第80期本因坊戦五番勝負　一力遼本因坊－挑戦者・芝野虎丸十段　第4局の10

読み勝ち、最終決戦　観戦記・金沢盛栄

　昨譜は白212までだった。ともに残り時間は5分を切り、秒読みに入っている。残っているのは数目の小ヨセのみ。最後まで打ち切るかと思われたが、午後5時55分、一力は「負けました」と頭を下げ、投了した。「盤面ではいいのですが、コミが出ません」（伊田九段）

　芝野が会心の打ち回しで連勝、最終決戦に持ち込んだ。

　本局のポイントは下辺での読み比べ。黒71は99や210なら穏やかだった。厳しくツケコシたため、黒の攻め、白のシノギという競り合いに入る。黒71、73の二子を捨て、左下隅白の取り掛けを目指すが、白90が予想していなかった好手で、狙いは頓挫する。AI（人工知能）によると、黒89では133と切り、白90に黒134とワタって辛抱すべきだった。伊田九段の指摘に、一力は「人間的には打てないですね」と苦笑いし…