国立大学法人の第3期中期目標・計画は実行できるのか?(3)
グローバル化への対応は、国立大学の大きな課題だが、国際水準の教育研究を実現することについては、大学人が最も不得意とするところではないかと考える。例えば、多数の学生に海外武者修行をさせる予算はどうするのか?具体的に受益者負担と大学からの支援をどう組み合わせるのか?海外大学との共同学位課程は、何人の学生のために行い、収支はどう見込むのか?当然赤字になりそうだが、自力で維持できるのか?外国人教員の割合を例えば10%とするための人件費はどう確保するのか?日本人程度の待遇で、レベルの高い研究力を持った人材が雇用可能なのか?外国人が増えれば、運営に種々の支障が出る上に、大学ランキングが必ず上がるわけでもないのではないか?海外事務所・教育研究拠点の機能強化には、どれほどの予算を振り向けられるだろうか?法人全体の人件費総額を抑制せざるを得ない状況になれば、維持するのも苦しいのではないか?学内文書の英語化にも相当の予算がかかるが、どう確保するのか?さらに、英語の公用語化については、事務体制を転換する必要があるが、どんな将来構想の下に進めるのか?最終的なゴールはどこにあるのか?グローバル化への対応については、局面や部分で考えるのではなく、10年後にどういう姿にしたいのか、具体的なイメージを作ってから、工程をきちんと検討する必要がある。グローバル化を進める手段として、海外分校を開校するくらいのことを計画しないと、小手先のごまかしでその場を凌ごうと画策するだけで、構成員が本気にならないのではないか?結果的に教職員の過半数が入れ替わるくらいの変革を実行しなければ、国立大学法人がグローバル化することはないだろう。こうした構造改革は、学内からボトムアップで起こるはずはなく、張り切って作成した第3期のゼロ次案にも、恐らく明記されることはないだろう。大学人としては、とてもやり遂げられるとは思っていないからである。
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