ソニー営業黒字464億円、10~12月 映画などけん引
電機事業なお赤字
ソニーが7日発表した2012年10~12月期連結決算(米国会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が464億円と前年同期の917億円の赤字から改善した。金融や映画事業などが下支えし、3四半期連続で営業黒字を確保した。回復基調は保ったが、本業のエレクトロニクス(電機)は赤字が続く。独自事業の強みを生かすことが本格復活へのカギになる。
10~12月期は、ソニー生命保険などの金融事業が342億円の黒字、映画「007」シリーズなどのヒットがあった映画事業は253億円の黒字を計上した。デジタルカメラに使うセンサーなどデバイス事業も好調だった。パナソニックやシャープと比べ、けん引役となる独自の事業領域が存在することが、ソニーの強みとなっている。
だが、主力の電機は179億円の赤字と6四半期連続の赤字。12年4月に就任した平井一夫社長が「電機事業再生のための喫緊の課題」としたテレビ事業ではパネル合弁の解消や採算重視の販売を通じ、前年同期に約1000億円あった損失が147億円に縮小した。半面、スマートフォン(スマホ)普及の影響を受けたコンパクトデジタルカメラや、パソコン、携帯型ゲーム機では販売台数を今期3度目の下方修正。デジカメは期初計画の7割、ゲームは4割どまりとなる。加藤優最高財務責任者(CFO)は記者会見で「足元の環境は厳しい」と語った。
ソニーは今回、通期で1300億円との連結営業利益予想を変更しなかった。電機が苦戦する一方、対ユーロを中心とする最近の円高修正が170億円の利益押し上げ要因になる格好だ。為替の追い風がなければ利益は下振れする可能性があった。通期の予想営業利益に対する4~12月期の進捗率はまだ6割だ。
最終損益ベースでは、10~12月期は税負担が重荷となり8四半期連続の赤字。加藤CFOは「事業構造改革は道半ばだが手応えは出ている」と強調、米ニューヨークの本社ビルなど資産売却もあり通期で5期ぶりの最終黒字化に自信を見せる。
映画や金融など独自の事業領域が支える間に、電機の再建のスピードをどう上げるかが課題となっている。
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