電機大手8社、3社が通期下方修正 円安生かせず
ソニーと富士通が7日に2012年10~12月期決算を発表し、電機大手の業績が出そろった。8社のうち5社の営業損益が好転したが、日立製作所など3社が2013年3月期通期の業績予想を下方修正した。自動車大手などと同様に円安は電機大手にとってもプラスだが、リストラ途上の企業も多く、為替メリットを生かし切れない。
売上高 | 営業損益 | 下方 修正 | |
日 立※ | 21,131(▲7) 89,000(▲8) | 683(▲28) 4,200( 2) | あり |
三菱電※ | 8,108(▲1) 35,200(▲3) | 236(▲51) 1,500(▲33) | あり |
東 芝※ | 13,571(▲6) 61,000(▲0) | 293(3.4倍) 2,600(28) | |
富士通 | 10,482(▲3) 43,700(▲2) | ▲41(赤字転落) 1,000(▲5) | あり |
NEC | 7,220( 8) 31,500( 4) | 244(黒字転換) 1,000(36) | |
シャープ | 6,782(15) 24,600( 0) | 26(黒字転換) ▲1,550(赤字拡大) | |
ソニー※ | 19,480( 7) 66,000( 2) | 464(黒字転換) 1,300(黒字転換) | |
パナソニック※ | 18,015(▲8) 73,000(▲7) | 346(黒字転換) 1,400(3.2倍) |
ソニーなど家電大手3社は薄型テレビ事業の縮小に取り組んだことで、営業損益ベースでは黒字に転換した。ただ、再建途上の各社の収益基盤は不安定で、パナソニックとシャープはリストラ損失のために今期通期では巨額の最終赤字を見込む。
パナソニックの営業損益の改善は、生産設備の減損や人員削減などによるところが大きい。デジタル家電は総じて振るわず、新たな収益の柱はみえない。10~12月期は前年同期比で減収だ。
業績が比較的安定していた総合電機大手の業績もさえない。三菱電機は中国の景気減速の影響を受け主力のファクトリーオートメーション(FA)機器が不振であることなどから、昨年12月の段階で通期予想を下方修正している。
日立製作所は今期下半期に為替が320億円の営業増益要因となることを見込むが、通期の営業利益予想を従来の4800億円から600億円引き下げた。中国など新興国経済の減速で世界的にパソコンなどの需要が減速し、子会社の業績が下振れすることが響く。
東芝はNAND型フラッシュメモリー事業で円安が追い風となり、10~12月期の営業利益は前年同期の3.4倍だ。ただ薄型テレビなどの不振がマイナス要因で、通期予想は据え置いた。
IT(情報技術)大手は明暗が分かれた。NECは国内のシステム開発などが好調で、営業損益が黒字に転換した。富士通は半導体事業の構造改革に伴う損失の発生に加え、景気が低迷している欧州を中心にパソコンなどハード事業が低調で、業績の足かせとなっている。