ポーランドにミサイル着弾で2人死亡 ロシアは否定
・ロシア製のミサイルがポーランドに着弾、2人死亡と報道
・バイデン米大統領はポーランドのドゥダ大統領と電話協議
・NATO加盟国は状況を懸念、ロシア国防省は攻撃を否定
【ロンドン=大西康平】ポーランド政府は15日、同国東部プシェボドフにロシア製のミサイルが着弾し、2人が死亡したと発表した。ロシア軍によるウクライナへのミサイル攻撃が国境を超えて着弾した可能性がある。主要7カ国(G7)と北大西洋条約機構(NATO)は16日、インドネシアのバリ島で緊急首脳会合を開き、対応を協議する。
ポーランドのモラウィエツキ首相は国家安全保障と防衛問題に関する閣僚委員会を緊急招集したと、同国の政府広報担当者のミュラー氏がツイッターで投稿した。
米ホワイトハウスは15日、バイデン大統領がポーランドのドゥダ大統領と電話協議したと発表した。ドゥダ氏がウクライナとの国境付近で起きた爆発に対する現時点での評価を説明した。バイデン氏はポーランドの調査を全面支援すると約束。米国によるNATOへの鉄壁の関与を確認した。
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ロシア国防省は関与を否定して「意図的な挑発行為である」としている。
ロシア軍は15日、首都キーウ(キエフ)をミサイルで攻撃した。東部ハリコフや北部ジトーミル郊外でも爆発があり、全土のインフラ施設などを狙った、従来と比べても大規模な攻撃があったとみられる。
ポーランドはNATO加盟国で、加盟国の民間人がロシア軍の攻撃で死亡したとすれば、初めての事例になるとみられる。北大西洋条約の5条は一つの加盟国に対する攻撃をNATO全体への攻撃とみなし、加盟国は攻撃された国の防衛義務を負う集団的自衛権を定める。
ロイター通信によると、ポーランドは北大西洋条約の4条に基づく協議を要請する必要があるか検討しているとミュラー氏が明かしたという。第4条では、加盟国が領土保全や政治的独立が脅かされていると認めた時は、いつでも協議するとしている。NATO当局は「ポーランドでの爆発に関する報告を調査しており、同盟国であるポーランドと緊密に連携している」とした。
加盟国はポーランドの状況を憂慮している。ドイツのベーアボック外相は「私の思いはポーランドとともにあり、状況を注意深く監視している」とツイッターに投稿。チェコのフィアラ首相は「ポーランドへのミサイルの着弾が確認されれば、事態の激化に進展するだろう」と投稿した。
ウクライナへのミサイル攻撃については米欧側の非難が相次いでいた。英国のクレバリー外相は15日、「ウクライナの都市をミサイル攻撃で無慈悲に狙ったことは、プーチンの弱さをあらわにした」とツイッターに投稿した。
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