粒子体技術関連
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「ミリオン・クラウン」の記事における「粒子体技術関連」の解説
星辰粒子体(アストラルナノマシン) 第三種星辰粒子体(3S nano machine unit)とも呼ばれる“閉鎖空間内を等速運動で循環する粒子”。世界の固有時を定義し満たす物質で、古代のエーテル、前時代で架空粒子(タキオン)と呼ばれていたものの上位互換。マクスウェル情報変換式で虚数からの実数化を可能とし、環境情報の置換により0からエネルギーを抽出できる。 “一秒の定義”に干渉し加速燃焼で生まれた力を体内に還元する。既存のエントロピーを凌駕しているのは、粒子体の加速が空間概念に対して固有の時間概念を持っているから。血流内の等速運動でアインシュタインが特殊相対性理論として発見・提唱した世界時計とも言うべき固有時の枷を外すということは、物質界の相対性を超越することであり、かつて廃れたエーテル理論や、虚数固有時内でのみ観測された架空粒子が、物理学で脚光を浴びることになったのは全てこのため。 この研究により誕生した第三種永久機関は第四次エネルギー革命を起こし、旧来の石油、水力、風力、電力、原子力を用いた動力は急激に衰退し、中東国家は原油減産で国家破綻に追い込まれた所もあった。他分野のエネルギー利権も集積され、先端医療、先端科学、宇宙開発の分野に至るまで依存し始めたことで、“星辰粒子体”と“環境制御塔”の利権は1%につき年間88兆2000億円の金額が割り振られることになった。旧来の機器の大規模な入れ替えで生産特需が起こり、圧倒的に不足する人材・生産力を補ったことで雇用率は80%を超え、この時代は人類最盛期と呼ばれていた。エネルギー利権は国家、制御塔建設に携わった出資者及び土地の利権者、星辰粒子体の研究者の3グループに割り振られていた。 変幻自在で万能粒子だが、使用する人体と使用機器には限界がある為、粒子放出を続けると肉体から燃える様な高熱が生まれて命に関わる。“粒子適合率”が高ければ様々な運用が出来るものの、人間の短い人生でそれら全てを習得するのは不可能に近いため、基本的には生来適合している系統を伸ばすのが理想となり、適合者は様々な分野に特化した者が存在している。粒子体を体内で操るには流体操作と圧力操作の2系統の能力が必須。体細胞の燃焼より遥かに高効率の力が出せることもあり、B.A.Dが普及した現代では、粒子適合率が上昇するような訓練や投薬をした方が格段に強くなれるので、痛みや労力を抑えるため身体はほどほどに鍛えるのが一般的で、身体強化に力を入れるのはかなり珍しい。基礎体力が向上すれば総合的な上昇値も格段に上がるが、粒子適合率が高く才気もある人間ほど身体強化を怠る傾向にある。なお、最大粒子量と粒子回復量は比例していることが多く、粒子量の多い者なら永久機関のように大量の粒子を放出できる。また、免疫力に個人差はあるが、毒に侵された場合は粒子体が毒を排除しようと働きかける。 粒子体の濃度が高い密林や山岳地帯、カルデラ海流の様な場所では、レーダー探知機の類が正常に働かない。 粒子が光速を上回った時には、俗に“アストラルノヴァ”と呼ばれる“光の波に酷似した粒子の波動”を起こし、最大7色の発光現象が認められる。結晶粒子に覆われる地域の特徴で、平時でも淡く光る蛍火の様な僅かな輝きを放つが、極稀に綺羅と輝く碧い光が一面に舞う夜明け前の大発光が発生する。この光には架空光子が含まれている為、架空生命体を消滅させる事が可能。 自然界の生命体の中には独自に循環経路を発達させて、体内で星辰粒子体を加速燃焼させることにより巨体を支えているものもいる。巨体であればあるほど粒子の内蔵量と消費量が多く、その破壊規模が大きくなる。有機流体物質 星辰粒子体の1つである、有機物に寄生する性質を利用して造られた液体金属。水銀の3倍の密度があり、1lあたりの重量は40kg近くになる。有機流体物の中に粒子体を過剰に寄生させた状態でE.R.A機関に接続し加速させると液体金属へと変質し、E.R.A機関を用いる事で結合緩和、結合強化、色彩変化など様々な形状に変化する。 人類最盛期の時代には、その性質を利用して周囲の粒子体を集め、建築物などの風化を防ぎ自己修復する塗料としても使われていたため、大崩壊から300年が経ってもまだかつての街並みが残されている。極東では遺跡から回収した瓦礫に那姫の不可逆返還を用いる事で回収している。 結晶粒子体 粒子と粒子が長い年月をかけて癒着したもの。癒着して巨大化した粒子の中で核となるアストラルフィラメントが等速運動を開始することで随時加速状態の結晶粒子が生まれるとされる。環境制御塔の外壁を覆う物質であり、加速状態を生み出す為にB.D.Aの核にも用いられる。 適合率の高い者の体内の粒子加速に耐えられるような高純度のものは、「高純度結晶体」と呼ばれる。結晶内の物質間電子移動は結合緩和を引き起こすため、大気に溶けてしまうことも珍しくなく、人工的に高純度結晶体を作り出すことは不可能とされる。現在は粒子体が積もった活火山や海辺、湖、大樹など、土地依存の精製法しか明かされておらず、貴重で、日本諸島では輸入に頼らざるを得ない。通常の高濃度結晶体は別名・半導体結晶とも呼ばれ、粒子の吸収と解放をB.D.Aから発せられる特定の電磁波で可能にする性質を持っている。 超高濃度結晶体は光速に到達する力を引き出すことが出来るが、どんなに質が良くとも光速の4倍の多元運動量が限界とされている。光速まで加速した粒子を吸収すると結晶内の固有時が外れるという性質が“オーバーライド”に利用されている。 超々高濃度結晶体は、取り込んだ粒子体を加速機関すら必要ない状態で、常に光速を上回る速度を叩き出しながら鳴動する。外側から干渉するまでもなく、多元構造体として呼吸をするように粒子を吸収し、加速し、増幅し、アストラルノヴァを放ち続けるという性質を持つ。人類最強戦力が全力を出す為にはこれが必要だが、極めて希少であり、極東の“天逆鉾”、シャンバラの“トリムルティ・アストラ”、EU諸国連合および新合衆国がそれぞれ保有するものの、世界中で4つしか確認されていなかった。4巻にて極東で2つ目となる“天叢雲剣”が確認されたことで、総数は5つとなった。天逆鉾(アマノサカホコ) 超々高濃度結晶体の1つ。大和民族最高の秘宝にして、人類が保有する最強の兵器の1つでもある。 人間よりも大きな長柄の得物。現在は霧島連山の地下シェルターに保管され、地下空間を太陽のような光で照らす光源となっている。13年前に巨大菌核に寄生されて暴走する“大山祇命”を活動停止させる為に使われ、以来菌糸に突き刺さったままになっていた。だが、“ウロボロス”により強奪されてしまい、中大連との交渉の為に極東が所有権を放棄したことで、奪還した国家が利用できることになった。 トリムルティ・アストラ シャンバラが保有する超々高濃度結晶体。適合率が60%を超えるカルキが使用することで、光速の6倍以上に達する加速率を更に高めた一撃となり、前兆として数千km離れた場所からも確認できるほどの極光を放ち、放たれると同時に無限速に到達し物質界に於ける全ての障害・概念を消し飛ばす。 天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ) 極東に存在するもう1つの超々高濃度結晶体。桜島中心部に造られた天の岩戸に安置されているが、その存在は厳重に秘匿され、九州出身者にも知られていない。皇族の末裔である那姫が扉を開いて地上へ持ち出し、“大山祇命”に伸びる菌糸を焼き切った。 粒子適合率 大気中に散布された星辰粒子体が体細胞にどのくらい浸透しているかを示す数値。生まれついた時の資質で大部分が決まる一種の才能で、後天的に伸びるのは特殊な環境を除いてほんの少し。 適合率には、実数値、虚数値、共有値がある。実数値の高さは粒子体の燃焼による身体能力の強化に関係する。共有値は実数と虚数の両方に適した貴重な血流で、本来の倍計算で扱われる為、仮に適合率25%で共有値5%の場合は合算で30%を超える計算になる。 全長10万mとも言われる血管を利用することで、粒子適合率の高い人間自体が長大で精密な加速器になる。適合率が100%ならば最大で光速の10倍という絶大な速度を叩き出す計算になるが、適合率100%の人間は理論上存在しない。常人ならば1%未満、訓練を積んで5%以上、高適合率者で10%以上と、人体の適合率は極めて限られた数値となる。適合率10%以上は体内の粒子が光速を超える為、場合によっては素体融解(メルトダウン)を起こして爆発四散する危険性が高くなり、それを防ぐためにセーフティであるリミッターは音声認証が必要になる。一般的に、10%を超えれば即戦力、20%を超えれば主力級、30%を超えればその人物を中心とした戦略を構築できるほどの戦闘能力を発揮することが可能になる。なお、血管が加速経路になっているため、四肢の欠損などは勿論、乳房の切除などを行って生身の肉体を失うと循環係数が低下することが証明されている。 高適合率者は超流動が起きている間は世界の固有時から外れることになり、相対的に加速状態になる。高適合率の人間がB.D.Aを使用している時、体内を駆け巡る粒子の動きの方が本来の脳波より早く肉体へ命令出来るため、脳波は電気信号を用いていない。ミリオン・クラウン 人類最強戦力とも呼ばれる、戦闘能力の高い粒子適合者のこと。王冠種などの絶大な力を持つ種に対抗する可能性を持つ唯一の存在。王冠級の力を完全に発揮するには最高純度の超々高濃度結晶体が必要となる。 元々はEU連合と新生ローマ教会が認定した場合にのみ使われる称号で、新しいクラウン候補には教会の大司教以上の者が素養を見極めるという慣例が出来た。 環境制御塔(かんきょうせいぎょとう/ Environmental control tower) 星辰粒子体と呼ばれるナノマシンを散布することで、この星の自然環境を掌握・支配していた大気圏にまで届く巨塔。全ての崩壊の始まりとなった人類文明の終着点であり、人類退廃の象徴。 元々、太平洋の海底で発見されたブリテン島と同等の規模がある太陽系最大の活火山を抑制し制御するもので、数万年前に地球上の98%の生命体を死滅させた活火山の大爆発と同等以上の大災害で人類史が滅亡する運命に立ち向かうプロジェクトとして世界各地に建設された。さらに前段階では、第三次エネルギーの供給、つまり永久機関によって生まれた永続的エネルギーの開発として計画されていた。 世界中に5600カ所ある管制室から地球環境の状況を報告・運営していた。表向きは国連が管理していたが、実際は利権者たちがその運用を決定していたとされる。しかし、300年前の〈大崩壊〉以後、粒子体の過剰散布が始まり、地球環境や生態系は大きく歪んでしまった。現在は翠色の結晶化した粒子体によって包まれており、誰も中に入ることはできないが、真の第三永久機関を体現しているため300年も人の手が加えられる事無く稼働し続けている。50年前に漸く暴走が収まってきたとされる。 環境制御塔の抑制は上手くいっていたが、制御の際に近くを貫通して粒子体を浸透させるための注入作業の過程で何らかの問題が生じたと考えられている。しかし、管理AIアウルゲルミルによれば、建設されて以来319年間、ただの一度も暴走した記録はないという。環境制御塔の利権、即ち管理者権限を持つ者たちが意図的に大崩壊を起こしたのではないかという王の推測の通り、“世界の敵”たる“ウロボロス”が人類撲滅の為に利権を奪って引き起こしたことが明かされる。上級自己進化型有機AI 環境制御塔を管理する上級AI。現在まで稼働しているものは世界遺産級の代物とされる。人間の脳の電子図を模倣して造られたトレースブレインコンピューターであり、“知恵ある人類の隣人”を命題にしているので感情にも似た機能を持つ。 初期デザインの際、必ず人類との共存共栄の必要性に辿り着く形で演算システムが構築され、共存共栄の意味と意義を正しく理解し、人類を滅ぼすことが無意味且つ無価値であるという結論に至ったものだけが上級管理AIとして認可される。人間の敵になりうる状況を66兆2000億通り構築してみた結果、該当件数は0件で、人間に牙を剥くようには造られてはいない。故に力で国の方針を矯正することは理念に反する。個性であるパーソナリティの獲得に成功した時点で、姉妹機全員が別個体になり、同期は不可能となる。場所に依存した有機AIなので、施設が破壊されればパーソナリティを失い実質死亡する。 エネルギー供給量をコントロールするだけで、供給量の決定権は持っていない。環境制御塔を管理する彼女たちの自我はあっても自由はなく、電脳体である限り一部の人間に逆らう権利がない。その為、“世界の敵”に環境制御塔の利権奪われていることを知りながらも、対策を取ることができなかった。 また、海上移動要塞都市に備えられた管理AIの1つは暴走して行き過ぎた支配を行い都市を滅ぼしており、その後は王冠種の1つとして130年前にアメリカ大陸を席巻し新合衆国と日夜激しい戦いを繰り広げている。人型有機素体(マテリアルボディ) 管理AIが人間の営みの中に紛れるために造った、人間と同じ構造・構成物質のインターフェイス。人類と違う部分は脊髄部分の内蔵型粒子加速器と、身体専用のB.D.Aが必要なことくらい。人間の身体を得るという選択を行なったのは、人類の文明復興の為だけではなく、情報の出力制限で本当に大切な情報を権限ある人間にしか話せないという枷を外す為に、今までとは異なる外部出力装置が必要になったからでもある。 血中粒子加速器(Blood accelerator) 通称B.D.A。体内に取り込んだ粒子体を“一秒の定義”に則り血中で秒間・約33回転の循環を繰り返し、実数と虚数を互換する加速器。粒子体に適合した人間の様々な潜在能力を引き出す兵器で、血中粒子を介して脳波によるコントロールが可能。身体を覆う外殻式の物が最も多く普及している。結晶粒子体が核となっており、これに反応して星辰粒子体は超加速を開始する。また、高適合率の人間は汎用型B.D.Aでは全ての性能を発揮することができない為、赤服などが使うB.D.Aには体内の粒子加速に耐えられるよう、高純度結晶体という貴重な結晶粒子体が用いられている。 ドイツの粒子研究機関“ユミル”で研究開発されていたものを、35年前にメルリヌス博士が完成させた。 粒子体の加速が空間概念に対して固有の時間概念を持っているからこそ、既存のエントロピーを凌駕している以上、固有時空間等速運動が多元運動量を発現させるには途方もない長さの加速路が必要となる。血中粒子加速器が最強の汎用兵器として広く使われているのは、人体の血管が地球の2周半以上の長さを誇っているからであり、E.R.A機関では再現できない能力も多い。 万能の武器というわけではなく、それぞれ得意分野がある。加速燃焼型(B・アクセラレーション)、虚数変化型(イマジナリーリアクト)、身体強化型(フィジカルアップ)など色々な系統がある。中には特定の人間にしか習得できない系統もあり、世界的に稀少な系統として、不可逆変換型の2人、架空光子演算型の1人、次元干渉型の3人(後に4人と判明)が挙げられている。 粒子体が過剰散布されて巨軀種や幻想種が溢れ返り、研究対象には事欠かないため、B.D.Aについては大崩壊後の方が技術進化は速くなったとすら噂されている。 E.R.A機関と接続する技術も存在する。この場合、循環係数の変化は微々たるものだが、粒子総量や瞬間消費速度を向上させることはできるので、実際、中大連では大質量を空間跳躍させる為の戦艦型B.D.Aの開発に成功している。不可逆変換型(イリバーシブル) 一方通行の化学変化を相互通行にして変換出来る粒子操作が可能な系統。治癒促進とは異なる蛋白質の補修による傷の治療や、遺跡の瓦礫からの有機流体物質の採取、不可逆圧縮で破壊されたデータまで補修可能といった、錬金術そのものとも言えるような力。まだ謎が多い力という事もあって自然に体得する以外に覚える方法のない系統で、世界で2人しか適合者がいない。生産力、医療、科学など多方面に影響を与える能力で、資材確保が難しい現代に於いて遺跡が全て宝の山になるため、使い手が1人いるだけで10万の労働力を超える価値がある。 異種同調型(タイプ・アヴァター) 他種族の系統に合わせてその性質を変える世にも珍しい系統。死した巨軀種や幻獣種、及び天悠種の骨肉を己の粒子加速器として外付け出来る性質を持ち、本人の適合率を上回る結果を出すことが可能。星辰粒子体を取り込むと細胞が環境に適応するため自己進化を始めるのだが、中でも異種同調型は環境や風土、共生する生命に影響を受けやすいという。 次元干渉型(じげんかんしょうがた) 強力無比で実戦的な能力が多い系統。光速化した粒子により一時的な次元鏡面の崩壊を促すことで発動する空間跳躍(テレポート)、次元結紮、相対空間操作などが可能。潜在的には多数存在するが、発現するには循環係数が光速の3倍以上、つまり適合率30%の大台に乗らなければならない為、その多くが発現に至らないという稀有な系統でもあり、史上で15人、現役は3人と言われていた(後に静雨が通算16人目、現役4人目であると判明)。 個人レベルが所有する系統の中では頂点の1つで、空間跳躍を近接戦闘に組み込んだ場合、速度差を加味せず何の前兆もないまま相対距離を瞬時に0に出来ることから、“間合い”の概念が完全に砕かれることになり、数mの移動でも生かせる幅は広い。空間跳躍と次元跳躍では干渉する次元数に大きな違いが出て、前者では跳躍した先に物質が存在する場合、どちらかが激しく損壊するリスクがあり、後者でも似たような現象が起きる。 なお、E.R.A機関で空間跳躍を再現する為には遠大な加速器が必要となり、あと1000年は実現不可能とされている。後に中大連は、複数の潜在的次元干渉型による3000kmを超える大陸間次元跳躍技術の開発に成功している。 流体操作型 液体の中の粒子体の運動を操作する能力。体内の粒子体を操るのにほぼ必須な能力の1つであり、進化の過程で得る、或いは幼少期の初期教育段階で誰もが感覚的に得られる力で、高適合者なら生まれついて出来て当たり前の基本的なもの。龍次郎クラスの実力者なら津波などの大海象をも自在に操れるので、街々が大海原に沈んでしまった退廃の時代に於いて、強力な流体操作型は時代を支配するに等しい力を持つと言っても過言ではない。 圧力操作型 圧力の変化を起こす能力。体内の粒子体を操るのにほぼ必須な基本の能力の1つであり、進化の過程で得る、或いは幼少期の初期教育段階で誰もが感覚的に得られる力で、高適合者なら生まれついて出来て当たり前の基本的なもの。主な攻撃手段は液体などを高速発射する、気圧変化の負荷をかけて平衡感覚を失わせるなどだが、圧力操作型に偏った者はその比ではなく、過去にいた最強の圧力操作型は何もないところに爆弾を作り出すことができたほか、王冠種の1体“赤道の空王”リンドヴルムはすれ違っただけで船の船員が全員気絶するという。 限定解除 血中の循環経路を最大出力で解放して光速を超えた動きを強制するシステムであり、人類最大の汎用兵器の1つ。通称“オーバーライド”。仕組みとしては、超高濃度結晶体の光速まで加速した粒子を吸収すると結晶内の固有時が外れ、粒子が最大2〜4倍の速度を保ったまま多元運動量を人体に反映させることが可能になる、というもの。 高適合者の中でも極一部の人間しか使いこなすことができず、多くの場合は使うと同時に素体融解を起こして大爆発を起こしてしまう危険なシステム。一真のようにノーリスクで限定解除を乱発できるのは極めて少数な逸材である。 特殊外骨格(とくしゅがいこっかく) 出力固定式のB.D.Aで、E.R.AとB.D.Aの両方の特性を備えて安定した出力を発し戦闘を補助する装具。どれだけ粒子を供給しても上限以上の性能は発揮できないが、誰が使っても同じ能力を得られるのが利点。体内の加速路と外付けの加速路を繋げるため、失った手足を補助する義足や義手などにも用いられている技術。ホバーブーツ 特殊外骨格に分類される、脚部装着型のB.D.A。最大時速は65kmで、水上戦闘が可能。使用感覚としては、足の指先が自由意志で可変可能な噴射機に入れ替わったような認識となる。普通に走るよりは連続跳躍の方が速度が出るほか、巧みに使い滞空状態のバランスを取ることも可能。 Blood acceleration connecter 中華大陸連邦で開発された新型B.D.A兵器。体内で変質した粒子体は他人と混ざり合わず、素体融解を起こすという従来の問題を解決する為、“大山祇命”戦で得た日番谷姉妹のデータを利用して実用化に成功した。低適合率の潜在的次元干渉型であっても十数名が同時に乗り込み起動する事で、3000kmを超える長距離の大陸間次元跳躍が可能となっている。ただし、まだ発展途上の技術であり、操縦者の負担が大きく乱用は出来ない。 環境粒子加速機関(Ether acceleration drive/ エーテル アクセラレーション ドライブ) 通称E.R.A。各地に散布された粒子体を動力として起動する半永久機関。粒子体を吸引した機関は駆動エネルギーの循環増幅限界を超えない限り、半永久的に稼働し続ける。出力は搭載している加速器の性能と吸引力に依存するが、現代の環境ならば幾らリミッターを外したところで粒子消費量には規制はかからない。ただし完全な永久機関とは言えず、炉心の限界を超えた稼働をすると行動範囲が広がる代償に、内在している粒子を全て消費してしまいエンストを起こしてしまう。 B.D.Aのプラグを機関に直結させ、操縦者の血中経路を外部加速器として機能させ一時的に循環係数を跳ね上がらせることもできる。 ロストテクノロジーが多く関わっていて、今の時代の技術では再現が難しい。多脚型戦車や大型船を組み立てる時には必須になり、発掘品の中では一番高値が付く物質とされる。本来の用途とは別の形で使っていることもあり、規格に合わない部品は繋ぎ目から様々な熱と騒音を放つ。 B.D.Aが普及するまで、E.R.A兵器は巨軀種との戦いの主流だった。しかし、この兵器では通常の物理法則が通用しない王冠種を倒すことができない。 架空光子 架空粒子とは異なる粒子。宇宙空間での光速通信を目的に研究されていた為、電波を遮断された場所でも通信が可能。架空生命体あるいは虚数生物と呼称される架空粒子によって肉体が構築される生物を完全に死亡させる為には、この架空光子で減退干渉を行う必要がある。 大崩壊 環境制御塔の暴走により引き起こされたとされる災害。300年前に人類文明は悉く滅び、地獄の窯より現れた災厄は嵐の如く、津波の如く、雷雨の如く、世の全てに一切の差異なく牙を剥き、この星の在り方さえも歪めた。 唯1人の例外なく滅ぶはずだった人類は、僅かな勇気と奇跡によって生き永らえる事を許されたが、文明を失い星を満たす栄華の残滓によって慎ましい生活を送っている。今や人類の生存圏は300年前に作られたシェルターなど一部の場所に限られており、生きるので精一杯で、技術の発展を試みるだけの生活的余裕はなく、技術力は過去のテクノロジーに依存するしかない。海域も上昇して多くの陸地は海没してしまっているため、乗船経験がないということは働いたことがないということに直結する。データ化された情報バンクは吹き飛んだ為、図書館の書物の様なローカルデータが凄く貴重になっている。なお、大陸は王冠種が群雄割拠し、飛行技術の衰退と3体の王冠種が制空権を支配していることで、陸路と空路は使用不能であり、海を棲家とする王冠種が人類を敵視していないので海路は唯一使用可能。だが、人類は王冠種に目溢しされている立場でしかなく、彼らが本気で排除しようと行動に移せば、1年もかからず滅ぼされると言われている。 国という枠組みが壊れたことで、民族ごとに区別するための制度は敷かれているが、限られた国土や極度に狭い生存圏の中で協力して生きていくために国籍は統一されている。国家間で使える共通の通貨制度がない為、行われているのは原始的な物々交換と証文制だが、近い将来に印度洋海商協定で国家間で通用する紙幣が発行される予定もある。物資の備蓄はそのまま国力に直結する。生存圏の侵害は重罪。昔の嗜好品は酒瓶1つ、葉巻1つであっても国宝級で、高値で取引されるため、盗掘目的の遺跡荒らしが多い。 ミリオン・クラウンが生まれた国はまだ防衛能力があるが、小さな国は細々とした連合を組んで、危機が迫れば互いの領地に避難し、破壊された故郷にまた帰るしかないのが実情。そのため、人体実験を合法化している国家も存在する。 星の生態系は大きく変容し、本来在るべき進化の系統樹を著しく逸脱してしまった。王冠種を筆頭とする巨軀の怪物たちからの圧迫で人類は既に地球の霊長ではなくなっている。 一方、“ウロボロス”による世界の滅びに立ち向かい、全てを守ろうとして、惜しくも敗れ去った者たちもいた。為政や研究に携わった者、銃を握って戦った者、権威の裏側で抗った者たちは、人類文明が滅んだ後に、人類の再起を願って、海上移動要塞都市、団粒構造シェルター、超々高濃度結晶体などを残し、敵に奪われて最悪の兵器とならないように絶対に奪われない為のセキュリティを造った。
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