英検準1級、教員には高いハードル 文科省調査
全国の公立中学・高校の英語教員のうち、英検準1級以上かそれに相当する資格を取得しているのは中学で28.8%、高校で55.4%だったことが25日、文部科学省の2014年度英語教育調査で分かった。政府の教育振興基本計画は17年度までに中学で50%、高校で75%との目標を掲げている。英語教員のいっそうのレベルアップが必要な状況が浮かんだ。
各地の教育委員会は英語教員を対象とした研修制度を拡充している。文科省の担当者は「積極的に研修に参加し、外部試験で自らの力を測ってほしい」と話している。
調査は中学9583校と高校3459校を対象に実施。14年12月時点で英検準1級以上、TOEFLiBT80点以上、TOEIC730点以上などを取得している教員の数を調べた。13年12月時点と比べ、中学は0.9ポイント、高校は2.7ポイントそれぞれ上昇した。
都道府県別でみると、中学では福井49.4%、富山48.0%、東京42.6%などが高かった一方で、20%未満が6県(青森、岩手、宮城、福島、山梨、高知)あった。
高校は福井86.3%、香川82.4%、富山79.9%の順に高かったが、40%未満が4県(福島、千葉、奈良、和歌山)あり、中高ともに自治体間に大きな差があった。
教育振興基本計画は生徒の英語力について、高校卒業段階で英検準2級程度以上、中学卒業段階で英検3級程度以上の割合を各50%とすることを目標としている。14年度調査では、こうした資格を取得したか、教員がそれに相当する英語力を持つと判断した生徒は中3で34.7%、高3で31.9%となり、前年度と比べ中学は2.5ポイント、高校は0.9ポイント上がった。
▼教育振興基本計画 約5年間に取り組む教育の重点施策などを定めたもので、2006年の教育基本法改正で制度化された。第1期計画(08~12年度)には、学校制度の弾力化や道徳教育教材への国庫補助、小中学校の耐震化などが盛り込まれた。第2期計画(13~17年度)では、国際的な学力調査で世界トップレベルになることや英語教育の強化、20年をめどに日本から海外への留学生を倍増させる目標を掲げている。〔共同〕