ローバー75 最後のイギリス車
イギリス車タイミングベルトを3本も使用している上に、その劣悪極まりない整備性のお陰で、タイミングベルトの交換工賃も10時間位になります。
シリンダーヘッドガスケットの問題ですが、実はシリンダーライナーが上手く固定されていなくて、動いてしまうことで、冷却系にオイルが混ざってしまうのです。この辺りは、ブロック交換、若しくは内燃機屋送りとなるので、完全にエンジンを降ろしてバラさないとダメなのです。
2008年のアメリカ滞在時、以前関わりのあったアメリカ車が軒並み姿を消していることに驚き、その姿を記録に止めようとブログを開設し、今年で12年目になります
写真を見て、何をしている様に見えるでしょうか?タイヤを外し、エンジンをミッションジャッキでサポートして・・・実は単なるベルト交換なのです。
事の始めは先週に遡ります。中古車として販売したスズキ・アエリオなのですが、エアコンを使用するとベルト鳴きを起こすというので、お客さんが待っている間に調整する事になったのですが、どうしても工具が入るだけのスペースが無いのです。何とかボルトは緩めたものの、ベルトは張るのに使用する10mmのアーレンキーが、どうしても入らないので、何とか工夫して少しは調整出来たものの、やはりベルト鳴きを完全に抑えることは出来ませんでした。
エンジンマウントを落としてやれば・・・と思ってやってみたものの、全くダメでした。
この車は、前後左右の4箇所でエンジンをマウントしていますが、充分に工具が入るスペースを確保するには、左側のミッションマウント以外の全てを落とさないとダメだ・・・という結論に達し、しかも、どうせそんな作業をするのなら、ベルトも交換した方が確実だという事になり、事情を話した上、お客さんの都合の良い日に再入庫して貰うことになったのです。
そして、今日その作業をしたのですが、案の定、実に簡単に作業が終了しました。先週試行錯誤で時間が掛かったのが嘘の様に・・・。
写真の赤丸の部分がベルトテンショナーなのですが、本来はこの角度からは全く見えないものを、こうやって傾けてやることで、ようやく工具の入るスペースが確保できたのです。
たかがベルト交換、もしくは調整程度にこれだけ大掛かりな作業になるというのは、何ともやり切れない思いがするものの、逆にやり方さえ分かれば、決して難しい作業では無いのです。
これを整備性が良いというか、悪いというか・・・何とも微妙なところです。
私が整備を始めた頃、ベルトの調整といえば、定期点検では当たり前に行う作業でしたが、現在、殆ど無くなったと言えます。そしてベルト自体も10年近く持つ程に品質が向上しています。それ故に精々10年に一度いじるかどうか・・・の様な部分の整備性は後回しにされてしまうのです。
因みに、現行インプレッサ以降のスバルは、エアコンベルトは既に非調整式で、取り外す時は切り、装着する時は、専用ベルトに同封された取り付け工具を使用します。何れ、オルタネーターベルトも、同様になるのかも知れません。
オマケに、最近の車はタイミングベルトを使用していない為、余計にベルト周りのスペースが狭くなる傾向にあります。もし10年後、この手の車のシリンダーヘッドを降ろす様なことにでもなったら、結構苦労するかも知れません。
プラスドライバーでは、ACRという技術を使いたい為に、スナップオンのドライバーをメインに使用していますが、モデルチェンジ毎に巨大化するグリップには、正直食傷気味です。
マイナスに関しては、スナップオンも使用していますが、どちらかと言うと、マックの方が気に入っています。既に旧型となってしまいましたが、写真のタイプは、80年代のスナップオンのソレに近い形状で、スリムなグリップが非常に具合が良いのに加え、スナップオンとは違い、ブレードが固定式になっている為、非常にガッチリとした感触があるからです。
現在、マイナスドライバーを「ねじ回し」として使用する事は、非常に稀です。車では、ホースパンド、一部の調整ネジといった程度でしょう。よって、むしろプライバーの替わりの様な使い方が殆どである為、それ故にガッチリとした剛性感が気に入っているのです。因みにスナップオンの物は何回か折ったことがありますが、マックはまだ一度も折ったことがありません。
現在も、写真のタイプは一部生産されているものの、主流は新型のラバーグリップに移行していますが、その余りに下品なデザインは、少なくとも日本人の間では不人気な様で、現在日本でマックのドライバーというと、旧六工社のペンタグリップがメインに売られています。
因みに、かつて日本では、ネジと言えばマイナスばかりでした。1954年、本田宗一郎氏がマン島TTレースを視察に行ったとき、様々な部品を抱えて帰ってきたのは有名な話ですが、その時、プラスネジを持ってきたのが、日本では最初だと言われています。
常に中心が保たれる為、パワーツールを使用した時、非常に作業性が良いのがプラスネジの特徴ですが、それを瞬時に見抜く辺り、やはり只者では無い・・・と思います。
そして、多くの日本の製品を見ていると、70年代にプラスネジに切り替えたものが多い様ですが、その背景には、大幅なパワーツールの導入という事実が隠れているのです。
写真:マック PNRB4AR、PJRB6AG
予備に置いてある新品です。現在このタイプは、赤のみになっていますが、かつては黄色、オレンジ、緑といったカラーバリエーションもありました。