サマーグローブの玄関ホール
ロバート・オバーンは生涯の仕事として、素晴らしい家を手に入れてきました。作家であり講師でもあるオバーン氏は「私の人生は、相手が望むかどうかに関わらず、人々を訪ねることだ」と、冗談まじりに述べています。同氏のアイルランド建築遺産への関心が、2009年発刊の「ロマンチック・アイリッシュ・ホームズ」など多くの本と、人気ブログ「アイルランドの美学」を生み出しました。またアイルランドにある大邸宅の所有者をほとんど知っているとのことです。
オバーン氏がはかつて執筆した小さな黒い本は、立派な新しい本として再発刊されました。“「アイルランドの邸宅:新たな視野」 (リッツォーリ刊)と名付けられたその本は、城から大邸宅まで、さまざまな年代と建築様式の15の卓越した物件を紹介しています。
アイルランド中部リーシュ県の風格のあるサマーグローブは、ベネチア風の優雅な外観で、ディオクレティアヌス風の窓、屋内はペディメント(切妻型)付きのドア枠、ロココ様式の漆喰装飾が特徴です。ロングフォード県にあるジョージ王朝時代のキャッスルコア・ハウスには八角形の狩猟小屋、コリント式の円柱、4面の暖炉、19世紀エジプト復活様式のステンシル作品があります。
キルア城の音楽室
ダブリンから1時間の場所にあるキルア城の歴史は、朽ち果てつつある古典的な邸宅がどのようにネオゴシック様式の城に改修、変貌していったか、を示しています。この修復は銀行家であるアレン・サンギンズ=クラウス氏とその妻ロレナ氏が監修しました。両氏は修復完成後、その室内を中世および初期ルネサンス時代の美術品コレクションで飾りました。
キルア城は、この本の中で一貫されたテーマを浮き彫りにします。この本で紹介されているすべての建築物は、「アイルランドの大邸宅は荒廃している」というイメージを打ち消すために選ばれています。「アイルランドの邸宅が崩壊の危機に瀕しているというのは何百年も前の物語だ」とオバーン氏は言います。「非常に多くの場合において、邸宅の老朽化、倒壊、廃墟は誇張される傾向がある。」しかし、同氏は新著では、「前向きな話をしたい」とし、「崩壊を免れ、見事に修復された素晴らしい邸宅がアイルランド全土にある」と述べています。
キローターのリビングルーム
邸宅の新たなオーナーが「四柱式ベッドの復活から手刷りの壁紙の再生まで、いかに室内を修復したか」がこの話の興味深い部分です。その変貌は写真家ルーク・ホワイト氏により分かりやすく紹介されています。たとえば、18世紀の邸宅キローターは、かつて銀行家でビジネスマンだったオーナー、デビッド・デービス卿が収集したアイルランドの風景画、ダブリンの手彩色版画、オランダの彫刻家グリンリング・ギボンズの作業場からのアンティーク木彫りなどで彩られています。
デービス卿は、アイルランド・ジョージアン(ジョージ王朝)協会の会長でもあります。同会の目的は「アイルランドの建築遺産を保護し、関心と尊重を育成する」ことです。この本は、建築遺産保護に献身的な人々がアイルランドの歴史的建造物に新たな価値を与え、遺産に新たな価値を与えていく過程を示しています。
写真:ルーク・ホワイト
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