アーミテージ氏「日本の防衛費倍増を」台湾情勢念頭に
日経・CSIS共催シンポ
日本経済新聞社は22日、都内で米戦略国際問題研究所(CSIS)と共催の第18回シンポジウム「戦略的競争時代における日米同盟の新たな役割と射程」を開いた。オンラインで参加したリチャード・アーミテージ元米国務副長官は、緊迫する台湾海峡情勢を踏まえ「日本が防衛予算を2倍またはそれ以上に増やすのは良い考えだ」と指摘した。
日本の防衛費増額を巡っては、バイデン米大統領が次期駐日大使に指名したラーム・エマニュエル氏も上院公聴会で「同盟に不可欠だ」と表明していた。アーミテージ氏は中国の軍備増強などを念頭に「同盟国として潜在的な脅威に立ち向かい、地域の平和を維持するための能力が重要だ」と強調した。
ジョセフ・ナイ米ハーバード大学特別功労名誉教授も「日本の政治家・指導者らは台湾を巡る問題の深刻さをより認識するようになった」と述べた。「日本が防衛費を国内総生産(GDP)比で増やすべきかどうかという議論が出ているのは健全なことだ」と評価した。
台湾情勢については、米国や関係国は「独立を認めないものの、台湾海峡両岸の安定は交渉によって保たれるべきだとの立場を維持すべきだ」とも語った。
米国、英国、オーストラリアの安全保障協力の新たな枠組み「AUKUS(オーカス)」について、アーミテージ氏は「最も恩恵を受けるのは日本だ」との見解を示した。豪州に配備をめざす原子力潜水艦を通じて得られる情報が「日本にとって極めて重要だ」と主張した。
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