前日に続き、この日も凄まじく寒い日でした。
それでも、明日からは雪になるというので、行動する以外にありません。
レンタカーを借りて、インディアナ州まで行きました。本来、帰国の前日辺りに予定していたのですが…。
シカゴのホステルでは、駐車場が無いので、次の日に返すとなると、駐車料金が高くなってしまうので、24時間借りたとしても、その日の夜に返してしまった方が安く上がるのです。
そこで、ケンタッキーの時と同じく、空港で借りることにしました。
ところがシカゴの場合、空港にレンタカー会社が無く、各レンタカー会社が定期的に運行しているシャトルに乗ってオフィスまで行くことになります。
その事が分からず、最初に来たレンタカー会社のソレに乗って行ったものの、料金が非常に高額だった為、一度空港に戻り、ネットで予約を入れ、それからシャトルに乗り、オフィスに向かいました。
車種は中型車でBuick Verano or similar... となっていたので、ソレにしました。
ビュイック…とは言っても、所詮はシボレー・クルーズ…デーウなんですが、どんなものか興味があったのです。
ところが、オフィスについて用意されたのは、事もあろうにカローラでした…。アメ車は無いのか?と聞いたら、ジープ等SUVしか無かったので、仕方なくカローラを借りました。
さて、シカゴのオヘア空港からインディアナ州までのドライブ…コレは私が30年前、父の運転で初めて見たアメリカの原風景だったのです!
そんな道を走りながら、様々な事が思い出されます。辺りを走る巨大なアメ車の群れ、ボロボロに錆びてドアがピラピラしながら走っている車、全てのパネルが違う色の車、上半身裸でノーヘルのハーレー乗り…片側4車線の広い道路…見るもの全てが新鮮だったものでした。
ソレを今、トヨタカローラで走っている自分…。道路が特別広いという印象も無く、辺りは日本車ばかり、車もきれいで、昔のような錆びた車は全く見掛けません。
そして驚いたのが、高速料金の値上がりでした。このルートは、30年前からすでに有料だったのですが、当時は15セントを3回払っていたのですが、今回は1.5ドルを3回…30年経ったとは言え、実に10倍…随分と値上がりしたものです。
後から聞いた話ですが、この道路の管理は、現在フランスの企業によって行われており、彼らにとっては道路=生活基盤ではなく、単なるビジネスでしか無く、それ故の値上げだということでした。
1時間ほどでインディアナ州グリフィスに到着しました。私が最初にアメリカの生活を体験した町…全てがユッタリとしたココは、まるで30年前と変わっていない気がしました。
ただ、街道沿いにチェーン店が増えたり、よく行った本屋が閉店していたり、細かい変化は見て取れました。
昔、日本と比べて安くて感激したマクドナルドは移転しており、昼食は、アメリカに来て初めて自分で行ったバーガーキングへ…。店内の雰囲気は変わったものの、同じ場所にありました。
私のオーダーを取った女の子は、その日が初日だった様で、色々と手間取りましたが、私が昔、ロクに英語も喋れない頃に初めて自分で買い物した店で、気長に対応してくれたことを帰り際に話し、有難うと言って店を出てきました。
そしてもう一つの目的が、その10キロチョット先のゲーリーでした。 ゲーリーに関しては、このブログでも以前取り扱いましたが、かつて、アメリカ最大の製鉄会社USスチールの城下町として開発され、鉄鋼の衰退とともに衰退し、全米最悪の治安で有名な所です。
私の居たグリフィスも、ココ自体は十分に治安が良いものの、ソレを少し東に行くと、段々と町並みが汚くなってくるのです。かつては、黒いつや消しのカマロなんかが爆音とともに疾走していたものでした。
その度合がゲーリーに近づくにつれ、酷くなっていきます。
マイケル・ジャクソンの出生地として知られるゲーリーですが、やはり今でもジャクソンファミリーは、彼らにとって誇りでもあるのです。
ジャクソンファミリーの家を観光地化しようとした様ですが、ソレも上手くは行きませんでした。
因みにアメリカでは、アチコチで「ジャクソンストリート」という名前の通りがあります。それは、7代目大統領のアンドリュー・ジャクソンから来ているのですが、ゲーリーのソレは、マイケル・ジャクソンから来ているのです。
コレはゲーリーでも有名な建物で、かつてはパレスシアターと呼ばれており、大変に豪華なシアターであったそうです。
2002年にミスUSAがゲーリーで開催された時、ドナルド・トランプがこの建物の表面をキレイにしたのですが、15年経った現在、窓に貼られた装飾は崩れ落ち、元の状態になってしまっています。
コレが、そのキレイにされた当時から、そんなに時間が経っていない頃の写真ですが、ジャクソン・ファイブの文字が奢られています。
実際には彼らがココで歌を披露したことは無いそうです。
とにかく建物が結構立派なのが、かつて如何にこの街が栄えていたかを物語っている様です。
一体どんな人が、こんな車に乗っているのでしょうか?ホイールだけでもかなり高そうですが…。それに、この辺りにしては、家がキレイです。
30年前には、結構人が所在なげに徘徊していたものでしたが、ソレすら見掛けなくなりました。
何処に行っても廃墟の様な建物ばかり…。
この街に関しては、例えばシカゴの3番目の国際空港の候補地にも上がっていますが、コレでは余りに酷い…という事で、その計画さえも進んでいません。
まあ、こんな家じゃなくて、比較的キレイな通りも有ったのですが、だからと言ってココが住みやすい町とは思えません。
殆ど大した店が営業していないので。
シカゴからゲーリーに来るには、鉄道を使うという手もあるのですが、そうしたら、この街を歩かなきゃいけないので、オススメは出来ませんね。
マイケル・ジャクソンの生まれた家とは言っても、グレースランドの様な博物館になっている訳でも無いですし・・・。
結構危険な街はアチコチ行ったことのある私ですが、ココに関しては、車から降りて散策しよう…という気には全くなれませんでした。
時々車を止めて撮影する時も、後続の車を確認しながらでした。しばらく同じ車が後ろにいる場合は、ルートを変更してやり過ごす位の用心は必用です。
しかし、運転している時はすっかり忘れていたんですが、こんなピカピカの赤い車、さぞかし目立ったことでしょう。
再びグリフィスに戻りましたが、日が傾くにつれ、一段と冷え込みが厳しくなってきました。
かつて食料品の買い物をしていたスーパーで、食料の買い出しをしました。
シカゴよりも随分と安いですし、今回旅行した中で、ダントツ安かったですね。
30年前、アメリカの物価が物凄く安く感じたのは、もしかしたらココに居たから…というのも有ったのかも知れません。
かつてはステーキ肉1枚1ドル程度で買えたものでしたが、今はアメリカでも5~6ドルは当たり前にします。それが2枚で5ドル程度で、しかも結構良い部位でした。
しかし…シカゴに来てからの連日の氷点下、この日もコンスタントに氷点下でした。しかもずっと南部を旅していた関係で、十分な服を持っていなかったこともあり、流石に体調が悪くなってきました。
何か冬服を買う…とは言っても、家に帰れば十分以上に有るので勿体無いというのもありますし、何処に行っても既に春物しか売っていないのです!
昔からある近くのKマートに行き、店内を見ていると、女性店員がセーターが一枚、4ドルの値札がついているのを出してくれました!コレなら買っても損はないや…と思い購入。
昔からそうなのですが、何かこの町では、不思議と良い買い物が出来るんです。
あとは、本格的に体調を崩す前に、風邪薬を購入。
普通、こういうのを取り出す時、透明の部分を押しますよね?ところがコレ、そうやると…薬が砕けました!
今まで生きてきて、こんなの初めてですね…アルミフォイルの部分が硬すぎるからなのですが、穴開けてやらないと、上手く出てきませんでした。
夕食はレッドロブスターでも・・・と思って行ったら、混んでいて待ち時間が有る上に、また高いこと…当たり前に30ドルオーバーのものばかり…日本とは随分と価格帯が違うと思いました。
体調もイマイチで食欲も…余りアメリカ風の物を食べる気にもなれず、中華のテイクアウトを買うことにしました。小と大があり、大を注文したら…多すぎて食べきれませんでした。こういうの、アメリカでは経験しなくなりましたね…。
コレを食べたら体調も回復し、シカゴを目指して運転を始めました。
30年前、やはりこの広い真っ直ぐな道路を走るには、日本車は決定的にパワー不足、排気量にゆとりのあるアメリカ車が良い…なんて言っていたものでしたが、今やカローラでも十分過ぎる位にあの道を快適に走れるんですから、改めて驚かされます。
暗くなった高速を走っていると、何となく道路が煙って見える様になってきました。霧かと思ったら雪でした!パウダースノーなので、窓ガラスにもつかず、霧のように路面を舞っているのです。
結局この日は160マイル走って、ガソリン消費は4.9ガロン。
この前のフォード・フュージョンが200マイルで4ガロンだったことを考えると、少し劣りますが、まあ通常のガソリンエンジンであったこと、そしてゲーリーで長時間ノロノロ運転をやっていた事も影響あったと思います。
レンタカー会社に着いた頃には本格的に雪が積もり始めていました。車は保険込みでトータルで45ドルと、ケンタッキーと比べても随分と安く上がりました。
翌日、宿の人にゲーリーに行ってきたことを話すと、やはり皆驚きます。そして、誰一人として行ったこと無いと言うのですから、やはりそういう場所なのです。
懐かしい場所を訪れ、そしてゲーリーを探索して、満足な一日でした。
ダウンタウンに着いたら、一面新雪に包まれていました。普通なら撮影に出るところですが、体調もイマイチでこの寒さ…とてもそんな気分にはなれませんでした。