2009/08/15(土)
510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:29:05.79 ID:H+zxAzB9O
その2です。
その2です。
510 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:29:05.79 ID:H+zxAzB9O
何か、おかしい。
何となく、そんな気がした。
テレビに映る試合は、俺とは全く縁もゆかりもない県同士の戦いだが、負けている方をなんとなーく応援している気分でいると、これまたなんとなーく、そろそろハルヒが騒ぎ出すような気がした。
♪~♪~♪~
キョンの妹「キョン君電話~」
キョン「言われんでも分かってる」
ピッ
長門『……自転車を、貸してほしい』
長門ォッ!?
514 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:32:19.84 ID:pV09VGwi0
サイクリングかw
515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:32:50.88 ID:ESyWeaHr0
これは急展開wwww
517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:35:13.35 ID:H+zxAzB9O
キョン「なんだ藪から棒に」
長門『……必要』
キョン「自転車がか?どこかに行くつもりか?」
長門『……一人旅』
キョン(これまた唐突な……)
キョン(いや、待て)
長門がSOS団以外での行動をしたことが、前にもあった気がした。
いや、違いな。
正確には、前に全く同じような事があったような気がした……だ。
所謂デジャヴってやつか。
518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:35:39.11 ID:scpwzmPXO
そう来たかww
523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:40:50.53 ID:H+zxAzB9O
~キョン宅~
長門「……それで」
キョン「あぁ、貸してやるとも。お前が自分からそんなこと言いだすなんて珍しいからな」
長門「……そう」
キョン「よいしょっと。これが俺の自転車だが、やっぱり妹のにするか」
長門「……これでいい」
キョン「そうか。じゃあサドルを下げちまうな」
キュッキュッ
キョン「よし、乗ってみろ。足はつくか?」
長門「……」ストッ
キョン「つくようだな」
525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:48:11.57 ID:H+zxAzB9O
キョン「それで、長門、お前自転車には乗れるのか?」
長門「……既に乗っている」
キョン「そうではなくて。ペダルに足を付けてこげるかってことだ」
長門「……問題ない。自転車の運転に関する情報は既に実装している」
キョン「さいですか……」
ここまで来るとチートだな。
自転車の運転てのは、まず補助輪を付けてだな。
それで補助輪が外れて、それから転びながら補助輪無しの運転を覚えていくものなんだぞ。
いや、皆まで言うまい。
528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:51:28.62 ID:H+zxAzB9O
キョン「で、行き先はどこなんだ」
長門「……決めていない」
キョン「はぁ?」
長門「……自転車での一人旅とは、そういうもの」
キョン(どこでそんな情報を……)
キョン「まぁいい。行ってこい。長門」
長門「……」こくっ
キョン「お前に限ってはないと思うが。頼むから壊すなよ」
長門「……わかった」
536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:59:39.67 ID:H+zxAzB9O
その時、俺は少し、いや、かなり嫌な予感がしていたのだが、あえて口にはしなかった。
自転車をこぐ長門、というとてもレアなような気がする光景を見送ると、俺は家に戻った。
♪~♪~♪~
キョンの妹「キョン君電話~」
キョン「言われんでもわかってる」
ピッ
ハルヒ『キョン、あんた今日暇でしょ?2時ジャストに駅前集合だから』
キョン「……」
ハルヒ『ちゃんと来なさいよ?』
プツッ
俺はまだ一言も喋っとらんのだが。
♪~♪~♪~
ピッ
キョン「なんだ?」
ハルヒ『持参物を言い忘れてたわ。水着一式。それと十分なお金ね。あとは必ず自転車に乗ってくること!おーばー』
キョン「………………」
550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:11:33.44 ID:aF+tD2I2O
~海岸沿いの歩道~
長門「……」
ガチャンッ!
長門「……!」
ガリガリガリガリ!
長門「……チェーンが」
ガタンッ
長門「……」
長門「……」
長門「……アイ・キャン・フライ」
556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:17:01.30 ID:aF+tD2I2O
ドサッ
長門「……」
女「あーあー派手に吹っ飛んだねぇ」
長門「……」
女「ここが砂浜じゃなきゃ死んでたわよ?」
長門「……自転車が全壊」
キョン『お前に限ってはないと思うが。頼むから壊すなよ』なよーなよー なよー←エコー
長門「……自転車の完全復元を申請。そうした場合、何らかの不確定要素が起こる場合が」
女「君君。大丈夫?」
長門「……」
女「やぁねぇ。そんな不安な顔して。自転車くらい直るわよ♪」
562 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:23:24.62 ID:aF+tD2I2O
女「よし、自転車も積んだし、君も車に乗りなさい」
長門「……」こくっ
女「あら、ほっぺた擦り剥いてる。女の子なのに鳥人間コンテストなんてするからよ」
長門「……パターンを変えてみたかった」
女「意味わかんないけど。ちょっと待ってなさい。あったあった」
ペタッ
長門「……」
女「うんっ。絆創膏も似合ってる♪」
565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:27:05.66 ID:aF+tD2I2O
ブロロロ……
女「君、行き先は?」
長門「……決めていない」
女「そ。じゃあ少しの間だけ、私の相手してくれるかな?」
長門「……構わない」
女「良かった」
572 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:32:42.39 ID:aF+tD2I2O
女「この先の民宿予約してあるんだ。この辺海でしょ?多いのよ」
長門「……そう」
女「ご飯も美味しいし。でも娯楽がないのよね。卓球台ぐらいしか置いてない」
長門「……そう」
女「卓球できる?」
長門「……恐らく」
女「なら夜に対決しましょ。私こう見えても大学時代県大会で準優勝だったのよ?」
長門「……そう」
女「ふふっ。妹か娘とドライブ旅行してる気分ねー♪」
575 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:38:15.40 ID:aF+tD2I2O
~民宿ら八~
女将「あら、いらっしゃい」
女「よっ。今年も来てやったわよ」
長門「……」
女将「そっちの子は?」
女「か・く・し・ご」
女将「馬鹿なこと言うんじゃないよ」
女「冗談よ!途中で拾ったの」
577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:42:33.28 ID:aF+tD2I2O
女将「じゃあ夕食は2人分かい?」
女「よろしくー」
女「あ!この辺に自転車屋ある?」
女将「さぁ、聞かないね」
女「じゃあ、街中まで行くしかないわねぇ」
長門「……」
女「そんな顔しないでったら。店に行けば直せるから」
578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:47:20.32 ID:itR1LUyo0
長門の表情を見極められるとは
579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:48:24.29 ID:aF+tD2I2O
ガラッ
女「あー、久しぶりだわぁ」ドサッ
女「この微妙に湿気ったような布団も変わらないわね」
長門「……」
女「あ、一緒の部屋は嫌だった?」
長門「……そうではない」
女「自転車?とりあえず今日はパスさせてぇ。車移動なのに疲れちゃって」
長門「……」ストッ
女「年なのかしらねぇ。まだ30代なのよ?」
長門「……そう」
584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:53:06.57 ID:aF+tD2I2O
女「自転車は明日。私も用事があるからついでってことで」
長門「……」こくっ
女「やっと不安が抜けた」
長門「……」
女「なんでかしらねぇ。君ってあんまり表情変わらないけど、なんとなくわかるのよねぇ」
長門「……結構いる」
女「なーんだ。私だけ特別かと思っちゃった」
585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:57:00.51 ID:aF+tD2I2O
女「さーて、ひとっ風呂浴びようかしら」
長門「……」
女「何座ってるの?君も行くのよ」
長門「……別にいい」
女「何言ってんの!男子は連れション行くでしょ?女子は連れ風呂に行くのよ」
長門「……聞いたことがない」
女「今考えたからね」
長門「……シュール」
女「とにかく!さっさと行くわよ」
長門「……」
586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:58:12.83 ID:GV6LvrNqO
ホントにシュール
587 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:04:43.14 ID:aF+tD2I2O
カポーン
女「ふう……ちょっとぬるいけどいい湯加減」
長門「……」
女「ここで私が君の友達なら、『あ!おっぱい大きくなったね!』とか言うべきなんだろうけど」
長門「……なに」
女「ごめん」
長門「……謝罪の理由を要する」
女「あ!飛行機雲よ!」
長門「……理由を」
591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:12:51.96 ID:aF+tD2I2O
女「ぷはぁ!やっぱり風呂上がりにはコーヒー牛乳よね!」
長門「……」
女「でもいちご牛乳も捨てがたい。まぁ夜はビールだけど」
長門「……」
女「君は何がいい?風呂上がりの飲み物は」
長門「……なんでもいい」
女「じゃあ君はいちご牛乳ね」
長門「……」
女「さっきのお詫び。私の奢りよ」
長門「……なんのお詫び」
女「まだ若いんだし、成長途中だわ。だから未来の貴方に先行投資って感じ?」
長門「……」
女「それにそこを気にする必要ないのよ。君は私的美的ランキングでAマイナーだし」
長門「……理解できない」
595 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:19:14.49 ID:oRNoiNLC0
谷口的なセンスの持ち主かw
598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:20:48.39 ID:aF+tD2I2O
そして、夕食時になった……
女「いただきまーす!」
長門「……いただきます」
女「相変わらずしょっぼい料理ねぇ」
女将「文句言うなら別の宿とりな」
女「なによ。私くらいしか客いないくせに」
女将「客の掻き入れ時が過ぎたからいないだけさね」
長門「……うるさい」
女&女将「!」
長門「……食事は静かにするべき」
女「ごめんなさい」
女将「ごゆっくり」
601 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:22:41.68 ID:2jRbee0d0
食事マナーに厳しい長門だ・・・・・・・!
602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:24:23.37 ID:GGuFBCzkO
ハルヒに言いたくても言えない事をここで……
603 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:28:34.84 ID:aF+tD2I2O
女「ぷはぁ!やっぱり風呂上がりにはビールよね!」
長門「……昼間と言っていることが違う」
女「夜はビールだけどって、ちゃんと言ったわよ」
長門「……」
女「さてビールも飲んだし、私はもう寝るわ」
長門「……そう」
女「おやすみなさい」
長門「……おやすみなさい」
長門「……」もぞもぞ
女「電気、消すわね」
パチッ
604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:30:02.14 ID:itR1LUyo0
さっきからミサトさんで再生される
608 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:34:06.26 ID:aF+tD2I2O
長門「……」
女「……」
長門「……」
女「……」
長門「……」
女「……」むくっ
女「……」とぼとぼ
パタン
609 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:35:11.12 ID:aF+tD2I2O
<ぐすっ……ひっく、ひっく……
<ごめん……ごめんね……
長門「……」
616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:43:00.05 ID:aF+tD2I2O
翌日……
女「さて、自転車を修理に出しに行くわよ!」
長門「……」こくっ
女「それじゃ、行ってくるわ」
女将「さっさと行っといで」
女「客なんだから行ってらっしゃいませくらい言え」
女将「やだね」
長門「……」ぐいっ
女「あぁごめんごめん。行くわ。行くから!引っ張らないで~!」
618 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:48:13.54 ID:aF+tD2I2O
店主「これはひどい」
女「直るかしら?」
店主「まぁチェーンが外れてるだけだから、それを直せば走れるは走れるが」
長門「……完全な復元を要請する」
店主「そうだねぇ。出来ることはやってみるけど、また明日来てくれや」
女「お願いね!」
長門「……」ぺこり
620 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:57:29.19 ID:aF+tD2I2O
女「じゃ、次は私の用事ね」
長門「……」こくっ
女「君、何か好きなものある?」
長門「……好きなもの」
女「そう。なんでもいいわよ」
長門「……お面」
女「お面?お祭りじゃないんだから、さすがにそれはないわねぇ」
長門「……」
女「じゃあ、一緒に花選ぼっか?」
長門「……」こくっ
623 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:03:49.69 ID:aF+tD2I2O
~民宿ら八~
女「ただいまー」
長門「……ただいま」
女将「はいはいおかえり」
女「じゃあ、私行ってくるから」
女将「はいよ」
長門「……」
女将「まさか、あの子が誰かと一緒に来る日が訪れるとはね」
長門「……」
女将「気付いてかもしれないけど、あたしとあの子は実の親子なのさ」
長門「……そう」
女将「それと、あの子には娘もいた」
長門「……」
女将「生きてたら、あんたと同じくらいの年だろうかね」
627 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:08:16.79 ID:bsMH1YY20
描いた支援

630 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:11:03.32 ID:aF+tD2I2O
女将「驚いたよ。食事の時、あんたはあたし達に注意したろ」
女将「あの子もね……よくあたし達の口ゲンカを注意してくれたんだ」
女将「ご飯は静かに食べなきゃ駄目でしょ、ってさ」
女将「海の事故だった。波にさらわれてさ。助からなかった」
長門「……そう」
女将「あたしの娘はわがままだけどさ、もうちょっと付き合っておくれよ」
女将「久しぶりに見たよ。あの子が生きてる頃みたいさ」
636 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:17:28.52 ID:aF+tD2I2O
女「たっだいまー」
長門「……」
女「ん?どうかした?」
女将「夕飯の献立を聞いてたんだよ」
女「じゃあ私はお刺身の盛り合わせと焼酎を」
女将「あんたの要望は聞いてないよ」
長門「……」ぐいっ
女「なに?」
長門「……昼風呂」
638 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:24:24.04 ID:aF+tD2I2O
女「もう、お風呂ぐらい一人で入りなさいよー」
長門「……連れ風呂をするのは女同士だけではない」
女「?」
長門「……親子も」
女「!」
長門「……だから」
女「あのお喋り婆さんから聞いたのね」
長門「……」こくっ
女「ありがと」ぎゅっ
長門「……」
女「じゃ、遠慮なく連れ風呂といきますか!」
641 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:34:28.53 ID:aF+tD2I2O
チャポン
女「本当、久しぶりだわ……」
長門「……」
女「心が、安らいだ気がした」
長門「……」
女「親子ごっこ、付き合わせてごめんね」
長門「……構わない」
女「君の気持ち、忘れない。忘れないから……」
女「あの子のことと同じくらいッ……大事にするから……」
女「あはは、年甲斐もなく泣いてるわ……」
長門「……ここには私と貴方しかいない」
長門「……だから、泣いても構わない」
長門「……お母さん」
643 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:41:13.76 ID:aF+tD2I2O
女「ぷはぁ!やっぱり風呂上がりにはコーヒー牛乳よね!」
長門「……いちご牛乳」
女「じゃあ、さっきのお礼に今度は私がおまじないをかけてあげる」
長門「……おまじない」
女「そ。おっぱいが大きくなるおまじないよ」
長門「……」
キョン『特盛りッ!』
ハルヒ『さぁ、みくるちゃん!次はこの胸が存分に開いた服よ!』
みくり『やめてくださぁ~い』
古泉『はっはっはっ。これは絶景ですね』
長門「……必要ない」
646 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:48:59.94 ID:aF+tD2I2O
そして、夜になった……
長門「……」
女「一つの布団で寝るなんて、なんか恥ずかしいわね」
長門「……そう」
女「でも、懐かしいわ」ぽんぽん
長門「……」
女「あの子はこうやって頭を撫でてあげると、眠っちゃったのよね」ぽんぽん
長門「……」
女「……」ぽんぽん
長門「……」
女「……」ぽん
女「……おやすみ」
649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:58:05.84 ID:aF+tD2I2O
翌日
女「今年もありがと。それじゃあね」
女将「なんだ。もう行くのかい」
女「うん。自転車が直るのは夕方らしいけど、それまでに色々回りたいから」
長門「……」
女将「あの子とじゃない、この子との思い出ってわけか」
女「そんなとこ」
長門「……」
女将「今度はこんなおばさんじゃなくて、友達でも連れてきな」
女「おばっ!?」
長門「……」こくっ
女将「ま、布団と少し湿気ってて食事もしょぼいかもしれないが」
女「……ごめん」
長門「……ユニーク」
654 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:06:07.93 ID:aF+tD2I2O
女将「ま、次に来ても覚えとらんかも知れないけどね」
女「そろそろボケが始まる年だから」
女将「一言多い!」ビシッ
女「いでっ」
長門「……ユニーク」
女「さて、それじゃどこに行こっか?」
長門「……お面」
女「お面!?まだ言うか!でも、面白そうね。お面探しの旅に、出発よ!」
656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:17:33.34 ID:aF+tD2I2O
その夜、俺から安眠を奪ったのはまたしても1本の電話だった。
ピッ
キョン「はい……」
みくる「ふぇぇぇぇ」
キョン「うおっ!」
みくる「キョンくーん……」
キョン「朝比奈さん?」
朝比奈さん「はい。私です。とてもよくないことがぁ……このままじゃ私……ふぇぇ」
キョン「あの……」
古泉「どうも古泉です」
キョン「何でお前がこんな時間に朝比奈さんと一緒なんだぁ!?」
古泉「ちょっとした事情がありましてね……今から来ていただくことは可能ですか?」
キョン「当たり前だぁ!すぐ行く!!」
657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:20:56.43 ID:aF+tD2I2O
ダダダダッ!
ガチャガチャ!
バタン!
キョン「待て……」
キョン(しまった!自転車が妹のしかない!)
ブロロロ……
キキィー
女「ここでいいのね」
長門「……」こくっ
バタンッ
キョン「長門?」
長門「……自転車を返しにきた」
659 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:27:23.10 ID:aF+tD2I2O
キョン「自転車って……こんな時間だぞ」
長門「……この時間に必要になると判断した」
女「ここまで来るのに夜中になっちゃったけど、修理は完璧のはずよ。さっすが私の元旦那」
キョン「あの、こちらは?」
女「母です」
キョン(なんですとぉ!?)
女「それじゃあ、私はもう行くわ」
長門「……」こくっ
女「いつか、また会えたらいいね」バタン
ブロロロ……
661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:32:53.45 ID:aF+tD2I2O
長門「……」
キョン「あの人、本当に長門の母親なのか?対有機なんとかインターフェースなのか?」
長門「……違う」
キョン「そ、そうか。てっきり朝倉みたいな奴かと思ってビクビクしたぞ」
長門「……でも、私の母」
キョン「そうか。よし、じゃあ長門も乗れ。朝比奈さんに呼ばれてるんだ」
長門「……知っている」
キョン「そういえば、お前に自転車借りられた日にハルヒからも電話があってな」
長門「……」
キョン「妹のピンクの自転車で2ケツした時は顔から火が噴き出すかと思ったぞ」
長門「……ユニーク」
667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:47:37.19 ID:aF+tD2I2O
長門「……お面」
キョン「ん?」
長門「……今度また、私も含め盆踊りに行ったとする」
キョン「盆踊り?そういや行ったな」
長門「……私に対して、お面を買ってやろうとは思わないでほしい」
キョン「なんでだ?」
長門「……世話になっているから。今回も自転車も借りた」
キョン「なんだ。そんなことか」
後で朝比奈さん達からも明かされることだが、俺達は同じ夏をループしているらしい。
なら、自転車を直す必要はなかったのではないかと、俺は思った。
いや、直さなかったら、長門に頼まれ事もされなかったか。
長門、お面を買ってやるか買わないかは、その時の俺が判断することだ。
今回は長門と盆踊りに行かなかったが、行ったとしても長門にお面を買ってやろうとしただろう。
つまり、そういうことだ。以上!
エンドレスエイト長門の夏休み 3巡目 終わり
680 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 04:20:05.81 ID:Mc/kG++60
おつー
681 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 04:26:31.96 ID:fJ5aVkfd0
おもしろかったよ
736 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 14:07:48.61 ID:aF+tD2I2O
そういや伏線張ったのに卓球やってないよね
SS書いてるとたまに伏線未回収する時があって困る
737 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 14:18:19.11 ID:2j+ElA910
まあ思うとおりやってくれればいいよ
747 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:40:43.87 ID:aF+tD2I2O
ブロロロ……
ブロロロ……
長門「……」
ブロロロ……
ブロロロ……
長門「……」
アナウンス「本日は○○バスをご利用いただきありがとうございます。次の停留所は、○○岬、○○岬です」
長門「……」スッ
ピンポン♪
748 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:42:31.40 ID:aF+tD2I2O
プシュー
ガシャッ
長門「……」スタスタ
プシュー
ブロロロ……
長門「……」
長門「……」
長門「……潮風」
750 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:43:53.02 ID:aF+tD2I2O
ザッパーンッ
長門「……」
ザザーンッ
長門「……」
ザッパーンッ
長門「……」
ザザーンッ
長門「……」
752 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:48:22.17 ID:aF+tD2I2O
ビュオオーッ
長門「……」
男「危ない!!」ガシッ
長門「……」
男「死んじゃ駄目だ!君はまだ若いじゃないか……」
長門「……死なない」
男「……へ?」
長門「……死ぬつもりはない」
753 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:52:38.25 ID:aF+tD2I2O
男「でも、さっきから君は崖から海を眺めていたし」
長門「……見ていただけ」
男「それに、さっき君は海に飛び込もうとしたじゃないか!」
長門「……突風が吹き、一瞬態勢を崩した」
男「……」
長門「……飛び降りるつもりはない」
男「は、はは……なんだそう言うことか」
長門「……」
男「良かったぁ」ガクッ
長門「……」
男「あはは、さすがに高いな。足が竦んでしまった……」
757 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:58:38.15 ID:aF+tD2I2O
男「ははは、面目ない。腰が抜けて、君に支えてもらうとは」
長門「……構わない」
男「しかし恥ずかしいな。あんなに怖いものだとは……」
長門「……」
男「あぁ、ごめんね。こんなおじさんの話聞いてもつまらないよね」
長門「……そうではない」
男「お世辞はいいよ。自分でもわかってるんだ。つまらない人間だってね」
長門「……」
759 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:09:01.18 ID:aF+tD2I2O
男「お詫びといってはなんだが、お昼ご飯でもご馳走させてくれないか?」
長門「……」
男「あ……忘れてくれ。見ず知らずの人間にそんなことをされても迷惑なだけだな」
長門「……」
男「それに、君は親御さん達と一緒なんだろ?そうでなきゃ、こんな場所に来るはずもない」
長門「……ここには一人で来た」
男「一人で?」
長門「……そう」
男「そうか。学生は今は夏休みだもんな。旅行でも趣味なのか?」
長門「……そう」
764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:34:26.55 ID:aF+tD2I2O
で、これはどういうことなんだ?
朝、なんとなくハルヒが騒ぎ出すような気がしていた。
案の定ハルヒからの着信があり、その第一声がこうだ。
ハルヒ『有希がバスに乗ったわ!!』
だからなんだ。
バスくらい長門にも乗るだろう。
ハルヒ『とにかく!有希を追うわ!○○方面に向けてタクシーに乗ったから、あんた○○まで来なさい!合流しましょ!』
そう言いたいこと言って、ハルヒは電話を切った。
俺はまだ一言も喋っとらんのだが。
♪~♪~♪~
ピッ
ハルヒ『言い忘れたわ。みくるちゃんと古泉君も一緒にね。
あと充分なお金持ってきて!今お金持ってないの!以上!』
ブツッ
768 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:41:50.11 ID:k3HcIyYP0
これは新展開
769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:44:36.05 ID:aF+tD2I2O
それで、俺と朝比奈さんと古泉はタクシーに乗り、ハルヒを追ったわけだ。
それからまたハルヒから連絡があり、長門は別の路線バスに乗ったらしい。
ハルヒは長門を追い長距離移動。おいおい、まさかそのタクシー代も俺が払うのか?
古泉「なにやら面白くなってきましたね」
キョン「なにがだ。ハルヒのタクシー代と俺達のタクシー代が馬鹿高くなることか」
古泉「違います。長門さんの独断ともいえる行動についてです」
キョン「バスくらい長門だって乗るだろう」
古泉「涼宮さんを観察することを目的に作られたインターフェースの長門さんが、ですか?」
キョン「うっ……」
確かに、今回の長門の行動は、少し、いやかなり特徴的だった。
3年もマンションで待機していた長門が、バスの路線を乗り換えてどこかへ行こうとしている。
気にならない方が、嘘ってやつだ。
771 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:49:59.64 ID:30aOA9Y5P
さすがにキョンの財布が死ぬ
773 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:53:53.23 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「遅いわよ!」
誰のせいだ。誰の。
ハルヒ「全く、SOS団の団員としての心構えってもんがないわ」
長門とストーキングして俺にタクシーを払わせるような人間に言われたくない!
キョン「で、長門は?」
ハルヒ「あそこで海を眺めてるわ。かれこれもう10分てとこ」
キョン「10分……」
ハルヒ「そう!動く気配が全くないのよ。有希の奴、
ただ塩分の濃いだけのだだっ広い水溜まりなんか見て何が楽しいのかしら」
動く気配が全くない長門を見てるお前もな。
774 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:53:56.00 ID:IgK4up18O
機関が援助してあげてぇぇぇ
775 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:03:22.63 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「でも、事件の匂いがプンプンするわ。崖といったらサスペンスドラマのクライマックス!たぶんこれから刑事だか探偵だかが来て、殺人事件の真犯人の有希を追い詰めるのよ!」
おい、長門を勝手に殺人犯にすんな。
キョン「だかなハルヒ。長門は単純に夏休みを楽しもうとしてバスに乗ったんじゃ……」
ハルヒ「あ!有希の所に中年の男が近付いていくわ!やっぱり私の予想は大当たりね!」
キョン(聞いちゃいない)
俺は仕方なく、目線を長門に移した。
確かに、長門の元にサラリーマン風のスーツを着た男が近付いていく。
ビュオオーッ
その時だ。海から突風が吹いて、長門がよろめいたのは。
777 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:11:49.77 ID:aF+tD2I2O
長門の体を、その近付いていた男が支える。
長門のことだから、海から落ちても死ぬことはないだろうが、無事で何よりだ。
キョン(しかし本当に、あの男は誰なんだ?)
長門と男は何やら話をしている様子だった。
長門は相変わらずの無表情だったが、男の方がかなり激怒している。
おそらく長門が飛び降りると勘違いして注意をしている、といったところだろう。
長門の口が短く開く。
すると、男は途端に張った肩を下ろし、がくりと地面に膝をついた。
それから長門に支えられ、ベンチに向かう。
ハルヒ「あぁ、もう少し近くで会話が聞きたいわ!」
キョン(ハルヒよ。ストーキングの次は盗聴か)
780 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:23:51.66 ID:aF+tD2I2O
ベンチでの会話はしばらく続き、2人は食事処に入っていった。
そういえば、もう昼か。
キョン「ハルヒ。昼飯はどうする」
ハルヒ「もうそんな時間?そうね。じゃ、昼休憩ってことで、どっかコンビニでお弁当でも買いましょ」
みくる「あのぉ~」
ハルヒ「なに?みくるちゃん」
みくる「お弁当なら作ってきましたぁ~」
ハルヒ「あら、気が利くじゃない!それじゃ、さっき有希達が座ってたベンチで、張り込み開始よ!」
783 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:29:40.61 ID:aF+tD2I2O
男「盛り蕎麦を一つ。君は?」
長門「……同じものでいい」
男「じゃあ、盛り蕎麦二つに変更で」
店員「盛り蕎麦二つですね。かしこまりましたー」スタスタ
男「ふう。さっきは私の早とちりですまないことをしたね」
長門「…いい」
男「気分転換にこの岬に来たんだが、君みたいな旅行好きな子で出会えてなんだか嬉しいよ」
長門「……そう」
786 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:39:10.28 ID:aF+tD2I2O
男「会社の若い子は、休暇は家でダラダラするとか、なんだがだらしなくてね」
長門「……そう」
男「家でダラダラするのも楽しいだろうが、やっぱり外に出ることも大切なことだと思うんだ」
長門「……そう」
男「夏休みなんて、長いようで短い。それに、今年の夏は今年だけ。一度しかないからね」
長門「……そう」
店員「おまちどおさまでした。盛り蕎麦です」
男「またつまらない話をしてしまったな。さ、食べようか」
長門「……」こくっ
788 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:41:33.48 ID:aF+tD2I2O
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「…………その会社も、今年の夏でクビだ」
792 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:49:57.43 ID:aF+tD2I2O
長門「……」
男「君は、何か仕事やアルバイトをしたことはあるかい?」
長門「……私の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」
男「な、なんだか難しい仕事みたいだね……」
長門「……」こくっ
男「その仕事は、やっていて楽しいかい?」
長門「……そういったことを考えたことはない」
男「そうか……」
長門「……」
男「私は楽しかったな。仕事人間だったってこともあるかもしれないが、自分に相応しい仕事だと思った」
長門「……」
男「なのに、リストラさ……」
795 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:01:32.28 ID:aF+tD2I2O
男「今の時勢、どこも不況だからね。うちの会社も人員削減に乗り出した」
長門「……そう」
男「解雇宣告されてからの数ヶ月は、悩みっぱなしだった。何故自分なのか、どうにかして会社に留まれないかとか、色々とね」
長門「……そう」
男「仕事が楽しい自分がリストラされるのに、仕事は嫌々で休暇はダラダラすると言っていた若い子が残る」
長門「……」
男「同僚を恨むのが何の意味もないとわかっているのに……」
長門「……」
男「それで昨日、最後の出勤だったってわけさ」
長門「……そう」
799 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:12:04.78 ID:aF+tD2I2O
男「自分には仕事だけだったから、することがなくなってしまった」
長門「……」
男「また、つまらない話をしてしまったかな」
長門「……」
長門「……また、見付ければいい」
男「見付かるかな」
長門「……見付けようとする意思があれば」
男「そうかな……」
長門「……そう」
長門「……確かに夏は一度だけ」
長門「……でも、やり直すことはできる」
長門「……だから、死のうしないでほしい」
男「!」
801 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:21:33.43 ID:aF+tD2I2O
男「わかってたのか……」
長門「……」こくっ
男「勘違いだったけれど、自殺しようとしていた人間が自殺しようとしていた子を助けた」
男「でもそれは、死ぬことが怖かっただけだな……」
長門「……死を選ぶよりもすることがあるはず」
男「それが、やり直すことができるって意味か」
長門「……そう」
長門「……また、同じことが起こるかもしれない」
長門「……でもそこに、おそらく私はいない」
長門「……だから、忘れないでほしい」
長門「……忘れてしまうことでも」
804 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:27:50.67 ID:aF+tD2I2O
男「トイレに行ってくるよ」ガタッ
長門「……」
男「……ありがとう」
長門「……」
長門「……」
長門「……」
長門「……」
808 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:35:24.85 ID:aF+tD2I2O
キョン「……」
古泉「なかなか出てきませんね」
キョン「あぁ、正直飽きた」
古泉「でも良かったじゃないですか。涼宮さんが楽しそうで」
キョン「付き合わされるこっちの身にもなってみろ」
古泉「でも、ああやって楽しげに笑っている涼宮さんは、この世を揺るがすようなことはしないでしょうからね」
キョン「……だといいが」
809 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:41:10.32 ID:aF+tD2I2O
古泉「……」
キョン「どうした?」
古泉「あぁ、いえ……以前にも長門さんが独断行動をしたことがあったような。たぶん僕の気のせいです」
キョン「……」
古泉「おや、男性の方が出てきたようですよ」
キョン「長門は……出てくる気配がないわ」
ハルヒ「私とみくるちゃんはあの男を追うわ!キョンと古泉君は有希の無事を確認しなさい!」
キョン(無事ねぇ……)
みくる「あ~ん、待ってくださぁ~い」
古泉「では、僕らも行きましょうか」
キョン「そうするか」
813 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:45:14.58 ID:aF+tD2I2O
ウィーン
店員「いらっしゃいませー」
古泉「あの、連れを待たせているのですが、中に入っても大丈夫ですか?」
店員「あ、はい」ぽーっ
キョン「……」
古泉「長門さんがいましたよ」
長門「……」
キョン「長門」
長門「……」
キョン「昼は蕎麦か。美味そうだな」
長門「……」
キョン「一緒にいたおっさんはもう店を出たが、お前は出ないのか?」
長門「……そう」
814 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:49:54.13 ID:aF+tD2I2O
古泉「あの、ここの席の会計は?」
店員「この方のお連れのお客様がお支払いになりましたよ」
長門「……」ガタッ
キョン「おい、長……」
長門「……」スタスタ
ウィーン
長門「……」
キョン「急に飛び出して。いったいどうしたんだ?」
長門「……」
816 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:00:30.30 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「あぁもう!見失っちゃったわ!!」
みくる「はひ……はひ……」
古泉「仕方ありませんね。長門さんとも合流しましたし、今日はもうおひらきということにしましょう」
キョン「……」
古泉「ご安心を。帰りのタクシー代は僕が払います」
キョン「それは助かる……って、そういうことを言いたいんじゃない」
長門「……」
ハルヒ「そうね。今日はもう終わりにしましょ。本当なら今日はSOS団でプールに行く予定だったんだけど」
キョン(お前の予定なんざ誰も訊いていない)
ハルヒ「それじゃ、明日はいつもの喫茶店で夏休みどうするか話し合いましょ!」
キョン(今日みたいに金だけ消費するような無駄なことはもうごめんだぞ……)
820 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:17:30.04 ID:aF+tD2I2O
翌日、例の喫茶店で今後のSOS団の活動内容の協議がほぼハルヒ一人の手によって行われた。
盆踊り、花火大会、バイト、天体観測、その他もろもろ。
それを2週間足らずでやろうとしているところが恐ろしい。
その日は各自、虫捕り網と虫カゴを持って、SOS団内セミ捕り合戦。
やはりというかなんというか優勝はハルヒとなった。
次の日、地元の大手スーパーでバイト。
何だかわからないままにカエルのきぐるみを着せられ、店先で風船を配ることとなった。
その時、何故か長門が熱心に風船を配っていたのを、俺はよく覚えている。
熱心といっても、大声でスーパーの宣伝活動をするとか、そこまで積極的だったというわけでもなかったが。
そんな長門を見て、ハルヒが言った。
ハルヒ「有希、そんなにバイトが楽しかったのかしら?」
あの岬であの男と何かあったのか。
ループのこと知らされた後の31日になっても、俺は手付かずの宿題と睨み合いになりながらも気になり続けていた。
いや、もう知らん。どうにでもなれだ。
もしまた繰り返すんなら、そんなこと気になっても意味ないしな。
明日が来ようがこまいが、ま、それはそん時の俺に任せりゃいいか。
エンドレスエイト長門の夏休み 4巡目 終わり
822 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:18:37.78 ID:Vnb06QxY0
相変わらずちらつかせ方がうまいなあ
823 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:19:58.53 ID:aF+tD2I2O
今回はちょっと駄作気味ですまない
誤字脱字はながら投下なんで脳内変換をお願いしたい
ハルヒの性格については……ごめん
824 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:20:50.96 ID:mnGq++Oo0
乙!
835 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:53:45.44 ID:aF+tD2I2O
何か、おかしい。
何となく、そんな気がした。
テレビに映る試合は、俺とは全く縁もゆかりもない県同士の戦いだが、
負けている方をなんとなーく応援している気分でいると、
これまたなんとなーく、そろそろハルヒが騒ぎ出すような気がした。
♪~♪~♪~
キョンの妹「キョン君電話~」
キョン「言われんでも分かってる」
ピッ
ハルヒ『今日あんた暇でしょ?2時ジャストに駅前集合だから。ちゃんと来なさいよ』
ブツッ
俺は一言もしゃべっとらんのだが。
838 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:03:51.73 ID:aF+tD2I2O
ピッ。
キョン「何だ?」
ハルヒ『持参物は特にないから。あと……』
キョン「自転車に乗って来るんだろ」
ハルヒ『ッはぁ?別に乗ってこなくていいわよ。遅れたら奢りってことを言おうてしたの。じゃ』
ブツッ
あれ?自転車に乗っていくんじゃなったか?
TV「打った大きい!」
キョン妹「あ、これ入るんじゃないかなー」
TV「入りましたー!」
キョン妹「ほらね」
840 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:08:08.25 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「遅いわよキョン!もっとやる気をみせなさい!」
キョン「へいへい。待たせてすみませんね」
朝比奈さん「私も今来たところですー」
ハルヒ「それじゃあ全員揃ったことだし、出発しましょ!」
キョン「どこに?」
ハルヒ「スーパーよ。今日はSOS団でスーパーのバイトをするわ!」
842 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:25:48.11 ID:aF+tD2I2O
なんだかわからない内に集められた俺達は、なんだかわからないスーパーに行くこととなった。
キョン「ん゛ん゛ん゛……ぬぉぉぉ!」
ハルヒ「ほらキョン!もっと腰に力を入れなさい!」
古泉「これは、なかなか……」
みくる「あぅぅぅ、重いですぅ~」
ハルヒ「古泉君にみくるちゃんも!しっかり運ぶのよ!」
長門「……」ヒョイ
長門「……」スタスタ
845 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:39:01.89 ID:aF+tD2I2O
これから1時間ほど、俺達はスーパーの荷物の搬入を手伝うことになった。
まさか、こんなことをさせられるハメになるとは……
キョン「高重力化で肉体労働させれた沙慈の気持ちが気持ちがよくわかるぜ……」
古泉「あっはは、大丈夫ですか?」
ハルヒ「ご苦労さま!店長のおっさんも感謝してたわよぉ」
キョン「おっちゃんの感謝などいらん。バイト代は?」
ハルヒ「ないわよ!」
キョン「は……?」
ハルヒ「最終日にあるものを貰える約束なの。それまでしっかり働きなさい!」
848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:49:38.37 ID:aF+tD2I2O
こうして無報酬労働を強いられることになった俺達だったわけたが。
バイトの内容は日毎に変わり、レジ打ち、ビラ配り、電話番。
そして今日が最終日。カエルの着ぐるみを着て風船配りとは。
本当、しんどかったぜ……
キョン「で、あるものってのはなんなんだ?」
ハルヒ「これよ!」
ハルヒはカエルの着ぐるみの頭を持ち上げて、そう言い放った!
キョン「は?」
ハルヒ「私前からこれが欲しかったのよねー。おっちゃんもみくるちゃんに免じてくれるって言ってくれたの」
俺達はそんな事の為に額に汗して働いたのか。
ハルヒ「記念に部室に飾っときましょ。みくるちゃん、何時でも好きな時にこれ着ていいわよ。あたしが許すわ」
851 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:02:10.64 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「それで、みんなには言いづらいことがあるんだけど」
キョン「なんだ?まさか、また明日もバイトだなんで言い出すんじゃないだろうな?」
ハルヒ「それがね、おっちゃんが有希の働きっぷりを気に入っちゃって」
長門「……」
ハルヒ「夏休み中でいいからシフトに入ってほしいって頼まれちゃったのよ」
キョン「ちょっと待て。そんな唐突かつ勝手に……長門の予定も聞かずにいいのか」
ハルヒ「そんなこと言われなくてもわかってるわよ。で、有希、大丈夫?」
長門「……問題ない」
何故だか、その時長門はハルヒの頼みも喜んで聞き入れているように見えた。
まぁ、長門がいいなら俺はこれ以上何も言うまい。
それにハルヒに付き合わされるより、スーパーでバイトしてるよりマシだろうがな。
ハルヒ「有希が働いた分の給料はSOS団の活動資金になるから、バリバリ働きなさい!」
これでいいのか、長門よ。
それに一応言っておくが、うちの高校はバイト禁止だぞ。
855 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:10:05.48 ID:aF+tD2I2O
翌日
店長「今日から9月まで働いてもらうことなった長門有希さんです」
長門「……」ぺこり
店員達「よろしくー」
店長「みんな知っての通り、彼女は数日前から店の手伝いをしてくれた子達の一人だ」
店長「彼女の学校はバイト禁止らしいからくれぐれも口外しないよーに!」
店員達「はーい」
店長「じゃあ長門さん、まずはレジやってもらおうかな」
長門「……」こくっ
860 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:21:03.92 ID:aF+tD2I2O
店員1「長門さん」
長門「……」
店員1「この前あなた達にレジ打ちと接客の仕方を教えた○○よ。覚えてるかしら?」
長門「……」こくっ
店員1「そう。あなたは今日から正式なバイト扱いになったから、ちょっと見させてもらうわね」
長門「……わかった」
店員1「わかりました!」
長門「……わかりました」
店員1「うーん。あなた作業は凄い早くて適切なのに、愛想だけはないのよね」
長門「……改善する」
店員1「頑張りましょ!」
長門「……」こくっ
863 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:28:03.27 ID:aF+tD2I2O
客「……」ガタッ
長門「……いらっしゃいませ」
ピピピピピピッ
店員(バーコードの読み取りが速い!)
長門「……お会計○○○○円になります」
客「え?もう?……えっと、はい」
長門「……1万円のお預かり」ピッピッピッ
ガシャッ
店員(レジから札と小銭をスムーズに取っていく。ベテランレベルのお釣り受け渡し術だわ!)
長門「……ありがとうございました」
866 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:37:02.72 ID:aF+tD2I2O
~休憩中~
店員1「長門さん、あなた凄いわ!レジに立ってた3時間のうち、あなたのレジが一番売り上げがあったのよ!」
長門「……そう」
店員1「それもこれもあなたもレジ打ち技術が高いからね。会計までの流れが実にスムーズだったわ」
長門「……それほどでもない」
店員1「惜しいわぁ。明日は裏でラベル貼りするらしいし」
長門「……」
店員1「でも、ヘルプとか、またレジ打ちする機会はあるだろうし、その時はよろしくね」
長門「……」こくっ
店員1「でも、接客の時は笑顔じゃなくちゃ駄目よ!」
長門「……努力はしている」
店員1「あはは!それじゃ、休憩もそろそろ終わりにして、後半戦も頑張りましょ」
867 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:39:12.65 ID:30aOA9Y5P
レジの列が長いせいで売り逃しって結構あるからな
バカにならん
868 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:40:09.31 ID:KvL7mfZo0
店員1良い人www
869 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:41:59.20 ID:aF+tD2I2O
そして、長門の初日のバイトは終わった。
長門は午後から、閉店までの約6時間働き、店から出てくる。
店員達「有希ちゃん。お疲れ様ー」
長門「……お疲れ様」
1日目にしてもう長門は他の店員から有希ちゃんと呼ばれていた。
キョン「長門」
長門「……」
キョン「帰り、一緒に行っても大丈夫か?」
長門「……」こくりっ
872 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:48:30.47 ID:aF+tD2I2O
キョン「今日、俺達は丘の上で天体観測をしたよ」
長門「……知っている。本来なら私が居住しているマンションだった」
キョン「お前がバイトすることになったからか」
長門「……そう」
キョン「昨日、最後のバイトの夜、朝比奈さんと古泉に呼び出されてな。ループの話を聞いた」
長門「……知っている」
キョン「なら聞くが、なんでお前はバイトなんかしてるんだ?
バイトなんかしたとこで、9月は来ない。ただの働き損だぞ」
タダ働きになるより、ハルヒに搾取される方がまだマシかもしれん。
長門「……構わない」
キョン「どうしてた!?」
長門「……私の役目は観測だから」
880 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:06:06.60 ID:aF+tD2I2O
長門「……このループは、簡単には終わらない。今回でXXXXX回目に該当する」
キョン「XXXXX……!?」
XXXXX?XXXXXって……何だ?
長門、お前は何を言ってるんだ?
キョン「それはマジな話なのか?」
長門「そう」
キョン「ループしているのはわかってたが、それだけの回数、俺達は全く同じことを繰り返してきたってのか?」
長門「必ずしもそうではない」
長門「XXXXX回中、本来なら8月17日は市民プールに行く予定だった。
今回17日からSOS団がアルバイトをすることになり、私が本格的にシフトに組み込まれることになったのは、
XXXXX回に涼宮ハルヒが「有希、そんなにバイトが楽しかったのかしら?」と言ったことが原因だと推測できる。
他にも、本来なら18日に盆踊りに行き、19日には昆虫採集。アルバイトをするのは20日のみ。
アルバイトを行ったのはXXXX回であるが、その内容は5つに分岐する。
風船配り以外では、荷物運び、レジ打ち、ビラ配り、電話番。
今回はその全てを数日に分けて行うことになった」
キョン「長門、もういい」
長門「……聞いて」
881 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:18:04.91 ID:aF+tD2I2O
長門「……私は、唯一この繰り返しの全てを記憶している」
キョン「あぁ……」
長門「……あらゆるパターンを試し、繰り返しから脱する可能性を模索している」
長門、お前はいったい今まで、どういった気持ちで過ごしてきたんだ。
長門「もういい加減にして」
キョン「はっ?」
長門「……そう、貴方や朝比奈みくる、古泉一樹は思うかもしれない」
キョン「確かにな」
長門「……でも、私は違う」
そう言うと、長門は両手の人差し指を自分の口の端の持っていき、そのまま少し吊り上げた。
長門「……楽しかった」
882 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:19:20.12 ID:KvL7mfZo0
もう長門可愛いよ長門
883 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:19:40.59 ID:hbsvTbNNO
何この夏の終わり的な切ないシーン
885 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:22:46.76 ID:6jByzpM90
想像したら可愛すぎて困った困った
891 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:27:14.42 ID:aF+tD2I2O
長門「……だから、私は明日もアルバイトをする。給料が欲しいわけでも、SOS団の活動資金のためでもない」
キョン「そういうことか」
長門「……8月31日が終わり、また8月17日が来ても、それは変わらない」
キョン「そうか。お前は楽しいんだな」
長門「……そう」
キョン「ならいいか。それじゃ、明日もバイト頑張れよ」
長門「……」こくっ
892 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:33:22.66 ID:aF+tD2I2O
キョン「それじゃ、俺はこっちの道だから」
長門「……待って」
キョン「どうした?」
長門「……お面」
キョン「お面?」
長門「……盆踊りに行くパターンの時は、貴方はお面を買ってくれようとしてくれる」
キョン「そうなのか」
長門「……ありがとう」
キョン「そのセリフは、その時の俺に言ってやれ」
長門「……あと」
キョン「ん?」
長門「……宿題は早い内に済ませておくべき」
キョン「ゲッ!何故そのことを!?」
長門「……」てくてく
898 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:47:05.67 ID:aF+tD2I2O
翌日も、そのまた翌日も、長門はバイトに行った。
そりゃそうだ。8月31日まではシフトが組まれてる。
たまにスーパーに行くと、レジ打ちや商品の陳列、惣菜コーナーで惣菜を作っている長門を見かけた。
長門のいないSOS団はSOS団で、夏休みの予定表に書かれたことをこなしていく毎日だ。
そしてやってきた8月30日。
長門抜きで集まった喫茶店。
ハルヒは満足していないのだと、俺達3人は感じていた。
だが、俺達はハルヒを帰えしてしまう。
あの1万何千回と繰り返してきたあの2週間を、また延々と繰り返す羽目になっちまうというのに。
でも、何をすべきなんだ?何を言うべき何だ?ハルヒの言葉の中にそのヒントはあったはずだ。
だが、それは何だ?あいつは今までなんて言ってきた?
駄目だ。わからない。待て、待てよ。ハルヒ。
これじゃ、俺達の「もういい加減にして」という気持ちを、また長門に味わわせることになっちまう……!!
899 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:50:53.29 ID:8fmS34Eb0
がんばれ!
900 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:57:16.31 ID:aF+tD2I2O
8月31日。
俺は机と向き合い、せっせと宿題をしていた。
わからないとこを朝比奈さんや、癪だが古泉に訊いたりもした。
もしまた繰り返すんなら、宿題なんぞやったところで意味はない。
そう思ってやらないのは簡単だ。
だが、もしやったら、もしかしたらこのループから抜け出せるかもしれない。
そう思いつつ宿題を進めていたが、最後の1ページというところで、時計は0時になってしまった。
エンドレスエイト長門の夏休み 5巡目 終ワレ!
原作未読者なんだかもしかしたら原作ネタバレかもしれないのでこんなオチ
数日後付き合ってくれてありがとう
901 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:59:35.17 ID:shAdxpuPO
乙!
902 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:59:38.00 ID:0x1TuDQsO
>>1乙
これは乙じゃなくてポニーテール云々
911 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:01:18.59 ID:K1H9FRdr0
乙!
いや、ほんとおもしろかったよ
長門かわいいよ長門
-------------
当ブログについて
※欄589さんありがとうです。
読み物:ハルヒ
お絵かき掲示板
画像掲示板
何か、おかしい。
何となく、そんな気がした。
テレビに映る試合は、俺とは全く縁もゆかりもない県同士の戦いだが、負けている方をなんとなーく応援している気分でいると、これまたなんとなーく、そろそろハルヒが騒ぎ出すような気がした。
♪~♪~♪~
キョンの妹「キョン君電話~」
キョン「言われんでも分かってる」
ピッ
長門『……自転車を、貸してほしい』
長門ォッ!?
514 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:32:19.84 ID:pV09VGwi0
サイクリングかw
515 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:32:50.88 ID:ESyWeaHr0
これは急展開wwww
517 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:35:13.35 ID:H+zxAzB9O
キョン「なんだ藪から棒に」
長門『……必要』
キョン「自転車がか?どこかに行くつもりか?」
長門『……一人旅』
キョン(これまた唐突な……)
キョン(いや、待て)
長門がSOS団以外での行動をしたことが、前にもあった気がした。
いや、違いな。
正確には、前に全く同じような事があったような気がした……だ。
所謂デジャヴってやつか。
518 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:35:39.11 ID:scpwzmPXO
そう来たかww
523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:40:50.53 ID:H+zxAzB9O
~キョン宅~
長門「……それで」
キョン「あぁ、貸してやるとも。お前が自分からそんなこと言いだすなんて珍しいからな」
長門「……そう」
キョン「よいしょっと。これが俺の自転車だが、やっぱり妹のにするか」
長門「……これでいい」
キョン「そうか。じゃあサドルを下げちまうな」
キュッキュッ
キョン「よし、乗ってみろ。足はつくか?」
長門「……」ストッ
キョン「つくようだな」
525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:48:11.57 ID:H+zxAzB9O
キョン「それで、長門、お前自転車には乗れるのか?」
長門「……既に乗っている」
キョン「そうではなくて。ペダルに足を付けてこげるかってことだ」
長門「……問題ない。自転車の運転に関する情報は既に実装している」
キョン「さいですか……」
ここまで来るとチートだな。
自転車の運転てのは、まず補助輪を付けてだな。
それで補助輪が外れて、それから転びながら補助輪無しの運転を覚えていくものなんだぞ。
いや、皆まで言うまい。
528 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:51:28.62 ID:H+zxAzB9O
キョン「で、行き先はどこなんだ」
長門「……決めていない」
キョン「はぁ?」
長門「……自転車での一人旅とは、そういうもの」
キョン(どこでそんな情報を……)
キョン「まぁいい。行ってこい。長門」
長門「……」こくっ
キョン「お前に限ってはないと思うが。頼むから壊すなよ」
長門「……わかった」
536 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/31(金) 23:59:39.67 ID:H+zxAzB9O
その時、俺は少し、いや、かなり嫌な予感がしていたのだが、あえて口にはしなかった。
自転車をこぐ長門、というとてもレアなような気がする光景を見送ると、俺は家に戻った。
♪~♪~♪~
キョンの妹「キョン君電話~」
キョン「言われんでもわかってる」
ピッ
ハルヒ『キョン、あんた今日暇でしょ?2時ジャストに駅前集合だから』
キョン「……」
ハルヒ『ちゃんと来なさいよ?』
プツッ
俺はまだ一言も喋っとらんのだが。
♪~♪~♪~
ピッ
キョン「なんだ?」
ハルヒ『持参物を言い忘れてたわ。水着一式。それと十分なお金ね。あとは必ず自転車に乗ってくること!おーばー』
キョン「………………」
550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:11:33.44 ID:aF+tD2I2O
~海岸沿いの歩道~
長門「……」
ガチャンッ!
長門「……!」
ガリガリガリガリ!
長門「……チェーンが」
ガタンッ
長門「……」
長門「……」
長門「……アイ・キャン・フライ」
556 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:17:01.30 ID:aF+tD2I2O
ドサッ
長門「……」
女「あーあー派手に吹っ飛んだねぇ」
長門「……」
女「ここが砂浜じゃなきゃ死んでたわよ?」
長門「……自転車が全壊」
キョン『お前に限ってはないと思うが。頼むから壊すなよ』なよーなよー なよー←エコー
長門「……自転車の完全復元を申請。そうした場合、何らかの不確定要素が起こる場合が」
女「君君。大丈夫?」
長門「……」
女「やぁねぇ。そんな不安な顔して。自転車くらい直るわよ♪」
562 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:23:24.62 ID:aF+tD2I2O
女「よし、自転車も積んだし、君も車に乗りなさい」
長門「……」こくっ
女「あら、ほっぺた擦り剥いてる。女の子なのに鳥人間コンテストなんてするからよ」
長門「……パターンを変えてみたかった」
女「意味わかんないけど。ちょっと待ってなさい。あったあった」
ペタッ
長門「……」
女「うんっ。絆創膏も似合ってる♪」
565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:27:05.66 ID:aF+tD2I2O
ブロロロ……
女「君、行き先は?」
長門「……決めていない」
女「そ。じゃあ少しの間だけ、私の相手してくれるかな?」
長門「……構わない」
女「良かった」
572 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:32:42.39 ID:aF+tD2I2O
女「この先の民宿予約してあるんだ。この辺海でしょ?多いのよ」
長門「……そう」
女「ご飯も美味しいし。でも娯楽がないのよね。卓球台ぐらいしか置いてない」
長門「……そう」
女「卓球できる?」
長門「……恐らく」
女「なら夜に対決しましょ。私こう見えても大学時代県大会で準優勝だったのよ?」
長門「……そう」
女「ふふっ。妹か娘とドライブ旅行してる気分ねー♪」
575 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:38:15.40 ID:aF+tD2I2O
~民宿ら八~
女将「あら、いらっしゃい」
女「よっ。今年も来てやったわよ」
長門「……」
女将「そっちの子は?」
女「か・く・し・ご」
女将「馬鹿なこと言うんじゃないよ」
女「冗談よ!途中で拾ったの」
577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:42:33.28 ID:aF+tD2I2O
女将「じゃあ夕食は2人分かい?」
女「よろしくー」
女「あ!この辺に自転車屋ある?」
女将「さぁ、聞かないね」
女「じゃあ、街中まで行くしかないわねぇ」
長門「……」
女「そんな顔しないでったら。店に行けば直せるから」
578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:47:20.32 ID:itR1LUyo0
長門の表情を見極められるとは
579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:48:24.29 ID:aF+tD2I2O
ガラッ
女「あー、久しぶりだわぁ」ドサッ
女「この微妙に湿気ったような布団も変わらないわね」
長門「……」
女「あ、一緒の部屋は嫌だった?」
長門「……そうではない」
女「自転車?とりあえず今日はパスさせてぇ。車移動なのに疲れちゃって」
長門「……」ストッ
女「年なのかしらねぇ。まだ30代なのよ?」
長門「……そう」
584 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:53:06.57 ID:aF+tD2I2O
女「自転車は明日。私も用事があるからついでってことで」
長門「……」こくっ
女「やっと不安が抜けた」
長門「……」
女「なんでかしらねぇ。君ってあんまり表情変わらないけど、なんとなくわかるのよねぇ」
長門「……結構いる」
女「なーんだ。私だけ特別かと思っちゃった」
585 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:57:00.51 ID:aF+tD2I2O
女「さーて、ひとっ風呂浴びようかしら」
長門「……」
女「何座ってるの?君も行くのよ」
長門「……別にいい」
女「何言ってんの!男子は連れション行くでしょ?女子は連れ風呂に行くのよ」
長門「……聞いたことがない」
女「今考えたからね」
長門「……シュール」
女「とにかく!さっさと行くわよ」
長門「……」
586 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 00:58:12.83 ID:GV6LvrNqO
ホントにシュール
587 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:04:43.14 ID:aF+tD2I2O
カポーン
女「ふう……ちょっとぬるいけどいい湯加減」
長門「……」
女「ここで私が君の友達なら、『あ!おっぱい大きくなったね!』とか言うべきなんだろうけど」
長門「……なに」
女「ごめん」
長門「……謝罪の理由を要する」
女「あ!飛行機雲よ!」
長門「……理由を」
591 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:12:51.96 ID:aF+tD2I2O
女「ぷはぁ!やっぱり風呂上がりにはコーヒー牛乳よね!」
長門「……」
女「でもいちご牛乳も捨てがたい。まぁ夜はビールだけど」
長門「……」
女「君は何がいい?風呂上がりの飲み物は」
長門「……なんでもいい」
女「じゃあ君はいちご牛乳ね」
長門「……」
女「さっきのお詫び。私の奢りよ」
長門「……なんのお詫び」
女「まだ若いんだし、成長途中だわ。だから未来の貴方に先行投資って感じ?」
長門「……」
女「それにそこを気にする必要ないのよ。君は私的美的ランキングでAマイナーだし」
長門「……理解できない」
595 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:19:14.49 ID:oRNoiNLC0
谷口的なセンスの持ち主かw
598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:20:48.39 ID:aF+tD2I2O
そして、夕食時になった……
女「いただきまーす!」
長門「……いただきます」
女「相変わらずしょっぼい料理ねぇ」
女将「文句言うなら別の宿とりな」
女「なによ。私くらいしか客いないくせに」
女将「客の掻き入れ時が過ぎたからいないだけさね」
長門「……うるさい」
女&女将「!」
長門「……食事は静かにするべき」
女「ごめんなさい」
女将「ごゆっくり」
601 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:22:41.68 ID:2jRbee0d0
食事マナーに厳しい長門だ・・・・・・・!
602 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:24:23.37 ID:GGuFBCzkO
ハルヒに言いたくても言えない事をここで……
603 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:28:34.84 ID:aF+tD2I2O
女「ぷはぁ!やっぱり風呂上がりにはビールよね!」
長門「……昼間と言っていることが違う」
女「夜はビールだけどって、ちゃんと言ったわよ」
長門「……」
女「さてビールも飲んだし、私はもう寝るわ」
長門「……そう」
女「おやすみなさい」
長門「……おやすみなさい」
長門「……」もぞもぞ
女「電気、消すわね」
パチッ
604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:30:02.14 ID:itR1LUyo0
さっきからミサトさんで再生される
608 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:34:06.26 ID:aF+tD2I2O
長門「……」
女「……」
長門「……」
女「……」
長門「……」
女「……」むくっ
女「……」とぼとぼ
パタン
609 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:35:11.12 ID:aF+tD2I2O
<ぐすっ……ひっく、ひっく……
<ごめん……ごめんね……
長門「……」
616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:43:00.05 ID:aF+tD2I2O
翌日……
女「さて、自転車を修理に出しに行くわよ!」
長門「……」こくっ
女「それじゃ、行ってくるわ」
女将「さっさと行っといで」
女「客なんだから行ってらっしゃいませくらい言え」
女将「やだね」
長門「……」ぐいっ
女「あぁごめんごめん。行くわ。行くから!引っ張らないで~!」
618 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:48:13.54 ID:aF+tD2I2O
店主「これはひどい」
女「直るかしら?」
店主「まぁチェーンが外れてるだけだから、それを直せば走れるは走れるが」
長門「……完全な復元を要請する」
店主「そうだねぇ。出来ることはやってみるけど、また明日来てくれや」
女「お願いね!」
長門「……」ぺこり
620 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 01:57:29.19 ID:aF+tD2I2O
女「じゃ、次は私の用事ね」
長門「……」こくっ
女「君、何か好きなものある?」
長門「……好きなもの」
女「そう。なんでもいいわよ」
長門「……お面」
女「お面?お祭りじゃないんだから、さすがにそれはないわねぇ」
長門「……」
女「じゃあ、一緒に花選ぼっか?」
長門「……」こくっ
623 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:03:49.69 ID:aF+tD2I2O
~民宿ら八~
女「ただいまー」
長門「……ただいま」
女将「はいはいおかえり」
女「じゃあ、私行ってくるから」
女将「はいよ」
長門「……」
女将「まさか、あの子が誰かと一緒に来る日が訪れるとはね」
長門「……」
女将「気付いてかもしれないけど、あたしとあの子は実の親子なのさ」
長門「……そう」
女将「それと、あの子には娘もいた」
長門「……」
女将「生きてたら、あんたと同じくらいの年だろうかね」
627 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:08:16.79 ID:bsMH1YY20
描いた支援

630 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:11:03.32 ID:aF+tD2I2O
女将「驚いたよ。食事の時、あんたはあたし達に注意したろ」
女将「あの子もね……よくあたし達の口ゲンカを注意してくれたんだ」
女将「ご飯は静かに食べなきゃ駄目でしょ、ってさ」
女将「海の事故だった。波にさらわれてさ。助からなかった」
長門「……そう」
女将「あたしの娘はわがままだけどさ、もうちょっと付き合っておくれよ」
女将「久しぶりに見たよ。あの子が生きてる頃みたいさ」
636 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:17:28.52 ID:aF+tD2I2O
女「たっだいまー」
長門「……」
女「ん?どうかした?」
女将「夕飯の献立を聞いてたんだよ」
女「じゃあ私はお刺身の盛り合わせと焼酎を」
女将「あんたの要望は聞いてないよ」
長門「……」ぐいっ
女「なに?」
長門「……昼風呂」
638 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:24:24.04 ID:aF+tD2I2O
女「もう、お風呂ぐらい一人で入りなさいよー」
長門「……連れ風呂をするのは女同士だけではない」
女「?」
長門「……親子も」
女「!」
長門「……だから」
女「あのお喋り婆さんから聞いたのね」
長門「……」こくっ
女「ありがと」ぎゅっ
長門「……」
女「じゃ、遠慮なく連れ風呂といきますか!」
641 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:34:28.53 ID:aF+tD2I2O
チャポン
女「本当、久しぶりだわ……」
長門「……」
女「心が、安らいだ気がした」
長門「……」
女「親子ごっこ、付き合わせてごめんね」
長門「……構わない」
女「君の気持ち、忘れない。忘れないから……」
女「あの子のことと同じくらいッ……大事にするから……」
女「あはは、年甲斐もなく泣いてるわ……」
長門「……ここには私と貴方しかいない」
長門「……だから、泣いても構わない」
長門「……お母さん」
643 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:41:13.76 ID:aF+tD2I2O
女「ぷはぁ!やっぱり風呂上がりにはコーヒー牛乳よね!」
長門「……いちご牛乳」
女「じゃあ、さっきのお礼に今度は私がおまじないをかけてあげる」
長門「……おまじない」
女「そ。おっぱいが大きくなるおまじないよ」
長門「……」
キョン『特盛りッ!』
ハルヒ『さぁ、みくるちゃん!次はこの胸が存分に開いた服よ!』
みくり『やめてくださぁ~い』
古泉『はっはっはっ。これは絶景ですね』
長門「……必要ない」
646 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:48:59.94 ID:aF+tD2I2O
そして、夜になった……
長門「……」
女「一つの布団で寝るなんて、なんか恥ずかしいわね」
長門「……そう」
女「でも、懐かしいわ」ぽんぽん
長門「……」
女「あの子はこうやって頭を撫でてあげると、眠っちゃったのよね」ぽんぽん
長門「……」
女「……」ぽんぽん
長門「……」
女「……」ぽん
女「……おやすみ」
649 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 02:58:05.84 ID:aF+tD2I2O
翌日
女「今年もありがと。それじゃあね」
女将「なんだ。もう行くのかい」
女「うん。自転車が直るのは夕方らしいけど、それまでに色々回りたいから」
長門「……」
女将「あの子とじゃない、この子との思い出ってわけか」
女「そんなとこ」
長門「……」
女将「今度はこんなおばさんじゃなくて、友達でも連れてきな」
女「おばっ!?」
長門「……」こくっ
女将「ま、布団と少し湿気ってて食事もしょぼいかもしれないが」
女「……ごめん」
長門「……ユニーク」
654 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:06:07.93 ID:aF+tD2I2O
女将「ま、次に来ても覚えとらんかも知れないけどね」
女「そろそろボケが始まる年だから」
女将「一言多い!」ビシッ
女「いでっ」
長門「……ユニーク」
女「さて、それじゃどこに行こっか?」
長門「……お面」
女「お面!?まだ言うか!でも、面白そうね。お面探しの旅に、出発よ!」
656 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:17:33.34 ID:aF+tD2I2O
その夜、俺から安眠を奪ったのはまたしても1本の電話だった。
ピッ
キョン「はい……」
みくる「ふぇぇぇぇ」
キョン「うおっ!」
みくる「キョンくーん……」
キョン「朝比奈さん?」
朝比奈さん「はい。私です。とてもよくないことがぁ……このままじゃ私……ふぇぇ」
キョン「あの……」
古泉「どうも古泉です」
キョン「何でお前がこんな時間に朝比奈さんと一緒なんだぁ!?」
古泉「ちょっとした事情がありましてね……今から来ていただくことは可能ですか?」
キョン「当たり前だぁ!すぐ行く!!」
657 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:20:56.43 ID:aF+tD2I2O
ダダダダッ!
ガチャガチャ!
バタン!
キョン「待て……」
キョン(しまった!自転車が妹のしかない!)
ブロロロ……
キキィー
女「ここでいいのね」
長門「……」こくっ
バタンッ
キョン「長門?」
長門「……自転車を返しにきた」
659 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:27:23.10 ID:aF+tD2I2O
キョン「自転車って……こんな時間だぞ」
長門「……この時間に必要になると判断した」
女「ここまで来るのに夜中になっちゃったけど、修理は完璧のはずよ。さっすが私の元旦那」
キョン「あの、こちらは?」
女「母です」
キョン(なんですとぉ!?)
女「それじゃあ、私はもう行くわ」
長門「……」こくっ
女「いつか、また会えたらいいね」バタン
ブロロロ……
661 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:32:53.45 ID:aF+tD2I2O
長門「……」
キョン「あの人、本当に長門の母親なのか?対有機なんとかインターフェースなのか?」
長門「……違う」
キョン「そ、そうか。てっきり朝倉みたいな奴かと思ってビクビクしたぞ」
長門「……でも、私の母」
キョン「そうか。よし、じゃあ長門も乗れ。朝比奈さんに呼ばれてるんだ」
長門「……知っている」
キョン「そういえば、お前に自転車借りられた日にハルヒからも電話があってな」
長門「……」
キョン「妹のピンクの自転車で2ケツした時は顔から火が噴き出すかと思ったぞ」
長門「……ユニーク」
667 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 03:47:37.19 ID:aF+tD2I2O
長門「……お面」
キョン「ん?」
長門「……今度また、私も含め盆踊りに行ったとする」
キョン「盆踊り?そういや行ったな」
長門「……私に対して、お面を買ってやろうとは思わないでほしい」
キョン「なんでだ?」
長門「……世話になっているから。今回も自転車も借りた」
キョン「なんだ。そんなことか」
後で朝比奈さん達からも明かされることだが、俺達は同じ夏をループしているらしい。
なら、自転車を直す必要はなかったのではないかと、俺は思った。
いや、直さなかったら、長門に頼まれ事もされなかったか。
長門、お面を買ってやるか買わないかは、その時の俺が判断することだ。
今回は長門と盆踊りに行かなかったが、行ったとしても長門にお面を買ってやろうとしただろう。
つまり、そういうことだ。以上!
エンドレスエイト長門の夏休み 3巡目 終わり
680 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 04:20:05.81 ID:Mc/kG++60
おつー
681 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 04:26:31.96 ID:fJ5aVkfd0
おもしろかったよ
736 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 14:07:48.61 ID:aF+tD2I2O
そういや伏線張ったのに卓球やってないよね
SS書いてるとたまに伏線未回収する時があって困る
737 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 14:18:19.11 ID:2j+ElA910
まあ思うとおりやってくれればいいよ
747 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:40:43.87 ID:aF+tD2I2O
ブロロロ……
ブロロロ……
長門「……」
ブロロロ……
ブロロロ……
長門「……」
アナウンス「本日は○○バスをご利用いただきありがとうございます。次の停留所は、○○岬、○○岬です」
長門「……」スッ
ピンポン♪
748 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:42:31.40 ID:aF+tD2I2O
プシュー
ガシャッ
長門「……」スタスタ
プシュー
ブロロロ……
長門「……」
長門「……」
長門「……潮風」
750 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:43:53.02 ID:aF+tD2I2O
ザッパーンッ
長門「……」
ザザーンッ
長門「……」
ザッパーンッ
長門「……」
ザザーンッ
長門「……」
752 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:48:22.17 ID:aF+tD2I2O
ビュオオーッ
長門「……」
男「危ない!!」ガシッ
長門「……」
男「死んじゃ駄目だ!君はまだ若いじゃないか……」
長門「……死なない」
男「……へ?」
長門「……死ぬつもりはない」
753 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:52:38.25 ID:aF+tD2I2O
男「でも、さっきから君は崖から海を眺めていたし」
長門「……見ていただけ」
男「それに、さっき君は海に飛び込もうとしたじゃないか!」
長門「……突風が吹き、一瞬態勢を崩した」
男「……」
長門「……飛び降りるつもりはない」
男「は、はは……なんだそう言うことか」
長門「……」
男「良かったぁ」ガクッ
長門「……」
男「あはは、さすがに高いな。足が竦んでしまった……」
757 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 15:58:38.15 ID:aF+tD2I2O
男「ははは、面目ない。腰が抜けて、君に支えてもらうとは」
長門「……構わない」
男「しかし恥ずかしいな。あんなに怖いものだとは……」
長門「……」
男「あぁ、ごめんね。こんなおじさんの話聞いてもつまらないよね」
長門「……そうではない」
男「お世辞はいいよ。自分でもわかってるんだ。つまらない人間だってね」
長門「……」
759 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:09:01.18 ID:aF+tD2I2O
男「お詫びといってはなんだが、お昼ご飯でもご馳走させてくれないか?」
長門「……」
男「あ……忘れてくれ。見ず知らずの人間にそんなことをされても迷惑なだけだな」
長門「……」
男「それに、君は親御さん達と一緒なんだろ?そうでなきゃ、こんな場所に来るはずもない」
長門「……ここには一人で来た」
男「一人で?」
長門「……そう」
男「そうか。学生は今は夏休みだもんな。旅行でも趣味なのか?」
長門「……そう」
764 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:34:26.55 ID:aF+tD2I2O
で、これはどういうことなんだ?
朝、なんとなくハルヒが騒ぎ出すような気がしていた。
案の定ハルヒからの着信があり、その第一声がこうだ。
ハルヒ『有希がバスに乗ったわ!!』
だからなんだ。
バスくらい長門にも乗るだろう。
ハルヒ『とにかく!有希を追うわ!○○方面に向けてタクシーに乗ったから、あんた○○まで来なさい!合流しましょ!』
そう言いたいこと言って、ハルヒは電話を切った。
俺はまだ一言も喋っとらんのだが。
♪~♪~♪~
ピッ
ハルヒ『言い忘れたわ。みくるちゃんと古泉君も一緒にね。
あと充分なお金持ってきて!今お金持ってないの!以上!』
ブツッ
768 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:41:50.11 ID:k3HcIyYP0
これは新展開
769 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:44:36.05 ID:aF+tD2I2O
それで、俺と朝比奈さんと古泉はタクシーに乗り、ハルヒを追ったわけだ。
それからまたハルヒから連絡があり、長門は別の路線バスに乗ったらしい。
ハルヒは長門を追い長距離移動。おいおい、まさかそのタクシー代も俺が払うのか?
古泉「なにやら面白くなってきましたね」
キョン「なにがだ。ハルヒのタクシー代と俺達のタクシー代が馬鹿高くなることか」
古泉「違います。長門さんの独断ともいえる行動についてです」
キョン「バスくらい長門だって乗るだろう」
古泉「涼宮さんを観察することを目的に作られたインターフェースの長門さんが、ですか?」
キョン「うっ……」
確かに、今回の長門の行動は、少し、いやかなり特徴的だった。
3年もマンションで待機していた長門が、バスの路線を乗り換えてどこかへ行こうとしている。
気にならない方が、嘘ってやつだ。
771 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:49:59.64 ID:30aOA9Y5P
さすがにキョンの財布が死ぬ
773 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:53:53.23 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「遅いわよ!」
誰のせいだ。誰の。
ハルヒ「全く、SOS団の団員としての心構えってもんがないわ」
長門とストーキングして俺にタクシーを払わせるような人間に言われたくない!
キョン「で、長門は?」
ハルヒ「あそこで海を眺めてるわ。かれこれもう10分てとこ」
キョン「10分……」
ハルヒ「そう!動く気配が全くないのよ。有希の奴、
ただ塩分の濃いだけのだだっ広い水溜まりなんか見て何が楽しいのかしら」
動く気配が全くない長門を見てるお前もな。
774 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 16:53:56.00 ID:IgK4up18O
機関が援助してあげてぇぇぇ
775 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:03:22.63 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「でも、事件の匂いがプンプンするわ。崖といったらサスペンスドラマのクライマックス!たぶんこれから刑事だか探偵だかが来て、殺人事件の真犯人の有希を追い詰めるのよ!」
おい、長門を勝手に殺人犯にすんな。
キョン「だかなハルヒ。長門は単純に夏休みを楽しもうとしてバスに乗ったんじゃ……」
ハルヒ「あ!有希の所に中年の男が近付いていくわ!やっぱり私の予想は大当たりね!」
キョン(聞いちゃいない)
俺は仕方なく、目線を長門に移した。
確かに、長門の元にサラリーマン風のスーツを着た男が近付いていく。
ビュオオーッ
その時だ。海から突風が吹いて、長門がよろめいたのは。
777 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:11:49.77 ID:aF+tD2I2O
長門の体を、その近付いていた男が支える。
長門のことだから、海から落ちても死ぬことはないだろうが、無事で何よりだ。
キョン(しかし本当に、あの男は誰なんだ?)
長門と男は何やら話をしている様子だった。
長門は相変わらずの無表情だったが、男の方がかなり激怒している。
おそらく長門が飛び降りると勘違いして注意をしている、といったところだろう。
長門の口が短く開く。
すると、男は途端に張った肩を下ろし、がくりと地面に膝をついた。
それから長門に支えられ、ベンチに向かう。
ハルヒ「あぁ、もう少し近くで会話が聞きたいわ!」
キョン(ハルヒよ。ストーキングの次は盗聴か)
780 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:23:51.66 ID:aF+tD2I2O
ベンチでの会話はしばらく続き、2人は食事処に入っていった。
そういえば、もう昼か。
キョン「ハルヒ。昼飯はどうする」
ハルヒ「もうそんな時間?そうね。じゃ、昼休憩ってことで、どっかコンビニでお弁当でも買いましょ」
みくる「あのぉ~」
ハルヒ「なに?みくるちゃん」
みくる「お弁当なら作ってきましたぁ~」
ハルヒ「あら、気が利くじゃない!それじゃ、さっき有希達が座ってたベンチで、張り込み開始よ!」
783 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:29:40.61 ID:aF+tD2I2O
男「盛り蕎麦を一つ。君は?」
長門「……同じものでいい」
男「じゃあ、盛り蕎麦二つに変更で」
店員「盛り蕎麦二つですね。かしこまりましたー」スタスタ
男「ふう。さっきは私の早とちりですまないことをしたね」
長門「…いい」
男「気分転換にこの岬に来たんだが、君みたいな旅行好きな子で出会えてなんだか嬉しいよ」
長門「……そう」
786 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:39:10.28 ID:aF+tD2I2O
男「会社の若い子は、休暇は家でダラダラするとか、なんだがだらしなくてね」
長門「……そう」
男「家でダラダラするのも楽しいだろうが、やっぱり外に出ることも大切なことだと思うんだ」
長門「……そう」
男「夏休みなんて、長いようで短い。それに、今年の夏は今年だけ。一度しかないからね」
長門「……そう」
店員「おまちどおさまでした。盛り蕎麦です」
男「またつまらない話をしてしまったな。さ、食べようか」
長門「……」こくっ
788 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:41:33.48 ID:aF+tD2I2O
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「……」ずるずる
長門「……」ちゅるちゅる
男「…………その会社も、今年の夏でクビだ」
792 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 17:49:57.43 ID:aF+tD2I2O
長門「……」
男「君は、何か仕事やアルバイトをしたことはあるかい?」
長門「……私の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること」
男「な、なんだか難しい仕事みたいだね……」
長門「……」こくっ
男「その仕事は、やっていて楽しいかい?」
長門「……そういったことを考えたことはない」
男「そうか……」
長門「……」
男「私は楽しかったな。仕事人間だったってこともあるかもしれないが、自分に相応しい仕事だと思った」
長門「……」
男「なのに、リストラさ……」
795 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:01:32.28 ID:aF+tD2I2O
男「今の時勢、どこも不況だからね。うちの会社も人員削減に乗り出した」
長門「……そう」
男「解雇宣告されてからの数ヶ月は、悩みっぱなしだった。何故自分なのか、どうにかして会社に留まれないかとか、色々とね」
長門「……そう」
男「仕事が楽しい自分がリストラされるのに、仕事は嫌々で休暇はダラダラすると言っていた若い子が残る」
長門「……」
男「同僚を恨むのが何の意味もないとわかっているのに……」
長門「……」
男「それで昨日、最後の出勤だったってわけさ」
長門「……そう」
799 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:12:04.78 ID:aF+tD2I2O
男「自分には仕事だけだったから、することがなくなってしまった」
長門「……」
男「また、つまらない話をしてしまったかな」
長門「……」
長門「……また、見付ければいい」
男「見付かるかな」
長門「……見付けようとする意思があれば」
男「そうかな……」
長門「……そう」
長門「……確かに夏は一度だけ」
長門「……でも、やり直すことはできる」
長門「……だから、死のうしないでほしい」
男「!」
801 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:21:33.43 ID:aF+tD2I2O
男「わかってたのか……」
長門「……」こくっ
男「勘違いだったけれど、自殺しようとしていた人間が自殺しようとしていた子を助けた」
男「でもそれは、死ぬことが怖かっただけだな……」
長門「……死を選ぶよりもすることがあるはず」
男「それが、やり直すことができるって意味か」
長門「……そう」
長門「……また、同じことが起こるかもしれない」
長門「……でもそこに、おそらく私はいない」
長門「……だから、忘れないでほしい」
長門「……忘れてしまうことでも」
804 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:27:50.67 ID:aF+tD2I2O
男「トイレに行ってくるよ」ガタッ
長門「……」
男「……ありがとう」
長門「……」
長門「……」
長門「……」
長門「……」
808 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:35:24.85 ID:aF+tD2I2O
キョン「……」
古泉「なかなか出てきませんね」
キョン「あぁ、正直飽きた」
古泉「でも良かったじゃないですか。涼宮さんが楽しそうで」
キョン「付き合わされるこっちの身にもなってみろ」
古泉「でも、ああやって楽しげに笑っている涼宮さんは、この世を揺るがすようなことはしないでしょうからね」
キョン「……だといいが」
809 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:41:10.32 ID:aF+tD2I2O
古泉「……」
キョン「どうした?」
古泉「あぁ、いえ……以前にも長門さんが独断行動をしたことがあったような。たぶん僕の気のせいです」
キョン「……」
古泉「おや、男性の方が出てきたようですよ」
キョン「長門は……出てくる気配がないわ」
ハルヒ「私とみくるちゃんはあの男を追うわ!キョンと古泉君は有希の無事を確認しなさい!」
キョン(無事ねぇ……)
みくる「あ~ん、待ってくださぁ~い」
古泉「では、僕らも行きましょうか」
キョン「そうするか」
813 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:45:14.58 ID:aF+tD2I2O
ウィーン
店員「いらっしゃいませー」
古泉「あの、連れを待たせているのですが、中に入っても大丈夫ですか?」
店員「あ、はい」ぽーっ
キョン「……」
古泉「長門さんがいましたよ」
長門「……」
キョン「長門」
長門「……」
キョン「昼は蕎麦か。美味そうだな」
長門「……」
キョン「一緒にいたおっさんはもう店を出たが、お前は出ないのか?」
長門「……そう」
814 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 18:49:54.13 ID:aF+tD2I2O
古泉「あの、ここの席の会計は?」
店員「この方のお連れのお客様がお支払いになりましたよ」
長門「……」ガタッ
キョン「おい、長……」
長門「……」スタスタ
ウィーン
長門「……」
キョン「急に飛び出して。いったいどうしたんだ?」
長門「……」
816 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:00:30.30 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「あぁもう!見失っちゃったわ!!」
みくる「はひ……はひ……」
古泉「仕方ありませんね。長門さんとも合流しましたし、今日はもうおひらきということにしましょう」
キョン「……」
古泉「ご安心を。帰りのタクシー代は僕が払います」
キョン「それは助かる……って、そういうことを言いたいんじゃない」
長門「……」
ハルヒ「そうね。今日はもう終わりにしましょ。本当なら今日はSOS団でプールに行く予定だったんだけど」
キョン(お前の予定なんざ誰も訊いていない)
ハルヒ「それじゃ、明日はいつもの喫茶店で夏休みどうするか話し合いましょ!」
キョン(今日みたいに金だけ消費するような無駄なことはもうごめんだぞ……)
820 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:17:30.04 ID:aF+tD2I2O
翌日、例の喫茶店で今後のSOS団の活動内容の協議がほぼハルヒ一人の手によって行われた。
盆踊り、花火大会、バイト、天体観測、その他もろもろ。
それを2週間足らずでやろうとしているところが恐ろしい。
その日は各自、虫捕り網と虫カゴを持って、SOS団内セミ捕り合戦。
やはりというかなんというか優勝はハルヒとなった。
次の日、地元の大手スーパーでバイト。
何だかわからないままにカエルのきぐるみを着せられ、店先で風船を配ることとなった。
その時、何故か長門が熱心に風船を配っていたのを、俺はよく覚えている。
熱心といっても、大声でスーパーの宣伝活動をするとか、そこまで積極的だったというわけでもなかったが。
そんな長門を見て、ハルヒが言った。
ハルヒ「有希、そんなにバイトが楽しかったのかしら?」
あの岬であの男と何かあったのか。
ループのこと知らされた後の31日になっても、俺は手付かずの宿題と睨み合いになりながらも気になり続けていた。
いや、もう知らん。どうにでもなれだ。
もしまた繰り返すんなら、そんなこと気になっても意味ないしな。
明日が来ようがこまいが、ま、それはそん時の俺に任せりゃいいか。
エンドレスエイト長門の夏休み 4巡目 終わり
822 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:18:37.78 ID:Vnb06QxY0
相変わらずちらつかせ方がうまいなあ
823 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:19:58.53 ID:aF+tD2I2O
今回はちょっと駄作気味ですまない
誤字脱字はながら投下なんで脳内変換をお願いしたい
ハルヒの性格については……ごめん
824 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:20:50.96 ID:mnGq++Oo0
乙!
835 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 19:53:45.44 ID:aF+tD2I2O
何か、おかしい。
何となく、そんな気がした。
テレビに映る試合は、俺とは全く縁もゆかりもない県同士の戦いだが、
負けている方をなんとなーく応援している気分でいると、
これまたなんとなーく、そろそろハルヒが騒ぎ出すような気がした。
♪~♪~♪~
キョンの妹「キョン君電話~」
キョン「言われんでも分かってる」
ピッ
ハルヒ『今日あんた暇でしょ?2時ジャストに駅前集合だから。ちゃんと来なさいよ』
ブツッ
俺は一言もしゃべっとらんのだが。
838 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:03:51.73 ID:aF+tD2I2O
ピッ。
キョン「何だ?」
ハルヒ『持参物は特にないから。あと……』
キョン「自転車に乗って来るんだろ」
ハルヒ『ッはぁ?別に乗ってこなくていいわよ。遅れたら奢りってことを言おうてしたの。じゃ』
ブツッ
あれ?自転車に乗っていくんじゃなったか?
TV「打った大きい!」
キョン妹「あ、これ入るんじゃないかなー」
TV「入りましたー!」
キョン妹「ほらね」
840 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:08:08.25 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「遅いわよキョン!もっとやる気をみせなさい!」
キョン「へいへい。待たせてすみませんね」
朝比奈さん「私も今来たところですー」
ハルヒ「それじゃあ全員揃ったことだし、出発しましょ!」
キョン「どこに?」
ハルヒ「スーパーよ。今日はSOS団でスーパーのバイトをするわ!」
842 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:25:48.11 ID:aF+tD2I2O
なんだかわからない内に集められた俺達は、なんだかわからないスーパーに行くこととなった。
キョン「ん゛ん゛ん゛……ぬぉぉぉ!」
ハルヒ「ほらキョン!もっと腰に力を入れなさい!」
古泉「これは、なかなか……」
みくる「あぅぅぅ、重いですぅ~」
ハルヒ「古泉君にみくるちゃんも!しっかり運ぶのよ!」
長門「……」ヒョイ
長門「……」スタスタ
845 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:39:01.89 ID:aF+tD2I2O
これから1時間ほど、俺達はスーパーの荷物の搬入を手伝うことになった。
まさか、こんなことをさせられるハメになるとは……
キョン「高重力化で肉体労働させれた沙慈の気持ちが気持ちがよくわかるぜ……」
古泉「あっはは、大丈夫ですか?」
ハルヒ「ご苦労さま!店長のおっさんも感謝してたわよぉ」
キョン「おっちゃんの感謝などいらん。バイト代は?」
ハルヒ「ないわよ!」
キョン「は……?」
ハルヒ「最終日にあるものを貰える約束なの。それまでしっかり働きなさい!」
848 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 20:49:38.37 ID:aF+tD2I2O
こうして無報酬労働を強いられることになった俺達だったわけたが。
バイトの内容は日毎に変わり、レジ打ち、ビラ配り、電話番。
そして今日が最終日。カエルの着ぐるみを着て風船配りとは。
本当、しんどかったぜ……
キョン「で、あるものってのはなんなんだ?」
ハルヒ「これよ!」
ハルヒはカエルの着ぐるみの頭を持ち上げて、そう言い放った!
キョン「は?」
ハルヒ「私前からこれが欲しかったのよねー。おっちゃんもみくるちゃんに免じてくれるって言ってくれたの」
俺達はそんな事の為に額に汗して働いたのか。
ハルヒ「記念に部室に飾っときましょ。みくるちゃん、何時でも好きな時にこれ着ていいわよ。あたしが許すわ」
851 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:02:10.64 ID:aF+tD2I2O
ハルヒ「それで、みんなには言いづらいことがあるんだけど」
キョン「なんだ?まさか、また明日もバイトだなんで言い出すんじゃないだろうな?」
ハルヒ「それがね、おっちゃんが有希の働きっぷりを気に入っちゃって」
長門「……」
ハルヒ「夏休み中でいいからシフトに入ってほしいって頼まれちゃったのよ」
キョン「ちょっと待て。そんな唐突かつ勝手に……長門の予定も聞かずにいいのか」
ハルヒ「そんなこと言われなくてもわかってるわよ。で、有希、大丈夫?」
長門「……問題ない」
何故だか、その時長門はハルヒの頼みも喜んで聞き入れているように見えた。
まぁ、長門がいいなら俺はこれ以上何も言うまい。
それにハルヒに付き合わされるより、スーパーでバイトしてるよりマシだろうがな。
ハルヒ「有希が働いた分の給料はSOS団の活動資金になるから、バリバリ働きなさい!」
これでいいのか、長門よ。
それに一応言っておくが、うちの高校はバイト禁止だぞ。
855 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:10:05.48 ID:aF+tD2I2O
翌日
店長「今日から9月まで働いてもらうことなった長門有希さんです」
長門「……」ぺこり
店員達「よろしくー」
店長「みんな知っての通り、彼女は数日前から店の手伝いをしてくれた子達の一人だ」
店長「彼女の学校はバイト禁止らしいからくれぐれも口外しないよーに!」
店員達「はーい」
店長「じゃあ長門さん、まずはレジやってもらおうかな」
長門「……」こくっ
860 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:21:03.92 ID:aF+tD2I2O
店員1「長門さん」
長門「……」
店員1「この前あなた達にレジ打ちと接客の仕方を教えた○○よ。覚えてるかしら?」
長門「……」こくっ
店員1「そう。あなたは今日から正式なバイト扱いになったから、ちょっと見させてもらうわね」
長門「……わかった」
店員1「わかりました!」
長門「……わかりました」
店員1「うーん。あなた作業は凄い早くて適切なのに、愛想だけはないのよね」
長門「……改善する」
店員1「頑張りましょ!」
長門「……」こくっ
863 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:28:03.27 ID:aF+tD2I2O
客「……」ガタッ
長門「……いらっしゃいませ」
ピピピピピピッ
店員(バーコードの読み取りが速い!)
長門「……お会計○○○○円になります」
客「え?もう?……えっと、はい」
長門「……1万円のお預かり」ピッピッピッ
ガシャッ
店員(レジから札と小銭をスムーズに取っていく。ベテランレベルのお釣り受け渡し術だわ!)
長門「……ありがとうございました」
866 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:37:02.72 ID:aF+tD2I2O
~休憩中~
店員1「長門さん、あなた凄いわ!レジに立ってた3時間のうち、あなたのレジが一番売り上げがあったのよ!」
長門「……そう」
店員1「それもこれもあなたもレジ打ち技術が高いからね。会計までの流れが実にスムーズだったわ」
長門「……それほどでもない」
店員1「惜しいわぁ。明日は裏でラベル貼りするらしいし」
長門「……」
店員1「でも、ヘルプとか、またレジ打ちする機会はあるだろうし、その時はよろしくね」
長門「……」こくっ
店員1「でも、接客の時は笑顔じゃなくちゃ駄目よ!」
長門「……努力はしている」
店員1「あはは!それじゃ、休憩もそろそろ終わりにして、後半戦も頑張りましょ」
867 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:39:12.65 ID:30aOA9Y5P
レジの列が長いせいで売り逃しって結構あるからな
バカにならん
868 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:40:09.31 ID:KvL7mfZo0
店員1良い人www
869 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:41:59.20 ID:aF+tD2I2O
そして、長門の初日のバイトは終わった。
長門は午後から、閉店までの約6時間働き、店から出てくる。
店員達「有希ちゃん。お疲れ様ー」
長門「……お疲れ様」
1日目にしてもう長門は他の店員から有希ちゃんと呼ばれていた。
キョン「長門」
長門「……」
キョン「帰り、一緒に行っても大丈夫か?」
長門「……」こくりっ
872 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 21:48:30.47 ID:aF+tD2I2O
キョン「今日、俺達は丘の上で天体観測をしたよ」
長門「……知っている。本来なら私が居住しているマンションだった」
キョン「お前がバイトすることになったからか」
長門「……そう」
キョン「昨日、最後のバイトの夜、朝比奈さんと古泉に呼び出されてな。ループの話を聞いた」
長門「……知っている」
キョン「なら聞くが、なんでお前はバイトなんかしてるんだ?
バイトなんかしたとこで、9月は来ない。ただの働き損だぞ」
タダ働きになるより、ハルヒに搾取される方がまだマシかもしれん。
長門「……構わない」
キョン「どうしてた!?」
長門「……私の役目は観測だから」
880 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:06:06.60 ID:aF+tD2I2O
長門「……このループは、簡単には終わらない。今回でXXXXX回目に該当する」
キョン「XXXXX……!?」
XXXXX?XXXXXって……何だ?
長門、お前は何を言ってるんだ?
キョン「それはマジな話なのか?」
長門「そう」
キョン「ループしているのはわかってたが、それだけの回数、俺達は全く同じことを繰り返してきたってのか?」
長門「必ずしもそうではない」
長門「XXXXX回中、本来なら8月17日は市民プールに行く予定だった。
今回17日からSOS団がアルバイトをすることになり、私が本格的にシフトに組み込まれることになったのは、
XXXXX回に涼宮ハルヒが「有希、そんなにバイトが楽しかったのかしら?」と言ったことが原因だと推測できる。
他にも、本来なら18日に盆踊りに行き、19日には昆虫採集。アルバイトをするのは20日のみ。
アルバイトを行ったのはXXXX回であるが、その内容は5つに分岐する。
風船配り以外では、荷物運び、レジ打ち、ビラ配り、電話番。
今回はその全てを数日に分けて行うことになった」
キョン「長門、もういい」
長門「……聞いて」
881 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:18:04.91 ID:aF+tD2I2O
長門「……私は、唯一この繰り返しの全てを記憶している」
キョン「あぁ……」
長門「……あらゆるパターンを試し、繰り返しから脱する可能性を模索している」
長門、お前はいったい今まで、どういった気持ちで過ごしてきたんだ。
長門「もういい加減にして」
キョン「はっ?」
長門「……そう、貴方や朝比奈みくる、古泉一樹は思うかもしれない」
キョン「確かにな」
長門「……でも、私は違う」
そう言うと、長門は両手の人差し指を自分の口の端の持っていき、そのまま少し吊り上げた。
長門「……楽しかった」
882 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:19:20.12 ID:KvL7mfZo0
もう長門可愛いよ長門
883 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:19:40.59 ID:hbsvTbNNO
何この夏の終わり的な切ないシーン
885 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:22:46.76 ID:6jByzpM90
想像したら可愛すぎて困った困った
891 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:27:14.42 ID:aF+tD2I2O
長門「……だから、私は明日もアルバイトをする。給料が欲しいわけでも、SOS団の活動資金のためでもない」
キョン「そういうことか」
長門「……8月31日が終わり、また8月17日が来ても、それは変わらない」
キョン「そうか。お前は楽しいんだな」
長門「……そう」
キョン「ならいいか。それじゃ、明日もバイト頑張れよ」
長門「……」こくっ
892 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:33:22.66 ID:aF+tD2I2O
キョン「それじゃ、俺はこっちの道だから」
長門「……待って」
キョン「どうした?」
長門「……お面」
キョン「お面?」
長門「……盆踊りに行くパターンの時は、貴方はお面を買ってくれようとしてくれる」
キョン「そうなのか」
長門「……ありがとう」
キョン「そのセリフは、その時の俺に言ってやれ」
長門「……あと」
キョン「ん?」
長門「……宿題は早い内に済ませておくべき」
キョン「ゲッ!何故そのことを!?」
長門「……」てくてく
898 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:47:05.67 ID:aF+tD2I2O
翌日も、そのまた翌日も、長門はバイトに行った。
そりゃそうだ。8月31日まではシフトが組まれてる。
たまにスーパーに行くと、レジ打ちや商品の陳列、惣菜コーナーで惣菜を作っている長門を見かけた。
長門のいないSOS団はSOS団で、夏休みの予定表に書かれたことをこなしていく毎日だ。
そしてやってきた8月30日。
長門抜きで集まった喫茶店。
ハルヒは満足していないのだと、俺達3人は感じていた。
だが、俺達はハルヒを帰えしてしまう。
あの1万何千回と繰り返してきたあの2週間を、また延々と繰り返す羽目になっちまうというのに。
でも、何をすべきなんだ?何を言うべき何だ?ハルヒの言葉の中にそのヒントはあったはずだ。
だが、それは何だ?あいつは今までなんて言ってきた?
駄目だ。わからない。待て、待てよ。ハルヒ。
これじゃ、俺達の「もういい加減にして」という気持ちを、また長門に味わわせることになっちまう……!!
899 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:50:53.29 ID:8fmS34Eb0
がんばれ!
900 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:57:16.31 ID:aF+tD2I2O
8月31日。
俺は机と向き合い、せっせと宿題をしていた。
わからないとこを朝比奈さんや、癪だが古泉に訊いたりもした。
もしまた繰り返すんなら、宿題なんぞやったところで意味はない。
そう思ってやらないのは簡単だ。
だが、もしやったら、もしかしたらこのループから抜け出せるかもしれない。
そう思いつつ宿題を進めていたが、最後の1ページというところで、時計は0時になってしまった。
エンドレスエイト長門の夏休み 5巡目 終ワレ!
原作未読者なんだかもしかしたら原作ネタバレかもしれないのでこんなオチ
数日後付き合ってくれてありがとう
901 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:59:35.17 ID:shAdxpuPO
乙!
902 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 22:59:38.00 ID:0x1TuDQsO
>>1乙
これは乙じゃなくてポニーテール云々
911 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/01(土) 23:01:18.59 ID:K1H9FRdr0
乙!
いや、ほんとおもしろかったよ
長門かわいいよ長門
-------------
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この記事へのコメント
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 00:35: :editいち
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 00:41: :edit2gt
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 00:54: :edit3 長門(`・ω・´)
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:05: :edit4
リーマンが一瞬某ウインドに見えたがそんなことはなかったぜ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:15: :edit5
>>902
AA張れよw -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:20: :editすげえ、うめえ
-
名前: 猫 #-: 2009/08/15(土) 01:24: :editスバラシス
-
名前: 通常のナナシ #TNMtb/9k: 2009/08/15(土) 01:25: :edit長門がチャリで出た時に、「ハチクロの竹本君みたいな展開になるかな?」と思い、良い意味で裏切られたな…と思ったと同時に、「日付がループする度に旅先で出会った人達の記憶から長門の事が消えてしまう事を考えると哀しい話でもあるよな…。」とも思ってしまった。
はぁ…俺も旅に出たいわ。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:26: :edit俺も夏休みを無限ループしたいです
作者とぷん太乙 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:29: :editこれは夏な感じの良作
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:39: :editこれあれじゃね?
あのおじさんの自殺は止められなくね? -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 01:46: :edit今まで見たSSの中でも五指に入る名作。
もっとやってほしい。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:00: :edit8巡目までやってほしかったが・・・乙!
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:01: :edit中々よかった
ハルヒはマジにウザいな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:03: :edit長門が色んな人を助けている!
出来る事なら僕も助けてくれ! -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:13: :edit誤字脱字が酷過ぎるのがちょっとアレだが
雰囲気作りは上手いな。乙。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:13: :editほのぼの
素晴らしい -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:40: :editこのエンドレスエイトなら全部見れる!
こっちをやってほしかった!
長門可愛いよ長門 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 02:43: :edit俺もハチクロ思い出したww
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 03:04: :edit長門版裸の大将って感じだな。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 03:09: :editこれは良い作
どうせだったらループ脱出までやって欲しかったが原作未読じゃしょうがないな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 03:15: :editエンドレスエイトこれでよかったじゃん
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 03:17: :editスレタイと最初の電車の出だしで痴漢に遇ってるのかと思ったら違ってた
-
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/15(土) 03:30: :edit面白かった
なんかこっちも旅したくなってくるわw -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 03:37: :editハルヒがクズだな
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 03:44: :edit※20
吹いてしまったwwww -
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/15(土) 03:58: :edit凄い。よく思いつくよな 乙
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 05:44: :edit長門かわいい
ハルヒ野蛮人 -
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/15(土) 05:58: :editハルヒは苦しんでから死ぬべき
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 06:40: :edit長門にとってはすべてが新鮮なんだろうなぁ・・・。
ハルヒもウザいが上から目線のキョンも腹立つ。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 07:14: :edit稀に見る良スレ
-
名前: 通常のナナシ #JalddpaA: 2009/08/15(土) 07:48: :edit誤字脱字が酷すぎたなあ。悔やまれる。
あー…長門と混浴してぇっ… -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 08:25: :editみんなすげー誉めているな
でもこれつまんねーよ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 08:31: :edit>>33
住民がエンドレスエイトにうんざりしているさ中、唯一このシーケンスを自覚している長門が、それを利用して一人旅。その記憶は再び次のシーケンスで上書きされることを知っていても、人との出会いを大切にした長門、こんな着想は中々出てこないよ。 -
名前: VIPPERな名無しさん #gJtHMeAM: 2009/08/15(土) 08:47: :edit※4
ウインドってARMSのか -
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/15(土) 09:16: :editぶっちゃけそこまでおもろくないなぁ
長門が淡々とした日常を新鮮な気持ちで体験する、という話なのだろうが、読み手も淡々と無感動で読み流してしまった
ハルヒ視ね -
名前: 名無しさん #-: 2009/08/15(土) 09:33: :edit面白い短編集を読んでる気分だった。
エンドレス8もこんな風に大きな変化をつければあんなことには…
まぁ終わったモンはしょうがないかw -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 09:37: :edit数日分のバイト代がきぐるみやSOS団の活動資金になるのは
どう考えても理不尽だな -
名前: #aIcUnOeo: 2009/08/15(土) 10:02: :editもし、こういうのがありだったらエンドレスエイトを
1回…無自覚ループエンド
2回…自覚したけどループエンド
3回…自覚してループ回避
にして、後この短編見たいな話を
エンドレスエイト アナザーとかオリジナルでやっちまったほうが受けたんじゃなかろうか -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 10:33: :edit久々にエロもグロも無しに面白いのが読めた
しかしホント、ハルヒはウザいな -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 10:45: :edit俺も※20と同じく裸の大将を思い出してしまった。
ほのぼのしててとても良かったぜ。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 11:37: :edit俺も一人旅がしたくなった。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 12:13: :edit和んだ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 12:28: :edit俺もハルヒ嫌いだけど、皆で空気読み合う社会には進化というか進歩はないだろうな。誰か一人は狂った奴が必要。統合思念体がハルヒに固執する理由もわかる。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 14:42: :editつまらないうえに誤字脱字が多い
駄作だろ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 15:14: :edit脱字が結構目立ったけど、良かった
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 15:18: :edit誤字脱字の脳内補完はSS読むときの基本スキルだろ。
夏か。。。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 15:41: :edit
みんないっぱしの批評家ぶっちゃって
可愛いなあもう!wwwwwww -
名前: 蒸発した名無し #-: 2009/08/15(土) 15:49: :edit長門「……一度しかない夏を、楽しんでいるから」
-
名前: もっちくん #-: 2009/08/15(土) 15:55: :editはぁ癒される♡
エンドレスエイト長すぎて疲れたからこういう話は癒されるわ♡
作者乙! -
名前: 奥ゆかしい名無しさん #-: 2009/08/15(土) 16:46: :edit旅先で出会った人達は大抵繰り返しても変わらないけど
あのオジさんはどうなったのか凄い知りたい。
死のうとしてるけど結局死なないですんだのかな… -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 17:32: :edit崖のおっさんが船越で再生される…
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名前: #gJtHMeAM: 2009/08/15(土) 18:26: :edit乙! アニメもこうしてくれれば良かったんだろうに。
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名前: 通常のナナシ #pYrWfDco: 2009/08/15(土) 18:57: :editハルヒは死んでいいよ。
そしてキョンももっと頑張れよ。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 19:34: :editあえて言わせてもらおう※45よ。
文句言うくらいなら読むな。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 20:57: :editまぁ夏だからさ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/15(土) 23:24: :editハルヒは、無意識でやってんだからしょうがねぇだろ
-
名前: 通常のナナシ # #-: 2009/08/15(土) 23:28: :editかなり良かったGJ
乙 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/16(日) 00:53: :editなんか切なくてイイ
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/16(日) 01:19: :edit人差し指で笑顔作るとこいいなぁ
-
名前: VIPPERな名無しさん #-: 2009/08/16(日) 03:35: :edit※60
DTBの銀ちゃんをインスp・・・うわなにするやめ -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/16(日) 13:31: :edit良かった
好きな空気だ -
名前: 通常のナナシ #3xs9owas: 2009/08/16(日) 17:35: :editエンドロールで生存したサラリーマンのおっさんが出てくる姿が目に浮かんだ。
イイハナシダー -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/16(日) 21:36: :edit「いい加減にして」の使い方が微妙
-
名前: my #-: 2009/08/17(月) 02:25: :edit近年まれに見る良作
淡々としてるのがエンドレスを体感した人っぽい雰囲気でいい。
リストラのおっさんが気になる。
死んで生きてを繰り返すのか、死に続けて生き始めるのか。いや、行き続けて、また死に始めるのかもしれない。
まったく同じではないループだから創造だけですごくわくわくする。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/17(月) 03:27: :editリストラのおっさんは生きるんじゃなかろうか。
キョンや古泉がループ中の行動にデジャブを感じてることから、記憶には無くとも長門と出会った時の感覚は残るのかもしれない。
少なくともこれまでのループでは自殺オンリーだったのが踏み止まる展開も発生していると思う。
死んだときにループ終了だったら嫌だが。
しかしループを楽しんでる長門はいいな。
ハルなんとかの観察しなくてもいいって許可が下りて一人旅できるなんて、苦労が報われてる感じ。 -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/17(月) 14:29: :edit久しぶりに良いSSを読んだとは思ったが、この長門は消失を引き起こさない。
-
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/17(月) 16:47: :editうん、よかったけど
ごめん最後の「数日後ありがとう」の意味がわからないww
数日間? -
名前: 通常のナナシ #-: 2009/08/28(金) 04:52: :edit長門が完全にキャラ崩壊してるからアニメでは無理だな
このSSは好きだが -
名前: 通常のナナシ #-: 2010/04/16(金) 21:23: :editすげえおもしろかった

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 黒猫 白猫Ver.