相続の基本 「誰が・何を・どう分けるか」を知ろう
マネーの知識ここから 相続とは(1)
・だれが、どんな財産を、どう分けるかは法律で決まりがある
・財産の種類や相続の方法によっては、一定期間に手続きをする必要がある
誰かが亡くなると、親族は故人の財産などを引き継ぐ相続に直面します。相続で「誰が・何を・どう分けるか」については法律で決まりがあります。民法では遺言書があれば原則として遺言書が優先するとしており、遺言書がなければ民法の規定が目安になります。また財産の種類や相続の方法によっては、一定の期日までに手続きをしなければならない場合があります。
法定相続人や受遺者が引き継ぐ
相続では亡くなった人を被相続人と呼びます。財産を引き継ぐのは民法で定めた「法定相続人」と、亡くなった人が遺言書で財産の受け取りを指定した「受遺者」です。
法定相続人になれるのは被相続人の配偶者のほか、子ども、兄弟姉妹、被相続人の父母などです。配偶者と子は必ず法定相続人となります。相続できる順位があり、まず直系の子どもが優先されます。子どもがすでに亡くなっている場合は被相続人の孫が法定相続人になり、孫もいない場合は被相続人の父母が対象になります。
受遺者は被相続人の配偶者や子などである必要はありません。例えば故人の長男の妻は法定相続人ではありませんが、遺言書で指定されていれば相続で遺産を受け取ることができます。
対象は資産と債務の両方
相続で対象となる財産は現金などの預貯金や自宅の建物・土地といった不動産、株式などの有価証券が挙げられます。引き継ぐのはこうした資産だけではありません。借金などの債務も原則として相続します。借金を引き継ぐことを避けたければ相続放棄という方法がありますが、資産も引き継ぐことができなくなります。
相続の対象となるのは資産だけではありません。被相続人が抱えていた負債も対象になります。例えば、自動車ローン、教育ローンといった金融機関からの借り入れや個人間の借り入れがあります。
財産の分け方、遺言の有無で違い
財産の分け方は、被相続人の遺言書があれば原則として遺言書の内容通りにします。遺言書がない場合は民法の規定に従って、法定相続人が遺産を受け取ります。相続する割合も民法で決まっています。相続人の構成によって異なりますが、配偶者と子ども1人の場合は半分ずつ受け取ります。配偶者と子どもが2人なら配偶者が半分、子どもは4分の1ずつになります。
法定相続分はあくまで目安なので、相続人全員の同意があればどう分けても構いません。相続人が話し合って遺産の分け方を決めることを遺産分割協議といいます。ただし法定相続人には法定相続割合とは別に民法で認められた最低限の取り分である「遺留分」という権利があります(被相続人の兄弟姉妹は除く)。遺留分は法定相続分の2分の1が一般的となっています。
相続では、亡くなった人が遺言書を残していれば、原則として、遺言書の内容が優先されます。遺言書は、自分の死後に財産を誰に、どのように残したいか指定できる効果があります。
不動産、相続登記に期限
相続では手続きに期限があることも知っておきたいところです。例えば相続税の申告・納付は故人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内が期限です。大きな制度改正としては、不動産が2024年4月から相続登記が義務となりました。4月以降に発生した相続で不動産を引き継いだ人は、相続の発生を知った日から原則として3年以内に名義を変更する必要があります。正当な理由がなく登記を怠ると、過料が発生します。また相続放棄をするには原則として相続発生を知った日から3カ月以内に手続きをする必要があります。
相続登記は土地・建物といった不動産の所有者が亡くなったとき、被相続人(亡くなった人)から不動産を引き継ぐ人に名義を変更する手続きのことです。
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誰かが亡くなると、親族は故人の財産などを引き継ぐ相続に直面します。相続で「誰が・何を・どう分けるか」については法律で決まりがあります。対象となる財産にはどんなものがあるのか、相続人はどう決まるのかなどをわかりやすく解説します。
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