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岸田首相「資産運用特区を創設」 海外勢の参入促す

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【この記事のポイント】
・岸田首相がニューヨークで投資家向けに講演
・資産運用特区を創設して慣行や障壁を見直し
・英語で行政対応を完結できるように環境整備

【ニューヨーク=藤田祐樹】訪米中の岸田文雄首相は21日午後(日本時間22日未明)、ニューヨークで投資家向けに講演した。日本の資産運用業の強化へ海外勢の参入を促すための「資産運用特区」を設けると表明した。英語で行政対応を完結できるようにするなど外国人を呼び込む環境を整える。

首相が講演する「ニューヨーク経済クラブ」は1907年に設立された会員制組織で、米国経済界のリーダー層が集う。日本の首相がこの場で話をするのは初めてとなる。

首相は政府が掲げる「資産運用立国」の実現に向けた策を語った。2000兆円を超える日本の個人金融資産を生かした資産運用ビジネスの発展をめざす姿勢を訴えた。

資産運用業について「取り組みが遅れていると指摘されてきた構造改革を断行する」と強調。「日本の資産運用セクターが運用する資金は800兆円で、足元3年間で1.5倍に急増した」と説明し、日本独自のビジネス慣行や参入障壁を改める意向を示した。

柱は資産運用特区の創設だ。海外から優秀なファンドマネジャーを招くうえで日本語の壁の高さが指摘されてきた。「英語のみで行政対応が完結できるよう規制改革し、ビジネス環境や生活環境の整備を重点的に進める」と改善策を説いた。

資産運用会社が本業に専念できるよう「バックオフィス業務のアウトソーシングを可能とする規制緩和を実施する」とも述べた。

米国やフランスなどの例を参考に「運用資金獲得支援プログラム(EMP)」を整備して新規参入の運用会社を支援する方針だ。投資家の意見を政策に反映させるため、日米を主体とした「資産運用フォーラム」を立ち上げる。

首相は日本企業のコーポレートガバナンス(企業統治)について「改革の実効性を高める」と言及した。米欧に比べて低いと言われてきた日本のPBR(株価純資産倍率)を意識して計画の策定や実行を促す。

政府は年末までに一連の規制緩和策などを詰め、2024年の通常国会に必要な法案を提出する段取りを描く。

首相は22日に帰国した後、週明けに経済対策の柱立てを閣僚に指示する予定だ。

講演では「構造的な賃上げ」と「持続可能性強化のための官民投資」の2点に重きを置いた対策をまとめると指摘。投資家に向けて「日本経済の底力と将来の計画をよく見てもらい、日本への投資を強く求めたい」と要請した。

講演後は出席者の質問に答えた。ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授をはじめ金融界の経営者ら200人ほどが参加した。

日本に投資を呼び込むため、首相は22年にもロンドンの金融街シティーやニューヨーク証券取引所で演説し少額投資非課税制度(NISA)の抜本拡充や恒久化を打ち出した。

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