区の医学書院で2024年3月7日午後4時7分、小国綾子撮影

 一度会ってみたい人がいた。医学書院の編集者、白石正明さん(66)。コロナ禍では、医療従事者が脚光を浴びる一方、育児や介護現場で「一緒にいる」が危機にさらされ、人びとは「ケア」に注目した。でも、それよりもずっと前、2000年にシリーズ「ケアをひらく」を始め、43作品を世に送り出したのが白石さんだ。この春、退職すると聞き、あわてて会いにいった。白石さん、「ケア」っていったい何ですか?

 医学書院の会議室。目の前には憧れの白石さん。私はしどろもどろで「ケアって感じの紙面が作りたいんです。あ、すみません、うまく説明できない」。白石さん、くすっと笑うと「(説明できないところが)まさにケア的ですね」。

 シリーズ「ケアをひらく」(ケアひら)の書き手は、看護や介護の専門家にとどまらない。哲学、美学、建築など広範囲で、障害当事者の作品も多い。これが「ひらく」のゆえんだ。大宅壮一ノンフィクション賞、大佛次郎論壇賞など次々と受賞作を出し、19年にはシリーズ全体が毎日出版文化賞も受賞した。

 「ケアをひらく、というより、ひらいているからケア、なんです」。白石さんは謎かけみたいなことを言う。

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