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20~30代利用 コロナで脚光、LINEの信用スコア融資

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新型コロナウイルスの影響により収入減となる個人が増える中、スマホで申し込みから入金までの手続きが最短即日で完結する融資が注目されている。

メッセージアプリのLINEが2019年8月から開始した個人向け融資サービス「LINEポケットマネー」は、緊急事態宣言が発令された20年4月から2カ月で24%総貸付残高を伸ばした。4月には、月間新規申込者数が3.9万人と、消費者金融大手・アコムの3.3万人を初めて上回った。LINEクレジットの川崎龍吾・サービス企画チームマネジャーは「消費者金融の店舗や窓口の営業時間短縮などで、足を運べなかった人の受け皿になった面もあったのでは」と話す。

同サービスは、信用情報や金融機関による従来型の与信審査に加え、LINEの利用パターンなどを基に算出した独自の信用スコア「LINEスコア」を掛け合わせることで、貸付金利(実質年率3~18%)と利用可能額(最大300万円)を決定する。従来型の与信では低く評価されがちなフリーランスや非正規労働者といった人でも、信用力が高く出るケースもあるため、これまでは審査が通らなかった人でもお金を借りられる可能性がある。実際に、年収や役職がまだそれほど高くない20~30代の利用が47%と半分近くを占める。

1回当たりに借りる額が3万円未満の利用者が6割強、1万円未満が34%と、少額利用の特徴も顕著に出ている。1カ月の間に複数回借りる人も6割を占めている。前出の川崎氏は「日々の生活資金の不足分をその都度補う使われ方をしているようだ」と話す。

もっとも、銀行のカードローンや消費者金融といった他の金融機関の場合、少額融資の貸出金利は法定上限金利となる18%近くに設定されている場合が多い。LINEポケットマネーの平均金利は、消費者金融大手3社と比較して4%程度低い。少しだけ借りたいが、高い金利を払いたくないと考える人がLINEポケットマネーに集まっていると考えられる。

利用者へのアンケート調査を通じても、コロナ禍ならではの傾向が見られた。「コロナによる収入減を理由にLINEポケットマネーを契約した」と回答した人の割合が、自営業では3割超、派遣・契約社員でも25%と高い。また、飲食業に従事する利用者の割合がコロナ禍前と後を比較すると3%強増えた。

ヤフーは信用スコアビジネスから撤退

信用スコアを活用したビジネスをめぐっては当初、ヤフーも将来的なサービス提供を視野に入れて19年6月に「Yahoo!スコア」というサービスで参入を表明していた。しかし「お客様やパートナー企業に満足してもらえるサービスの提供に至らないと判断した」と、6月29日、8月末でのサービス終了を発表。実質的に何も始めないうちに終わりを迎えることとなった。背景には、個人の属性に加えて様々なネットサービスの利用動向を基に、個人の社会的な信用度を測る信用スコアに対し懸念を持つ人が多いからだと言われている。

信用スコアビジネスは、融資などの金融分野以外にも、シェアリングサービスや電子商取引(EC)、宿泊予約の優遇、人材派遣など、幅広いサービスに活用できる可能性を秘めており、事業者にとってビジネスチャンスが広がる。だが、現状は一筋縄ではいかなかったようだ。Yahooスコアも当初、利用者の「Yahoo!ID」にひもづけてスコアを作成し、スコア提供を受けた外部企業が高スコアの人向けに割引サービスを提供する仕組みを想定していた。

しかし、Yahoo!IDを持つ人すべてが初期設定でスコア算出への同意が「オン」になっているといった点などが発表当初批判を浴び、世間の理解を得るのに苦労してしまった。

LINEスコアも個人データ取得に対しては慎重な対応を取っている。スコアは年齢、住居形態、家族構成といったユーザー属性に関する15項目の質問と、LINEの利用パターンや交友関係、決済履歴といった多様なデータを機械学習で分析して算出されるが、LINE上の通話やメッセージの内容は一切考慮していない。スコアを算出したユーザーに対するサービス内容も、LINEポケットマネーのほかは、カーシェアリングや家事代行、英会話などの各種割引券のプレゼントキャンペーンといったものにとどまる。金融以外へのサービス拡充には時間がかかりそうだ。

だがヤフーが信用スコアビジネスから撤退したことで、信用スコアを活用した個人向け融資に関してはみずほ銀行とソフトバンクが出資したジェイスコア(J.Score、東京・港)とLINEポケットマネーが主なプレーヤーとなった。金融機関による、従来型の融資では取り込めなかったニーズを取り込んでいるのは確かだ。デジタルの力でどこまでそれを広げられるかが、焦点となっている。

(日経ビジネス 武田安恵)

[日経ビジネス電子版2020年7月28日の記事を再構成]

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