香港デモ「テロの兆し」 中国政府が非難
【北京=羽田野主】中国政府で香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室の楊光報道官は12日記者会見し、香港で続く逃亡犯条例改正案への抗議活動について「過激なデモ参加者が警官を攻撃した。重大な犯罪であり、テロリズムの兆候が出始めている」と指摘した。11日の抗議活動で警察署が火炎瓶などで相次いで襲われたことを強く非難した。
中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。中国政府が香港の抗議活動を「テロの兆候」になぞらえて非難するのは初めてとみられる。過激になる抗議活動を抑え込む姿勢を強調した。
報道官は「暴力犯罪は情け容赦なく打ち負かさなければならない」と話した。香港の状況は「重要なヤマ場を迎えた」と指摘し「秩序の回復が最も差し迫った任務だ」とも強調した。
中国メディアは12日、中国で治安維持を担当する人民武装警察部隊(武警)が大規模訓練のため、香港に隣接する広東省深圳市に集結していると伝えた。武警は習近平(シー・ジンピン)国家主席が率いる中央軍事委員会の直接指揮下にある。
多数の装甲車やトラックが高速道路を南下したという映像も出回っている。迅速に武警を投入する構えをみせて、抗議活動を強くけん制する狙いがあるとみられる。
中国のネット上では「香港基本法」について解説する動画も広まっている。同法は第14条で香港政府の要請に基づき人民解放軍が治安維持で出動することを認めている。
第18条では中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が「制御不能の動乱」と判断し「緊急事態入り」を決定すれば「中央政府が全国の法律を実施できる」と規定している。中国当局が警告の意味を込めて流している可能性も指摘されている。