新NISAの仕組みと5つの大きな改善ポイント
マネーの知識ここから NISA(2)
・制度の恒久化、2つの枠が併用可など、改善点は大きく5つある
・中でも非課税枠の拡大が注目されており、生涯投資枠は1800万円に
少額投資非課税制度(NISA)は2024年から大きく変わり、分かりやすく便利な制度になりました。旧NISAと新NISAの違いは下の表の通りです。
中でも以下の5つが大きく改善された点です。
NISA制度が恒久化し、シンプルな制度に
24年以降、日本ではNISA制度がずっと続くことが決まりました(恒久化)。3種類あったNISAは1つにまとまり、一般NISAやジュニアNISAの非課税期間終了後の延長手続き(ロールオーバー)も必要なくなるなど、シンプルで理解しやすい制度に変わりました。
「成長投資枠」「つみたて投資枠」ができ、併用可能に
以前の一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」となり、どちらか1つの選択制から、2つの枠が併用可能になりました。これにより「投資信託を毎月積み立てながら、機動的に株やETF(上場投資信託)を買う」ことが可能になりました。
非課税運用期間が無期限に
旧NISAでは非課税で運用できる期間が5年(一般NISA、ジュニアNISA)、20年(つみたてNISA)と定められ、期間が終わる前に売るか課税口座に移すかを決める必要がありました。一般NISAやジュニアNISAでは「ロールオーバー」という延長手続きをすれば新たな年のNISA枠で非課税運用が続けられましたが、制度をフルに使っていた場合は毎年手続きすることになり、かなり面倒でした。しかし新NISAでは制度自体の恒久化を受け、非課税運用期間も無期限になりました。
非課税投資枠が大幅に拡大
旧NISAの非課税投資枠は、一般NISAが年120万円、つみたてNISAが40万円でした。新NISAでは成長投資枠が240万円と2倍になり、つみたて投資枠は120万円で3倍になりました。2つの枠は併用可能なので、両方では年に360万円まで非課税で運用できます。
1人が非課税で運用できる総額(生涯投資枠)は1800万円までとなりました(ただし成長投資枠だけを使う場合はこのうち1200万円まで)。19年には「老後資金2000万円問題」が話題になりましたが、運用が順調なら新NISAの非課税枠だけでほぼカバーできるようになったのです。
売却したら非課税枠が翌年復活
旧NISAでは買った株や投信が値上がりしていても、売ると非課税枠が消滅するため「買ったら売らずに持ち続ける」という運用法が暗黙の前提になっていました。このため最良のタイミングで株や投信を売れなかった人もいたでしょう。
しかし新NISAでは買った商品を売ると、翌年に非課税枠が復活します。元本(買い値)ベースで管理し、例えば500万円で買った株が600万円に値上がりしたので売った場合は、生涯投資枠が500万円復活します。
ただし復活は「翌年」ですので、1月に売った場合はほぼ1年待つ必要があり、課税口座のような機動的な売買はできません。NISAは長期投資に向く制度といえます。また年間に投資できる上限は360万円までなので、500万円の非課税枠が復活しても翌年内に500万円分の商品が買えるわけではないことに注意しましょう。
【マネーの知識ここから・NISA 記事一覧】
- (1)NISAとは メリット・デメリットをわかりやすく解説
- (2)新NISAの仕組みと5つの大きな改善ポイント
- (3)旧NISAはどうするべき? 売却か課税口座に払い出すか
2024年からの新しいNISA(少額投資非課税制度)導入で、多くの人の目が投資に向いています。旧制度とどこが違うのか、新NISAを効率的に使うにはどうすればいいのかなどをわかりやすく解説します。
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