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2023年3月

2023年3月29日 (水)

改めぬをよしとする不動産

京都市の空き家税*

 2026年度に、京都市が、空き家に対する新税を導入するとのことです。非居住住宅利用促進税というもので、固定資産税評価額に応じて、3段階に分けて、高いものほど税率が高くなるようです。総務省の地方財政審議会で了承されたので、新税の実現が確実になりました。所有者にとっては、痛い課税強化ですが、空き家の活用を促進する政策として、正しい措置だと思います。今後、空き家対策に悩む他の自治体でも、導入を検討するところが増えると思います。

 

アカデミー賞*

 作品賞や主演女優賞などで、アジア系の受賞が相次ぎました。国際化が進んだという評価です。ただ、本当に、低予算のB級映画が作品賞に値する質を持っているのかどうか、疑問なしとしません。映画を見る人間としては、政治的な配慮は一切なしに、純粋に映画として見たもので評価してほしいと思います。例えば、カンフーは、武術として成立していてもらわないと、子どものお遊戯のようで見ていられません。作品賞を獲った映画が不入りでは、映画産業としては困るでしょう。映画を見たい人間には、選択の指針にならないアカデミー賞になりつつあります。なお、日本アカデミー賞は、WBCの裏番組になってしまい、多くの人に受賞の瞬間を見てもらえなかったのは、気の毒でした。日本の映画産業に、未来はあるのでしょうか?

 

無縁遺骨*

 日経新聞によれば、身寄りがない高齢者が増えたために、自治体が葬祭費を負担するケースが増えています。年間で4.8万件(死者数の3%)もあるのです。引き取り手のない遺骨については、最終的に、自治体が無縁納骨堂に安置するのだそうです。事前にNPO法人などの会員になって死後のことを頼むこともできますが、経済的な事情もあり、そうした手配ができない人もいるでしょう。先進的な自治体では様々な工夫をしているようですが、財政的にもマンパワーの面でも、全国の自治体の多くは、葬儀や納骨の世話ができるほど余裕はないと思います。家族や地域の中で問題が処理されてきた時代は良かったのですが、それが難しくなっている以上、人生の最後について一種の保障措置を受け皿としてシステム化する必要があるのではないでしょうか?

 

公示地価の上昇*

 国交省が発表した公示地価(住宅地)は、全国で1.4%、東京圏で2.1%の上昇となりました。商業圏は、さらに好調です。都市部や周辺では、共働き世帯の増加、低金利、在宅勤務の拡大などで、実需が旺盛だとされています。それでも、マンションの高騰などもあり、消費者は、物件の選択にはより慎重な態度で臨むのではないかと思います。経済成長なくして地価ばかり上昇するはずはないでしょう。リーマンショック前の2008年以来の上昇水準とのことですが、コロナ禍から再出発というタイミングが、こうした結果になったとすれば、持続的な上昇にはならないのではないかと思います。

 

金の積み立て*

 3月下旬に、金価格が最高値をつけたところで、積み立てをされていた多くの方は、売却されたのではないでしょうか?金には利子が付かないので、専ら値上がり益を得るしかありませんが、金価格が上昇するということは、自国の通貨への不安を感じている富裕層が増えているという背景があると思います。欧米での銀行の破綻で、経済の変調を感じて、安全資産の金に資金を移動させているという面もありそうです。いずれにせよ、金価格が上昇するということは、未来への不安が増していることを意味しており、利益を得たと言っても、一概に喜んでばかりいられません。

 

日中の給与差*

 日経新聞に、データサイエンティストは年収の最高額が、中国では2350万円、日本では1400万円で、2019年の数値から差が拡大しているとの報道がありました。日本の給与が伸び悩んでいるのです。特定の職種だけを優遇することへの躊躇もあります。こうした状況が続けば、国際的な人材獲得競争に後れを取ることになります。研究者の待遇についても似たような状況があり、日本へ世界トップの人材を呼び込むことができない理由になっています。こうしたことは、10年以上前から認識されていたことですが、日本の組織では分かっていても是正できないのでしょう。日本の限界を強く感じる一つのエピソードです。

 

注文から建て売りへ*

 日経新聞によれば、大和ハウスは、価格転嫁がしにくい注文住宅から、コストと販売時期の調整がしやすい建て売り住宅へのシフトを、経営戦略として打ち出しました。資材の高騰、人件費の上昇で、注文住宅の利益率が低くなっているためです。考え方は理解できますが、建て売り住宅の在庫も膨らんでいるため、建てれば売れるというわけにはいかなくなっています。好立地の土地の確保に関して、住宅メーカーの競争がさらに激化するものと思います。人口減少にも拘らず、地価も建築費も上昇していますが、遠くない未来に、ビジネスモデルに限界が来るはずです。

 

象郎さんの履歴書*

 川添象郎「象の記憶」(DU BOOKS)は、日本のポップ音楽で世界に衝撃を与えたプロデューサーの半生記ですが、こんな彩り豊かな人生があるのかと驚くほどの内容です。大学に進学せずに、4年間、60年代のアメリカへ行き、ラスベガスやニューヨークで舞台芸術を学び、フラメンコギターを習得したという異能の人です。荒井由実さんがブレイクした「あの日にかえりたい」のプロモーションを仕掛けて大成功したとか、YMOのグリークシアター(ロスアンジェルス)公演での大成功の舞台裏を回したとか、武勇伝が目白押しです。この方の曽祖父は、維新の元勲の一人、後藤象二郎さんですが、血筋のなせる業でしょうか?とても真似はできませんが、彼の5人の奥様、義理の母にあたるタンタンさん、遊び仲間の加賀まりこさんなど、魅力的な女性に囲まれた人生は、今の日本の若者に対しても、大いに刺激になるでしょう。タンタンさんが1960年に創業した飯倉キャンティに集まった綺羅星の如き文化人たちの物語として読んでも、面白い本です。

 

はやぶさ2*

 小惑星りゅうぐうで採取した試料から、RNAの塩基「ウラシル」が確認されたという報道がありました。小惑星という生命の維持には適しているとは思えない場所で、こうした生命の誕生に繋がる物質が生成されていたという知見が実証されたことは、素晴らしい成果だと思います。こうした科学的な成果によって、生命は神によって創られたという宗教的な物語に、かなりのダメージがありそうですが、伝統的な宗教的な教えは、人間の心の中で、そのまま尊重しておけばよいと思います。さもなければ、科学と信仰が両立しなくなります。人間にとって、科学は万能ではありません。しかし、はやぶさ2という小さな探査機が、大きな仕事をしてくれたことは、日本の誇りです。ロケット打ち上げで黒星が続いたJAXAにとっては、ありがたい朗報です。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月26日 (日)

続けて勝つべき時の至れると知る不動産

建て売りの在庫増*

 日経新聞によれば、建て売り販売大手の戸建ての在庫が膨らんでいます。価格上昇で、消費者の購買意欲が低下しているとのことです。マンションよりも価格上昇が緩やかな戸建ては、中間層の受け皿になっていますが、実質賃金が減少する中で、実需が減衰しているのです。値下げしないと売れない地方の物件も出ているということで、今後、在庫調整のための値引きが期待できるかもしれません。コロナ禍以降の建て売り住宅の販売の動向は、次第に厳しくなっていますので、2023年の賃金アップなどで、在庫が処理できる状況に転じるのか、注目しましょう。

 

アナログレコード*

 全米レコード協会によれば、2022年のレコード販売が、1987年以来初めて、CDを上回ったとのことです。基本的には、配信サービスで音楽を聴くのが主流になっており、モノを購入するのは、家でゆっくり鑑賞するため、あるいは、ジャケットなどを楽しむためだそうです。Z世代にとっては、より豊かな音が体験できるレコードが新鮮に映るのでしょう。かつては、厳選したモノ(アナログレコード)は買う、FM放送をテープに録音するなどして、努力しながら音楽を聴いていたので、手軽に何でもサブスクで聴ける今の時代よりも、音楽体験としては、特別感があり、どっぷりと浸る感覚で、とても濃厚だったと思います。Z世代の耳にも、レコードによる音像の大きさが届いているのではないでしょうか?日本では音楽市場の縮小が止まりませんが、レコード体験は、若い世代のモノの購買意欲を高める可能性があると思います。

 

ゆうちょ銀行*

 日本郵政による株式売却については、配当利回りが年率4%台になるとのセールスポイントで、個人投資家の購入希望が順調に集まっているとのことです。資金の余裕があって、当面は保有しておく方針ならば結構なことですが、成長性が乏しい株式への投資は、中期的には不安があります。証券会社の高齢者への営業のお陰でかもしれません。ゆうちょ銀行ならば、大きく経営が傾く心配はないと思って、メリットを感じたのでしょう。ただ、ゆうちょ銀行が年率4%台の配当を続けるのは、それほど容易で持続可能なことだとは思えません。

 

東京からの転出*

 日経新聞に、全体では転入超過の東京都も、埼玉、神奈川、千葉の3県には転出超過になっている、特に30~40代の子育て世代の転出が多いという解説記事がありました。住宅費の高騰が一つの原因だとのことです。他方で、通勤圏内から離れるという選択肢がないので、隣県に移動しているのです。多くは新築住宅なので、新規に開発された住宅地が数十年後には空き家につながる恐れはあります。流山市のように子育て世代の受け入れに成功している自治体がありますが、基本的には、東京23区の住宅価格が高すぎることが問題だと思います。それでいて、世田谷区には空き家が沢山あるというのは、社会的な非合理で、政策を動員して是正すべきだと感じます。

 

AI生成楽曲*

 JASRACのシンポジウムでは、「AI生成楽曲と著作権」がテーマになっていました。研究段階から実用までの期間が3年ほどだということで、私たちが考えるよりもよほど早く鑑賞に堪える楽曲が、AIを使うことによって簡単に作れる時代が来るようです。楽曲の制作に要するコストが低減されるとともに、素人でもスキルなしに楽曲を作ることができ、プロにとっては質を上げることができるツールが手に入る時代が近づいています。そこで、AIを使って制作した楽曲の著作権の在り方が問題になるわけです。法律の専門家からは、AIに読み込ませる機械学習のデータ利用、AI生成楽曲の著作権の所在、AI生成楽曲の依拠性に関する法的整理、AI開発に伴うアーチストへの利益還元の在り方の4点が課題として指摘されました。今後、様々なステークホルダーの参加の下に議論がなされる必要がありますが、私は、AIというツールを使うにしても、AIに対して指示を行い、取捨選択を行うことで、創作性のある作品を生み出した人間が、著作者になると考えます。ありきたりの楽曲のようなものを生み出したとしても、著作物とは言えないでしょう。AIの開発者は、著作者にはならないものの、利用して制作された楽曲に対して、契約によって著作者から利益の分配を受ける可能性はあると思います。単なる楽器ではなく、一種のアシスタントとしてのAIという捉え方になります。依拠性については、データが膨大になればなるほど、特定の過去の楽曲に依拠しているとは言えなくなるので、問題にする必要は乏しくなると思います。機械学習のデータになった過去の音楽について、日本では著作権法第30条の4で、複製権が働かないことになっているため、基本的に自由に使えます。欧米ではさらに議論が続くでしょうが、補償金のようなものを法的に設定するのは、なかり難しいと思います。以上については、内閣府の知財本部でも今後の検討課題とされているので、近未来に何らかの方針が打ち出されるはずです。ただ、技術の進歩の速度が非常に速いために、足かせとなるような立法は慎むべきでしょう。独自の判断でガラパゴス的な立法をすると、国際条約・折衝で、苦しい立場に立つことになるので、慎重であるべきです。

 

教育におけるAI*

 李、陳「AI 2041」(文藝春秋)によれば、AIは教師の仕事の大部分を自動化できるとしています。特に、個別教育に活用することで、生徒のペースに合わせた学習を、効率的に支援しうるとしています。もっとも、人間の教師がやるべきこととして、人間的に成長させるための指導(批判、創造、共感、協調など)を行うこと、AIを制御・管理することの2つがあるとしています。AI教師の実現によって、コストは下がり、ノウハウは広く共有されます。他方で、人間の教師は、メンターやコーチとして、新しい教育モデルを創造することが期待されます。両者が共生していくという見立てですが、人間の教師の役割を転換していく必要があり、教員養成からモデルチェンジしていかなければならないと思います。大学に関しては、ミネルバ大学の教育改革の取り組みが参考になるでしょう。

 

世田谷の青い洋館*

 NHKで豪徳寺の古い洋館に関する放送がありました。解体の危機に至っていましたが、マンガ家の方々の熱意と篤志(1億円)によって、保存されることになりました。修復しながら、施設の利用も計画されているようです。洋館の歴史に関わってきた人たちは、芸術家が多く、中には、東工大の黒川名誉教授(数学者)もおられ、番組にも出演されていました。グーグルアースで見ると、豪徳寺さんの北側の道を少し上がったところにあるようです。公開されるようになれば、町がなく、世田谷区の名所になるでしょう。私も、この春のうちに、見に行ってみたいと思います。

 

AIによる職業の置き換え*

 李、陳「AI 2041」(文藝春秋)は、AIによる職業の置き換えによって、21世紀のカースト制度が生み出されるリスクを指摘しています。ユニバーサル・ベーシック・インカムという古い考え方が復活していますが、著者は、単に日々の糧を与えるのではなく、条件として、新しい生きる術の獲得に向かわせるという考えで、職業訓練の機会を提供することを提案しています。また、AIの苦手分野として、創造性、共感、器用さを挙げています。ここに人間の仕事が残るというわけです。典型的な人間向きの仕事は、認知系では、芸能人、M&A専門家、コンシェルジュなど、身体系では、訪問介護士、ヘアスタイリスト、理学療法士などです。いずれにせよ、膨大な数の「失業者」を再訓練することになります。近未来において、私たち人類は、社会契約を書き換える大作業に取り組む必要があるようです。私などは、既に、定年過ぎの年齢ですが、教育訓練によって可変性のある子どもたちはともかく、既に大学を出ている20代、30代の人たちは、必ず人生に影響を与えそうなAIによるインパクトを見誤らないでほしいと思います。

 

柄谷行人*

 「力と交換様式」(岩波書店)では、A互酬、B服従と保護、C商品交換、D互酬の高次元での回復という4つの交換様式が、いわゆる上部構造の観念的な「力」をどのように形作るのかについて考察されています。著者の関心は、特にDの交換様式にあるようです。Dとは、「BとCが発展を遂げた後、その下で無力化したAが、高次元で回帰したもの」だということです。普遍宗教(ゾロアスター、イスラエルの預言者、ソクラテス、中国の諸子百家、ブッダ、「科学的社会主義」マルクス)の運動は、交換様式Dを目指すものだとされています。世界史の構造を巨視的に把握しようとする優れた洞察だと感じます。柄谷さんは、2022年、アジア人で初めて、バーグルエン哲学・文化賞(米国カリフォルニア州)を受賞されました。岩波新書を始め、日本でも広く読まれていますが、特に、世界史や哲学史を学んでいる若い読者に勧めたいと思います。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月23日 (木)

唐の狗に似候ふ不動産

空き家と置き配*

 アパートの空室を悪用した密輸事件が急増しています。レインズを使って空室を探した例もあります。あるいは、管理会社の社員を巻き込んで、受け取り場所に悪用する例もあります。内見用の暗証番号が共通になっているために、密輸組織に把握されている可能性があります。警察も手口が分かっているので、警戒しているはずです。やはり管理不十分な空き家は、百害あって一利ないものだと思います。知らぬうちに悪人に利用されて気分がいい人もいないでしょう。

 

浪江町と水素*

 東日本大震災の被災地は、水素タウンとして、環境省を中心に国家的プロジェクトが進められています。水素の利活用は重要性がないとは思いませんが、浪江町の復興にとって、どれほどのプラスになるのかと疑問に感じています。悪く言えば、町外の企業や人間が、国からの予算を利用して、実験場として浪江町を利用しているだけと見えるのです。被災地の復興は、総じて順調とは言えません。住宅地域を高台に移転したような街づくりは、非常に難しいと思います。また、帰還困難状態が長く続いた町では、人口が戻らないでしょう。特に、未来を託す若い人たちが住まなければ、町は寂れて行く一方です。水素タウンで、浪江町は復興できるのでしょうか?国費で筋肉増強剤を打つような手法では、残念ながら長期的な住民の幸福にはつながらないと思います。

 

豊島屋洋菓子本舗*

 鳩サブレが有名ですが、洋菓子部門にも定評があります。鎌倉(置石)でした販売されていないために、東京では知る人ぞ知る「ウィンナーワッフル」というお菓子があります。昭和30年代から販売しているそうですが、恥ずかしいことに、お土産でいただくまで、こんなレベルの高い焼き菓子があるとは知りませんでした。アンズジャムとホワイトチョコレートが焼いたワッフル生地に挟まれています。これは、ぜひ、フランス人にも食べさせたいものです。鎌倉の洋菓子化は侮れません。価格も700円(税込)とお手頃です。近隣諸国に知られると、たちまち人気になって買い占められそうですから、秘密にしておいてください。

 

黒田日銀総裁の交代*

 黒田総裁の10年の評価については、円高の是正、株価・地価の上昇という成果はあったものの、副作用ともいうべき、国債の大量購入による財政規律の緩み、ETFの大量購入による株式市場の歪みに対して、大きな懸念が経済界で共有されています。何よりも、当初の公約であった物価上昇の年2%の目標達成は、ついに実現しませんでした。金融政策でデフレマインドを吹き飛ばす勢いでしたが、終わってみれば、金融も万能ではないと言い訳をされています。また、国債やETFの購入については、反省するところは一切ないと述べています。異次元緩和の出口戦略についても、時期尚早だとして明らかにしていません。日銀総裁という立場では、無謬性を強調するのが流儀なのかもしれませんが、10年の成果ばかりを語り、目標の未達及び副作用に対する反省、出口戦略に関する解説がないのは、人間の在り方として、いかがなものかと思います。資産家にはプラス面も多かったとは感じますが、それ以外の人間にとっては、大規模な金融緩和という未曽有の実験によって生じた負債を、将来にわたって背負うことになりそうです。今後、様々な分析がなされるはずですが、黒田総裁への評価が高まる可能性は低いと思います。

 

フェイブルマンズ*

 スピルバーグ監督の最新作品です。彼が映画監督になって行く前の青春時代を描く自伝的な内容です。家の広さ、キッチンの設備、スタインウェイのピアノ、ステーションワゴン等の自家用車、アマチュア時代の撮影機材に、1950年代のアメリカの豊かさを実感します。音楽は、ジョン・ウィリアムズです。映画のサブテーマは、映像の虚実、女性の解放、ユダヤ人差別だと思います。映像は知られたくない事実もそのまま写してしまいますが、編集によって嘘もつけます。その事実の暴露、映像の嘘によって傷つく人間もいます。子どもたちと竜巻を見に行くような母親は、後に、家族の不幸を顧みずに、自分の気持ちに忠実な道を選びます。気質を受け継いだ主人公は、そんな母親を許します。当時のアリゾナやカリフォルニアでは、ユダヤ人差別が、学校でのいじめになっていました。キリスト教徒から見れば、ユダヤ人は極めて異質なのです。作中で主人公が自主制作した映画「地獄への脱出」には、高校生離れした若きスピルバーグの才能が感じられます。実際に8ミリフィルムで撮影して劣化させた映像を作る作業をしているようです。高校卒業記念のドキュメンタリー映画も、アイデアと編集が高校生離れしており、見事なものでした。まとめれば、初めて見たデミル監督「地上最大のショウ」から「リバティ・バランスを射った男」の監督ジョン・フォードに初めて会うまでのスピルバーグの思い出が詰まった映画です。歴史に残る映画監督の原点を知るには必見でしょう。もちろん、映画ですから、虚構が含まれているものです。

 

デジタルアーカイブの資金難*

 東日本大震災などの記録を残したデジタルアーカイブの維持経費が確保できずに、閉鎖となるものが出てきています。こういうものを維持していくためには、運営経費と人件費が必要です。委託するにしても、安定した財源が保障されないと維持できないのです。当然の話ですが、それを措置しないということは、施策としての優先度が低いと見なされたのでしょう。運営を国立国会図書館に移して適切に維持されていくなら仕方がないと思いますが、地域や事業体で制作されたデジタルアーカイブの多くが、閉鎖⇒廃棄されてしまう恐れもあるでしょう。記録を後世に残していくという責任をどう果たすのか、国全体としての基本的な方針がないと、デジタルアーカイブのような基盤的な情報がきちんと蓄積されていかないと思います。

 

大成建設*

 建設中の複合ビルで、鉄骨の施行精度とコンクリートの厚さの施行不良で、解体して建て直すという発表がありました。品質管理に関して虚偽の報告があったということで、役員2人が引責辞任するとのことです。発注側は長年の取引先で、信頼関係にひびが入ったのは間違いありません。日経新聞にも記事の掲載がありましたが、大手のゼネコンで、こんなことが起こるのかと驚きました。工期の延伸や経費の増加を恐れて、虚偽の数値を発注側に申告していたようです。その結果どういう事態を招くか、想像力に欠けていたと思います。大きな組織のコンプライアンスは容易ではありません。今後の大成建設の取り組みに、注目しましょう。

 

石橋湛山*

 1973年に亡くなった石橋湛山さんは、戦前、東洋経済新報でジャーナリストとして活躍した後、戦後は、自由党の国会議員となり、病気のために短期間で終わったものの、総理大臣まで務めた人です。平和憲法の維持(最小限の防衛力は容認)、社会主義体制との共存(中国との国交回復等)が、主な政治信条でした。「石橋湛山評論集」(岩波文庫)には、自由主義の立場からの論説が収録されています。中でも、大正10年の「大日本主義の幻想」は、戦前にこういう主張を展開した言論人がいたのかと、感心させられる内容です。海外へ多数の日本人を送って、経済及び人口問題を解決しようとするのは間違いであるとしています。勢力圏の拡大は、経済的利益をもたらさず、これに固執すれば、軍備増強を要すると批判しています。朝鮮・台湾・樺太・満州は、その収入で統治の費用を賄えないので、むしろ、列強の海外領土の解放を主導することが日本の国益になると主張しています。世界を経済的に自由にした上で、競争に必要な資本の増強を図るために、学問技術の研究と産業の進歩を図るべきだと述べています。また、英米に対抗する戦法の極意は、人の和(国際連携)であるとして、一切の小欲(領土拡大)を捨てるべしとしているのです。この方は、理想主義的に見えますが、実のところ、正真正銘のリアリストで、言行一致の道徳家でした。今こそ、こういう言論人、政治家の再来が待たれます。

 

西部戦線異状なし

 Netflixの映画です。アカデミー作品賞にノミネートされていました。第1次大戦の独仏の塹壕戦が舞台です。単純化すれば、戦闘の実態を知らずに扇動に乗せられて志願した若者が、戦場での非人間的な艱難辛苦の末に、戦友とともに、休戦直前に虚しく命を落とすという救いのない話です。戦争の悲惨、狂気、無情が表現されている反戦映画です。泥まみれで戦闘シーンを演じている俳優さんは大変でしょう。戦争のリアルを表現しようという意図が見られます。偵察機・古風な戦車・機関銃などの兵器、軍服・ガスマスク・鉄砲・手榴弾などの装備、食事・衛生などの兵站に関しては、当時の状況が再現されているようです。戦闘シーンは、遮二無二敵陣に突撃するだけのウクライナ戦争におけるロシア軍のような戦法で、兵隊の命は実に軽く扱われています。人間の死の意味は、単に消耗品が使えなくなったという程度です。戦争の継続が困難になり、皇帝が退位し、フランスと休戦協定を締結する交渉に関しても、きちんと描かれているのは面白いと思います。休戦直前に攻撃命令を出す将軍の独りよがりの暴走の醜さが際立っています。人間の愚かさが、殺戮と破壊と略奪という形で、最大の悲劇をもたらすのが戦争というものです。もしも、核兵器が使用されれば、犠牲者は桁違いになるでしょう。テーマがテーマだけに暗い映画ですが、観る価値は十分あると思います。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月21日 (火)

安らかに世を過す不動産

生前贈与*

 2023年度の税制改正では、生前贈与の加算期間が3年から7年になりました。加算期間の変更は、2027年1月1日以降の生前贈与に適用されます。完全に7年になるのは2031年1月1日以降です。なお、延長になった4年間に受けた生前贈与については、総額100万円が控除になります。激変緩和措置でしょう。私が懸念していた息子のお嫁さんなど、法定相続人ではない人への生前贈与については、加算はありませんので、安心しました。このほか、相続時精算課税制度について、年110万の基礎控除が設けられました。少額の贈与には課税もなく、申告も不要なので、利用が増える可能性があります。ただ、一度この制度を利用すると暦年贈与は行えなくなるので注意が必要です。

 

韓国の徴用工問題*

 保守政権によって、問題の解決策が発表されましたが、韓国内で妥協が成立したわけではありません。国と国との関係では、一定の手打ちが進むでしょうが、韓国の政権交代があれば、再び問題が蒸し返されて、わけのわからない賠償と謝罪を求められるのではないでしょうか?文在寅政権によって、前政権との外交的な決着が一方的に反故にされて、日韓関係が大きく後退したことは、忘れてはいけないと思います。要は、韓国内の反日勢力は半永久の運動体なので、付け入るスキを一切与えないことです。日韓関係を好転させたいと努力している人たちとは手を携えて行けばいいでしょう。もちろん、20世紀の初頭において、日本が韓国に対してどんなことをしたのかについては、きちんと歴史として理解しておく必要があります。歴史に関して知識がなければ、日韓関係の未来を論じることもできません。

 

藤井聡太5冠の人間味*

 棋王戦第3局は、後手の渡辺棋王の勝利に終わりましたが、渡辺優勢で迎えた終盤に、渡辺棋王が一度勝ち筋を逃して、藤井5冠に大きなチャンスが生じました。両者とも1分将棋で早指しを強いられる中、詰将棋無双の実力を持つ藤井5冠が詰み筋を見誤って、最後に無念の投了となりました。Abemaで観ていたファンは、一手ごとのAI評価値の上下動の大きさに驚いたと思います。藤井5冠は自分のミスにすぐに気が付いて、何度もがっくりと項垂れる仕草をしていました。動揺を隠そうともしていなかったのは、衝撃の大きさを物語っています。終盤の圧倒的な読みの早さと深さで勝利を重ねてきた天才が見せた稀な大失敗のシーンでした。これで調子を崩すような棋士ではないと思いましたが、従来通りの強さを発揮していました。翌日のニュースでは、藤井5冠の敗北(6冠達成持ち越し)という形で報道されていました。トップレベルの棋士にも8割は勝つという異次元の強さを発揮している藤井5冠ですが、やはりミスをすることがある人間なのだということを改めて実感させられました。重要な対局が続いているので、脳に疲労がたまってきたのかも知れません。仕方がありません、人間ですから・・・。それにしても、連敗はしないというところが、凄いところです。近未来に8冠完全制覇を達成すると思います。

 

コインランドリー*

 土地活用の選択肢の一つですが、2022年には約2万4000店と増加の一途で、競争も厳しさを増しています。許可や資格要件がないこと、第1種低層住宅専用地域以外なら事業が可能であること、法人の場合は初期費用(2000~3000万)を即時償却できることなどのメリットがあります。ただ、光熱費の値上がりで利益の確保が難しくなっています。売り上げも天候に左右されるようです。

 

加害者も被害者*

 田崎基「ルポ特殊詐欺」(ちくま新書)には、特殊詐欺に関わって、電話をかける、金銭を受け取る、口座から出すというような役割を担った実行役に取材して、犯罪に至った背景が描写されています。中には、強盗に関わらされた人間もいます。家族を殺すと脅されて、犯罪から抜けたくても抜けられない状況になり、助けを求めて自首した犯人もいます。実行犯は、操り人形と考えて良いでしょう。もちろん、借金が返せなくなって闇バイトに引き寄せられていったわけですから、自分の責任です。犯罪ですから同情の余地はないのですが、彼らも被害者という側面があるのです。さらに子供時代にさかのぼれば、ネグレクトを含めて家庭環境が人生に大きな負の影響を及ぼしていることが分かります。知的障害者や発達障害のある人が、手先として使われることも、しばしばあるようです。弱者が巻き込まれやすいのです。実行犯のグループを摘発しても、その上の首魁には到達しにくい構造で、この20年近く特殊詐欺が続いているのも、そうした事情があるからです。最近、社会不安を引き起こしている強盗も同じ構造です。なお、こうした犯罪で得た金を持ち逃げする「飛ぶ」ことを専門にしているグループもあるとのことです。操り人形と見せかけて、金を納めずに姿を消すわけです。我が国の犯罪も複雑性を増しているのです。警察の方々も知能犯的な連中との戦いになるので大変でしょう。

 

アダム・スミス*

 ジェシー・ノーマン「アダム・スミス共感の経済学」(ハヤカワ書房)は、市場原理主義者、不平等と利己主義の擁護者と誤解されているアダム・スミスの実像を明らかにしています。著者は、1962年生まれの英国の現役国会議員(保守党)です。スミスは、所有権の発達で、格差が拡大するとしており、金持ちは貪欲と野心の感情、貧乏人は労働への忌避及び束の間の安逸と享楽という感情によって、他人の財産を侵害することになると結論付けています。今日の日本でも、そういう現象が明らかに起こっています。そこで、彼は、道徳感情論のような「人間の科学」に取り組んだのです。著者によれば、スミスは、自由至上主義でも、社会民主主義でもなく、控えめな保守主義と位置付けられるそうです。ユートピア的な発想を退け、偏向思想と狂信を嫌う思想家でした。確かに地味ながら、常識的で視野が広く、頼りにできる人物だと思います。恐らく稲盛和夫さんの信奉者には、ピンとくるのではないでしょうか?

 

曳き家*

 重要文化財などで、建築物をそのまま移設する方法です。寺社や城郭で、このような手法がしばしば利用されますが、住宅でも可能です。一般的な立て直しと比べると、費用は3分の1で済みます。建物の構造、地盤、移動距離によりますが、一般住宅の基本単価は、㎡当たり18000円くらいだそうです。空き家の活用にも応用できるのではないかと思います。

 

音楽とメディアアートのコラボ*

 NHKのEテレで、新しい音楽の可能性と称して、古楽×メディアアート×身体パフォーマンスによるコラボを試みた番組が放送されました。楽しまれた方もいたでしょうが、私は、音楽鑑賞の邪魔になる映像はない方が良いという感想でした。NHKでも名曲アルバムのような形であれば、音楽と映像が溶け合っており、問題はないのですが、人間の脳が自然環境で見慣れている景色であれば、バックグランド映像として違和感なく受け入れているのでしょう。あるいは、チームラボの作品のように、映像が中心で環境音楽のようなものを流すという形ならば、脳も混乱しないと思います。もしかしたら、ゲームをやり続けるような生活をしている人ならば、新しい音楽の可能性に違和感を持たないのかも知れません。

 

カルタヘナ法違反*

 研究目的で遺伝子組み換えしたメダカを外部に流出させた結果、業者が繁殖させて販売していたという事件がありました。逮捕されて者の中には、発覚を恐れて、メダカを自然界に放流した人間もいたということです。こんな事件で、東工大の名前が出てくるのは、腹立たしい思いです。流出させた大学院生(当時)は、時効で処罰されないそうですが、生物多様性を脅かす原因を作ったのですから、何らかの責任は取らせるべきでしょう。遺伝子組み換え実験を行う研究室の人間として、あまりにも倫理観に欠けています。こうした無責任な学生は、東工大(合併後は東京科学大学)から二度と出ないことを信じたいと思います。カルタヘナ法違反で有罪になった人間には、刑罰として、危険な外来生物の駆除をやらせたらどうでしょうか?カルタヘナ法違反の原因を作ったことを忘れぬよう、東工大でも生命系の学生には、そうした体験活動をさせるべきでしょう。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月17日 (金)

無益のことをなして時を移す不動産

不動産DX*

 不動産業界は、ICTの活用による効率化が遅れていましたが、ようやく法制度もデジタル化への対応に動き出しました。業界の仕事のやり方も、変革の時期を迎えています。具体的には、データを活用した開発事業の展開、賃貸や売買といった流通の変革、管理業務の合理化、新しい短期的な賃貸形式(民泊、時間貸し)の開発、不動産投資の小口化などです。業界の変化に即して、データを活用する、新ビジネスを生み出す、DXをサポートするなどの業務領域が伸びるものと期待されています。これまでは、消費者や情報を囲い込んで、情報格差を利用して、中間マージンを含む利益を最大化するというビジネススタイルがありましたが、そうした慣習はDXの普及で維持できなくなる可能性があると思います。DXはICTの活用によって、既存の業務執行を効率化し、新たな付加価値のあるサービスを提供することで、組織の生産性を上げることが目的です。恐らく不動産DXが実を結ぶ状況に至れば、小規模の中間業者のような事業体は、社会的役割を終えるのではないでしょうか?また、もともと土地は公共物ですから、最も有効・有益な利用方法を企画・経営できる企業体が、権利を獲得して、開発事業を展開することが理想です。不動産DXが、そうした理想を実現するための契機になることを願いたいと思います。

 

将棋世界*

 現在、唯一の将棋月刊誌になっています。藤井聡太5冠の登場による将棋ブームなので、発行部数も伸びていると思います。掲載されている問題を解いて、ポイントを得ることで、将棋連盟の認定する段位の取得が可能なので、コロナ禍で段位の取得者も増えた気がします。申請料が入るので、将棋連盟も財政的に潤います。初段が33000円です。6段になるには、5段までを取得した上で、申請に275000円もの費用が掛かります。このところ、藤井5冠が表紙になることが多いのですが、羽生9段が王将戦で挑戦者になり、互角の戦いに持ち込んだので、非常に盛り上がりました。タイトルを守った藤井5冠の強さは、特筆に値すると思います。掲載されるタイトル戦のプロ棋士による解説は、非常に充実しています。AIによる評価値は、人間同士の対局においては、必ずしも、勝負の行方を占うものにはなりません。最善手を指し続けるのは、プロにも難しいのです。最近は、若い女流棋士が増えてきて、棋力もアップしています。売り出し中の女流棋士の紹介インタビューなどは、欠かさず読んでいます。リレーエッセイは、棋士たちの地元での活動などを知る機会になるので、新しい発見があります。将棋世界は、将棋好きなら、購読することがマストでしょう。

 

リアル書店*

 ニューヨークでは、コロナ禍で読書時間が増えて、リアル書店の数が増えているとの報道がありました。最大チェーンの拡大とともに、独立系の開店が増えているのはうれしいことです。1998年、トム・ハンクスとメグ・ライアンが主演した「ユー・ガット・メール」を想い起こします。大手書店チェーンの経営者と小さな絵本の店主のラブストーリーですが、恋を実らせた二人のその後を想像すると、Amazonの登場によって、大手書店チェーンも消滅の危機にあったはずです。今再び、リアル書店の良さが見直されるのは、うれしいことです。日本でも、すべての市町村にリアル書店が復活してほしいと思います。

 

空き家の片づけ*

 空き家の活用には、親の残した家財道具などの片づけが必要です。これに苦労しているケースが目につきます。遠方にある実家に、しばしば行くことはできませんが、3日ほどで片が付く仕事ではありません。主婦の友社「実家の空き家問題を解決する!」にも、ほとんどすべてのケースで、片づけ問題に難渋する子どもたちの姿が描かれています。古民家のような物件は、購入者が引き継ぐことを希望するものがかなりあるので、処分の負担が軽くなる可能性があります。古い仏壇の処分には、魂を抜く・入れるという儀式を依頼する方も少なくないでしょう。片づけに延べ12日間、4か月の期間を要したという例もありました。2000冊もの蔵書の処分で、古書店に全部引き取ってもらったが、タダだったという笑えない話もあります。要は、ゴミ同然です。価値があるものだけでも、親自身に売っておいてもらった方が良かったと思います。家具などを近所の人にタダで持って行ってもらったというケースもあります。最終的には、残置物の処分を廃棄業者に依頼して、片づけは完了になりますが、ゴミとして捨てるにもお金がかかります。子どもに負担をかけないために、早め早めにモノを減らすことが肝要だと思います。

 

南海トラフ地震*

 NHK総合で、ドラマ仕立ての番組が放送されました。啓発のために多少は役に立ったかもしれませんが、一般の人たちが避難の際に心得るべきことは、きちんと全体像を整理して伝えた方が良かったと思います。また、命が助かった人たちが、避難所で生活する際に、様々な課題が出てきますが、その部分は、ほとんど描かれていませんでした。間仕切りやベッドなども、実際の備蓄品を用いたら良かったのではないでしょうか?高知県の町のように津波で街全体が破壊されることが想定されている場合は、常備薬やスマホなど、避難の際に持ち出すものは事前に準備しておくべきでした。また、自治体の職員の立場で、避難所を運営するという視点がありませんでした。ドラマでは、自治体の機能に、より重点を置くべきだったと思います。気象庁の情報の出し方などの部分は外しても、現場で避難者が生きて行くために、国、県、市町村が、どう連携して支援体制を作るか、企業はどんな貢献をすることができるかに絞った方が、課題は明確になったと感じます。さらに、大阪市の方は、梅田が水没しましたが、その結果、どんな影響が市民生活に出るのかは、よくわかりませんでした。家族が無事だったのは一安心でしたが、工場の復旧などには、全く触れられていませんでした。経営者としては最大の関心事のはずです。以上、まとめれば、南海トラフ地震に関する具体的な課題と取り組みについて、現場の視点から総合的に整理して、分かり安く伝えてほしかったと感じます。予算の都合もあったのでしょうが、残念ながら中途半端な印象を残しました。

 

出生数80万割れの影響*

 少子化が加速しているので、関係業界は、乳児、幼児、児童、生徒、学生と、年齢段階が進む中で、次々と影響を受けて行くことになります。社会人になった後は、人生のサイクルに従って、結婚、住宅、消費、出産などで需要の減少が起こります。特に、著しい影響が避けられないのが、教育関係でしょう。私立学校は、幼稚園、中学校以降で、規模縮小が避けられないと思います。恐らく、中学校以降は、国公立のパイを奪うことで生き残りを画策しようとするでしょう。それにしても、少子化から転換できない限り、教育関係への新たな投資は非常に困難になります。質の面でも、世界との差が広がっていくのではないでしょうか?

 

古家付き土地*

 中古住宅と古家付き土地の区別は、曖昧です。要は、住宅としての利用価値が高ければ、中古住宅として売ることが可能だということです。リフォームは買った人がする方が、無駄がありません。耐震性や断熱性が高ければ、立派なものです。売り急ぎしなければ、相応の価格で売却が可能でしょう。自分たちで片づけできる範囲で残置物を整理して、最終的には、清掃+廃棄を専門業者に依頼することになります。売れる物件なら、片づけも苦にならないでしょう。

 

脳への異変*

 高齢者による行列への割り込み、スタッフによる指示の無視、交通ルールの無視、詰まらない窃盗(万引きやコソ泥の類)が起こっています。若い頃から同じことをしていたわけではなさそうです。根っからの無法者ではない人たちが、逸脱的な行動に走ってしまうのは、高齢になって脳の萎縮が起こっているからではないかと考えています。加齢に伴う脳の変化と行動への影響について、私の疑問に直接答えてくれる論文は見当たりませんが、加齢の五感への影響、加齢と認知機能との関係、身体活動と認知機能の関係などについては、ある程度の知見が蓄積されています。恐らく、データの収集が難しいために、逸脱行動と脳の状態の比較について研究が進めにくいのでしょう。脳の萎縮が起こっているとすれば、逸脱行動に走っている老人に対して、行動を自分で改めさせることはかなり困難だろうと思います。高齢社会においては、加齢に伴う脳の萎縮による「暴走」が、水面下に隠れた社会問題になっているのではないでしょうか?

 

総務省文書の怪*

 首相から大臣が電話で指示を受けた旨の記述があるとされる総務省の文書は、かなり怪しいと思います。常識的には、職員が事実確認できないことを、事実として文書に書けるとは思えません。野党にとって大変おいしい内容は、政治的圧力をあえて記録に残そうとしたもの(部分的には想像で補って書いた、または伝聞を鵜呑みにして書いたもの)と見るべきではないでしょうか?書かれている個別の内容の真偽のほどは、いずれ、明らかにされるでしょうが、こういう餌に食いついてしまうと、自ら墓穴を掘ることになりかねません。事実なら議員辞職するかと問えば、ブーメランが返ってきます。行政文書と言っても、誰がいつ何のために作成したのか、内容の事実確認がなされたものかが重要です。行政の内部で作成されたというだけでは、記述内容が正確であるとの保証はありません。野党の方は、行政文書=事実と受け取りたいようですが、そうは行きません。自分たちで事実を掘り起こす活動をせずに、いきなり国会で質問に使ったのなら、立場を危うくしかねないと思います。他方で、事実確認もせずに、行政文書を作成していた職員は、仕事の基礎ができていませんから、訓練をし直すべきでしょう。記録を残すなら、いつ、どこで、誰が、誰に対して、何を語ったのかということを正確に記述すべきです。行政文書が不正確では、組織の記録としては使えません。歴史学でも偽書というやっかいな文書があり、研究者が知りたいと思うような答えがズバリ記述されているような文書が「発見」されることがあります。こちらがほしいと思うような内容の文書には、大きな罠が隠されているので要注意です。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月14日 (火)

文明らかにして聖の教えを知れる不動産

賃貸ビル建設による相続税対策*

 現金7億だけを遺した場合、土地6億+現金1億を遺した場合、所有する6億の土地の上に7億の借入金をして8憶の賃貸ビルを遺した場合の3つを比較したところ、遺産総額に対する相続税の割合は、それぞれ、30.3%、23.1%、ゼロ(基礎控除内)となりました。2番目のケースでは、税額が1億6000万になるので、土地を売るなどの方策が必要になります。3番目は、しばしば行われている手法ですが、賃貸事業のリスクについては考慮しておく必要があります。それにしても、等価の相続財産に対して、「対策」によっては、課税を圧縮できるわけですので、人口減少が続くわが国で賃貸物件への投資が衰えを知らないとともに、賃貸事業としては利益率が低い物件にも引き合いがあるのは、相続税の構造が主たる原因だと言えると思います。こうした状況は決して好ましいものではないでしょう。

 

シンガポールの教育*

 中野円佳「教育大国シンガポール」(光文社新書)は、5年間シンガポールで暮らした女性ジャーナリストが、メリトクラシーが徹底している都市国家において、厳しい教育競争に家族で励んでいる実態を伝えてくれています。制度論ではなく、生活の中で、市民がどんな考えで、何をしているのかを、取材している点が優れています。シンガポールでは、教育によって個人を選別して、効率的に社会における役割を振り分けて行くシステムが徹底されています。コロナ禍においても、学校を休校にすることもなく、国の施策を総動員しながら、教育活動を継続させました。国是として、国の礎は何をおいても人材だとする教育大国なのです。他方で、教育にお金がかかりすぎて、極端な少子化が進んでいます。子どもの教育は主として、母親の役割と認識されており、女性は、家事を外国人のメイドに任せて、教育と仕事の両立を図っているようです。それでも、子どもとの時間を重視して、フルタイムの仕事をあきらめる母親もいます。共働きの家庭に育った女性ほど、そうした傾向があるとの記述は、大変興味深く読みました。日本と比べて、シンガポールは、より極端な教育競争社会が構築されており、家庭環境による格差が深刻化するとともに、子どもや親に過度のストレスが恒常的にかかっています。女性の社会進出、外国人の受け入れ、教育課程の革新、出る杭を伸ばす施策などについては、見習う点が多いと感じます。

 

転換期の大相撲*

 史上最強横綱だった白鵬が引退して宮城野親方になりました。横綱照ノ富士が膝に不安を抱えて休場が増え、大関貴景勝は他を圧倒するような力がないので、関脇以下が場所ごとに主役を交代する戦国状態になっています。年齢などを勘案すれば、近未来に、豊昇龍、琴の若が、大関以上に上がっていくと思います。若隆景、若元春の兄弟や霧馬山にも大関になるチャンスがあります。朝乃山は怪我などがなければ大関に復帰できるでしょうが、横綱昇進は年齢との競争になります。大器という意味では、宮城野部屋で、新入幕を果たした北青鵬、幕下1場所で十両に昇進した落合の二人は、2~3年のうちに大関に上がっていくものと思います。大相撲には、プロ野球のようなドラフト制度はなく、入門後に部屋を移籍するフリーエージェントのような仕組みもありません。既に、二人のほかにも、学生相撲出身の川副、向中野のような有力力士が宮城野部屋に集中しています。独占禁止法のような制約がなければ、これからも、さらに集中が進むでしょう。同部屋同士の対戦が組まれないために、このような状況は大相撲にとって非常にまずいことです。力士、部屋、親方について、今の時代に即して、根本に立ち返って、整理する必要があると思います。

 

譲渡所得*

 譲渡所得は、売却代金から、取得費及び譲渡費用を差し引いて算出します。土地の取得費には、購入代金、仲介手数料、印紙税、登録免許税、不動産取得税、測量費、契約のための通信費・交通費、居住者の立退料、解体費用、下水道工事費、擁壁などの土地改良費が含まれるとされています。ただし、印紙税から交通費までの項目については、不動産所得の計算をするときに経費に算入したものは除きます。固定資産税・都市計画税、借入金の利息、雑草の草刈りなどの維持管理費は、原則的に含まれません。建物の取得費は、基本的に土地と同様ですが、減価償却費の累計を差し引きます。建築した場合は、請負工事費、設計料、確認申請料、工事中の利息、近隣対策費等が含まれます。土地と建物の譲渡費用には、仲介手数料、印紙税、広告料、測量費、通信費・交通費、不動産鑑定料、解体費用、建物の残存簿価、借家人の立退料が含まれます。譲渡所得に対する所得税や税理士報酬は含まれません。ただし、譲渡のための調査料や相談料は含まれます。

 

ディオール*

 テレビのCMで、クリスチャン・ディオールが、わざと平板に「ディオール」と発音していたのには、びっくりしました。普通なら、「オ」にアクセントがありますが、そうしていないのは、ターゲット層の日本の若い女性に合わせたものと思います。こうした呼称の現地順応(日本語化)は必要ないのではないでしょうか?世界のブランドなら、どこに行っても、「オ」にアクセントを置くのが正しいやり方です。平板な発音は、田舎なまりのようで、フランス人には聞かせたくないと思います。この調子でやるなら、France⇒Furansuというように、すべて言い換えて行かなければならなくなるでしょう。おそ松さんのイヤミが憧れているだけで、行ったことがない「おふらんす」のように聞こえてきます。

 

海外からの投資*

 日経新聞によれば、海外からの投資残高のGDP比で見れば、日本の順位は、197位だそうです。北朝鮮よりも下なのです。人口減少で市場が縮小均衡になっていること、経営者の英語力が低くコミュニケーション不足であることが、主な原因とされています。生産や開発拠点の国内回帰への国の支援策も規模が小さいという問題もあります。成長が期待できない国には、投資されません。結局、アベノミクスの3本目の矢は的を射ていない=成果を出せていないということに他なりません。これほど投資の魅力なしとみなされている国もないでしょう。日本の株式市場が盛り上がらないのも、根本課題の解決を先送りしているからです。あまりにも情けない結果ですが、このショックで心を入れ替えたらどうでしょうか?

 

居住用財産の特例*

 居住用財産を売却する場合、第1に、買換特例を利用して、差額を、長期譲渡所得として税額を計算することが可能です。第2に、所有期間が10年を超えているものについては、特別控除として、3000万円控除及び残額についての軽減措置が適用されます。第3に、それ以外のケースで、3000万円控除をして、長期又は短期の譲渡所得として税額を計算します。第1の買換特例の適用条件は、令和5年中に譲渡するとともに、譲渡の前年から当該年までに居住用財産を取得し、譲渡の翌年までに居住すること、居住・所有期間が10年以上で、売却価格が1億円以下であること、買い換えた物件が50㎡以上500㎡以下であることです。買い替えた物件が譲渡価額以上であれば、課税はありません。第2の特別控除の適用には、土地と建物がともに所有期間10年以上であることが必要です。途中で建て替えをした方は注意が必要です。相続した財産である場合は、被相続人の所有期間を通算できます。特別控除と買換特例は、どちらか一つを選択することになります。選択後は、切り替えができません。以上の特例については、確定申告書を提出しなければ対象にならないので特に注意が必要です。個別の事案については、専門家にご相談ください。

 

暗号資産の詐欺*

 チェイナリシスというアメリカの調査会社によれば、2022年発行の暗号資産のうち、何と24%に詐欺の疑いがあるとのことです。これらは、パンプ&ダンプという流れで、発行後1週間以内に価値が90%下落していると言います。しかも、匿名性があるので、同じグループが繰り返し詐欺を働くことも可能です。また、始めから架空の暗号資産への投資を募るような詐欺もあります。日経新聞の片隅に載っていた記事ですが、このような状況にある暗号資産には、当分の間、手を出すわけにはいかないと思います。

 

お花見の和菓子*

 「千宗屋の和菓子十二か月」(文化出版局)には、春夏秋冬の茶席で用いられる和菓子が紹介されています。お花見では、長命寺桜もち(長命寺桜もち)、花衣(塩野)、花見団子(塩芳軒)の3点が挙がっています。桜もちは、「朝日に匂う山桜花」を連想すると評しています。花衣は、黄身餡を白い外郎が包む色と形が美しいお菓子です。花見団子は、白餡を外郎で包んだ紅、ヨモギを入れたこなしの緑、薯蕷餡の黒で、一番上の団子が少し離れているのは、茶席で串から外して食べる手掛かりを与えています。この本で、最も多くのお菓子が紹介されているのは、とらやです。都の春というお菓子は、武者小路千家の特注品のため、一般販売は行っていないというようなものもあります。また、販売時期が限定されているものが多いので、見かけたらすぐに購入しないと買いそびれてしまう恐れがあります。和菓子は、日本を象徴する素晴らしい文化だと思います。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月11日 (土)

生を苦しめて目を喜ばしむる不動産

図面による調査*

 法務局の公図(14条地図)、地積測量図、建物図面は、必要不可欠とされています。ただし、建物図面は、敷地に関する精度は低くなっています。また、公図(地図に準ずる図面)は、縮尺や方位の表示は不正確なことが多いようです。地積測量図も、分筆された元の土地を実測していないものは、形状・長さ・面積が不正確です。所有者等が持っている実測図(隣地確認あり)は、境界が明示されており、正確性が高いです。ライフラインの調査に不可欠なのは、水道配管図、ガス配管図(ガス会社)、下水道配管図です。道路台帳平面図は、幅員を調査するのに使用します。図面の性格を理解して、利用することが大切でしょう。

 

相撲協会の闇*

朝乃山関は、春場所の番付で、十両に留め置かれました。初場所で十両優勝したので、幕内に昇進させるのが、順当だったと思います。再び十両優勝しても、それほど面白いとは感じません。幕尻でも幕内にさえ上げておけば、幕内優勝の可能性さえあるでしょう。少なくとも、勝ち込んでいけば、上位力士との対戦が見られるはずです。加えて、興行的にも盛り上がるはずです。それにも拘らず、あえて十両に留め置いたのは、彼が万が一にも幕内優勝しては困る連中がいるということではないでしょうか?相撲ファンとして、朝乃山関が、6場所の出場禁止という不当に重い処罰を受けたこと、番付編成会議によって幕内昇進が止められたことには、相撲協会幹部による「陰謀」があるのではないかと不信感を持っています。朝乃山関は、いずれ大関に復帰し、横綱に上がる可能性もあると思いますが、いかんせん、2~3年間という時間を不当に奪われました。今後は、相撲協会に残るための親方株の取得などでも妨害される恐れがあるでしょう。国技大相撲を衰退に導く相撲協会の闇の勢力は、早く一掃してほしいと思います。NHKを始めとする報道機関は、情けないゴマすりばかりしていないで、その役割を適切に果たすべきでしょう。

 

鏡の迷宮*

 ハヤカワミステリ1984のエリック・フアシエ氏による傑作歴史ミステリです。1830年代のパリが舞台になっています。著者は、法学と薬学の博士号を持つ大学教授だそうです。パリ警視庁怪事件捜査室シリーズとして、今後も、警部ヴァランタンを主人公に物語が続いていくはずですので、非常に楽しみです。最も興味深いと感じたのは、19世紀のフランス文学を思わせるストーリー展開です。最近のミステリは、過剰な暴力表現、精神を病んだ犯人像によって、袋小路に入ってしまった印象でした。読後感が良くない作品が多すぎましたが、クラシカルな探偵小説が復活したことを率直に喜びたいと思います。実際に起こった歴史的事件を物語に組み込んでいること、当時の都市の景観や風俗をきちんと織り込んでいること、科学についても当時の学術水準を正確に踏まえていることなど、著者は相当なインテリだと思います。この作品を読んで、私が連想したのは、ユーゴーの「レ・ミゼラブル」でした。物語世界の個性的な登場人物が、パリの街を生き生きと動き回っているのは、実に痛快です。フランス発の歴史ミステリに、ご注目ください。

 

簡便評価法*

 近隣地域内に公示地がある場合、その個別的要因を比較して、およその地価を導き出すことが可能です。そのためには、国交省が監修した「標準住宅地域の個別的要因批准表」が役に立ちます。主な要素としては、接面道路の系統・構造上の状態、交通施設・商業施設・公共施設等への距離、日照等の良否、地盤等の良否、隣接不動産等の状況、供給処理施設の状況、地積・間口・奥行き・形状等、方位・高低・角地等の関係、公法上の規制の程度があります。これらを評点にして計算することで、公示地の価格をもとにおよその地価が算出できます。

 

WBC*

 野球というスポーツが楽しいと感じられる機会になれば、素晴らしいと思います。そのためには、日本代表の各選手が、力を発揮することでしょう。平常心でやれそうな選手は、ダルビッシュさん、大谷翔平さんくらいでしょうか?ヌートバー選手というカリフォルニア育ちの新戦力のお陰で、チームが明るくなったように感じます。日の丸を背負うと、真面目な日本人の特性として、期待に応えなければと結果を求めて固くなり過ぎます。1次リーグは突破できそうなので、準々決勝からが難敵とのゲームになります。準決勝まで進んで、アメリカと対戦できれば、いやがうえにも盛り上がるでしょう。決勝は、ドミニカ相手になるでしょうか?抜群の投手力と1点を取る野球で、好勝負をしてくれると信じます。最後に脚を使える選手がカギを握るような気がします。それにしても、大谷選手のレプリカユニフォームを買おうと四苦八苦しているファンが多いので、転売ヤーを排除するなど販売方法を工夫してほしいものです。

 

俺たちの箱根駅伝*

 人気作家の池井戸潤さんが、週刊文春に連載している小説です。3月初旬の段階で、8区までレースが進行しています。箱根駅伝の予選会で敗退したチームからの選抜選手で構成され、チームとしても選手としても、正式なタイムや順位が付かない、寄せ集めの学連選抜の闘いが軸になっています。彼らの目標は3位相当ということですが、現在は2番目を走行中で、駒沢と競いながら首位の青山学院に迫っています。池井戸さんの小説は、弱小とされる集団が、戦略と知恵と努力によって、強い者に勝つというストーリーが定番ですので、大手町のゴールでは、更なる高みに到達するのかもしれません。この小説が提起している問題は、学連選抜の選手への差別的な扱いにあると受け止めていますが、関東以外の大学が箱根を走れないという点も、変えて行かなければならないと思います。100回記念大会では、全国に門戸開放しましたが、関東以外の大学の選手のレベルに鑑みれば予選会を突破するのは難しいでしょう。箱根駅伝には、巨大な既得権の壁があることが分かります。

 

AIと不動産業界*

 デジタル技術の発達によって、不動産の売買や賃貸の仲介に関して、ビジネスモデルの変革が起こる可能性があると言われています。人件費の削減、仲介手数料の引き下げによる競争が期待されますが、業界としては既得権が失われる恐れがあります。不動産のオーナーや部屋探しをしている人たちは、AIによる創造的破壊を望んでいるはずです。かりにアメリカでそうした動きが起これば、少し遅れて日本でも追随することになるでしょう。他業種からの参入で不動産業界が活性化するのは、悪くないと思います。

 

高校スポーツの指導者*

 市立船橋バレーボール部の監督60歳が、部員への暴行容疑で逮捕されました。不思議なのは、いまだに、選手がミスをしたら監督が暴行をしても当然だという感覚です。千葉県では、最近も他校で問題が発生していました。スポーツの指導者である前に、教員として自分の行動を抑制できないようでは、話になりません。指導法として時代遅れだという批判もあります。確かに昔はよくあったことだと、その後大人になった人たちの記憶に残っているからでしょう。ある意味で、殴って強くするという指導法に、親や生徒が賛同するなら、あえて問題にする必要はないかも知れません。しかし、殴って強くなるのでしょうか?その幻想から覚めないと、いつまでも、こうした事件が起きることになります。この事件で、被害者は、警察を頼りました。事実を隠蔽し教員を庇うばかりの教育委員会が、被害を訴える側にとって役に立たないと考えたからでしょう。これからは、教員から被害を受けたら、即警察に訴え出た方が良いという教訓が、得られたのです。全国の教育委員会は、この厳粛な事実から目を背けぬよう、願いたいと思います。

 

どうする家康*

 従来の時代劇としての大河ドラマではないようです。歴史をある程度踏まえた創作劇だと思えば、家康や秀吉らの人物像に違和感を持たなくても済むでしょう。頭を切り替えなくては、見るのをやめるしかなくなります。私は、松本まりかさんが演じる女忍者(女大鼠)が活躍するシーンに焦点を絞って、見て行こうと思っています。ただ、最後までしぶとく生き残ってくれないと困ります。山田孝之さんが、服部半蔵役なので、家康の天下取りを助けた忍者たちが、今年の大河ドラマのサブテーマになるものと期待しているわけです。創作の自由度が高い人物なら、既成概念にとらわれずに違和感なく見ていられます。戦国の英傑たちの運命を動かす忍者たちの物語(ほぼスパイ大作戦)になるなら、異色の大河作品として愉快なものになるでしょう。女大鼠=キャリアウーマンを生かした脚本にしてほしいと思います。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月 8日 (水)

遠き物を宝とせぬ不動産

相続した負動産*

 専門家によれば、親から相続したくない不動産は、早めの処分をしてもらうに越したことはないようです。相続してしまった後も、金食い虫の負動産になるので、費用を払っても処分すべきだと言われています。例えば、別荘が代表格です。使用頻度が低いのに、管理費、固定資産税+都市計画税、修繕費、火災保険料、光熱水料などがかかるためです。資産に余裕があって、自分でぜひ使いたいのであれば、別の話です。また、経年劣化しているアパートも、相続したくない物件になります。これも、入居者がきちんと確保できているなら、慌てて処分する必要はないと思います。ただ、アパート経営には、ある程度のノウハウを身に着けるとともに、長期的な見通しの下に修繕や資金の計画を立てて、適宜実行することが必要になります。専門家の力を借りることもできますが、費用が掛かります。経営のサイクルがうまく回らなければ、精神的にも負担に感じることになるでしょう。そこで、負動産になりがちだということなのです。

 

文化庁の京都への移転*

 この5月に、文化財保護関係の部局は、京都に移転します。約250人ほどだそうです。国の行政機関の地方移転という意味のない方針の犠牲者です。文化庁がすべて移転するわけでもないので、2拠点を行き来するために時間と旅費のロスがあります。統一教会の解散請求が一段落すれば、宗務行政も京都に移転するようです。それにしても、霞が関の中央官庁のうち、例えて言えば、盲腸のような組織だけを島流しのように放り出して、何が変わるというのでしょう。誰が見ても、子供だましのようなやり方です。首都機能のバックアップを意図するならば、長野県あたりに、ミニ霞が関のような形態になるように1府省1局程度を選定して、塊として移転させるべきではないでしょうか?

 

就職活動ルール*

 2021年4月入社の人たちから、就職協定ではなく、政府主導のルールになりました。罰則はありません。通年採用に切り替えている企業も増えており、3月1日解禁というルールは、形骸化しています。日経新聞によれば、2月1日の時点で、2割の学生は内定を得ているとのことです。彼らは、1年2か月先に入社するわけです。学部3年次の後半に就職活動をして、内定というゴールにたどり着けば、4年次は、勉学の目標を見失ってしまうのでは?早めに人材を確保したい企業側と、早めに就職を決めたい学生+親の側の利害が一致しているので、外野が何を言っても始まりませんが、学生は、大学という教育機関から得るべき利益を1年分ほど失っていると言わざるを得ません。これを社会的な損失と考えれば、実に甚大な被害です。学部教育の空洞化は、生産性が低い社会に陥っている一つの原因だと思います。企業にとって、大学での勉学の成果はどうでもいいのでしょうか?

 

空き家で儲ける*

 椙田拓也、カネコツトム「空き家で儲ける!」(宝島社)には、中古の軽自動車1台分の投資で、大家さんになって家賃収入を得ようというビジネスモデルが紹介されています。これを読んで、儲かるからやろうと思っても、ノウハウがない人間には、なかなか難しいと思います。まず、借り手がありそうな物件を非常に安く購入することが前提になります。これは、そんなに簡単なことではありません。賃貸需要の予測も、土地勘がなければ難しいでしょう。次に、仲介手数料を省くために、所有者と直接交渉して契約してもらう必要があります。これも、信用という面で、素人にはハードルがあるでしょう。さらに、そもそも、借り手が付きそうな物件を選別する力がなければ、単に空き家を引き取っただけになります。この本でも、水洗トイレにするために費用が掛かる、給排水管が壊れている、駐車場がない、雨漏りしている、傾いている、シロアリがいる、残置物が多い、窪地・崖地になっている、危険な擁壁がある場合は、要注意だとしています。確かに常識的なチェックポイントだと思いますが、売り手がすぐに手放したがっている物件は、こうした条件をクリアできないものが多いと思います。賃貸については、直接管理をすることでコストを削減することを推奨していますが、入居者の選別について、家賃保証会社の審査に委ねるようです。最低限のハードルなのでしょうが、空き家だった物件でリノベーションもしていないものを、わざわざ借りて入居しようという人については、大家である自分でもチェックした方が良いのではないでしょうか?いずれにせよ、遠方の物件の直接管理はできないので、自分で見に行ける範囲でビジネスを行うしかないと思います。空き家が宝の山だというのは、ゴミの山にも宝が眠っている場合があるという程度の話だと思います。

 

科学研究のクラウドファンディング*

 大学が行うクラウドファンディングも、珍しくなくなりました。先ごろ、東京医科歯科大学の腎臓病の研究グループが募集していたプロジェクトに寄付をしました。その内容は、腎臓病の患者さんの遺伝子情報を蓄積するというもので、科学研究費などの競争的資金を充当することが難しい基盤的なものでした。国立大学には、運営費交付金という予算が配分されており、科学研究の基盤となるデータ収集にも使うことができます。しかし、電気料金の値上げなどもあり、研究室に配分される予算も維持することが難しく、重要性があるとは言え、基盤的な研究活動にはとても回らないでしょう。そこで、クラウドファンディングという手段に頼ったのだと思います。既に当初の目標額は達成したので、それ自体は成功でしたが、この種の経費に、競争的資金では獲得できず、運営費交付金からの支出も困難という状況は、日本の科学研究の大きな足かせになっていると思います。論文指標における我が国のランキング低迷の一端を垣間見た気がします。

 

天皇陛下とマスク*

 今年、天皇誕生日の一般参賀が再開されたのは、一歩前進だと思います。私の家は、抽選が外れたので、その機会には恵まれませんでした。テレビのニュースで拝見しただけですが、せっかくの機会でしたので、皇族の方々は、マスクを外されたら良かったのではないでしょうか?やはり、マスクをした状態では、お顔の表情が伝わりません。ごく限られたお身内だけの接触ですので、一時的にマスクを外すということが、感染リスクを高めることにはならないと思います。3月中旬以降は、原則、マスクを外されるのでしょうか?いまだに卒業式で自主的にマスクをしている高校生が多いことに鑑みても、天皇陛下自らマスクを外されていたら、多くの国民は追随できたのではないかと残念に思います。もちろん、天皇陛下の自主的なご判断であれば、異議を唱えるつもりは毛頭ありませんが・・・。

 

住宅地の不動産調査*

 法令による制約、道路接面の状況、土地の形状、隣地との境界については、当然重要ですが、そのほかに、以下の点について、チェックが必要です。第1に、擁壁の改修や地盤の改良の必要性です。いずれも、多額の費用が掛かります。擁壁は、亀裂の有無、目地の詰まり具合、水抜き穴の開き具合などを確認します。第2に、騒音や悪臭などの原因となる嫌悪施設の存在です。住宅地としては、マイナス要因になります。第3に、土壌汚染や日照等の環境条件の問題です。地滑りや河川の氾濫による危険も、現場に赴いて確認する必要があります。第4に、交通事情や生活上の利便性に関する状況です。最寄駅からの道路状況は、実際に現地で歩いて確認しないとよく分かりません。私も、新小岩の新築アパートを見に行った際に、付近の河川の堤防の高さに驚くとともに、内水氾濫の危険を実感しました。防災マップでも2階までは水没する恐れがあるとされており、購入は見送りました。

 

神社と犬*

 近所の神社で、犬を連れた女性たちが、河津桜と愛犬の写真を、しきりと撮影していました。初詣の際には、犬を連れてお参りをするような人は見かけませんが、愛犬は家族同様の存在になっており、神社の方も、御朱印その他で多くの参拝者を受け入れたいので、犬はご遠慮くださいと厳格に排除はしないのでしょう。SNSには、そのように撮影された愛犬の写真(ときには飼い主も参加)が沢山アップされています。恐らく、神社への参拝というより、花の撮影場所に来て居る感覚なのです。ただ、神社の境内に犬を連れて入ることは、例外的に許可がある場合を除き、一切タブーであることくらいは、認識した方が良いと思います。そうした常識がない人は、馬鹿にされてしまいます。SNSの写真をどこで撮影したかくらいは、簡単にバレますよ。

 

格差と犯罪*

 日本人の6人に1人が相対的貧困だと言われていますが、世代を超えた貧困の連鎖が日本に起きていると思います。闇サイトを通じて強盗に参加するというような犯罪が成立するのは、借金などの経済的な困窮という背景があるからでしょう。貧しい者が富める者から奪うのは、この社会に問題があるからだと、自己正当化しているのかもしれません。実行犯が使い捨てだということは分かっているでしょうが、特殊詐欺にしても、強盗にしても、一攫千金の条件が提示されれば、うかうかと乗ってしまう輩がいるのです。旅館や飲食店を始め人出不足で悩んでいる業界がある一方、犯罪者予備軍は、いくらでもいると思います。無人販売店から、肉や餃子やラーメン等を、支払いをせずに持ち逃げする心理と似ています。犯罪の機会があれば、後のことは考えずに、自制心をなくしてしまう人間が、少なからずいるということです。マスコミでは、犯人側の背景について掘り下げた報道は目にしませんが、結局、社会の格差が広がれば、犯罪も深刻になるに違いありません。犯罪は容赦なく処罰すべきですが、他方で、犯罪の根源に目を向けた社会政策が求められます。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月 5日 (日)

この比もてなす不動産

断熱性能*

 世界の動向を見ると、賃貸住宅でも、高断熱化が進んでいくようです。国も、省エネ基準の強化によって、断熱性能の向上を推進していくものと考えられます。リフォーム、リノベーションの際には、将来を見越した断熱性能の高度化を検討する必要があるでしょう。また、借り手市場において、断熱性能が高い賃貸住宅には、競合との差別化の意味もあります。資産価値を高めるためにも、断熱性能の強化は、今後のキーフレーズになりそうです。

 

旅鏡*

 1848年刊行の旅行ガイドブック「旅鏡」には、東海道と中山道の名物が紹介されています。旅人は、こうした情報を参考にして、道中の楽しみにしたのです。興味を惹かれるものを、列挙してみましょう。小田原(カツオのたたき、梅漬け)、箱根(山椒魚!、鱒)、吉原(栗の粉餅、富士の芝エビ)、由比(鮎、アワビ、サザエ)、鞠子(とろろ汁、十だんご)、藤枝(染飯?)、金谷(菜飯、田楽、飴、餅)、袋井(うどん、そば切り)、吉田(甘酒)、岡崎(蕎麦)、知立(鳥吸い物、田楽、カツオ)、桑名(白魚、焼き蛤)、四日市(鰻頭?、日永餅)、関(野老鯰?)、土山(田村川=酒、芋かけ豆腐、甘酒、焼き鳥)、水口(心太)、桑津(姥が餅、源五郎鮒、瀬田蜆)。他にも、鰻、飴、寿司、焼き米、ぶどう等があります。子どものころに住んだことがある四日市に、日永餅というものがあったことは、三宅裕司さんのテレビ番組で知りました。伊勢参りの人たちにも、人気があったようです。関所・往来手形の都合上便利だったので、ご利益のある寺社を目的地にしつつ、街道筋の名所を訪ねて、名物を食べて、名品を買い求めるのが、富裕な人たちのお楽しみであったようです。買ったものは、配送を頼むこともでき、為替で路銀を受け取ることができたので、比較的軽装で歩き回ることができました。護摩の灰という窃盗犯には要注意ですが、健康でさえあれば、多少貧しくとも、老若男女が旅をすることができた時代でした。伊勢参りが人気だったのは、道中で食事や金銭の接待をしてくれる人たちがいたからです。勝小吉(海舟の父)は、14歳の時に家出をして、物乞いで食いつなぎながら、伊勢参りを果たしました。「夢酔独言」には、出奔から乞食旅の様子が語られています。実に大胆かつ奔放な人物です。彼にはガイドブックは不要です。

 

特定少年*

 闇サイトで集められた人間たちが、国外にいる人間からの指示で、強盗殺人事件を起こすという新しいタイプの犯罪が起きました。実行犯の中に、19歳の大学生がいて、逮捕されました。しかし、実名報道はありません。成人年齢が18歳に引き下げられましたが、18歳以上20歳未満は、特定少年と定義され、家庭裁判所から逆送されて、起訴されれば、実名報道を禁止する規定も適用されなくなるとのことです。ということは、逮捕された時点では、実名報道されないわけです。少年法の改正には、様々な困難があるようなので、仕方がなかったのでしょうが、今回のような事件で、19歳だからと言って実名を出せないというのは、どうにも納得できません。どうせ「正義の味方」の人たちは、本人の素性を暴いてネットに曝そうとするでしょう。闇バイトで犯罪の片棒を担いで一攫千金を狙うような人間が、逮捕されたのですから、実名報道しても何ら差し支えないと思います。

 

木造家屋の価値*

 不動産屋さんは、中古の木造家屋の価格を評価する際に、基本的な不具合がないかをチェックします。キーワードは、雨漏り、亀裂、シロアリ、水回り、傾き、基礎、地盤です。これらは、修繕する場合に、高額になるポイントです。売却後の大きなトラブルになるので、こうした不具合があれば、直さなければ売れません。当然、査定価格は低くなります。建物診断をするメリットは、不具合を発見した場合、直して高く売るか、そのまま安く売るか、判断する材料になることです。また、買主との間で情報を共有することで、売却後のトラブルも予防できます。

 

ウクライナ戦争の行方*

 ロシアの侵攻から1年が経ちました。ロシアがウクライナの領土を切り取って、国境の変更を国際社会に認めさせることは、ほぼ不可能になっていると思います。そもそも短期間でキーウを占領する作戦が失敗した時点で、部隊を退却させるべきでした。5000人の兵士が包囲殲滅される、戦車を大量に鹵獲されるような軍隊が勝てますか?幾重にも判断を誤っており、今後も、同じことになりそうなので、ロシアは更に大きな人的犠牲を払うことになるでしょう。ソ連が崩壊して、構成国が独立し、連合体になり、その紐帯が緩んで、EUへの加盟を目指す国が増えて、帝国意識が抜けないロシアの外堀が埋まっていくという歴史的な流れが、最終段階に近づいているということではないでしょうか?プーチン大統領の演説を聞いて、自国民相手に、よくもこれほど嘘八百を並べられるものだと、感心します。この調子で、マスメディアを動員して、無謀な戦争遂行に突き進むのでしょう。その結果、祖国を弱体化させた極悪人として、未来の歴史教科書に載ることになるはずです。負けを認めたくないために、核兵器の使用という暴挙に至ることは、更なる悪を重ねることになります。そうならないうちに、ロシア軍の引き上げ=終戦となることを祈ります。しかし、日本として、最悪の事態に対する備えは必要だと思います。

 

平和教育*

 戦争体験の語り部は重要な役割を果たしてきたと思いますが、老人たちが亡くなったら、平和教育ができないというのは、おかしいのではないでしょうか?年齢や体験に関わりなく、世界の様々な戦争について、いくらでも学ぶ材料はあります。2020年代には、体験者に頼らない平和教育が大切だと思います。また、戦争には絶対反対だというのは、祖国が軍事侵攻されたらどうするのかという肝心な問いに答えていません。例えば、ウクライナが徹底抗戦しているのは、悪いことなのでしょうか?アメリカやEU諸国がウクライナに武器を供与しているのは、悪を助けることなのでしょうか?日本国憲法の前文の理想主義を真に受けて、軍事に関して思考を停止しているようでは、本当の平和教育になりません。この際、リアリストの立場で語る平和教育を、お願いしたいと思います。

 

買いたたかれる物件*

 不動産の評価が低くなる原因として、次のようなキーワードには注意が必要です。旧耐震、違法、既存不適格、がけ地、接道なし、埋文包蔵地、土壌汚染、アスベスト、忌避される施設(ごみ処理場など)、検査済証なし、軟弱地盤、事故物件。そのまま住むことはできるが、建て替えが難しいものは、普通の人は買わないでしょう。汚染や地盤の関係で、住むにしても災害リスクがあるものに、住みたい人は稀でしょう。事故物件や忌避施設が近い等のケースでは、価格次第で買いたいという人が現れる可能性があります。いずれにせよ、上記のようなマイナス要因があれば、買いたたかれても仕方がないと思います。

 

松本零士さん*

 故人の功績は、宇宙戦艦ヤマトなどの創作した作品で語られていますが、この方は、著作権の保護に関する活動にも熱心に取り組まれました。マンガ家を含む著作権者のために、忙しい中で、自身の時間を割いて、政治への働きかけなどを行っておられました。現役で創作活動に従事している方には、なかなかできないことだと思います。誰かが担わなければならなない仕事を、率先して引き受けてくれた先達の一人だということを、クリエータの方々には、記憶に留めてほしいのです。また、ファンの方々にも、松本さんの社会的な活動の意義を広く理解してほしいと思います。長い活動期間を経て、著作権の保護期間は、著作者の死後50年から70年に延長されました。松本さんの作品も、今後、70年間、保護されることになります。心より、ご冥福をお祈りいたします。

 

将棋界の一番長い日*

 A級順位戦の最終局が行われる日が、こう呼ばれています。2023年は、3月2日でした。藤井聡太5冠と広瀬8段がともに勝って、渡辺名人への挑戦者決定プレーオフが行われることになりました。この両者は、竜王戦で相まみえたばかりです。結果として、藤井5冠がタイトル防衛に成功しましたが、内容的には、どちらに転ぶか形勢不明な対局ばかりで、プレーオフは、いやがうえにも盛り上がることでしょう。他方で、降級する棋士は、糸谷8段、佐藤康光9段となりました。佐藤康光9段は、A級以上在位26期ですから、羽生9段と同じ世代で最後までA級を守ってきた大棋士です。多忙な会長職を務めながら、ここまで孤塁を死守してきたことは偉大なことだと思います。糸谷8段は、A級在位5期で、30代半ばながら、関西の若手棋士の兄貴分、世話役的な存在です。なぜか今期は絶不調だったようです。来期、必ず捲土重来を果たしてください。今年は、一番長い日に、劇的な結末を迎えるということがありませんでしたが、実力拮抗した戦いが繰り広げられて、見どころは十分だったと思います。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

2023年3月 2日 (木)

はかばかしき人のさふらはぬ不動産

メンテナンス*

 東住協のセミナーに参加しました。メンテナンスに関して、排水管、外壁、コンクリートの専門業者さんから、丁寧な説明がありました。要点は、次のとおりです。排水管は、定期洗浄がお勧めで、集合住宅の規模にもよりますが、1件当たり3000~5000円で洗浄が可能です。緊急出動には4万円以上の料金が発生します。RC造建物の外部仕上材や不定形シーリング材は、耐用年数・特性と費用のバランスを考慮して、使用箇所によって使い分けることが大切です。発注先については、ネット検索して価格が安いところを選択した結果、トラブルになっているケースが多いので注意が必要です。コンクリートを補強して、長持ちさせる手法として、IPH工法(樹脂を0.01ミリの空隙にも隈なく注入)、プロテクトシル(アルカリ性を回復)、塗装+光触媒(美観が長持ち)、シート工法(水の侵入を防ぎ、美観を保つ)、ポリウレア(高耐久性防水、吹き付け)、ポリフィン(高耐久性防水、シートを熱溶着)などがあります。銀座アポロ昭和館は、IPH、ポリウレア、ポリフィンを採用しています。以上のように、最近の技術を含めて、大家さんたちが知識を得る貴重な機会になったと思います。「大家さん大学」(YouTube)にも、アップされるようです。ご覧ください。

 

なでしこJAPAN*

 このところ、対外試合で勝てませんし、得点が取れませんでした。カナダには3-0で勝ちましたが、テレビ放送がないので、ゲームの評価ができません。男子の方なら、監督の交代を求める声がうるさくなっていることでしょう。個々の選手の力量は、かつて世界一に輝いた当時と比べても遜色ないと思います。ただ、世界の進歩は、欧州のビッグクラブが女子チームにも力を入れるようになったために、身体的にも、技術的にも、日本人選手の成長をはるかに凌駕しているのです。また、チームとしての戦術が他国から研究され、なでしこJAPANの特長を消されているように思います。今のチームには、澤選手のような絶対的なエースがいないので、試合の中で修正していくことも難しいようです。代表チームが勝てなくなると、女子サッカー自体への関心が薄れていきます。世界と戦うためのチーム作り、選手の養成を、一から組み立て直す時期に来ていると思います。個人的には、熊谷選手がいるうちに、もう一度、ワールドカップで好成績を残してほしいと願っています。

 

カスタマーハラスメント*

 日本のサービス業は、従業員を守ることを疎かにして、お客様を大事にしすぎます。カスタマーハラスメントに対して、毅然たる対応をすることができないのも、経営者の甘さだと思います。昔ながらの子どもを宥めるような対応は、完全に時代遅れです。業務に差支えになるほどのクレームについては、その場で警告を発して、実際に被害に至れば、事実を公表する、警察に相談する、場合によっては損害賠償請求をすればよいと思います。カスタマーハラスメントをするような消費者は、決して神様ではありません。顧客であるからと言って、従業員がストレスの発散の相手をする必要はないでしょう。企業としては、マニュアルを作成して、相手が冷静さを少しは取り戻せるように応対を工夫すること、ハラスメントの証拠となる記録を残すこと、その場を収めようと現場判断でルールに反した特別扱いを絶対にしないこと、マニュアルに即した応対ができるように現場で訓練することが、大切だと思います。

 

リノベーションかリフォームか*

 東住協のセミナーで、谷崎憲一講師から「賃貸経営を科学的に考える!リフォーム予算の話」について講演がありました。要点は、築45年の老朽化したアパート15室(土地100坪)について、15年間の机上の収支計算をしたところ、有利な方から、建て替え(容積率アップ)、リノベーション、リフォーム(空室率20%)の順になったとのことでした。もちろん、ケースバイケースですので、常にこの順になるというわけではないようです。建て替えには、気力・体力・判断力が必要だと書かれていたのが印象的でした。また、大家さんには嬉しくない話ですが、修繕やメンテナンスの費用は、上昇傾向です。原状回復やリフォームの費用も、既に、少なくとも5~10%アップ(クロス張替えなど)、ひどいものだと30%アップ(鍵交換)となっています。新築や大規模修繕費も当然上がります。賃金アップの動きも大企業を中心にあるものの、費用の上昇分の家賃への転嫁は容易ではないという状況です。経営環境が苦しくなるので、テナントに長く入居してもらうことを第一に考えた方が良いというのが、結論のようです。収入は減り、出銭は増えて行くのが、今の賃貸経営であるという認識を持ちなさいと言っています。分かってはいても、厳しいですね。バレンタインに、苦い教訓をいただいて、冷たい風の中、参加者はそれぞれの家路についたのでした。

 

多和田葉子*

 「太陽諸島」(講談社)は、「地球にちりばめられて」「星に仄めかされて」に続く3部作とのことです。完結しているようには思えませんでしたが、主人公が母なる存在=皆が集える家になるという覚醒で終わるという話なのかも知れません。小説の構成は、「魔の山」のように登場人物の対話、会話で進行します。章ごとに、語り手が変わっていくので、主観も入れ替わっていく変則的な物語です。話し手の記憶や思想が、神話、歴史、昔話、小説、映画、演劇、言語学、民俗学などの断片によって、喚起され、複雑に化学変化していく造りになっています。しかも、6人のグループで船旅をして、バルト海を巡るという想定なので、国や都市の景観、歴史、民族などから、登場人物は刺激を受けて反応・変異していきます。更に、主人公が開発した人工語を含む多言語による会話が、出自の異なる根無し草の人たちによって語られる言葉の意味を、一層複雑なものにしていくのです。今や、ノーベル文学賞候補とも目される方なので、私の読み方が正しいのかは自信がありませんが、小説自体が、作家の脳の中にある小宇宙のような時と場所の異なる物語を、幾重にも連ねて構成したような構造になっていると感じます。6人による船旅が終わることなく、円環のように続いていくのは、脳内の記憶のループに終わりがないからではないでしょうか?間違っているかもしれませんが、多和田葉子さんは、トーマス・マンや埴谷雄髙さんのようなタイプの小説家といえるのではないかと思います。3部作の一読をお勧めします。

 

民泊の規制緩和*

 2023年度に、国交省は、地方の空き家を民泊に利活用するために、管理運営する事業者の要件を緩和する方針だとのことです。具体的には、指定の講習を受講すれば、不動産資格や実務経験は問われなくなります。確かに、管理事業者が増えれば、空き家の利活用が促進できる可能性があるでしょう。もっとも、利活用できるかどうかは、空き家の立地や状態にもよります。インバウンドが戻りつつある中で、民泊事業が、空き家対策の一つの解になれば、一石二鳥だと思います。

 

工事のトラブル防止*

 「家主と地主」3月号の特集は、「工事後の『まさか』を避ける3か条」です。この特集で、私が、なるほどと感じたのは、図面の見方、画像の共有、差し入れ付きの現場訪問の3点です。図面の見方では、コンセントの位置、生活動線の確認、窓の形状と位置には特に注意を配る必要があります。画像の共有では、色と柄と縦横に間違いがないか確認します。現地訪問は、現場との良好な意思疎通が良い工事に繋がるということです。予め好みを聞いておいて、監督さんや職人さんに差し入れる品物を調整するという気配りが大切です。当たり前のようにも感じますが、こうしたことが書かれているのを見ると、オーナーさんの多くは、必ずしも実践していないということでしょう。参考にしたいものです。

 

伊能忠敬*

 初めて日本列島の実測地図「大日本沿海輿地全図」を作成した人物です。56歳から72歳まで、全国を歩き続けて、10次に渡る測量を行いました。NHKの歴史探偵でも取り上げていましたが、歩測で行ったのは、第1次測量(180日間)、奥州街道・蝦夷南東沿岸の測量のみですが、谷釜尋徳「歩く江戸の旅人たち2」(晃洋書房)では、10日ごとの歩行距離が計算されています。それによれば、始めの20日は、1日当たり38キロほど、次の120日は、25キロほど、最後の40日は、28キロほどとなっています。ペースを上げたのは、路銀が尽きそうになったからです。路銀は100両を持参したのですが、幕府からは20両しか手当をもらえなかったのです。江戸に戻ったときには、残金は1分のみでした。歩測の1歩は、69㎝だったというのが定説です。元祖中高年の星ですから驚きませんが、その正確な歩幅で、1日平均で4万歩以上、180日間も歩き続けているのです。しかも、整備された街道ばかりではなく、蝦夷の沿岸を測量しているのですから、今なら、スーパー・シニア・アスリートでしょう。テレビ番組で、道を歩く企画がありますが、連日30キロを歩き続けるのは、とても無理でしょう。しかし、江戸時代の旅人たちは、1時間4キロペースで、1日8時間近く歩いて、毎日旅をするのが、普通でした。伊能忠敬は、老境に入っても健脚だったという点で凄いと思いますが、私たちは、江戸時代の人たちに、脚力と忍耐力ではとても勝てそうにありません。

 

ご当地インスタントラーメン*

 ご当地ラーメン(袋麺)のランキングで、2年連続第1位になっていた「オホーツクの塩ラーメン」を食べました。湧別町の「つらら」という会社の製造です。私は知りませんでしたが、2020年に「マツコの知らない世界」で紹介されて、ブームになったものだそうです。確かに値段も立派なものでしたが、スープも麺も袋麺のレベルではありません。その上を行く「利尻昆布ラーメン塩」(3年連続第1位で殿堂入り)があるそうですので、そちらも試してみたいと思います。この種のラーメンを食べつくしてみたい方は、「やかん亭」さんの通販で全国各地の袋麺の取り寄せが可能です。デザインのインパクト、素材の深掘りがポイントになっています。

 

ステラマリス不動産マネジメント合同会社

 

 

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