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ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

織田裕二in世界陸上、他

・織田裕二が初めて世界陸上のキャスターを務めた時は、もの凄い違和感と「何でまた織田裕二?」という強い疑問を感じたものだが、今や完全に世界陸上中継の顔として定着してしまった感がある。慣れって恐ろしいなあ。

・それにしても、この人は何ど後姿を見せれば気が済むんだ。

・多分、自分が「俺は後ろのトラックの方が気になって仕方がないぞ」という姿勢を見せることで見ている者を盛り上げようという、彼独特の演出法の一つなんだろうけど。どうもこの人は、何か普通ではない何かをしなければならないという強迫観念に囚われ過ぎているような気がする。

・それが例の(前回大会までの)異様なハイテンションだったり、「地球に生まれて良かった~」という名言を生み出したわけだが。

・全然知らなかったけど、織田裕二が後姿を見せまくり、ボルトが驚異的な記録を出して盛り上がっている裏で、山本高広がひっそりと『TBS「壁を壊そう!炎の240時間マラソン」』に挑戦していたらしい。

・そういや世界陸上が始まる前になんか彼が走っているシーンをチラッと見たような気がするが、まさかこんな壮絶な企画が行われていたとは。

・しかしこれは余りに露骨過ぎるだろう。だって、これって要するに(当人が快く思っていなかったらしい)織田裕二のモノマネに対する贖罪と禊みたいなもんでしょ。これをやり遂げたなら許してやる、みたいな。

・いや、実際織田裕二当人がどう思っているかは分からないが、山本高広の立場上、嫌でもそういう意味として捉えざるをえないだろう。当然TBSだってそういうことを分かっていてこの企画を組んだはずだ。

・しかも二人で600キロを走るって。幾らなんでも走らせすぎなんじゃないか。もはやスポーツというよりは苦行の域だ。間寛平みたいにマラソンをライフワークとしている人ならともかく。

・まあ芸能人としては仕事が貰えるのはいいことだし、これで思う存分織田裕二のモノマネが出来ると考えれば安いものなのかもしれないが、ちょっと薄気味悪さを感じるさせるよ、この企画は。

・後にこの企画に関するドキュメントが放送されるらしい。勿論見ないけど。

・そもそも、誰かにマラソンのような試練を与え、それに一生懸命取り組んでいる姿を見せて感動させようとするようなもの自体に自分は余りいい印象を抱かない。要するにそれは自己(実は他者)啓発なわけで。地獄の研修とか、オウムの修行とかと用いている手法は同じ。

・そしてそこで生み出された「一生懸命さ」は、何らかの主張の根拠とされたり、「あんなに頑張っている者が居るのにお前はなんだ!」という暴力の正当性を担保するものとして利用される。

・そうなったらそこでセットにして用いられていた思想や目的、摂理性に対する批判は中々難しいものになる。何故かって、それを批判すれば、それとセットとして提供された「頑張りによる成長物語」や「感動体験(希望)」を獲得した者は、自分が獲得したその感覚までもが否定されたように感じるだろうから。

・自分の感覚や、自分が信じている「(成長)物語」や「希望」を否定されば、そりゃ怒るわな。だからそれを信じている人はそれを肯定しようとして必死になるわけだが、それを肯定するには、それの前提となっている思想や目的、摂理性自体もまた同時に肯定しなければならない。逆に言えば、その思想や目的、摂理性を否定すれば、「物語」や「希望」をも否定してしまうことになる。つまりその者の逆鱗に触れずにその主張を批判するのは難しい。

・そうやって一度個人の感覚や経験という裏づけによって固定化されてしまった思想や目的、摂理性は、自分自身でも簡単には覆すことは出来ないだろう。

・まあそういった「物語」や「希望」を自分だけのものとして留めておいてくれれば別にかまわないのだが、人間のサガとして、どうしてもそれが同じ社会に住む他の者全てに共通するものであるかのように思いたくなり(というかそういう前提がないと自分のそれを中々信じきれない)、外部へと拡張しようとし始める。要するに布教だ。

・で、こういった自己啓発的精神論を布教しようとすれば、必然的にジコセキニン論みたいなものを生み出さずにはいられなくなるという。それがどのような暴力性を持っているかはもはや言うまでも無いだろう。

・まあその内容がなんであれ、この手の手法は視点が『ポピュラス』なんだよな。誰かに試練を与え、それを乗り越えて達成すべき真の目的や進むべき真の道筋、そしてその前提となる摂理性を示しているお前は神にでもなったつもりか、という。

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ひきこもりという役割を引き受け
ざるを得なかった一人として
人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

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