1959 シボレー・コルベット
シボレーアメリカを代表するスポーツカーとして知られるシボレー・コルベットですが、53年に登場した当初は、あくまでも「雰囲気を楽しむ」車でした。
現在、巨大なV8エンジンで400馬力という高出力?を生み出すコルベットも、元はといえば、平凡な直6(アメリカでは安物エンジン的な扱いです)エンジンのみで、しかもトランスミッションも、2速のオートマのみ・・・と、おおよそスポーツカーとはかけ離れた存在だったのです。
第二次大戦中、そして戦後、多くのアメリカ兵が、ヨーロッパに駐留し、彼の地で目の当たりにしたのが、アメリカには無い、小粋なスポーツカー達だったのです。
馬車の代わりとして発展したアメリカの自動車に対して、裕福層の趣味として発展したヨーロッパの自動車たちは、明らかに異なる個性を有しており、特に2シーターのスポーツカーは、アメリカにとって、大変に新鮮なモノだったのです。
こうやって、多くのヨーロッパ製スポーツカーがアメリカ本国にも持ち込まれる様になり、やがて、GMも、そういった需要に応える様になるのでした。
コルベットというと、初代以降、一貫してFRP製のボディーを採用していますが、50年代初頭の段階では、完全な手作りによる作業で、しかもノウハウの不足は如何ともし難く、ひび割れ、熱による歪みを発生したと言われています。
写真は、59年型ですが、初期に比べて4灯ヘッドライト、2トーンカラーによって、幾らか豪華な雰囲気になっているのが目に付きます。
そして当初、何かと批判された非力なエンジンも、55年モデルでV8エンジンに載せ替えられ、マニュアルミッションの搭載により、段々とスポーティーな車へと変貌していきましたが、それでも、同時代のフォード・サンダーバードと同じく、どちらかと言うと、雰囲気を楽しむ車・・・というのが、この第一世代の特徴だと思います。
63年に登場した、2世代目では、従来のコンバーチブル主体から、クーペが主体となり、この世代こそが、現在のコルベットの先祖と言える様な気がします。
当初ライバルであったサンダーバードは、58年モデルで4シーターへと変貌し、それ以降、ラグジュアリークーペに変貌して行きましたが、コルベットは、より本格的なスポーツカーへと変貌することで生き延び、互いに全く似ても似つかない車になっていきました。