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アームストロング砲

2008年09月08日 12:22

 時代を変えた兵器:アームストロング砲
英国のアームストロングによって開発された、鋼鉄製の後装施条砲(後ろから砲弾をつめる)で、砲弾はそれまでの丸い鉄の玉ではなく、現在の形のような円錐形で炸裂弾であった。また射程距離は4000-5000m に達した。薩英戦争で実践に使われ、薩摩藩の砲台はその威力に圧倒された。しかし砲身が破裂する事故も多発し、初期の頃のアームストロング砲は扱いにくい面もあった。アームストロング砲は上野の彰義隊との戦いにおいても圧倒的な強さを発揮した。大村益次郎は今の本郷の東大の敷地にアームストロング砲2台を据え、不忍池を越えて寛永寺に立てこもる彰義隊に打ち込んだ。東大のある本郷は高台になっていて、不忍池を挟んで上野の山が見える。谷越えに寛永寺に立てこもる2000の兵に対し2門の砲が火を噴いた。一方の彰義隊はフランス軍の旧式な青銅性の前込めカノン砲7門を持っていた。官軍はそれまでの戦いで,迫撃戦においては,この砲で随分と苦しめられた。大村益次郎は、白昼の総攻撃をするとの噂を流し、上野に彰義隊を集結させた。上野の山に彰義隊を誘い出し、攻撃する事で、江戸の街を戦火から救ったと言われる。そこへ向かって射程距離の長いアームストロング砲でもって一気に攻撃したためたちまち勝負がついた。この武器の優位さは会津攻めでも発揮される。今度はアームストロング砲を小田山に据え鶴ヶ城を狙い撃ちにした。敵の砲弾の届かない距離から、悠々と城を破壊する事が出来た。またこれまでの砲弾が丸い鉄のかたまりを打ち込むのに対し、アームストロング砲の砲弾は円錐形で空気抵抗も低く、更に命中すると火薬が破裂し、強力な破壊力を持ったものであった。
その当時英国以外の国でこのアームストロング砲は鍋島藩(佐賀藩)が2門持っていただけであった。この2門の砲でもって官軍はほとんど戦わずして勝利を収める事が出来た。其の経緯は司馬遼太郎の「アームストロング砲」に詳しい。当時にあってはアームストロング砲はとてつもなく強力な最新兵器であった。鋼鉄製の後詰砲で、旋条が切られ、弾丸も円錐形の破裂弾と現在の砲の原型をなしている革命的な武器であった。その当時、アームストロング砲は圧倒的に強力な武器で、大村益次郎はこの武器を敵にとられないように配慮し、もし敵にわたる可能性があるような事態になれば、むしろ破壊しろとの命令を出した程であった。たった2門のこの砲が明治維新の到来を早めた。
 科学の裏付けのない、白虎隊や白襷隊のような、精神論的特攻は科学の裏付けのある近代兵器には敵うべくもない。日本は昔から特攻的な突撃が好きだが、白襷隊や神風特攻隊など無駄死にを強いるだけで,戦略的には絶対にやってはならない。竹槍や刀では機関銃や大砲には敵わない。このような単純なことが判らない、司令官が多すぎる。日露海戦のように科学的裏付けがあり、すぐれた戦略と訓練された兵がいれば鬼に金棒である。



コメント

  1. Nagao | URL | -

    Re: アームストロング砲

    アームストロング砲の威力評価は過大ではないでしょうか。

    当時官軍も幕軍も多数使用した4斤砲(前装施錠砲)の砲弾は
    仏国式計量法で4斤ですから砲弾重量4kg。
    アームストロング砲は英国式計量法で6ポンドですから約2.7kg。

    当然4斤砲もアームストロング砲もそれ以前の球形弾と異なり
    着弾と同時に爆発する瞬発信管を備えておりましたし、
    火薬も砲弾重量に応じて装填されています。
    つまり明らかに砲弾の爆発威力は旧式の4斤砲が上回るのです。

    前装式4斤砲と比較した場合、アームストロング砲の優位性は
    砲弾の破壊力ではなく速射性能と射程距離です。
    ところが上野の戦争ではその速射性能を発揮する場面はありませんでした。

    ちなみに大村益次郎が最も頼りにし死の床で西の反乱に備え準備しておくよう
    言い残した大砲もアームストロング砲ではなく4斤砲でした。

    今日アームストロング砲の威力が過大に語られるのは、
    艦砲として使用された大口径アームストロング砲の圧倒的な威力と
    野戦用の小口径アームストロング砲の威力が混同されたためと思われます。

    私は砲弾のことしか判りませんが彰義隊の敗北はアームストロング砲の
    威力ではないとの説も多数出されているようです。

    ただし彰義隊の敗北はこの砲が原因であったというのが事実だとすれば、
    当時すでに、この砲の威力についての過大な噂が彰義隊内部に広まっており、
    この砲が使われたと聞いただけで恐怖に煽られた可能性はあろうかと思われます。





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