メタルブラック |
リリース | 1991/12 |
メーカー | タイトー |
プラットフォーム | アーケード |
ジャンル | シューティング |
「ガンフロンティア」を開発した仙波隆綱が手掛けた横スクロールシューティングゲーム。設定やゲーム内容としては特に関係は無いのだが、このゲームは「プロジェクト・ガンフロンティア」の2作目という事になっている。仙波氏が手掛けたという事しか共通点が無いので、日本ファルコムで木屋氏が手掛けたものが全部「ドラゴンスレイヤーシリーズ」になったのと同様、開発者でくくったシリーズと言える。
そのガンフロンティアが、ビジュアルと演出に非常にこだわり、銃の開きみたいな他のどこでも見た事のないような斬新なゲームになっていたのと同様、このメタルブラックも大変に演出にこだわり、もはや演出一点豪華主義とも言っていいゲームになっていた。いや、ゲーム性がダメダメとかそういう事を言いたい訳じゃないけど、そのゲーム性も全て「演出のため」と言っていいようなものになっている。このへんは、元アニメーターの仙波氏のセンスだろう。
そんなメタルブラックを、今回はクリアまでやってみる。
まずは自機である「ブラックフライ」に、主人公ジョン・フォードが乗り込むところから。
このゲームは時々自機や主人公がワイヤーフレーム表示され、3Dっぽくなるのがかっこいい。
ストーリーはちょっと難解だ。
西暦2042年、木星近辺に突如謎の伴星「ネメシス」が現れ、そこから飛来した隕石が地球文明を破滅に追いやった。それと同時に、ネメシスから来たと思われる知的生命体が地球を侵略し、人類は絶滅の危機にあった。
ネメシスの侵略者達は、
「ニューロン」と呼ばれる未知の粒子をエネルギー源とした兵器を用いており、人類は苦戦していたのだが、ついにそのニューロン技術を取り入れた戦闘機「ブラックフライ」を開発し、コードネーム「メタルブラック」という反攻作戦を計画していた。
ところが地球政府は、唐突にネメシスと和平協定を結び、メタルブラック作戦は凍結されてしまった。これに憤った主人公は、ブラックフライを一機盗み出し、単独でネメシスとの戦闘を始めたのであった。
うーん、ハードな設定。
では1面スタート。ちなみに全6面となっている。
最初は地球が舞台だが、先程書いたようにネメシスからの隕石でほぼ文明は崩壊しているので、全体的に廃墟みたいな感じになっている。
これがゲーム画面。
右の方に「POW UP」と書いてあるのがニューロン。この物質を手に入れる事により、自機であるブラックフライのビームレベルが上がっていく。
なお、画面右下に「♪BORN TO BE FREE」とあるが、これが1面BGMの曲名。ファンタジーゾーンみたいに、曲名が出る仕組みになっているようだ。
ただね、このBORN TO BE FREEが…名曲なんだ。ほんとに。多分、何にも情報無しで曲だけ聞かされたら、「エンディングの曲ですよね?」ってなる雰囲気の曲。ちょっと優雅で、どことなく物寂しげな感じで。普通に考えたら、シューティングゲームの1面って「さあこれからやるぞ!」って勇ましい曲になるじゃない。テレクレスタもグラディウスIIもワンダー3もそうなっている。それがこんなしんみりな曲で大丈夫か、ってなる。
しかし不思議な事に、このゲームには合ってるんだよね。合ってるというか、逆にこの曲によってゲームの雰囲気が決定づけられるというか。地球が崩壊している事、圧倒的な敵に対するたった一人の反攻作戦である事など、物凄く悲壮な背景が、このエンディングっぽい曲でスタートする事で語られるというか。
さて、パワーアップアイテムであるニューロンだが、他の多くのシューティングゲームのように、「特定の敵を撃つと出てくる」という仕組みではない。
画面外から永久に湧き出てくる、というこれまた斬新な仕組みになっている。
そんなん、パワーアップアイテムが何もしないでもどんどん湧いてくるんじゃ、すぐパワーMAXになるっしょ? と思うだろう。それはまあ間違っていない。さすがに、ニューロン1個取ったら1段階パワーアップするというほどではないが、パワーをMAXにするのはそこまで難しくはない。
それでもゲームとして成り立っているのは、後に書くように、このパワーを放出する仕組みがあるからだ。
ビームレベルがMAXになると、ここまでショットが太くなる。
これはこれで強いのだが、あくまで前方にしか弾が出ない事に注意。このゲームでは、上や下、あるいは後ろからも容赦なく敵が来る。たいていそういうゲームの場合、後方にも弾が出たりするのだが、このゲームでは前方にしか出ない。
ただ、弾自体が自機よりでかいので、撃った瞬間自機の周りに攻撃判定が出ている。なので、上下くらいなら張り付けば倒す事ができる。まあ、あくまでビームレベルが高ければだが。
さて、背景には空母のような物が地上に突き刺さっている。これ、下に電車の高架みたいなのがあるから、地上だよね?
その空母が、急に土煙を吹き出してグモモモモッとなる。
そしたら、その空母を背中に貼り付けたヤドカリのような敵が出てくる。こいつは中ボスだ。
空母を殻にしたヤドカリとか、アイデアが凄い…。
これ、一応設定上理由があって、ネメシスから来た侵略生命体達は、どうも機械と融合する力があるらしい。諸星大二郎や石川賢のような世界観だ。
そういう訳で、敵は元々が生物と機械の融合体みたいなフォルムをしているし、地球に来た後もこうやって兵器などのハイテク機器と好んで融合しているらしい。ひええ…。
このヤドカリが思ったより硬かったので、ついにこのゲームの特徴でもある
「エネルギー解放」を行った。
エネルギー解放は、他シューティングにおけるボムに立ち位置が近いのかな。このゲームは2ボタン式で、ショットボタンとエネルギー解放ボタンがある。エネルギー解放を押すと、その時溜めていた全ニューロンを使って前方にビームを発射する。このビームの太さ、持続の長さ等は、元々のビームレベルに比例する。
更に、ビームレベルがMAXの時に解放すると、一定時間ビームを照射した後、このような稲妻が自機から出て、画面全体の敵を薙ぎ払ってくれる。
その後またビームが出続けて、最後細くなって線みたいになって消える、
そして、エネルギー解放を行うと、
ビームレベルが最低にまで下がる。つまり初期ショットになる。
これ自体はかなり辛い。グラディウスで言えば、一気にオプション無しレーザー無しになるような物だからね(元々スピードアップアイテムは無いので、移動速度は変わらない)。ただ、辛くてもエネルギー解放を使う事になるのは、ボスのような強敵には使わざるを得ない部分がある事と、ニューロンは延々画面内に出てくるので、わりとまた元のレベルに戻せるからだ。
見ての通りビームレベルが下がってしまい、しばらくはきつい戦いを強いられる。
ちなみに今、緑の…カエル? みたいな敵がピョンピョンたくさん飛んできたところ。別に強い訳じゃないんだけど、「こいつらなんなんだろう?」と考えさせられる部分がある。
1面ボス、アパルトヘッド。
で、このゲームのボス戦では、他に見られない特徴がある。
敵ボスも、パワーアップアイテムであるニューロンを集める。ニューロンは画面外からひっきりなしに降ってくるので、それを捕まえて食べている。
それがある程度溜まると、こちらのブラックフライと同じくエネルギー解放でビームを撃ってくる。
こちらと同じくというか、設定上は元々これはネメシス側の技術で、ブラックフライがそれを真似て搭載したのだった。
しかし設定はともかく、敵と同じパワーアップアイテムを取り合って、同じようにビームを撃つ、ってなかなか他のゲームにはないよね。メタルブラックならではの仕組みだ。
そしてこれもメタルブラックならではのシステム。
ビーム干渉。
自機とボスのエネルギー解放ビームがぶつかりあうと、干渉が起きる。
ビーム干渉が起きると、やがて中央に球状のエネルギー体ができて、出力の弱い方に向かっていく。
つまりあれだ。ドラゴンボールでかめはめ波を撃ち合って、中央で拮抗してる…みたいな表現だ。この中央の球がぶつかった方はダメージを受ける。当然こっちが受ければ死んで一機減る。
このシステムがあるので、まずボス戦でのエネルギー解放はMAXレベルで撃ちたい。レベルが低いとそもそもの出力が低く、干渉が起きなかったり、起きても一瞬で押し切られる。
その上で、少し後出し気味に解放し、斜めにすりつける感じで干渉させた方が良さそう。ビーム放射は時間と共に弱っていくので、先に撃った方が先に弱る。それを考えたら後出しで干渉させて押し切った方が良い…と感じている。
ビーム干渉一発で倒せるほど柔らかくはないが、プラスでダメージを与えていれば、そのうち倒せるくらい。
ボスを倒すと爆発するのだが、その爆発エフェクトが何となく地球の地図を思わせるようなのも、何か意味があるのかもしれない。
特定のステージをクリアすると、ボーナスステージに突入する。
1面は早速そのボーナスステージ付きとなる。
これはなんて言うんだろう。
3D視点で、敵をロックオンしてミサイルで倒すという、アフターバーナーっぽい雰囲気のゲームとなっている。アフターバーナーというか、前方に進んでいく感じでもないので、データイーストの「撃墜王」が似ているかもしれない。一応ボーナスステージなので、これで敵にやられる事はない。
ロックオンカーソルを一定時間敵に合わせ続けると、ロックオンしたと見なされる。そうすると自動的にミサイルが出て、敵を倒す。だからこちらが使うのはレバーだけで、とりあえずボタンは押さなくていいみたい。
とは言っても、結構ロックオンはむずい。
まだ1面のボーナスステージはいいけど、後の方の面になると敵が一瞬で画面外に消えてしまうため、その方向を察知して移動させないと、ロックオンに必要な時間カーソルを合わせ続けるのは難しい。
なんでボーナスステージがこんなに難しいんだ…。
(続く)
- 2022/02/10(木) 10:00:00|
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