日銀、金融政策を現状維持 金利据え置き0.25%
日銀は20日に金融政策決定会合を開き、0.25%とする政策金利を据え置くと決めた。7月末の前回会合で決めた利上げの影響を慎重に見極める。植田和男総裁は年内にも追加利上げするシナリオを維持してきた。記者会見での発信に変化が生じるかが焦点となる。
9人の政策委員の全会一致で決めた。植田総裁が20日午後3時半に会見し、決定内容を説明する。市場関係者も大半が現状維持を見込んでいた。
日銀は前回会合で短期金利(無担保コール翌日物金利)を0.25%に引き上げると決めた。8月に入って米国の景気減速の懸念が広がり、急速なドル安と株価の下落が起きた。
現状維持の背景には市場が不安定なことがある。会合後に公表した声明文では、「金融・為替市場の動向やその経済・物価への影響を十分注視する必要がある」と指摘した。
懸念されていた個人消費については「緩やかな増加基調にある」と記述した。7月の「底堅く推移している」から上方修正した。賃上げの影響が家計に及んでいることが要因とみられる。
植田総裁は経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば今後も段階的に利上げを続ける方針を示してきた。7月会合後の記者会見では年内の追加利上げも否定しなかった。市場は20日の会見で日銀の利上げシナリオが変化していないか注視している。
三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは「市場は植田総裁の発言から追加利上げの時期に関する手がかりを探ることになる」と指摘する。市川氏は年末年始ごろの利上げの可能性を残すメッセージを出すと予想する。
不確実な要素はある。米連邦準備理事会(FRB)は9月18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めた。日銀内には米国経済は「ソフトランディング(軟着陸)できる」との見方が多いものの、今後の動向を注視する考えだ。
27日には自民党総裁選の投開票も控える。候補者からは「金利をまだ上げてはいけない」(高市早苗経済安全保障相)、「日銀とマーケット関係者の間で丁寧な対話を心がけていただきたい」(小林鷹之前経済安保相)との発言が出ている。
総裁選後に発足する新政権がどのような金融政策を打ち出すかや、11月の米大統領選に伴う米国経済の情勢変化なども日銀の今後の利上げ判断に影響を及ぼす可能性がある。
日銀は2024年3月19日にマイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げに踏み切りました。政策修正を議論する場である金融政策決定会合に関する最新ニュースと解説をまとめています。
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