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日本KFC、出店候補「1000カ所」 買収のカーライル幹部

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三菱商事傘下で「ケンタッキーフライドチキン」を展開してきた日本KFCホールディングス(以下、日本KFC)は2024年9月18日、米投資ファンドのカーライル・グループ(以下、カーライル)によるTOB(株式公開買い付け)を経て上場廃止となった。カーライルはTOBの他、三菱商事が持っていた日本KFC株を買い取り、日本KFCを完全子会社とした。買収額は総額およそ1300億円に上る。

日本KFCのスタートは1970年に遡る。同年、米KFC(現米ヤム・ブランズ)と三菱商事が折半で出資し、日本法人を立ち上げた。2007年には三菱商事傘下となった。

株式を非公開化しファンド傘下となった日本KFCは今後、どのような動きを見せるのか。カーライル日本共同代表兼マネージングディレクターの富岡隆臣氏は、日本KFCの店舗数拡大やデジタル化推進に意欲を見せる。

――なぜカーライルは日本KFCの買収を決断したのですか。

「日本KFCのようなクイックサービスレストラン(QSR)市場は、日本国内のBtoC(消費者向け)ビジネスの中でも特に成長が期待できる市場だ。今後5年以上にわたって年率5%ほどの成長が見込めると見ている。そうした中で、日本KFCは特に成長の余地が大きいと考えた」

「カーライルはこれまでも、QSR市場における投資を手掛けてきた。例えばマクドナルドの中国事業や、米ドーナツチェーン大手『ダンキンドーナツ』やアイスクリームチェーン大手『バスキン・ロビンス』などを運営する米ダンキン・ブランズへの出資経験もある」

「日本国内においても、『はなの舞』などを運営する居酒屋大手チェーンのチムニーを買収して非公開化した後、12年に再上場させた実績がある。19年からは野村ホールディングスと共同で、オリオンビール(沖縄県豊見城市)のTOBも実施した。BtoCビジネスの経験値が、今回のTOBに好影響を与えたと考えている」

新規出店の候補地は1000カ所

――具体的に日本KFCのどのような点を伸ばしていけると考えますか。

「まず、日本KFCは出店余地が大きい。日本KFCと同じく1970年ごろに日本でビジネスを開始したマクドナルドと比較してみると、国内店舗数はマクドナルドが約3000店だが、日本KFCはまだ約1200店に過ぎない」

「単純比較はできないものの、日本KFCにも店舗数を拡大していく余地があると考える。新規出店の候補地は、1000カ所程度と見ている」

「ただ、あくまでまずは1店舗当たりの売上高拡大を目指す。それによって新規出店の投資回収期間を短縮できれば、さらに出店を加速できる」

「そのためには、デジタル化を推進したり、購買機会を増やしたりすることが欠かせない。例えばモバイルオーダーや、店舗で消費者自身が操作するタッチパネル型決済端末の利用促進は注力していくべき点だ」

「新たな顧客層を開拓していくことも重要だ。現在の顧客層は子どものいる世代や女性が中心だが、今後は男性や若年層にも広げていきたい。顧客の購買機会を増やすために、例えば、朝食やティータイムなどの時間帯に向けた商品や、サラダなどのサイドメニュー、ドリンクメニューを豊富にすることを検討していく」

――朝食やカフェメニューなどは、マクドナルドやファミリーレストランを展開する各社が取り組んでいます。

「1つの大きなベンチマークになるのは、やはりマクドナルドだ。同社の取り組みは非常に参考になる」

「ただ、同様の取り組みが日本KFCでも成功するとは限らない。それぞれが持つブランドは消費財事業において最も重要な競争力だ。そこがぼやけるような取り組みはすべきではないと考えている」

「投資前に実施した消費者調査では、日本KFCはQSR業界の中でも特に『おいしさ』が高く評価されていることが分かった。これは何よりのアセット(資産)だ。この点を重視して事業を伸ばしていきたい」

――カーライルは24年5月に、日本企業への投資に特化した4300億円規模のファンドを新設しました。今後どのような領域に投資していきますか。

「投資機会が大きいと考えるのは、一般産業やヘルスケア、IT(情報技術)・ソフトウエアといった領域だ。メーカーは、資本効率向上や海外進出による売上高向上を課題としている会社が少なくない。ヘルスケア領域は少子高齢化が進む中で、国内では特に需要は大きい」

「日本市場の株価水準はグローバル市場と比べれば低く、(TOBにおける買収額は)十分にリターンを得られる水準にある」

「ただ先に述べたように、QSR市場も成長領域だ。日本KFCと競合しない限りは、まだまだ投資対象を探していくべきだと考えている」

(日経ビジネス 中西舞子)

[日経ビジネス電子版 2024年9月26日の記事を再構成]

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