音への逃避
この所、どこに目をやっても腹の立つことばかりが目に付き、
イライラしっぱなしだったのだが、しかしこれでは精神衛生上
良くないということで、気晴らしのために最近ちょっと気になっていた
二つのVSTを試しがてらに使いながら遊んでいたら、
何時の間にか出来上がっていたのがコレ。
・サウンド・エスケープ01(3分42秒)
まあ特に意味はなく、ただひたすら効果音が繰り返し鳴っている
だけのものだが。こういうのはジャンル的には何になるんだろう。
しかし、この手のものは頭を一切使わずただ感覚的に作ることが
出来るのでストレスが溜まらなくていい。ただ、調子に乗ってエフェクトを
立ち上げまくっていたら直ぐにパソコンの処理能力を超えてしまい、
それでイライラするというのはあるが。
----------------
で、その気になっていたVSTの一つ目がこれ。
◎「LoopDrive3」(Version3)
「DTMn」で「ループ組み換え音源」という呼び名で紹介されていたもの。
これがどういうものかといえば、このVST上に読み込んだwavファイルを
一端切り刻み(何分割するかを決定出来る)、その切り刻んで出来た
其々の音の断片をどの様な順番で鳴らすかということを内臓シーケンサで
指定すると、そのパターン通りにそれらを繰り返し鳴らしてくれるというもの。
下の画像は、実際に何らかのwavファイルをこのVSTに読み込ませてみた所。
この場合、読み込んだ波形が7分割されていることが分かるだろう。
シーケンサは以下のように、縦軸で選択した(スライスして出来た)
其々の音の断片を、左から右の順に演奏していき、一番右まで来るとまた
最初に戻るいう仕組みになっている。分り易いように番号を割り振ってみたが、
縦軸では、下の方へ行くほど元となるwavファイルの頭の方を、
上の方へ行くほど元となるwavのお尻の方の音を示している。
この手の機能はドラムループのパターンを組み変えるのに使うのが
より一般的らしいのだが、自分が使ってみたところでは、
どちらかというとそれよりも効果音作りにより力を発揮するような気がした。
実際、今回作ったものは基本的にこの「LoopDrive3」を複数立ち上げて
そこにひたすら素材となるwavファイルを放り込んでいくことで完成した
ものだが、そこで鳴っている音は、殆ど元の音の原型をとどめていない。
こういった効果音を普通のVSTシンセで作るのは結構面倒だったりするが、
これを使えば何も考えず、いとも簡単にそれが出来てしまう。
今回自分は、以前に買っておいたDTMマガジンの素材大放出号の素材
(パーカッションとFX)を使ってこれを作ったが、素材が無ければ
「soundsnap」や「freesound」から素材を引っ張ってきてもよいだろう。
効果音を作るだけなら、素材の質も余り問題にはならないし。
いずれにせよ、これは便利だわ。まあ、ある程度の値段のするDAWには
既にこういった機能がデフォルトで搭載されているのだろうけど、
(フリー版の)REAPERにはそれがないので非常に有り難い。
因みにREAPERでこれを使う時は、先ず「LoopDrive3」を読み込んだ
トラックに、メニューの「挿入」から「空白のイベント」を選らんでセットし、
さらにREAPER側の再生ボタンを押して、それから「LoopDrive3」の
再生ボタンを押すことでようやく音が出るようになる。
ただ、このVSTを使うにあたって少し気になったことが幾つかあった。
・立ち上げる度に「Wrong wave format or not wave」
というエラーメッセージが表示される。
要は、デフォルトのwavファイル読込先が以下の様になっていて、
「D:/Musik/samples/VEC/VEC1 BreakBeats/VEC1 Loops BB140 006.wav」
立ち上げると同時にこの場所からファイルを読み込もうとするのだが、
そこにファイルが無いからこういうエラーが出るということなんだろうけど。
なんだか妙な仕様だが、仕方が無いのでDドライブにこの読込先と同じ場所を
作って、そこに適当なwavファイルを置いて「VEC1 Loops BB140 006.wav」と
名前を変えることで、少々強引ではあるがこの問題は解決した。
しかし、その対策を取る前はwavを読み込めないからこそエラーが出ていた
はずなのに、そのままでも音はちゃんと鳴っていたのだから益々謎は深まる。
一体どこからその音を読み込んでいたのだろう。
・REAPERのプロジェクトでwavファイルの読込先を記憶できない。
つまり、プロジェクトを立ち上げる度にwavファイルをセットし直さなければならない。
これも多分一つ目の問題と関係しているのだろうけど、
ともかく、ちゃんとどのファイルを読み込ませていたのかを
其々のトラックに明記しておかないと、後で面倒なことになる。
もしかしたら自分の気づいていない設定法か何かがあるのかもしれないが。
・同じファイルでも一度目に読み込んだ時と二度目に読み込んだ時で音が変化する。
一度目に読み込んだ時は、二度目に同じファイルを読み込んだ時よりも
少々ぎこちのない鳴り方になる。だからコレを作った時はわざわざ同じファイルを
二度読み込み直していたのだが、その後、「LINK TO HOST」をオン・オフ
するだけでこのぎこちなさは解消されるらしいことに気づいた。波形の表示に
関しても、一度目と二度目に読み込んだ時でその表示が異なるのだが、こちらも
「SHOW ANIMATION」をクリックすると二度目に読み込んだ時の波形表示になる。
***
◎「Binauralizer-PiF-2oo8」
そして気になっていたもう一つのVSTがこちら。
これは「Sound & Tools」で紹介されていて知ったもの。
これを使えば、ダミーヘッドを使って録音したようなサラウンド効果が
得られる。ただし、Azimuthの稼働範囲は左右に90度までなので、
頭の周りを蚊がぐるぐると飛び回る、みたいなことは出来ない。
というか、残念ながらREAPERではそもそもエンベロープを使って
パラメータをコントロールしようとすると強制終了になってしまうため、
REAPERでこのVSTを使うときはパラメータを固定したままでしか
使用できない(バイパスのオン・オフだけはエンベロープで操作可能)。
しかし、パラメータ固定でも充分使う価値のあるVSTだと思う。
今回作ったものでは、右の方で鳴っている雨粒のような音と、
左の方に時折出現するカチカチした音にこのVSTを使用している。
***
幾つか問題点もあるものの、これらのVSTはフリーのものとしては
かなりよいものだと思う。他に似たようなものも余りないし
(自分が知らないだけかもしれないが)。興味があれば是非。
※ 自分が使っているのはあくまでフリー版の「REAPER v0.999」であり、
従ってこの記事に書かれていることもまた、そのバージョンに関しての
仕様や挙動についてであることに留意。
イライラしっぱなしだったのだが、しかしこれでは精神衛生上
良くないということで、気晴らしのために最近ちょっと気になっていた
二つのVSTを試しがてらに使いながら遊んでいたら、
何時の間にか出来上がっていたのがコレ。
・サウンド・エスケープ01(3分42秒)
まあ特に意味はなく、ただひたすら効果音が繰り返し鳴っている
だけのものだが。こういうのはジャンル的には何になるんだろう。
しかし、この手のものは頭を一切使わずただ感覚的に作ることが
出来るのでストレスが溜まらなくていい。ただ、調子に乗ってエフェクトを
立ち上げまくっていたら直ぐにパソコンの処理能力を超えてしまい、
それでイライラするというのはあるが。
----------------
で、その気になっていたVSTの一つ目がこれ。
◎「LoopDrive3」(Version3)
「DTMn」で「ループ組み換え音源」という呼び名で紹介されていたもの。
これがどういうものかといえば、このVST上に読み込んだwavファイルを
一端切り刻み(何分割するかを決定出来る)、その切り刻んで出来た
其々の音の断片をどの様な順番で鳴らすかということを内臓シーケンサで
指定すると、そのパターン通りにそれらを繰り返し鳴らしてくれるというもの。
下の画像は、実際に何らかのwavファイルをこのVSTに読み込ませてみた所。
この場合、読み込んだ波形が7分割されていることが分かるだろう。
シーケンサは以下のように、縦軸で選択した(スライスして出来た)
其々の音の断片を、左から右の順に演奏していき、一番右まで来るとまた
最初に戻るいう仕組みになっている。分り易いように番号を割り振ってみたが、
縦軸では、下の方へ行くほど元となるwavファイルの頭の方を、
上の方へ行くほど元となるwavのお尻の方の音を示している。
この手の機能はドラムループのパターンを組み変えるのに使うのが
より一般的らしいのだが、自分が使ってみたところでは、
どちらかというとそれよりも効果音作りにより力を発揮するような気がした。
実際、今回作ったものは基本的にこの「LoopDrive3」を複数立ち上げて
そこにひたすら素材となるwavファイルを放り込んでいくことで完成した
ものだが、そこで鳴っている音は、殆ど元の音の原型をとどめていない。
こういった効果音を普通のVSTシンセで作るのは結構面倒だったりするが、
これを使えば何も考えず、いとも簡単にそれが出来てしまう。
今回自分は、以前に買っておいたDTMマガジンの素材大放出号の素材
(パーカッションとFX)を使ってこれを作ったが、素材が無ければ
「soundsnap」や「freesound」から素材を引っ張ってきてもよいだろう。
効果音を作るだけなら、素材の質も余り問題にはならないし。
いずれにせよ、これは便利だわ。まあ、ある程度の値段のするDAWには
既にこういった機能がデフォルトで搭載されているのだろうけど、
(フリー版の)REAPERにはそれがないので非常に有り難い。
因みにREAPERでこれを使う時は、先ず「LoopDrive3」を読み込んだ
トラックに、メニューの「挿入」から「空白のイベント」を選らんでセットし、
さらにREAPER側の再生ボタンを押して、それから「LoopDrive3」の
再生ボタンを押すことでようやく音が出るようになる。
ただ、このVSTを使うにあたって少し気になったことが幾つかあった。
・立ち上げる度に「Wrong wave format or not wave」
というエラーメッセージが表示される。
要は、デフォルトのwavファイル読込先が以下の様になっていて、
「D:/Musik/samples/VEC/VEC1 BreakBeats/VEC1 Loops BB140 006.wav」
立ち上げると同時にこの場所からファイルを読み込もうとするのだが、
そこにファイルが無いからこういうエラーが出るということなんだろうけど。
なんだか妙な仕様だが、仕方が無いのでDドライブにこの読込先と同じ場所を
作って、そこに適当なwavファイルを置いて「VEC1 Loops BB140 006.wav」と
名前を変えることで、少々強引ではあるがこの問題は解決した。
しかし、その対策を取る前はwavを読み込めないからこそエラーが出ていた
はずなのに、そのままでも音はちゃんと鳴っていたのだから益々謎は深まる。
一体どこからその音を読み込んでいたのだろう。
・REAPERのプロジェクトでwavファイルの読込先を記憶できない。
つまり、プロジェクトを立ち上げる度にwavファイルをセットし直さなければならない。
これも多分一つ目の問題と関係しているのだろうけど、
ともかく、ちゃんとどのファイルを読み込ませていたのかを
其々のトラックに明記しておかないと、後で面倒なことになる。
もしかしたら自分の気づいていない設定法か何かがあるのかもしれないが。
・同じファイルでも一度目に読み込んだ時と二度目に読み込んだ時で音が変化する。
一度目に読み込んだ時は、二度目に同じファイルを読み込んだ時よりも
少々ぎこちのない鳴り方になる。だからコレを作った時はわざわざ同じファイルを
二度読み込み直していたのだが、その後、「LINK TO HOST」をオン・オフ
するだけでこのぎこちなさは解消されるらしいことに気づいた。波形の表示に
関しても、一度目と二度目に読み込んだ時でその表示が異なるのだが、こちらも
「SHOW ANIMATION」をクリックすると二度目に読み込んだ時の波形表示になる。
***
◎「Binauralizer-PiF-2oo8」
そして気になっていたもう一つのVSTがこちら。
これは「Sound & Tools」で紹介されていて知ったもの。
これを使えば、ダミーヘッドを使って録音したようなサラウンド効果が
得られる。ただし、Azimuthの稼働範囲は左右に90度までなので、
頭の周りを蚊がぐるぐると飛び回る、みたいなことは出来ない。
というか、残念ながらREAPERではそもそもエンベロープを使って
パラメータをコントロールしようとすると強制終了になってしまうため、
REAPERでこのVSTを使うときはパラメータを固定したままでしか
使用できない(バイパスのオン・オフだけはエンベロープで操作可能)。
しかし、パラメータ固定でも充分使う価値のあるVSTだと思う。
今回作ったものでは、右の方で鳴っている雨粒のような音と、
左の方に時折出現するカチカチした音にこのVSTを使用している。
***
幾つか問題点もあるものの、これらのVSTはフリーのものとしては
かなりよいものだと思う。他に似たようなものも余りないし
(自分が知らないだけかもしれないが)。興味があれば是非。
※ 自分が使っているのはあくまでフリー版の「REAPER v0.999」であり、
従ってこの記事に書かれていることもまた、そのバージョンに関しての
仕様や挙動についてであることに留意。
コメント
言われてみれば
確かにさまざまな環境音をまとめた録音を用意すれば,サウンドスケープってこういう方法でも十分にできそうですね.「悲鳴とか」「きみの悪い音」とか集めて,ACIDでBGMを作っていた変態が知り合いにいたのですが,今考えると(嗜好はともかく)それほど変な方法ではないのですね.初めて知りました.
>それほど変な方法ではないのですね.
この手の手法を使って何か面白いものを作れないか、という試みは、録音技術が生まれて間もない頃からもう既に行われていたみたいですし、決して変な方法というわけではないでしょうね。所謂ミュージック・コンクレート?とかいうやつでしょうか。
そういえば、以前NHK-FMでジョン・ケージがまだ有名になる前に出演した演奏会の模様が放送されたことがあったのですが、それがテープ録音を用いたもので、「ギィ~・バタン(扉の音)、ニ"ャア~~(猫の叫び声)」みたいな感じで、観客がドリフ並みの大爆笑をしていたのが印象的でした。いや、もしかしたらあの大爆笑も作品の一部として録音されたものだったりして。
あと、もしかしたらお気づきでないかもしれないので念のため言っておきますと、自分が作ったのは音の風景といえば確かに音の風景なのですが、「サウンドスケープ」という単語で一般的に指し示されることになる概念について自分は余りよく知らず、迂闊にその名を冠するのは危険かもしれないという思いもあり、ここにアップしたものはあくまでそのパチモンということで、「サウンド“エスケープ”」なのです。
この手の手法を使って何か面白いものを作れないか、という試みは、録音技術が生まれて間もない頃からもう既に行われていたみたいですし、決して変な方法というわけではないでしょうね。所謂ミュージック・コンクレート?とかいうやつでしょうか。
そういえば、以前NHK-FMでジョン・ケージがまだ有名になる前に出演した演奏会の模様が放送されたことがあったのですが、それがテープ録音を用いたもので、「ギィ~・バタン(扉の音)、ニ"ャア~~(猫の叫び声)」みたいな感じで、観客がドリフ並みの大爆笑をしていたのが印象的でした。いや、もしかしたらあの大爆笑も作品の一部として録音されたものだったりして。
あと、もしかしたらお気づきでないかもしれないので念のため言っておきますと、自分が作ったのは音の風景といえば確かに音の風景なのですが、「サウンドスケープ」という単語で一般的に指し示されることになる概念について自分は余りよく知らず、迂闊にその名を冠するのは危険かもしれないという思いもあり、ここにアップしたものはあくまでそのパチモンということで、「サウンド“エスケープ”」なのです。
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