C4 シボレー・コルベット・コンバーチブル
シボレー写真は、84年に登場した4代目のコルベットです。
コルベットというと、良くも悪くもアメリカを代表するスポーツカーとして、その名を知られていますが、先代までが、正にアメリカ車そのもので、「ハンドリング…何ソレ?」という車であったのに対して、この車は、ハンドリングにも大いに手を加えられ、コルベットが、より国際的水準のスポーツカー的に路線変更したものでした。
考えてみると、初代のコルベットは、第二次大戦時、そして戦後、ヨーロッパに駐留したアメリカ兵の間で人気を博し、アメリカに持ち込まれたヨーロッパ製のスポーツカーを意識した車だったのですが、何時の間にかアメリカ製ドラッグレーサーの様な車に変貌し、そして、再びこの世代でヨーロッパ嗜好を目指した…という事になります。
ただ、初代の頃は、MGやアルファロメオといった車のアメリカ版だった事を考えると、随分とクラスアップしたものです。
この世代の登場した84年というと、まだ世界的に排ガス規制等に苦労していた時代で、馬力も当初は5.7リッターで205馬力と、大した事の無いものでしたが、その後、毎年の様にパワーが向上し、最終的には300馬力の大台に達し、更にZR-1の様な高性能バージョンも追加されました。
写真はコンバーチブルですが、86年に登場しました。
コルベットとしては、久々のコンバーチブルですが、この車、何を隠そう、荷物を入れるスペースが、ほぼ皆無なのです!
通常のコルベットは、ハッチバックで、リアハッチの部分が荷物室になっていますが、コンバーチブルでは、その部分に折り畳んだルーフを収納する様になっているのです。
トランクも無く、シートの後ろも然り…折角お洒落なデートカーに使おうにも、日帰りのドライブが精一杯なのです。
フェラーリだって、もう少しマシです。
結局、男一人で…という使い方になるんでしょうか?
そんな意味からも、大変に贅沢な大人のオモチャ・・・と言える車です。
今や完全に絶滅してしまったリトラクタブルライトも、実に良い味を出しています。
元々、全高の低いヨーロッパ製スーパーカーが、アメリカの法規制に合わせて苦肉の策として採用したと言われるリトラクタブルライトですが、北米でヘッドライト常時点灯の州が増えたこと、対歩行者の安全性に劣る事、コストダウン…といった理由から、現在は完全に絶滅してしまいましたが、やはりスポーツカーには欲しいデザインですね・・・。
80年代は、アメリカ車が大きく変わった時代ですが、全体的にコンパクトになったものの、走り自体は、旧来のフワフワと真っ直ぐ走る車だった中、コルベットは一足速くソレから脱却し、一定の評価を得ました。
それ以降も世代交代する毎に、走りもハンドリングも向上し、名実と共にアメリカ製スーパーカーの地位を独占していますが、あのGMが、こんな販売台数の限られたスポーツカーを作り続けているのは、ある意味奇跡に近いことです。
あのダッジ・ヴァイパーですら、経営破たん時に一度は生産中止になったことを考えると…。
かつては比較的よく見かけるスポーツカーでしたが、今や本当に貴重な存在という気がします。