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住宅ローン、あなたはいくらまで借りていい?

マネーの知識ここから 住宅ローン(1)

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・マンション価格は年収のほぼ10倍、都心部では高根の花に
・「借りられる額」と「借りていい額」は違う
・月々の返済額は世帯月収の15〜20%以下に抑えるのが理想

住宅資金は教育資金、老後資金とならび「人生3大資金」といわれます。住宅を購入すると、普通は数千万円の借金を背負うことになります。場合によっては30年以上という長期にわたって返済が続く借金は、住宅ローン以外にはないといってもいいでしょう。

特に新築マンションは価格の高騰に拍車がかかっています。不動産経済研究所(東京・新宿)によると、全国のマンション価格は2022年、平均で5121万円でした。東京23区だけ見ると23年の平均価格は前年比4割増の1億1483万円。データを遡れる1974年以降で初めて1億円を突破したと話題になりました。

一方、会社員の平均年収は22年、厚生労働省の毎月勤労統計調査を基に計算すると約515万円。つまりマンション価格は年収のほぼ10〜20倍に達しています。かつては購入する住宅の価格は「年収の5〜7倍以内に抑えよう」というのが定説でしたが、現実的にはその金額で買える物件を探すのは厳しい状況です。必然的に住宅ローンの借入額も高まる傾向にあります。

自己資金ゼロで購入した人が14%

リクルートが首都圏の新築マンション購入者を調査したところ、22年の購入者のローン借入総額は平均4963万円で、05年以降で最も高くなりました。45%の人が5000万円以上のローンを組んでいます。ローンを組まず全額キャッシュで買った人も1割程度いますが、平均では自己資金を物件価格の2割強用意し、8割ほどをローンで借り入れた結果になっています。全体の21%は自己資金が5%未満で、14%の人は自己資金なしで全額ローンでまかなっていました。

住宅ローン借入額の一定割合を所得税・住民税から控除する「住宅ローン控除」の恩恵を受けるため、購入時はあえて自己資金を少なくし、借入額を多くする人もいます。頭金で現金を吐き出すのではなく、手元にある程度の現金を残しておくのも選択肢のひとつではあります。

ただし「借りすぎ」には注意しなくてはなりません。いったい住宅ローンをいくらまで借りていいのでしょうか。

「借りられる」額と「借りていい」額は違う

覚えておきたいのは、銀行が「あなたにはこれだけの金額を貸せますよ」という金額と、自分が本当に「借りていい」金額は、必ずしも一致しないということです。銀行は、現時点での給与や職業や家族構成などが基本的に今後も続く想定で、返済が焦げ付かないと思われる金額を「貸していい」と判断します。

でも、将来のライフプランは予測不可能な面があります。転職などによって収入が減少したり子どもが増えたりすれば、ローン返済に回せる金額はもっと少ないかもしれません。借りていい金額を考えるポイントは「返済期間」と「毎月返済額」です。

一般的な住宅ローンの返済期間は最長35年。もし30歳のときに返済期間35年で借りて仮に60歳で定年を迎えるなら、定年後も5年間ローンが残る計算です。住宅購入の平均年齢は40歳前後なので、もし5000万円を35年返済で借りたとしたら、年0.4%の変動金利がずっと続いたとしても60歳時点で住宅ローンが約2200万円も残ります。

大卒男性が定年まで勤め上げたときの退職金は約2200万円(21年)。退職金を全額費やせばようやく住宅ローンを完済できる計算ですが、老後資金に深刻な影響を及ぼさないよう、住宅ローンは退職金に頼らず定年までに返済し終えるのが理想です。

となると、住宅購入時の年齢によっては、返済期間は35年ではなくもっと短期間に設定する、もしくは繰り上げ返済をして返済期間を縮める必要がありますが、返済期間が短くなれば、当然、毎月の返済額は多くなります。

例えば5000万円を金利が年0.4%で、35年返済で借りると毎月返済額は12万7000円強。返済期間を25年とすると毎月返済額は17万5000円程度に上昇します。会社員の平均的な月収は約34万5000円(額面、毎月勤労統計調査)。住宅ローンの毎月返済額が12万7000円なら額面月収の約37%を、毎月返済額が17万5000円なら額面月収の半分をローン返済に充てることになります。

収入減や家族構成の変化に脆弱な家計となり、まったく現実的ではありません。おそらく、金融機関もこの返済計画では融資を認めないでしょう。

返済額は世帯収入の十数%が目安

現実としては共働き夫婦が増え、ローンを2人で返す世帯が多くなっています。リクルートの22年の調査でも、首都圏の新築マンションを購入した既婚世帯の73%が共働きでした。世帯の総収入は平均約1000万円と、毎月勤労統計調査のほぼ倍です。5000万円を借りた場合の1年間の返済額は、35年返済で額面年収の15%程度、25年返済で20%程度になります。

住宅金融支援機構による実際に住宅ローンを利用している人への調査(23年10月)をみると、変動金利型で借りた人の返済負担率は「15%超20%以内」が最も多く25%、次いで「10%超15%以内」が約21%でした。全期間固定型のローンを借りた人も、同じく「15%超20%以内」が約22%を占め、最も多くなっています。

住宅を購入すると、ローン以外にも住宅費用がかかります。固定資産税、マンションでは管理費と修繕積立金も必要です。ローン返済をしながら、将来に向けた資産形成も続けたいところです。一般的にはそうした費用も考慮すると、毎月の住宅ローン返済に充てるのは世帯収入の15〜20%前後を目安と考えるのがよさそうです。

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住宅ローン金利は上昇が予想されています。すでに住宅ローンを借りている人、これから借りる人が押さえておきたい基本を解説します。固定型と変動型のどちらがいいのかも含め、住宅ローンの基本を学ぶことはライフプランづくりでも極めて重要です。

住宅ローンの基礎知識ここから

  • 1.あなたはいくらまで借りていい?
  • 2.変動金利と固定金利、どちらを選ぶ?
  • 3.住宅ローン金利はこう決まる
  • 4.元利均等返済とは
  • 5.団体信用生命保険とは
  • 6.ペアローンのメリットとデメリット
  • 関連トピック

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