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安倍「反米?」政権の行方

日記
02 /10 2014
 先日の記事で「安倍政権は米国内でも危険視されている」と書いたが、昨日の東京新聞でもそれを象徴するようなニュースが報じられていた。「(首相が昨年、NHK経営委員会に任命した)作家である百田氏の東京裁判に関する演説に対し、米大使館が批判」というもの。米国側がこれほど「神経質?」に反応するのも、やはり安倍政権の「反米」的な部分に対する警戒感が強いということなのだろうか。

 少し前、2月5日の東京新聞では、この問題について日本総研理事長の寺島実郎氏へのインタビュー記事を掲載していた。寺島氏は「安倍政権の外交姿勢は『反米』を内在した『貢米』外交だ」という。一見、矛盾しているが、事実としてうなずける。「反米」の部分は例えば「靖国参拝」であり、「貢米」の部分は例えばTPP交渉における大幅な譲歩や、辺野古の新基地建設推進だろう。

 靖国参拝については、米国は以前から危険視していて、昨年10月にはヘーゲル国防相とケリー国務長官が「わざわざ」千鳥が淵戦没者墓苑を訪れて献花し、「ここが日本の『アーリントン』だ」と明言さえしている。

http://www.afpbb.com/articles/-/3000736

 これほど明確に首相に「靖国参拝は控えろ」というメッセージを送っていたのに、それを無視されたのだから、米国が「失望した」というのも不思議ではない。実際、この参拝のおかげで直後に予定されていた日米国防省会議がキャンセルされたという報道もあった。

 米国が靖国を絶対に認めないのは、戦後史を少し勉強した人には常識だろうが、当然のことであって、自身が「戦勝国・正義の側」として東京裁判で裁いたA級戦犯が合祀されている靖国を認めたら、米国自身の先の戦争における正義を否定し、米国が主導してきた戦後秩序を否定することになってしまうからだ。

 識者によっては「最近の日米関係は民主党政権時代よりも悪化している」という人もいる。確かに、最近見られるような日米の齟齬が広がっていくと、それがやがて決定的な対立に発展していく可能性もあるのかもしれない。

 こういうことは、なかなか予測のつかない難しいことではあるが、日米関係を見る一つのポイントとして、注視していく必要があることだと思う。

(2014-2-10 by 山猫軒)