先日、ツアーに出かけたバスが、ダウンタウンに到着する前に冷却水を失い、警告音が鳴り響き、代わりのバスと交換するということが起こりました。
戻ってきたバスを見ると、スターターの近くに冷却水が垂れているのが確認できました。
あまり冷却水も残っていない様なので、加圧テストは行わず、取り敢えずリフトアップして目視で確認した所、シリンダブロックにある鉄製のプラグから冷却水が漏れているのが確認できました。取り敢えずソレを外してみた所・・・こんな分厚い鉄の塊が半分ほど錆びて失われてしまい、穴が空いていました。
こういうモノは外見からは分かりませんし、ある日突発的に起こるトラブルです。
この半分失われたプラグを持って、配管専門の業者に行ったのですが、やはり半分失われているせいか、微妙に違うサイズのものを渡されてしまいました。
反対側にもう一つ同じ物が付いているので、ソレを取り外してサンプルとして持って行った所、無事同等の物を入手することが出来、無事作業は終了しました。
しかし、この最初に問題を起こした運転席側の方は、全く手が届かず、8mmのヘックスソケットに3/8ドライブの20インチという長いエクステンションに、これまた長い19.5インチのラチェットが必要でした。やはり長いエクステンションというのはシナリがあるので、この様な長いハンドルが必要になるのです。しかもヘックスって舐めやすいので作業しにくいですね。
新しいプラグを取り付けて、加圧テストをした後、試乗で問題なかったので、修理は終了しました。
一見この時の運転手は被害者にも見えますが、実はコレ、朝駐車場で既に漏れ始めていたのです。ということは、運行前点検をちゃんと行わなかった運転手にも非があるということになります。
下まで潜らなくても、最低限冷却水のレベル位点検していれば、出かける前に車両交換ができたのですから。
翌日には運行に復帰してメデタシメデタシ・・・と思っていたら、今度は別の車両が冷却水漏れを起こしました。また同じ様な位置に水たまりができているので、また同じか・・・と思ってリフトアップしてみると、同じ様な所が濡れているものの、例のプラグからは漏れていません。
加圧してみると、確かにその付近なのですが、何処から漏れているかは全く見えません。
その付近にある冷却系といえば・・・客室用のヒーターホースだけです。
こういう全くなにがどうなっているか分からない場合はどうするか?というと、ヒーターホースを作業性の良い場所で「切断」します。
日本人の感覚だと驚くかも知れませんが、正規の場所で取り外したら、かえって大事になってしまうので、手の届く、作業可能な場所でホースを切断し、引っ張り出してから状態を確認するのです。
2本有るヒーターホースの一本目を切断して引っ張り出した所、思った通り、排気系に当たって焼けた跡が確認できました。
アメリカのこの手の車両は、冷却系のホースでも、断熱材さえ巻けば、排気系の真横だろうが平気で設置するのです。しかも今回のケースは、全く何処でどうなっているのかも見えないので、こうやってカンでホースを切断した上で点検、交換してやる必要があるのです。
そうやって悪い部分を切り取り、この手のジョイントを使って新しいホースを取り付け、更に配管ルートを移動させてやる必要があります。
そしてもう一本のホースもどうなっているか分からないので、コチラも切断してから引っ張り出して点検します。幸いコチラは問題無かったので、移設した上で前述のジョイントを使用して繋げました。
この移設も、他の整備作業に影響が出ない様な場所を選ばないといけないのが難しい所です。
2日に渡って冷却水漏れの修理となってしまいましたが、幸いどちらも翌日には復帰する事ができたのが幸いでした。