世界トップ100大学に10校をランクインさせる見込みがあるのか?(3)
大学ランキングを上げることを意識して、英語での授業を増やすという方針に傾くことは危険である。ただし、優れた外国人研究者を増やしていくことは戦略的に有意義であり、結果として英語による授業が多くなることは結構なことである。そのためには、東京大学を始めとする主要な研究大学に置かれているWPI拠点での種々の取組を、計画的に全学化していくことが具体的な目標になるだろう。また、科研費の英語による申請・審査など、研究者が専ら英語で活動できるように、我が国の競争的資金システムをグローバル対応の観点から整備することが先決である。こうしたことは、文部科学省等の努力で実現可能である。
私は不満に思うことは、誰の責任で、何を実現するのか、費用はどう賄うのか、手順や体制はどう考えるのか、要するに経営的な思考がすっぽりと抜け落ちていることに在る。例えば、優秀な外国人留学生を獲得するのは国際競争である。勝つためには金が要るのである。海外にアンテナを伸ばして広報宣伝・情報収集活動をするのは良いが、学生に対してどういう経済的条件を提示できるかによって、あるいは、当該大学の特定の専門分野のランキングによって、日本の大学に来る者は来るし、来ない者はどうしても来ないのである。そうした現実を知ってか知らずか、きれいごとばかりでは国際競争に勝てるわけがない。ふわふわとつかみどころがない戦略を提示している文部科学省自身、待ったなしに人材力強化に取り組む必要があるのではなかろうか?
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