Plankton Staff Diary

プランクトンのスタッフ日記

ケルトの季節

2012å¹´03月13æ—¥ | æ˜¯æ¾

本日はICF(Intercollegiate Celtic Festival)内で行われたケーリーの見学に行ってきました。

ICFは今年3年目を迎える、東京学芸大学のケルト音楽研究部が中心となって行われるプログラム。部員以外にも何十人もの方が参加していて、中には名古屋や長野から出て来たという方も。まったくの初心者でも問題なく参加でき、どなたも本当に心から楽しそうな表情をしていたのが印象的でした。
 
とにかく驚いたのが年齢層の低さ!大学生が中心になっているとは言え、ヨモヤ若い人達がこんなにケーリーに興味をもっているとはツイゾ知りませんでした。
いつもこの業界内で
 
「いいねェ~まだ若いねェ~これからだねェ~」
 
などとちやほやされていい気になっていた私も、実はモハヤいいオッサンでした。
もちろん中には中高年の方もいて、年齢差などまったく関係なく参加者全員がみんなで楽しんでいましたよ!この老若男女問わず楽しめるところもケーリーの良さですね。
是非、みなさんも一度参加してみてはいかがでしょうか??
 
ちなみにケーリーの伴奏及び進行は、定期的にケーリーを開催し、昨年のケルクリ・アフタヌーン・コンサートにもご出演頂いたフルート奏者の豊田耕三さん率いるケーリー・バンドでした。カントリー・ダンス・チューンに特化したこのバンドのコンセプトは、日本人のトラッド・グループでは比較的異色といっていいかもしれません。アシュリー・ハッチングス率いる英国のアルビオン・ダンス・バンドにも通じるものがありました。
こうやって若い世代を中心にケルト文化が広がってくのは嬉しい限りです。
プランクトンも今年は6月にソーラス、11月からチーフタンズとケルト三昧!是非、ひとりでも多くの方に来て頂きたいと思っています。
 
さて、今週末はいよいよアイリッシュ最大のお祭り「セント・パトリックス・デー・パレード」!
青葉の如き緑に身を包み、街中をアイルランドに染め上げましょう!!

WOWOWまもなく!

2012å¹´02月17æ—¥ | æ˜¯æ¾

明日、WOWOWのミュージック・スタイルWORLDという番組で、スタッフ・ベンダ・ビリリの野音ライブが放送されます。
伝説の一夜となった熱狂のステージは必見です。あの場にいた方も来られなかった方も是非!!

また、同番組で3/3に放送予定のザ・ステップクルーすみだトリフォニー公演も現在絶賛編集中。
こちらの映像チェックをしていて思ったのですが、映像の編集作業というのは本当に大変な作業だなぁと。
私などは人様がせっせこ編集して下さったものをてれてれチェックしているだけに過ぎないのですが、それでも目の疲労は避けられず。
これを1秒1秒、あらゆるカットを吟味選定し繋ぎ合わせる作業となると、考えただけで「アイボン」買いに走りたくなります。

先日、映画「エンター・ザ・ボイド」をDVDで観賞したのですが、あれの編集作業に当たったスタッフは本当に拷問だっただろうなぁ…。
"マジックマッシュルーム3D映像感覚"などという支離滅裂なコピーすら豈図らんや言い得て妙かなと思わせるトリップ映像。オープニングからいわゆる「ポケ◯ンショック」を意図的に誘発せんばかりの光刺激性。そしてバッドトリップとチベット「死者の書」の思想という、ビートルズの「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」と全く共通の世界観を表現したサイケデリックな浮遊感。さらに「アレックス」で知られるギャスパー・ノエ監督の最新作だけあって、視覚的且つ精神的グロさも満載。
スタッフロールを冒頭に持って来たのはこれを編集したスタッフの方々への敬意の表れではないかと思えるほど。
思い出しただけで「救心」買いに走りたくなります。

話がだいぶ脱線しましたが、我らが編集スタッフさんの血と汗と涙の結晶と言える傑作ライブ映像2本は下記日程でまもなく放送です。
もちろんアーティストのクオリティとパフォーマンスの素晴らしさは言うに及ばず。
どうぞ、お見逃しなく!!

WOWOW『ミュージックスタイルWORLD』
スタッフ・ベンダ・ビリリ@日比谷野外大音楽 2/18(土)14:30~
ザ・ステップクルー@すみだトリフォニーホール 3/3(土)17:00~

捨符来

2011å¹´12月05æ—¥ | æ˜¯æ¾
ザ・ステップクルーのツアー、始まっております。
出だしからロンドン・ヒースロー空港でのストライキなど不測の事態もありましたが、ここまでエル・ムンド出演、焼津公演とどちらも大成功に終わりました。

彼らはパフォーマンスの素晴らしさもさることながら、人間的にもとっても面白い人達です。
今日も移動中のバスで、芸術肌のギタリスト、ジェフリー・マクラーノンのギターに合わせクリスマス・ソングを歌いながら伊丹入り。
毎朝3時~5時くらいまで飲みながら話していますが、まったく飽きません、この人達には。

今日はバスの中で、日本語に興味を持ったメンバーに質問攻めにされました。
「音」のみの役割を持つ仮名と、「意味」の役割を持つ感じの存在に興味をもったメンバーのために、ステップクルーのメンバー名を当て字で表記し、その意味を英語に訳すという遊びで盛り上がりました。

以下、決定事項。

ジョン・ピラツキ → 女無 平付 → Guy who has no women always besides(女っ気ゼロの奴がいつもべったり)
ネイサン・ピラツキ → 姉様 平付 → Older sister always besides (姉さんがいつもべったり)
ダン・ステイシー → 団 捨石 → Group throwing stone(石を投げてる集団)
キャラ・バトラー → 空 馬虎 → Empty horse tiger(中身空っぽの馬と虎)
クリスティーン・カー → 栗捨員 車 → The car for throwing chestnut staff(栗投げスタッフ専用車)
サラ・ウディン → 皿 饂飩 → Thick noodles on plate(皿うどん)
ジェフリー・マクラーノン → 地絵不利 枕濃霧 → Ground picture disadvantage, deep misty pillow(地上絵は不利、濃霧の枕で)
ロブ・ベッカー → 呂風 別加 → Additional upsidedown bathtub(天地真逆の風呂桶をもうひとつ追加)
カーク・ホワイト → 加悪 保猥人 → Adding evil and keeping obscene man(ますます悪く、そして相変わらず猥褻な男)
ジェイソン・ローチ → 爺様老痴 → Senile old man(もうろくした爺さん)
ジュリー・フィッツジェラルド → 受理 不一致知恵裸留戸 → Accept different knowledge and naked house keeper(そぐわない知識と全裸の留守番人を受け入れろ)
アリス・マコーマック → 蟻巣 馬子馬喰 → In Ants' nest, horse keeper eats horse(蟻の巣で、馬の世話役が馬を喰ってる)
ジョン・スミス → 女無 隅酢 → No women, vinegar at corner(女っ気はゼロ、部屋の隅にはお酢2本)
デイヴ・ホール → 出不 放 → Won't go out, kick him out! (全然出て行かないから、放り出せ)


こんな中学生みたいな遊びに、本気になっていたステップクルー一行様でした。
楽しい奴らのコンサートは、当然楽しい!みなさん、是非是非おいで下さい。

なお、最後に決めたステップクルーの漢字表記。

ステップクルー → 捨符来 → Don't get the ticket, just come(チケットなんかいいから、みんな来てねー)

(※注:チケットは必ずご購入下さい)


さて、写真はツアーで販売中のTシャツです。
ちなみに、真ん中のカナダの旗は、「皿うどん」ことサラが私のためにガムテープで作って貼ってくれたもの。
これは販売用には付いていないので悪しからず。
他にもステップクルーのすべてがわかるパンフレットに、思わず踊りたくなるデビューCD(どちらもDVD付き)が絶賛販売中!

是非グッズもお買い求め頂き、楽しい彼らとサイン会で触れ合ってみて下さい。


マイノリティの目線

2011å¹´08月08æ—¥ | æ˜¯æ¾
個人的に好きな作家のひとりに堀江敏幸さんという方がいます。
志賀直哉の系譜に連なる研ぎすまされた日本語に、フランス文学研究家ならではの繊細な感性とロマンチシズムがきらりと光る、非常に美しい文章を書く方です。
彼の代表作に「おぱらばん」という随筆集があり、個人的にはこれこそ現代心理エッセイの最高峰、日本語の随筆かくあるべしと思わせる愛読書であります。

この「おぱらばん」は、堀江氏のフランス滞在中の体験を淡々と綴った作品。
普通、フランス滞在記などと言えばパリやプロヴァンスでの華やかな生活やパリジェンヌとの優雅な交流が書かれてしかるべきですが、この作品では堀江氏の「マイノリティ」としての立ち位置と目線が非常に明確に貫かれています。
パリの中心ではなく郊外の移民地区で、中国人や東欧系の人々と触れ合う日々を文学への憧憬を交えながら描くその感触は、とても美しく暖かく、そして力強いものです。

この10月にAsaとTeteという、フレンチ・アフリカンを代表するシンガーソングライター2人が来日します。
先日「おぱらばん」を読み返していて思ったのですが、その感触はどことなく2人の音楽表現が持つ感触に通じるものがあるような気がします。
AsaとTeteともにそのアイデンティティーには「移民」としての意識が少なからず介在しています。
彼らを見ていて、その感性の繊細さ、切ないまでの美しさ、高い芸術性、そして表現の力強さは、パリという人種のるつぼの中でマイノリティを意識した者に特有のものなのかもしれないな、と思ったり。


さて、毎日毎日暑い日が続きますが、暦の上では密かに立秋を迎えました。
間もなく訪れる秋の高い空と澄んだ空気の中、
読書の秋には堀江氏を、そして芸術の秋にはAsaとTeteをおすすめ致します。

BEAT CIRCUIT 2011 ~ASA & TETE 真実の熱い歌~

ASA単独公演

TETE単独公演

ケルズの書

2011å¹´06月14æ—¥ | æ˜¯æ¾

西アフリカでは代々シソコらグリオに傅くべくして決して抗うこと能わぬ運命を背負った「ケイタ」の名を持つ是松です。
そのシソコ&セガールのツアーに関してはNEWS & REPORTに詳しいのでこちらでは別の話題を。

先日EUフィルムデーズという、その名の通りEU諸国の映画を集めた映画祭にて、アイルランドのアニメーション映画「ブレンダンとケルズの秘密」を観賞して参りました。

アイルランドが誇る国家の至宝。 
「世界で最も美しい書物」とされるケルト装飾文化の最高峰。 
苦難の時代にありながら決して失わなかった信仰心と自然への崇拝、畏怖の結晶。 
いかなる時代においてもアイルランド人の精神的象徴として歴史的、文化的、宝物的価値を超越した存在であり続けた唯一無二の書物。 
それが「ケルズの書」。
その「ケルズの書」に着想を得た、非常にクオリティの高いアニメーション映画でした。

キリスト教と自然崇拝/精霊信仰といった異文化の融合というケルト文化ならではのテーマと、ヴァイキング襲来の苦難にも屈しなかった不屈のアイリッシュ精神を見事に表現しています。
久しぶりにケルト文化の素晴らしさ、奥深さを再認識することができました。

 
なお、この映画の音楽にはKILAのメンバーが参加しています。
映像美にまったくひけをとらない美しい旋律と演奏は、幻想的な映画の世界観をさらに高めておりますよ。

しかしながら、残念なことに今現在日本ではこの映画の一般上映はないとのこと。
何とかならんかなぁ。

The Secret Of Kells - Promotional Trailer

 


メッセージ

2011å¹´04月07æ—¥ | æ˜¯æ¾
これまで関わって来た世界中のアーティスト達から被災した日本にメッセージが届いています。
メッセージはこちら


ビデオ・コメントであったり、想いのこもった文章であったり、はたまた素敵な音楽演奏であったりと、
伝え方は様々ですが、みんな一様に日本を心配し、敬意を表し、愛してくれているのが分かります。
悪いニュースばかりで気持ちが沈みがちですが、彼らのメッセージを読んでいるともっともっと強くなれるのではないかという気がしてきます。

また、日本国内でも必死に内側から人々を鼓舞しようという動きがたくさん見られます。
昨日USTREAMで配信されていた南青山のミスター・ミュージックでのチャリティ・ライブもそのひとつ。
来る6/6、青山CAYで行われるシソコ&セガールの公演にゲストとして出演して下さる清水靖晃さんもサキソフォネッツを率いて参加していましたが、素晴らしいアンサンブルでした。
私は幸運にも生で観ることができたのですが、淀んでいた気分が一気に晴れていくような音楽はきっと配信を観ていた人々の心にも響いたと思います。

シソコ&セガールの音楽にも同様の効力があると私は思っています。
こんなときだからこそ、6/6は是非ともこの2つの出演者が鳴らす希望と未来への音色を生で体験して欲しいと思います。
シソコ&セガール公演のページ

After the Rain

2011å¹´02月19æ—¥ | æ˜¯æ¾


しばらく前に美容院のお兄さんと芳香剤の話になったとき 、「雨上がりの匂いがする芳香剤があるらしいですよ」 という情報は入手していた。

雨上がり。After the Rain.
そのとき私が喚起したイメージは、霧がかった緑の中にひっそりと佇む、露に濡れた蔦に覆われたゴールウェイ教会のごとき静謐な香りであった。

世の芳香剤といえば、ラベンダー、レモン&ライム、ローズ、ハワイアンブルーなどなど、 どうにも人工的でしつこいものがほとんど。 土着的なものをこよなく愛するカントリー・ボーイの私にとって、雨上がりの澄んだ空気そのものを芳香剤にせんとするその姿勢は十二分に評価に値するものである。土着愛を公言せし者が人工製品たる芳香剤を選り好むという、その葉公龍を好むが如き姿勢が果たして評価に値するか否かは私の知るところではない。

しかし、雨上がりの香りのイメージというのも人それぞれだろう。
人によってはカラッと晴れた太陽と湿った土の匂いを思い浮かべるであろうし、また人によっては石造りの街の濡れた路地の香りを思い浮かべるものもいるだろう。 我が母校、東京都立南多摩高校卒業生であれば、雨に濡れることで奇々怪々なる異臭を放つ面妖な玉虫色の制服を想起するやもしれぬ。 かくも千差万別なイメージを想起させる「アフター・ザ・レイン」という香りの、なんとロマンに溢れたことか。 その名を耳にしてより幾年月、そのイメージは私の中で崇高なものへと昇華され、もはや浮き世のものとは思えぬ至高の香りを持つものへと格付けられつつあったのである。

さて、先日最寄りのスーパーにて、まさにその紛うかたなき「After the Rain」と名付けられた芳香剤を発見した。 ちょうど家の芳香剤が干涸びていたので、一も二もなく購入する。

家に帰り、直ちに芳香剤を仏像の如くテーブル上に奉納し、その前に座を正す。
背筋を伸ばし45度の一礼後、「失礼致します」と呟いてぱかっとキャップを持ち上げる。

一瞬後、鼻腔を突いたのはこの上なく人工的な香りであった。
香料をこれでもかというほど注ぎ込み、マスクをした労働者達が嗅覚疲労を起こしながら工程を管理する工場の映像がくっきりと目前に浮かび上がるほどに。
それは人工的極まる香りであった。

ちょうどそのとき、失望の念にうちひしがれる私の部屋の窓を 冷たい雨がぽつぽつと打ち始めた。
その雨が上がったとき、私の鼻は芳香剤の香りによって嗅覚疲労を起こし、もはや何も香りはしなかった。

ケルティック・コネクション2011

2011å¹´01月18æ—¥ | æ˜¯æ¾


「我が心はハイランドにあり」と詠んだのは「蛍の光」で知られるかの詩人ロバート・バーンズ。
ディランの大作"Highlands"のもとになったことでも知られるこの「ハイランド」とは、すなわちスコットランドのこと。
今、そのスコットランドはグラスゴーに私はおります。

ケルト音楽はじめ、そこにルーツを持つ世界中の音楽を集めた一大イベント「ケルティック・コネクション」。
今年はなんと、日本からハンバート ハンバートがフィドラーズ・ビドの20周年記念ステージのゲストとして堂々参戦。
ゲストというより、ハンバート ハンバート with フィドラーズ・ビドと呼んでも差し支えない演出で現地の観客の心を鷲掴みにした。

圧巻だったのが、フィドラーズ・ビドのクリス・スタウト発案による、18人ものヴァイキングを従えての「波羅蜜」。
コンサートのラストに演奏されたこの"Haramitsu" (Viking ver.)には会場も大盛り上がり。
シェトランド島の本場ヴァイキング・コスチュームに身を包んだ猛者どもの雄叫びが恐ろしいほど楽曲とマッチして、強烈なインパクトを観る者に与えた。
その大盛況振りはScottish Television(STV)のホームページにもレビューが掲載されるほど。

ところで、兜と鎖帷子をまとい、楯に剣、そして斧を携えたヴァイキングが、楽屋で携帯電話を巧みに駆使している姿は甚だ異様な光景であった。


フェスティバルでは他にも膨大な数の素晴らしいアーティストが出演。
伝統の中に現代的な感性とセンス、そしてストーリー性やエンターテインメント性を取り入れた全く新しいハイブリッド・ダンス・プロジェクト、ステップクルー。
鋭く回転する独楽がぶつかり合う様を彷彿とさせるような、あるいは鍛え抜かれた雑疑団による曲芸の応酬を見せられているような圧巻のプレイを披露したリズ・キャロル&ジョン・ドイル。
カントリー、ジャズ、ソウル、ブルース、ラグタイムなど様々な音楽的要素を飲み込んだ変幻自在の歌とギターによるデュオ、モーリー・オブライエン&リッチ・ムーア。
限られた時間の中で観ることのできたアーティスト達はどれも非常に素晴らしかった。

余談だが、これだけ莫大な数のアーティストが狭いエリアに密集しているので、このフェス全体が巨大な同窓会会場のようである。
どのミュージシャンも100メートルも歩かないうちに知り合いのミュージシャンに出くわし歓談するので、まったく歩が進まない。
SFC版ドラクエ3にて黄金の爪を入手せしのちのエンカウント率もかくや、と思わせる「既知との遭遇」具合はまさに「ケルティック・コネクション」の名に相応しい。
音楽そのものはもちろん、人と人との出会い、そして触れ合いと場としても素晴らしいフェスティバルである。


早いもので、6日間の滞在を終え本日我々は日本に向けてグラスゴーを発ちます。
脳内に閉店BGMの定番「蛍の光」が流れつつも、我が心は未だハイランドにあり。

世界の車窓から

2010å¹´12月22æ—¥ | æ˜¯æ¾
先日、不肖我が27回目の生誕の儀を迎え、友人よりプレゼントを頂戴した。
つい先日DVD化されたばかりの「世界の車窓から~アイルランド編」である。
さすがアイルランドをこよなく愛する私の嗜好を誰よりも理解している友人。あっぱれな慧眼、誠に恐れ入った次第である。
しかし、そんな彼でも私がリアルタイムで「世界の車窓から~アイルランド編」を毎日欠かさず録画し続けていたことまでは思い及ばなかったようだ。

時は2010年2月18日。「世界の車窓から」がアイルランドに突入したその日より、私の右手親指は23:10にリモコンの録画ボタンを押すためだけに存在することとなる。

当時、私は毎日ほぼ23時ちょうどに最寄り駅に帰還する生活を送っていた。
最寄り駅から自宅までは徒歩約7分。
つまり、23:10に録画スイッチを押すためには僅かな時間ロスも許されないということになる。

「そんなもんはタイマーをセットしておけばいいではないか」という声が聞こえてきそうだが、私は経験上テレビ朝日の「報道ステーション」がずれ込む可能性を熟知していた。
血脇肉踊らせて帰宅し録画したビデオを再生してみたところ、古館伊知郎氏が「この先、日本はいったいどうなってしまうんでしょうか」などとのたまっていた暁にはただ泣き濡れて蟹と戯るより他になす術がなかろう。

少しでも電車が遅れたり、いつもの電車を乗り過ごそうものならば、その心に一切の余裕はなくなる。容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、かつて幼稚園に入園した頃の豊頬な美少年の面影は何処に求めようもない。
駅に降りた刹那、脳内には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のBGMがパーパーパ~♪と流れ、デロリアンが落雷に向って発進したときにも似た手に汗握る緊迫感のなか、自宅に向って全力疾走するのであった。

私がこの録画のために支払った代償は決して小さいものではない。
あるときは、落とした100円を諦めて振り返ることなく泣きながら走った。
あるときは、駅から自宅までの間にある公園にてひとりすすり泣く黒髪の美女を視界に捉えながらも、その傍らを猛スピードで駆け抜けた。(ちなみに録画終了後、すぐさま公園に踵を返したところ、すでに荒涼として人影なかったことは言うまでもない)

私の全力疾走を毎日訝しげに眺めていた最寄りコンビニのお姉さんはきっと

「あの人、毎日下痢してるのかしら」

と思っていたことだろう。
それだけの緊迫感をもって帰路を急ぐ20代後半の男が、息せき切らして遂行していた行為がたかだか「5分間のミニ番組の録画」であったと一体誰が想像できるだろうか。


もし仮に、当時私とまったく同じタイミングで日々録画ボタンを押し続けていた奇特な方がいらっしゃいましたとしたら、迷わず来年3月のお花見World Beatに遊びに来ることを推奨致します。
ジョン・ドイルとマイケル・マクゴールドリックという、ド級のスーパー・プレイヤーがあなたにアイルランドの空気をお届けいたしますことをお約束します。


はじめまして

2010å¹´11月24æ—¥ | æ˜¯æ¾

プランクトンスタッフ日記をご覧の皆様、初めまして。

私、9月よりこちらで勤務しております新人の是松と申します。

以後、お見知りおきのほど何卒宜しくお願い致します。

 

この2ヶ月間、スタッフ・ベンダ・ビリリ、ストーケロ・ローゼンバーグ・トリオといった素晴らしいミュージシャン達と共に仕事をさせて頂く機会を賜り、毎日が発見と驚きの連続で非常に充実した日々を過ごしております。

このような素晴らしい機会を恵んで下さった川島代表、ならびに日々ご指導ご鞭撻頂いている諸先輩方には感謝の言葉もございません。この場を借りて厚く御礼申し上げます。まる。

 

さて、いよいよ12月も近付き、冬の祭典「ケルティック・クリスマス」に向けて着々と準備を進めております。

今年は私の大好きなアイリッシュ・バンドLunasaに加え、スコットランドのLau、北欧の超新星Valravnという豪華なメンツでお送り致します。

それに伴い、全国のレコード店にて「ケルト音楽フェア」なるものを開催致します。

詳細はこちら↓↓

http://www.plankton.co.jp/xmas10/cdf.html

 

対象商品をご購入のお客様から抽選で素敵なプレゼントが当たりますので、是非是非皆様この冬もケルト音楽に心癒されて下さいませ。

 

ちなみに個人的なオススメは、ジョン・ドイルの"ウェイワード・サン"。

3年前このアルバムを聴いた若かりし頃の私は、アイルランドにルーツを持つ音楽の根源的な力と絶対的な音楽的必然性に心揺さぶられ、唐突に身ひとつでアイルランドに渡りました。

このアルバムがなければ、今私はこうしてこのブログを書いていることはなかったやもしれません。

 

人とも音楽との出会いも一期一会。

皆様にとって、この「ケルト音楽フェア」が人生を変える素敵な音楽との出会いになりますよう。