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ポジティブ・アレルギー

物事を顧みず、ひたすら自身にとって都合の良い部分だけを見て突き進まなければならない、ポジティブ社会への拒絶反応

むしろそれは、学校の中からやって来ているのかもよ?


18歳フリーター、中学校で男性教諭刺す…愛知・知立
(読売新聞)

 29日午後1時半ごろ、愛知県知立市の市立知立中学校で、同校教諭の神谷佳久さん(34)が、男に刃物で胸などを刺された。男はその場で取り押さえられた。

 県警によると、男は同市内のフリーター(18)。殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。動機などを追及する。神谷さんは、胸や背中、左腕などを刺され、病院で手当てを受けている。けがの程度は不明。男は同校の卒業生とみられる。

今のところこの事件に関する概要は全く不明だが、恐らくこれを契機として、また「学校の外からの侵入者」に対する対策の強化が叫ばれることになるのだろうと思う。
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しかし、そうやって学校の外からの脅威に気を使い過ぎることは本当に良い結果に繋がると言えるだろうか。というのも、この手の事件の場合、学校という川で生まれた稚魚としての「恨み」が、より大きな社会という海へと旅立ち、それが成長してやがて成魚となり、その目的を果たすだけの力を蓄えた上で再び己が生まれた場所としての学校(川)に戻ってきているだけかもしれないからだ。

だとすれば、幾ら学校の外からの侵入者に対して強固な警備体制を取ったところで、それは事件を防止する根本的な対策には全くならないだろう。何故なら、幾らそうやって学校の中を要塞のようにして守ってみたところで、その大きく成長した「恨み」は学校の外でその本懐を遂げることになるだけだからだ。或いは学校という属性を持たない対象に対してその矛先が向けられるようになるだけかもしれない。実際、学校の外で起こっているこの手の暴力事件にしてみても、元はと言えば学校の中での経験がその発生に大きく関与しているというケースもかなり多いんじゃないのか。

つまり、学校の外からの脅威にばかり気を取られているが、むしろ学校の中で未来の脅威を、タイムラグを経てやってくるその暴力の源を生み出し続けていることの方が、そこでいじめや体罰(或いは見せしめなど生徒に大きな精神的ダメージを与える行為)、規範的抑圧などによって「恨み」という稚魚が沢山生み出され、それを外部へと放流しまくっているような状態を改善もせず放置していることの方が問題なんじゃないのかと。

だから自分としては、学校の外からの脅威にリソースを消費するよりも、むしろ学校の中こそが未来の暴力の温床になっているのではないかという疑いを持ち、成魚へと成長してからではもう手遅れとなる「恨み」という稚魚をなるべく社会に放流しないようにすることこそが、この手の暴力事件に対するより有効な対策になると言えるんじゃないのかと思うのだが、まあいつも世間の趨勢と逆を行く自分がこんなことを考えている時点で、世間がこういった考えに理解を示すことも先ずないんだろうな、とも思う。

ただどちらにせよ、学校の中で起こっている問題を解決しない限りは、これから学校の外で起こることになるであろう問題もまた解決しないということだけは確かだ。逆もまたしかりかもしれないが。

世にも奇妙な…

自分が小学生の時の話。

自分が通っていた学校では、それぞれのクラスで
そのクラスをより良くする為の目標を取り決めて、
その目標を達成する為にクラスが一丸となり
協力し合わなければならないという方針があった。

そして、うちのクラスの目標は
「みんな仲良く」というものだった。

だがそんな目標は不可能だ。

だからこそ、どの時代のどの場所であっても、
常に個人レベルの小さな諍いの様なものから、
集団同士の大きな争いまで含め、
ミクロ的マクロ的戦争が絶える事はない。

世の中には、どうしても肌の合わない者同士がいる。

重要なのは、その肌の合わない者同士が、
お互いに上手く距離を保ち、それが原因で「斬った張った」や
「お互いがお互いの存在自体を否定する」といった
最悪の状態にならないように注意を払うことである。

つまり、肌の合わない者同士は「みんな仲良く」という
不可能な目標を目指すのではなく、
如何に上手く、肌の合わない者同士としての付き合い方を
するかという事こそ学ばなければならない。


明らかに目標設定が間違っている。

しかし、例えそれが誤った目標であっても、
それをクラスの目標と決めたからには、
その指針通りにクラスを運営しているという
体裁を保たなければならない。

その為には、
「うちのクラスは目標を達成する為に
こんな取り組みをしていますよ」
という何かアリバイの様なものが必要になってくる。

そして、その取り組みのアイデアとして
クラスで話し合いが行われた結果、
クラスの中心人物達の意見が採用された。

その取り組みとは、
「二十分休みはみんなで一緒にサッカーをして遊ぶ」
という全体主義的なものだった。

仲の悪い者同士を無理やり一緒に遊ばせた所で、
それで仲が良くなる訳がない。
むしろ余計な軋轢を生むだけだろう。

正に、体裁の為に実際を犠牲にする馬鹿げたルール。

そもそも、命令によって無理やり笑顔を作らせたところで、
それは決して「笑っている」のではないのと同じ様に、
肌の合わない者同士を無理やり一緒に遊ばせたところで、
それで「仲が良くなった」なんて言える筈もない。

だが、そこは実際よりも体裁を重んじる
というのがこの国の伝統文化。
その文化は既に子供の社会にも根ざしていた。

自分からすれば、その取り組みを提案した
クラスの中心人物達は、でしゃばりで慎み深さがなく、
集団を扇動したり、誰かを貶めることで自身の人気を
集めようとする様な者に思えて、大嫌いだった。

だから、なるべくなら余り関わりたくなかった。

それに、争い事が嫌いだった自分にとっては、
一つのボールを訳も無く奪い合わなければならない、
サッカーという競技自体が余り好きではなかった。
そもそも、そのルール自体もよく知らなかったし。

しかし、それがルールである以上それに従わなければならない。
例え、それがどんなにバカバカしいものであっても。
だから、自分は仕方無くそれに義務的に参加していた。

そう、クダクラゲの一部位になる為に。

 ***

ところがある日、普段は形式だけで済まされる筈の
「終わりの会」に於いて、そのクラスの中心人物の
一人から一つの議題が持ち上がった。

その議題とは…

「○○くん(私)達が、本気で遊んでません!」

だからなんなんだ、と言いたくなるが、
その本気で遊んでいない奴らを懲らしめるべきだ、
という私を糾弾すべくして出された訴え
であったことは明らかだった。

「みんな仲良く」というクラスの目標。
そして、その体裁を保つ為に取り決められた
「みんなで一緒に遊ぶ」というルール。

そのルールにより誠意を尽くして対応しようと
していない悪を懲らしめる為の正義の裁き。
「仲良くする者」からの「仲良くしない者」への
「仲良くする為」の鉄槌。

もうはっきり覚えていないが、
そのことに対してクラスで一通り意見が出され
話し合いが行われたような気がする。
概ね「もっと一生懸命遊ぶべきだ」というような
意見で統一されていたように思う。

その中には、訴えられはしなかったものの、
「一生懸命遊ぶ」ことをしていない者もいたのだが、
みんなその場の雰囲気を読み取って「正義」の側に付いたのだ。

そしてその訴えに対し、話し合いを通して
最終的に先生が出した判決とは…

「○○くん、これからはもっと本気で遊びなさい」


なんなんだ、これは。

朝起きたら巨大な虫に…何て次元を遥かに超えている。
何故ならば、虫は目で確認出来るからだ。

その時、そこでは目には見えない、
何かとてつもなく奇妙な出来事が確実に起こっていた。
しかし、その出来事を確認出来たのは私を含めて、
一緒にその糾弾を受けることになった二、三人だけだ。

クラスの残りの人間達は、その出来事に気付くどころか、
むしろその奇妙な現象の一部なのである。

ただでさえ話すのが苦手な自分が、その集団の中で
その訴えに反論するなんてこと出来る筈もなかった。

自分はもう泣くしかなかった。
恥ずかしながら、小学生の時は泣き虫だったのだ。
でも、悲しくて泣くんじゃない。

それが、感情を言語や暴力に変換して上手く
発散することが出来ない者の、
ただ唯一の発散方法だったのだと思う。

言わば、桂ざこば的悔し涙。

それに、反論したところで
クラス全員がその現象の一部なのだ。
「もっと一生懸命遊ぶべきだ」と意見した奴らなのだ。
一体、そういう環境の中で一個人が何を出来よう。

自分には、その現象が一刻も早くその場から
姿を消すのを待つことだけしか出来なかった。

だが、その願いは叶わず、
その場所では度々その様な奇妙な現象が起こり、
そして、その現象は今も私の一部となって生き続け、
私の未来と現在に常に介在してくるのだった…。


学校という、世にも奇妙な不思議ワールド。

そこでは、人知を超えた、
いや人間という集団だからこそ生み出される
目には見えない奇妙な出来事が
今日もまた起こっているに違いない。

そして不運にも、その目には見えない現象の
存在を確認してしまった人達の未来には、
どんよりとした不吉な暗雲が立ち込め始めるのである。
 

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Author:後正面
ひきこもりという役割を引き受け
ざるを得なかった一人として
人間について考えてみる。
でも、本当はただの断末魔ブログ。

働けど無職。
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