9月の都区部物価、2.0%上昇に鈍化 コメは49年ぶり伸び
総務省が27日発表した9月の東京都区部の消費者物価指数(中旬速報値、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合が107.3と前年同月比で2.0%上昇した。伸び率は8月の2.4%から5カ月ぶりに縮小した。値上がりが続くコメが49年ぶりの伸びとなった一方、政府の補助金の再開により電気・ガス代の上昇幅が縮んだ。
QUICKが事前にまとめた市場予測の中央値も2.0%プラスだった。
電気代は前年同月と比べると14.1%、都市ガス代は9.3%上昇となった。ただ補助金の再開による押し下げ効果により前月比では電気代が11.3%、都市ガス代が9.8%のマイナスとなった。エネルギー全体の前年同月比は9.5%のプラスで、8月の17.4%から伸びが大幅に縮んだ。
政府は電気・ガス代の負担を軽くする補助金を2023年1月から実施していたが、5月使用分で補助額を半分にし、6月にいったん止めていた。その後、8〜10月使用分(9〜11月検針分)の再開を決め、9月のエネルギーの押し下げにつながった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は前年同月比1.6%のプラスで8月から横ばいだった。生鮮食品を含む総合指数は2.2%上がり前月から0.4ポイント低下した。都区部の中旬速報値は全国の先行指標とされている。
品目別では「生鮮食品を除く食料」が前年同月比2.8%上昇した。新米が流通しはじめたもののコメの価格は高止まりしている。米類は41.4%の上昇で、1975年9月以来の高い伸びだった。原材料や物流費が上がりチョコレートが11.5%上昇、輸入品の牛肉は米国での生産量が減ったことで14.7%上がった。
人件費上昇の転嫁が注目されるサービスは0.6%上昇と8月の0.7%上昇から伸び率が縮小した。24年の春季労使交渉(春闘)では33年ぶりに5%を上回る賃上げとなったが、サービスの物価上昇率はなお低い水準だ。
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