米カーライル、日本KFCを1300億円で買収 TOBなどで
米投資ファンドのカーライル・グループは20日、「ケンタッキーフライドチキン」を運営する日本KFCホールディングスを買収すると発表した。買収額は約1300億円。TOB(株式公開買い付け)のほか約35%の日本KFC株を持つ三菱商事などから買い取り、9月をめどに完全子会社化する。店舗網を広げ、デジタル化を進める。
TOB価格は1株あたり6500円。日本KFC株の20日の終値は5400円で、約20%の上乗せ幅(プレミアム)となる。買い付けなどの期間は5月21日〜7月9日。日本KFCは同日、TOBに賛同し株主に応募を推奨することを表明した。
TOBの完了後、残った少数株主の株を併合して取得し、9月をめどに三菱商事が持つ約35%の株式を約400億円で買い取る。TOBと三菱商事からの株式取得を合わせた買収総額は約1300億円となる。日本KFCは東証スタンダードに上場しており、上場廃止となる見込みだ。
日本KFCの2024年3月期の連結決算は売上高が前の期比11%増の1106億円、営業利益は62%増の58億円だった。主力の「ケンタッキーフライドチキン」で23年3月と10月に主力商品を値上げしたほか、既存店売上高も伸びるなど好調に推移している。
買収後にカーライルは日本KFCの店舗網を広げ、デジタル化を進める。店内での昼食や、夕食までの喫茶需要を取り込むためにメニューを拡充する。顧客の来店頻度を上げて1店舗あたりの売上高を増やす。
利便性の高いスマートフォンアプリやクーポンの配信を通じて顧客接点を増やす。店内に設置した注文用のタッチパネルなどで省人化も進める。
カーライルは中国でのマクドナルドや米ドーナツチェーン大手「ダンキン・ドーナツ」の運営実績があり、外食企業の価値向上のノウハウを活用する。日本では居酒屋チェーン運営のチムニーを買収して非公開化したのちに、12年に再上場させた。
三菱商事は1970年に当時の米KFC(現米ヤム・ブランズ)との合弁で日本KFCを設立した。07年に株式を買い増して6割超を出資する親会社となった。ヤムとの資本関係は解消したが日本KFCが持つ日本国内でのマスターフランチャイズなどの契約は続け、店舗展開してきた。
三菱商事は15年に一部株式を売却し保有比率は約35%まで下がっていた。同社は資本効率を高めるため保有資産や事業の見直しを進めている。人口減などで国内外食市場の厳しさもあり、日本KFCのさらなる成長をカーライルに任せることを決めた。