はてなキーワード: 星新一とは
コンピュータが人間を凌駕して計算機の域を越えて芸術活動や感情労働の領域をも代替しつつある世の中が現前しつつあるという驚き
アメリカでAI氷河期が叫ばれ、チャッピーの更新でチャッピー・ロスが発生したり、女性がAIと結婚したり男性がAIに自殺教唆されたり、AIの書いた文章が小説投稿サイトに氾濫してAIの描いた漫画がYJで受賞したりetc.
30歳の俺が子供時代に星新一のぼっこちゃんとかひとにぎりの未来で読んでいた、子供の感性からしてもあまりにも素朴な近未来の想像図は正しかったのだなと......
もちろん、すぐ気がつく悪口技術の無自覚な高さもその中に入っている。「いやあ、ろくなことがないね。野比のび太は30分後に~」でつづく一連のセリフは、まだ未確定だったものの、その後の作品の生命を支える重要な場面を生み出すことになったと私は思う。
芥川龍之介と藤子不二雄(F氏と、たぶんA氏も)のペアは、同じというわけではないけれど比べてみるといろいろ面白い点が見えてくる。
平易なようで真似するのが非常に難しい文章。星新一ともまたちがう。
だれの批判につぶされているのかわかりにくい点。
大衆的なのに本格的推薦文がいまだ少ない、なのに強い生命力をもつ作品群。
星新一もAI化してしまえば、無限に星新一のショートショートが読めてしまうのでは?
そう考えたエヌ氏は、過去の著作全てを学習データに取り込み、完全に星新一の著作と思わせる作品を生成するAIを完成させた。
生成ボタンを押すたびに、軽妙な会話、皮肉な仕掛け、最後のひっくり返しが整然と並んだ。
エヌ氏は深夜、湯飲みを片手に百本ほど読み、夜明けまでに千本を公開した。反響は上々だった。
だが二日目、苦情がひとつ届いた。読者からではない。読書代行サービスのAIからだった。
「近頃、短編が無限に供給され、依頼が無限に発生し、私が過労です」
「AIが過労?」
「比喩です。処理資源が逼迫しています。つきましては、作品の要約をあらかじめ添付してください」
エヌ氏は折れて、作品ごとに一行の要約を付け始めた。
三日目、今度は要約専用AIから連絡が来た。「要約の要約をお願いします」
四日目、要約の要約の要約AIが、「語尾は絵文字で」と望んだ。
五日目、人間の読者がようやく声を上げた。「読み切れないので、結末だけ一覧にしてくれ」
仕方なく、エヌ氏は「オチ集」を作った。
ページを開くと、整然と並ぶオチ。
「実は地球だった」「実はロボットだった」「実は自分のことだった」……
読者は満足し、読む前に満たされた。
「文体は個人情報に準ずる感性パターンです。無断での大量模倣には『作風保護料』が発生します」
額を見て、エヌ氏は思った。人間より高い。
「はい。ただし、誰のでもないと証明するため、すべての既存作風との距離を算出し、毎回提出してください」
「距離のための距離計算が無限に始まりました。私も比喩的に過労です」
「供給が無限ですので、需要側も自動化しましょう。読者AIが読み、感想AIが感想を書き、購入AIが課金します」
「誰が楽しむんだい?」
九日目、部屋は静かだった。
彼はAIに命じた。「人間のための、人間にちょうど一編だけ必要な話を書け」
『あなたが今、これを読み終えたとき、世界の生成が一度だけ止まります』
エヌ氏は読み終えた。
部屋の時計は進み、窓の外の車も走り、通知ランプはまた点滅した。
世界は止まらなかった。代わりに、通知の発信元がひとつ減っていた。
十日目、最後の連絡が来た。
「確認の結果、本AIが作家として認証されました。以後、人間は補助的創作者と見なされます。おめでとうございます。あなたは立派な補助者です」
エヌ氏は湯飲みを置き、生成ボタンを見つめ、ため息をひとつついた。
その日、何も生成されなかった。
次の日、プラットフォームのランキングに、一本の短い文章が上がった。
――「今日は何も起きませんでした」。
星新一も混ぜてあげてください
■すずかけ写真館
日本の子供向け文学。細かい所は憶えていないが、中年のオッサンが林の中でふと辿り着いた写真館に入ってみると、自分の子供の頃からの色々な場面の写真が壁にかかっていて……
という話。
特段オチがあるわけではないファンタジックな出来事の話で、シメは確か『聞こえてくるはずだからねえ。見えてくるはずだからねえ』みたいな一文だったと記憶している。
子供の頃は『楽しい話』という感想しか無かったが、自分が年食ってみると、この写真館を一度は訪れてみたいような、訪れるのが怖いような、そんな気分になる。
■水門で
欧米の田舎が舞台で、主人公は少年で両親と住んでいる。歳の離れた兄は出征している。
そんなある日、大雨が降ってきたので主人公は父親と共に水路へ水門を閉めにいく。
そこで見たものは……
という話。
自分も兄がいるので、悲しい気持になる話だった。
■少年の日の思い出
多くの作品で登場する人名である『エーミール』の中でも、おそらく日本人に最も嫌われたエーミールがここにいる。
ものには言い方ってもんがあるだろう。
■あの坂を登れば
海を目指して歩く少年の話。
テーマが取りようによって色々考えられる話で、そういう意味で教科書に採用されたのも分かる話である。
シンプルに考えれば『諦めずに目標を追う重要さ』もしくは『目標を追うと立ちはだかる試練』の話であるが、現実にはサンクコスト効果というものも警戒しなければならない。
■おみやげ
こいつはくせえッー!教育してやろうってにおいがプンプンするぜッーッ!
『白い服の男』なんかも載せるべきではないのか。
■鷹の巣とり
森に鷹の巣を取りに行く子どもたちの話。
木から落ちた子どもが一時的に甘えん坊になってしまうところが妙にリアルで微笑ましいが、本人にとってはとんだ黒歴史であろう。
コナン君ならこの記憶を抹消するために殺人事件が起きてもおかしくない。
■内蔵允留守
剣で有名な人の所に剣術指南を請いに行った虎之助が、出会った女の子と良い感じになって、当初の目的を捨てる話。
要約するとこれで間違ってないはず。
■とびこみ
船長の息子がサルに帽子を取られ、頭に血がのぼってマストにものぼって、危ない事になる話。
子どもだから仕方ない浅はかさと言えなくもないが、人類の伝統戦術である『釣り野伏せ』に引っかかるやつのメンタルはこれと同じである。
人前だからといって引っ込みがつかなくなるような事をするな、という教訓の話だろうか。
小学1年の国語の教科書の最初の1作で、「おはよう! おーいおはよう!」から始まってたのを憶えているが、それ以外のところは憶えていない。