「ネットの情報に振り回される」 有力投資家の回答は?
投資のお悩み相談室(42)
「持ち株についてネットで調べると、色々な情報が出ていて、どれが正しいのか判断がつかなくなります」(30代女性・京都府)
奥山月仁さんの回答
まず、SNSやネット掲示板の情報は、裏の意図がある前提で読まなければなりません。本当はたくさん買い集めたい方が、ネガティブな情報をわざと流すことがあります。逆に空売りを成功させたい方が、あえてポジティブな情報を繰り返し流すこともあります。もちろん、そのような悪意のない善意の情報もたくさんありますが、そのことによって、却ってどれが正しく、どれが間違いなのか、全く分からなくなってしまいます。
また新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年のように、パンデミック、戦争、インフレを過去に同時に経験した投資家なんて1人もいません。善意の情報であってもそこには臆測や希望、立場など、株価に直接関係のない発言者の思惑が反映されています。
対策としては、株価に関しては下手にSNS情報を見ないこと。見てもまともに信じない。企業発信の情報や業界の専門情報など、信頼できる情報だけを丹念に集める。こうしたスタンスが重要です。
昨年11月に発売した著書『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)で詳述しましたが、短期的な値動きや誤った情報に左右されないためにも、自分の投資スタイルの確立に専念するといいでしょう。なぜあなたは投資をするのか。手っ取り早くお金持ちになりたいといった願望だけでなく、社会や自身の成長といった信念を持つことも重要です。
【結論】ネットの情報はうのみにしない。
奥山月仁さん(ハンドルネーム)
東京都在住の兼業投資家。投資歴は30年超。高校2年から株式投資を開始。故・蝋山昌一大阪大学教授のゼミで証券理論を学ぶ。ピーター・リンチに倣い、分かりやすい成長株に中長期で投資し、数億円の資産を築く。著書に『"普通の人"だから勝てるエナフン流株式投資術』『"普通の人"でも株で1億円!エナフン流VE投資法』『割安成長株で勝つエナフン流バイ&ホールド』『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(いずれも日経BP)など。
【奥山さんの投資手法が分かる記事】
DUKE。さんの回答
情報に振り回されてしまう要因はいくつか考えられます。一つは持ち株を買った理由が曖昧で、売買判断を決めるプロセスがそもそも固まっていないことが考えられます。もう一つは、間接的な2次情報を頼りにして、自分で1次情報を取る努力を怠っていることかと思います。
前者については、ご自身で売買判断のプロセスを磨いていくしかありません。その株を買った理由を明確に答えられなければ、様々な情報に惑わされてしまうのも当然です。買った理由がはっきりしていれば、その理由が崩れた時に売ることになります。
後者については、1次情報をあまり見ていないことが考えられます。1次情報とは、企業が出しているリリース、決算短信、決算説明会資料、有価証券報告書などです。必要に応じて、IR(投資家向け広報)にコンタクトして疑問を解消したり、重要事項を確認したりすることも含まれます。
ネットの情報はブログやツイート、どこかの無料情報や有料情報だと思いますが、いずれも誰かのフィルターにかかった2次情報です。当然、正しいかどうかは分かりません。間違っていることもあります。一人前の投資家になるには、自分で調べ、自分で考え、自分で最終判断することが必須です。そうしなければ上達しませんし、儲けられるようにはなりません。
【結論】1次情報を取る努力を怠らない。
DUKE。さん(ハンドルネーム)
「45歳までに運用資産3億円」という目標を実現し、2016年にアーリーリタイア。自身の投資法を教える「新高値ブレイク投資塾」を主宰する。
【DUKE。さんの投資法が分かる関連記事】
【この連載の過去記事】
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2024/10/21)
価格 : 840円(税込み)
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