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半導体の欠品防止、日米が新枠組み ASEANに参加要請へ

脱中国依存の供給網めざす 

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日米両政府は半導体などのサプライチェーン(供給網)に関する新たな枠組みづくりで協力する。「欠品防止の仕組みを確立する」との文書を調整し、東南アジア諸国連合(ASEAN)に参加を呼びかける。中国への経済的な依存を引き下げる取り組みとなる。

米国は2022年中に戦略物資の安定供給などを目的とする「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を創設する。自由や民主主義のような共通の価値観を持つなどお互いに信頼できる国同士で経済圏をつくる構想だ。具体的な内容はまだ明らかにしていない。

このほど米政府はASEANに加入を求めるための文書案を日本の関係省庁に送付し、文言の調整に入った。ASEANは中国と結びつきが強い国が少なくない。中国を過度に刺激しない表現を工夫して枠組みに加わりやすくする。

ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスによる世界経済の混乱も踏まえ、日本など友好国を中心とする供給網を再構築して経済安全保障上のリスク低減をめざす。

環太平洋経済連携協定(TPP)への早期復帰は米国内の反発で難しいため、代替の経済連携構想に取り組む側面もある。

文書案は「国際的な供給網が適切に機能することで自国の製造拠点が強化され、商品の供給が保証され、雇用が確保される」と記した。「労働基準の尊重」との文言を入れ、新疆ウイグル自治区で強制労働の指摘がある中国を外す方向を示した。

半導体とクリーンエネルギーを「重要部門」とし、枠組みへの参加国が「材料へのアクセスで協力を拡大する」とも書き込んだ。

脱炭素の文脈では「クリーンエネルギーの展開を加速するために必要な技術、投資を結集」すると盛った。自由度の高い貿易体制の維持やデジタル分野での協業も訴えた。

単なる経済上の取り組みではない。文書案は「この地域における経済と外交政策の利益は絡み合っている」と強調した。

米国は韓国にも協力を呼びかけるとみられるが課題もある。

政府高官によると米国は21年秋、日韓両国に半導体の確保に関する作業部会を早期に設置するよう打診した。先端半導体の生産シェアが高い台湾を加える案があることも説明した。

半年ほどたっても進んでいない背景には半導体の材料を巡る日韓の摩擦がある。日本は19年、韓国への輸出管理を厳しくした。

日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国大法院(最高裁判所)判決や韓国艦船による自衛隊機へのレーダー照射などで関係が悪化した時期だった。

22年5月に就任する韓国の次期大統領、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は対日関係の改善に前向きな発言をしている。世論が敏感に反応する歴史問題が横たわるだけに容易ではないものの、米国は新政権に日本との連携を働き掛ける方針だ。

日米韓と台湾が半導体で手を組めば世界の生産シェア7割を超える枠組みになる。東南アジアは半導体の投資が増えており、将来の生産拠点になるとの期待がある。中国が統一をめざす台湾で有事が起きた場合の備えにもなる。

日米韓の外相は2月にハワイで開いた会談で共同声明をまとめた。そこには3カ国が「経済安全保障の向上のために連携していく重要性を強調した」との文言が入った。この方向性を具体化する道筋をつけられるかはまだ見通せていない。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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