朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」4月1日連載開始
本紙夕刊小説、宮城谷昌光氏の「諸葛亮」は3月31日で完結、4月1日から朝井リョウ氏の「イン・ザ・メガチャーチ」を連載します。
朝井氏は1989年岐阜県垂井町生まれ。早稲田大学在学中の2009年、「桐島、部活やめるってよ」で作家デビュー。13年には「何者」で、平成生まれとして初めて直木賞を受賞しました。同世代の心情を丁寧にくみ取る作風に定評があり、他の作品に柴田錬三郎賞を受賞した「正欲」などがあります。
今作は、好きな対象を熱烈に応援する「推し活」を、その仕掛けを施す側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側、世代の異なる各視点から描く現代小説です。人間と信仰、コミュニティの関係性に迫ります。
挿絵は日々のスケッチをもとに独自の風景画を生み出す画家、津上みゆき氏が担当します。
〈作者の言葉〉
小説を書く経験を重ねていくと、いい意味でも悪い意味でも、公式のようなものが見えてきます。個人的に、「主人公の視野が拡がる=主人公が成長する=ハッピーエンド」という等式はそのうちの一つだと思います。
そういう構図に倦(う)んだタイミングで始まるのがこの連載です。
例えば何かを決断するとき、人はわざと視野を狭めます。今は余計なことを考えるのをやめよう、というように。自分にとって大切なものを見極めるとき、つまり何かを信じようとするとき、人は視野を狭めるのです。
ということは、成長と信仰は、対極の現象なのでしょうか。
考え始めると、頭の中の別々の部屋にあった諸々が、何やら繫(つな)がり始めた気がしました。これは、小説が生まれてくれる前兆です。未熟な書き手ですが、何卒よろしくお願いいたします。
夕刊連載小説・朝井リョウ「イン・ザ・メガチャーチ」(津上みゆき 画)のバックナンバーをお読みいただけます。