悪魔の辞典 4
(尚、生産地自体や地名を冠する豆の銘柄は省き、焙煎・抽出・飲用などを主とした)。
あ行
【アイリッシュコーヒー】
ご当地コーヒーカクテル。1942年のある夜、アイルランドの港町に飛行艇が待機した際、ラウンジのシェフが地場名産の酒と生クリームをぶちこんだコーヒーを出した。舌バカのアメリカ人客に「オヤジ、こりゃブラジルのコーヒーか?」と訊かれ、キレたシェフが「あに言うだ!アイリッシュコーヒーだぁよ」と答えた。10年後にはアメリカへ伝わり大流行した、ご当地グルメは遠く離れた舌バカにほどウケる、という哀しい宿命の「哀離っ酒」である。
【アフリカンベッド】
他所で干し野菜が流行しているのに倣い、スペシャルティコーヒーブームに煽られた中南米の生産者らが「おらっちのコーヒーも網で乾かすべぇ、すりゃ高値で売れっぞ」と始めた乾燥法である。網上での乾燥はアフリカの生産地から(地形上の制約により)始められたが、「アフリカ人はみ~んな寝るのも網の上だろう」という偏見も加わって、この語が定着。差別化を図る為に差別的な勝ち組生産者だけが使う「ウィン・ドライ」の一種とも言えよう。
【アメリカンコーヒー】
薄いコーヒー。「コーヒーの場合は、『お湯で割ったらアメリカン』ではなくて浅煎りの豆で淹れます」などと、もっとももらしい説教をするバカも多いが、じゃあ浅煎りを超高濃度に抽出して飲んでみろ、ってんだバカ!お湯で薄めるどころか原料のコーヒーを穀類粉で混ぜ薄めてでも利ばかりを漁っていたアメリカ社会の情の薄さ(=アメリカン・ドリーム)、とにかくも薄くて不味いコーヒーをアメリカンとかアメリカーノとか呼ぶ、他に講釈は無い。
【イタリアンロースト】
2説ある。 1.焙煎中にシエスタと称してサボったイタリア人が戻ると…豆が真っ黒焦げ。「まぁどうせオレらの豆はロブスタだしぃ、臭味減ってイイんじゃね?」という呑気で定着。 2.名古屋人が好む鉄板スパゲッティ「イタリアン」に驚いた来日中のイタリア人、「何じゃコリャあ、だが変に焦げてウマいな」と感心して帰り、それ以来コーヒーの焙煎度が深い。シエスタの慣習が廃止の傾向に進むに連れ、焙煎が近年浅くなっているから1が有力。
【ウィンナーコーヒー】
フランクフルトで修業した職人ヨハン・ゲオルグ・ラーナーは、自らのペニスを基準にソーセージを作っていたが、1800年頃にウィーンへ移った。ウィーンの冬は予想外に寒くてラーナーの一物は直径が20mm未満に縮こまる、これがウィンナーソーセージである。作りたての細いソーセージをスプーン代わりに使うとコーヒーが冷めにくいことで、寒さに耐えかねていた一頭だて馬車の御者の間で大流行した、これがウィンナーコーヒー。正真のウィンナーコーヒーは、ヨントリーフーズ社製が学園都市界隈で販売されている。
さ行
【シティロースト】
ゴッサムシティで好まれた煎り度合いから名が付いた。1994年にスタバがやや深煎りのコーヒーでゴッサムへ進出すると、浅はかにも屈して歓迎し、シティローストは滅んだ。2001年9月11日にゴッサムへ正義の鉄槌が下されると、スタバは2003年にゴッサム1号店を撤収して逃げた。但し、スタバはゴッサム好みだけ逆に盗み取り、2012年に‘金髪ロースト’と称して「シティやったり」とばかり浅煎りのコーヒーを世界に撒いている。
【ジャーマンロースト】
シティローストの別称。「どんな豆でもこの度合いで焙煎しておけばイイんだ」と頭越しに決め固めてしまうことを「ジャーマン・スープレックス・ロースト」と呼び、豆売り屋に多い。
た行
【ダッチコーヒー】
1830年、オランダ領東インド(現:インドネシア)の総督となったヨハネス・ファン=デン=ボスは、寂しさを紛らすために「ヴァタフィア1号」と名付けた抱き人形を毎夜使っていた。彼は、その人形の擬似乳房から冷水を1滴ずつ落として抽出したコーヒーを好む変態で、このコーヒーを得るために東インドに強制猥褻制度を導入した。これが「ダッチワイフ」と「ダッチコーヒー」の始まり、と言われる。いずれも1956年以降、何故か日本で流行した。
【トルココーヒー】
ターキッシュコーヒーのこと。ジャズベ(別名イブリック)を火にかざしブクブクと泡踊らせ煮出すコーヒーで、上手に淹れる女性を泡姫と呼ぶ。ハマム(公衆蒸し風呂)と並んで中東(≒イスラム圏)の社交文化を代表する。日本においては、ハマムの‘浴場’文化がブクブクと泡踊る‘欲情’文化に変わってしまったが、トルコ側の抗議を受けて1984年以降は、「トルコ風呂」を「ソープランド」に、「トルココーヒー」を「ソープコーヒー」に改称。
は行
【フレンチプレス】
大別すれば浸漬法であることはトルココーヒーに類するが、抽出した液と残滓である粉を中途半端に分離する器具。筒状のポットにプランジャーを押し下げる動作が、トルココーヒーよりも卑猥であることから、「破廉恥(ハレンチ)プレス」と称され、後に変化して「フレンチプレス」となった。‘コーヒー親善大使’を擁して‘コーヒー合衆国’を名乗る全日本コーヒー協会に対抗して、2011年4月1日、日本珈琲狂会は‘コーヒー偽善大使’が着任する‘コーヒー民主主義人民共和国’によって「破廉恥プレス」の復興を狙った。
【フレンチミッション】
東アフリカに初めて伝播した‘新芽がブロンズ色’のブルボン系統のコーヒー。アフリカ分割の前段に、フランスは横断政策をイギリスは縦断政策を背景として、両陣営は伝道や宣教を名目として東アフリカの植民地化を争い、その道具としてコーヒーも使われた。「フレンチミッション」が東アフリカでコーヒーを扱った暗躍であるのに対し、後にアメリカで麻薬を扱った暗躍を「フレンチコネクション」と呼ぶ。映画化は後者だけ、前者はいつ?
【フレンチロースト】
2説ある。 1.焙煎中に愛と称して情事でサボったフランス人が戻ると…豆がやや焦げ。「まぁどうせオレらのはチコリ入りだしぃ、臭味減ってイイんじゃね?」という呑気で定着。 2.1723年にコーヒー苗をマルチニーク島へ植える為に飢えたフランス軍人が、翌年登場したニューヨーク名物「フレンチトースト」に「何じゃコリャあ、だが表が焦げてウマいな」とハマり、それ以来コーヒーもやや焦げたものを好んで「フレンチロースト」と名付けた。
【ベトナムコーヒー】
予めコンデンスミルクを入れたグラスの上に、ブリキ製またはアルミ製のフィルターをのせて、ロブスタ種またはリベリカ種をムラ焼け深煎りにしたコーヒー粉を入れて抽出する。現地では「カフェ・スァ」と言い、氷冷したい場合は拳を突き上げて「ダーッ!」を加える。‘ベトナム=コンデンスミルク=コーヒー’を略して「ベトコンコーヒー」とも称されたが、稀に‘ニンニク唐辛子入りコーヒー’と誤解されることもあるので、あまり言われなくなった。
ら行
【ルシアンコーヒー】
「モカ・カリエンテ・ジャバネーザ」に類するココア入りコーヒーとか、いやチョコリキュールを入れたものとか、ロシアでなくてウクライナが発祥とか、正体不明のコーヒーメニュー。要はウォッカが多量に入っていることをバレ難くしたいだけであるが、KGB(現:FSB)の陰謀で情報を操作されている。現地では、「ロシアの殺し屋おそロシアコーヒー」と呼ぶ。
今後も他者からの評判・意見・追記などを受け、充実を図るか否か検討していく所存…
コメント
【グリークコーヒー】
「ターキッシュは敵性語なのでグリークコーヒーと名を変えただけ」では無い。キプロス紛争が始まった頃、レスリー・バックが起案した紙コップ‘Anthora’こそが真のグリークコーヒーであり、スタバに荒らされる前のゴッサム文化シティローストコーヒーを象徴するものである。したがい、本項は「トルココーヒーを見よ」ではなくて「シティローストを見よ」が正しい。
モンスーンでもベンガルでもなく、インディアンコーヒーっていうのなかったでしょうか。記憶違いかもしれませんが。
【インディアンコーヒー】
七年戦争の頃、北米インディアンの中に、フランスと同盟した連中にはチコリ入りコーヒーが、イギリスと同盟した連中にはミルク入り紅茶が伝えられた。この2つが混じってチコリ入りミルクコーヒーが生み出され、ボストン茶会事件で茶箱を海に投げ落とした者がインディアンの扮装をしていたことから「インディアンコーヒー」と名付けられた。液体を投げ落として泡立てるのは、事件の様子を真似たものと思われる。嘘臭くても‘インディアン嘘つかない’ので疑ってはならない。
全部のネタを理解しているわけではありませんが、お下劣な下ネタのなかに本当の事がところどころ入っているその匙加減が絶妙で良い感じです。ダッチコーヒーの件なんかは週刊フレーバーでやったら面白そうじゃないですか。是非、今回の出演時に「ダッチコーヒー」やってください。(笑)
エーッ、お下劣ネタを週刊フレーバーでやるのは嫌だなぁ…フレーバー中川さんや視聴者はどうでもイイけど、サエちゃんに嫌われたくないもんっ!(笑)
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グリークコーヒーは、トルココーヒーを見よ、でいいですか。