ホンダと日産、急転直下の統合協議 背景にある危機感と狙い
ホンダと日産自動車が経営統合に向け協議入りすることで基本合意した。歩んできた歴史も得意とする自動車の分野もまったく異なるメーカーによる急転直下の経営統合は、急拡大する米国や中国の電気自動車(EV)メーカーに対する危機感の表れだが、業績が低迷し外資などから標的とされる日産を救済する狙いもある。「100年に1度」と呼ばれる変革期を乗り越える新しい価値を提供できるのか。統合に死角はないのか。
「新興勢力も含め(競合と)戦う力を2030年ごろには持っていないと勝負にならない。自動車の電動化も単独でやろうとすると、かなりの研究開発費や投資が発生し、個社でやると非常に厳しい。経営統合が一つの解決手段になる」――。東京都内で23日、記者会見したホンダの三部敏宏社長は統合協議を始める理由についてこう力を込めた。
自動車業界はEVへのシフトや、中国など新興勢力の参入で競争が激しさを増している。ガソリン車が主流だった時代は日本勢が世界を席巻していたが、EVだとエンジンはなく、モーターなどの少ない部品を組み立てれば完成するため、自動車メーカーでなくても参入が可能だ。
特に次世代のEVはスマートフォンのようにソフトウエアを更新することで、自動運転やエンターテインメントなどの機能を追加することができるようになる。「スマホ化」した自動車はSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)と呼ばれ、米テスラが先行して実用化。中国ではIT大手の華為技術(ファーウェイ)や百度(バイドゥ)、スマホ大手の小米科技(シャオミ)といった顔ぶれが開発競争に参入している。
SDVは車に搭載するソフトウエアの研究や開発が競争の軸となるため、日本の自動車メーカーは、これまで得意としてきたハードウエア中心のものづくりからの大きな転換を迫られている。だが…
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