Apple、血中酸素測れるWatch発表 iPhoneは登場せず
【シリコンバレー=白石武志】米アップルは15日、腕時計型端末「Apple Watch」とタブレット端末「iPad」の新機種を発表した。Watchの最新機種には血中酸素の濃さを測れる機能を持たせた。健康意識の高まりなど、新型コロナウイルスで変化しつつある消費者心理をとらえる狙いだ。
2015年に発売したWatchの最新機種となる「シリーズ6」には、背面の赤外線センサーなどを使って約15秒で血中酸素飽和度を測定できる機能を持たせた。値が急激に下がると、体に不具合が生じている可能性がある。医療行為での利用を想定したものではないが、日々の健康状態を手軽に把握するのに役立つという。
従来機種よりも処理速度を20%高めた新たなCPU(中央演算処理装置)を搭載し、1回の充電で18時間続けて使えるようにした。価格は399ドル(日本は4万2800円)からで、18日に発売する。機能を絞って価格を279ドル(同2万9800円)からに抑えた廉価版「SE」も同時に品ぞろえに加える。
在宅勤務や遠隔教育の広がりに伴って需要が伸びているiPadについては、現行の4機種の中で最上位の「Pro」シリーズに次ぐ性能を持つ「Air」と、最も安価な「iPad」を刷新すると発表した。
画面サイズが10.9インチのAirについては、画面下にあった「ホームボタン」をなくすなど本体デザインを上位機種のProシリーズに近づけた。マスクを着けていてもロックを解除しやすいように、指紋認証センサーを本体側面に配置した。
回路線幅が5ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最新のモバイル端末向け半導体「A14」を搭載し、ゲームなどの画像処理能力を高めた。価格は599ドル(同6万2800円)からと従来よりも100ドル高い。発売時期は10月としている。329ドル(同3万4800円)からの廉価版のiPadについても搭載する半導体やカメラの性能を高め、9月18日に発売する。
アップルは音楽や動画配信、ゲームなどのサブスクリプション(継続課金)型サービスをひとまとめにしたサービス「Apple One」を今秋から始めることも明らかにした。個人向けプランの料金は動画配信「TV+」や音楽配信「ミュージック」、約100種類のゲームを遊べる「アーケード」などを含めて月14.95ドル(同1100円)で、各サービスを個別に契約するより約3割安くなる。
次世代通信規格「5G」に対応するスマートフォン「iPhone」は15日に発表しなかった。米メディアによると、10月の発表を予定しているという。
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