70年代後半に勃発した空前のスーパーカーブームは、ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリ512BBの一騎打ちから、ポルシェ911、ロータス・ヨーロッパといった、明らかにクラスの違う車種まで同列に語られたかと思ったら、市販すらされていない試作車までも、その対象になったのです!
ランボルギーニ・マルツァル・・・これは1967年に製作されたランボルギーニのショーモデルなのですが、当時、私でさえ、その写真を持っていましたし、プラモデルなんかも普通に売られていたものでした。
広いグラスエリアが特徴的ですが、ミウラのシャシーをベースに4シーターにしたもので、エンジンは、ミウラの横置きV12の半分、横置きの直6となっています。
4シーターであること、そして、このフロンと回りのデザインは、後のエスパーダに、その影響を見て取る事が出来ます。
長年ベルトーネが保有していたコレも、2011年にオークションで1,350,000ユーロという値段で落札されたそうです。
あの熱病の様なブームの中で、10年も前のジュネーブショーに一度展示されただけのショーモデルまで持ち出されたというのには、改めて驚かされます。
ランボルギーニとしても、一台も市販していない車の「ライセンス料」が支払われたという稀有なケースであったことでしょう。
さて、この記事を書く時点でチョット気になったのが、一体何と呼んだら良いか?でした。
当時はマルツァル、マザール、マルザル、マーツアール等、様々な呼び方が有ったのですが・・・。Marzarというスペルを見ると、アメリカ的に読めばマーザールの様になるでしょうし、ヨーロッパ的に読めば、マルザル、マルツァルの様になるのでしょう。
試しに検索してみたら、マルツァルという表記が一般的な様ですが、恐らくコレがイタリア語に近いのでしょう。
例えば初代カマロが登場した時、カーグラフィック誌では、「カメイロ」と表記していました。確かにアメリカ人の発音をそのままカタカナ表記にしたのでしょうが、後にローマ字読みでカマロという呼び名が定着しています。
カウンタックも、英語ではコーンタッシュとなる等、外国車の呼び名をどう日本語で表記するか?は時々遭遇する厄介な問題なのです。
この車の場合、市販されなかったこと・・・ソレ故に、統一した呼び名が出来なかったという稀有なケースと言えるのかも知れません。
インターネットも無い当時、一般の人が海外の情報を知る手立ては限られていました。ソレ故に、こんなショーモデルが、あたかも市販されているかの様な扱いを受けてしまったのでしょう。