三角形+四角形で備える教育費 国立大学の費用は貯まる
子どもの教育費は「三角形+四角形」で用意する
教育費は、子どもが生まれたときから「いつ」「いくら」必要かの目安がわかる支出です。
そこで、大学費用は「三角形」でコツコツ貯めつつ、毎月の教育費は「四角形」で家計からコツコツ支払う教育費の準備方法をご紹介します。「三角形+四角形」の考え方と、子育て世代の3回の「貯めどき」を理解し、「コツコツ準備&コツコツ支払い」で、乗り切りましょう。
上の図をご覧ください。上部の「三角形」が、児童手当を積み立てて大学資金にする方法です。大学費用は前期・後期などでまとめて支払うことが多いため、子どもが生まれたときから毎月お金を積み立てて乗り切ります。
一方で、図の下側にある「四角形」は学校関係費用と塾や習い事などの学校外費用で、これらは毎月の家計からの支出です。保育園・幼稚園から高校卒業までの教育費は、毎月の家計からやりくりします。
ママ・パパが気になる大学資金の準備は、実はとっても簡単。先ほどの「三角形」貯蓄として、「児童手当」を「自動積立」するだけでいいんです。
子どもが生まれてから受け取る児童手当を全部貯めると、4月生まれの子どもなら高校卒業時には246万円、3月生まれでも235万円貯まります。国立大学4年間にかかるお金は合計243万円ですから、児童手当でほぼ賄えますね。
自動積立のコツは、給料の振込口座とは別の「児童手当専用口座」をつくること。
児童手当は、親名義の口座に振り込まれます。子ども名義の貯蓄にするために、わざわざ親の口座から子どもの口座に移し替える人もいますが、長続きする貯蓄のコツは、手間をかけないこと。きょうだいが何人いても、「子どもの国立大学資金は、すべて親名義の児童手当専用口座に準備できているから大丈夫!」と「ざっくり」考えましょう。
子育て世帯の貯めどきは3回。「小学校入学前」「小学校」「大学以降」
将来のことを真剣に考えれば考えるほど、教育費以外にも、家族旅行や家電製品の買い替え、車の買い替えにマイホーム資金、リフォーム費用、老後資金など、さまざまなライフイベントにお金が必要になることに気づくことでしょう。
「お金を貯めたいのに、貯蓄ができない」と、将来を考えてストレスを感じる人は少なくありません。でも、不安に思わなくても大丈夫!
子育て世帯には、3回の貯めどきがあります。
1回目は幼保無償化がある「小学校入学前」、2回目は教育費が少ない「公立小学校に通っている間」、そして3回目は、「子どもが高校を卒業してから親が退職するまでの間」。この期間をしっかり活用しましょう。
1回目の貯めどきは小学校入学前
まずは、子どもが保育園に通う場合です。共働き世帯にとっては、産休&育休で収入が下がり、復帰後も時短勤務なら収入は元には戻っていません。そのうえ、保育料はひと月4万〜5万円かかるので、家計の把握が難しい時期といえます。そこで保育園コースの貯めどきは、「保育園の無償化が始まってから」と割り切って、無償化で浮いた保育料を貯めましょう。
幼稚園コースの場合は、幼稚園に入園する前が貯めどきです。例えば「毎月2万円の幼稚園&習い事代を払っているつもり貯蓄」をしておくと、入園までにまとまった貯蓄ができます。
2回目の貯めどきは小学校
時短勤務の期限は3歳ですが、企業によっては小学1年生や3年生、小学校卒業までなど独自の取り組みをしているところも少なくありません。「小1の壁」と呼ばれる時期は、保育園ほど遅くまで子どもを預かってもらえないため、学童保育や習い事の費用が一時的に増える期間です。この1年間の支出は、長い人生の中での必要経費と割り切りましょう。
また、子どもが小学校に通うようになると、フルタイム復帰やパート勤務の開始などで収入が増える世帯が多くなります。増えた収入分は目的別にコツコツ貯めていきましょう。
塾や習い事の費用は子どもの成長とともに増えていきます。だからこそ、子どもが小さいうちからの貯める習慣が重要です。
3回目の貯めどきは大学入学後から
国立大学に必要なお金は、児童手当を貯めることで準備ができているはず。
大学入学後は、高校時代にかかっていたお金を「高校費用を払っているつもり貯蓄」にして、老後資金のラストスパートにしましょう。
ファイナンシャルプランナー(CFP)。株式会社Cras代表取締役、FPオフィスwill代表。2001年に中学校・高校の養護教諭からFPに転身。金融商品の販売を行わない独立系FPとして個人相談を中心に活動するほか、講演やテレビでも活躍。『本気で家計を変えたいあなたへ 〜書き込む"お金のワークブック"〜』(日経BP/日本経済新聞出版)など著書多数。
[日経BOOKプラス2024年11月6日付記事を再構成]
「お金のことを本でも学びたいけど、たくさん出ていてどれを読んだらいいか分からない」。初心者の方からよく聞く話です。そこでこのコーナーでは「お金×書籍」をテーマとして、今読むべきお金の新刊本や古典の名著などを紹介し、あわせてお金の本の著者にも読みどころなどをインタビューします。