対談 伊達公子×村上由美子 なぜリスクを取った方がいいのか/㊤

女子テニスで元世界4位の伊達公子さんが「女性と社会」をテーマに、各界で活躍するプロフェッショナルと対談します。初回は欧米の金融機関などビジネスの世界で活躍してきた村上由美子さんです。経済協力開発機構(OECD)東京センター所長を経て、2021年に新興企業に投資するファンドを女性3人で設立。3人の子どもを育てながら仕事をしてきました。テニスとビジネスという異なる世界で道を切り開いた二人は、「活躍するにはどんな世界でもリスクを取ることが大切」との意見で一致しました。
女子テニスで元世界4位の伊達公子さんが「女性と社会」をテーマに、各界で活躍するプロフェッショナルと対談します。
第1回 村上由美子さん(㊦はこちら)
経済協力開発機構(OECD)東京センター元所長
第2回 盛田正明さん(8月下旬公開予定)
錦織圭選手らの米国留学を支援
第3回 漆紫穂子さん(9月下旬公開予定)
品川女子学院理事長
伊達 対談相手として、真っ先に村上さんのお名前をあげました。日本人の女性がグローバルに活躍していくのが難しい時代に、村上さんはリーダーシップをとって走り抜けてこられた。私も世界で戦っていく中で難しさを感じていただけに、そこを突き抜けたところがかっこいいと思っていました。
村上 1990年代半ばにゴールドマン・サックスという投資銀行のロンドン支店に転勤になりました。その時、伊達さんがウィンブルドンで大活躍されていた。当時、イギリス人に会うと伊達さんの話題になり、「私は妹です」なんて(冗談を)言っていました。あんなに頑張っている日本人女性がいるんだと励みにしていたんです。
伊達 テニス界では80年代から90年代、アジア人が勝てるわけがないと思われていました。「何でここにいるの?」という空気を感じました。勝負の世界なので、勝つ者が残っていくとはいえ、やりにくかったです。
村上 投資も成果を出せば国籍や性別は関係ないのでアウトプットを意識していました。でも、国籍や性別で判断されがちな中、自分の中に無意識の偏見があって壁を作ることもあります。マイノリティーであるほどその壁が高いと思います。法律や人権の面でビジネスの扉は開かれているのに入って行きにくいと感じる。壁が生まれる社会環境が少しでも変わる後押しをしたいと思っています。
「あなたたちには可能性がある」
伊達 村上さんは女性3人で若手起業家を支援するファンドを設立しました。きっかけは何だったのですか。
村上 一緒に立ち上げた私とキャシー松井さんと関美和さんの3人は、グローバル金融の世界で仕事をしてきました。日本が伸びない原因は何かと考えた時に、多様性が欠けて…
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