「運動会の曲はこれじゃないと嫌」。大学1年の女性(19)は小中学校時代、自分の希望ばかり主張してしまい、周囲から孤立していた。人間関係をうまく築けない特性がありながらも、支援や療育は受けられないままだった。今では生きづらさは和らぐようになり、夢に向かって歩んでいる。転機となったのは、身近な大人のある一言だった。
相模原市に住む、ゆいのさん(名前の漢字と姓は非公表)。発達障害の注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向が見られるが、診断基準を満たさない境界域にいる、いわゆる「グレーゾーン」だ。
診断基準に十分該当せず
世の中で発達障害という言葉が広く知られるようになり、医療機関や相談機関を受診や相談に訪れる人が増えている。それに伴い増加していると考えられているのが、ゆいのさんのような「グレーゾーン」の人たちだ。
著書に「発達障害『グレーゾーン』 その正しい理解と克服法」がある精神科医の岡田尊司さんによると、発達障害の「グレーゾーン」は、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHDといった発達障害の傾向は見られるが、診断基準に十分に該当しない場合をいう。
比較的軽度で診断基準に達していない場合もあれば、診断基準の一部は満たすが、全ては満たさないという場合もある。例えば、精神疾患の国際的な診断基準「DSM-5」に基づくASDの診断では、「こだわり・執着」と「社会的コミュニケーションの障害」のどちらも満たす必要があるが、片方のみの場合は「グレーゾーン」とされる。
意見貫き「浮いた存在」に
ゆいのさんが自身の特性を自覚し始めたのは、小学校中学年の…
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